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「本っっっ当!あいつどうにかしてくんない!?」
銀時はそう言うと、飲み掛けのビールをテーブルに勢い良く置いた。
当然お登勢の怒鳴り声が飛んでくるが、新八の声以外に対しては
簡単に耳を日曜設定に出来る銀時。
さくっと無視して目の前に居る人物を睨み付けた。
「あいつ?あいつって誰だ?」
そう言って首を傾げるのは、多分近藤だ。
今日も限界以上に顔を腫らしているので、あまり判断できないが、
多分近藤だ。
叫びすぎたのだろうか、声も幾分掠れていてこちらも判断出来ないが、
多分近藤だ。
・・・と言うかこの状態でも大丈夫な辺り、
やっぱり近藤でいいだろう。
ってかまずその状態をどうにかしろ。
そうは思うが、本人は『意識があるだけ今日はマシ。』とばかりに、
ニコニコと・・・多分ニコニコとお絞りを顔に当てつつ、
ビールを呑んでいる。
そのせいで出血は止まっていないのだが、
周囲はこれで少しはテンションが下がってくれれば・・・
と、こちらもさくっと無視だ。
ちなみにお絞りは使い捨てタイプなので、お登勢的にも
安心して無視できている。
ここにツッコミの鬼である新八が居れば、
「皆さん・・・とりあえず色々どうにかして下さい。
主に世間体とか思い出して。」
と、冷たい視線でもって言ってくれるのだろうが、生憎
この場に新八はいない。
何故なら、今夜は鬼っ子達による、久しぶりの
『朝まで生 怪 談』
を新八宅で行っているからだ。
なので、場はどんどん流されていくし、銀時の機嫌は悪い、
そして近藤の居の命はなんとか助かったのだ。
まぁ近藤の命が助かったのは、新八が止めたからではなく、
ましてやお妙の心に変化があった訳でもなく、
ただ単にさっさと怪談を始めたかった神楽が、殴られている近藤を
志村宅から投げ飛ばした結果だったりするのだが。
その時、あくまで偶然近くを歩いていた自分の頭に
落ちてきたのは、本気で偶然だと思いたい銀時である。
・・・でなければ後が怖い。
だがもし、これが偶然でなかった場合、近藤をそのまま放置
しておいたりしたらもっと怖い。
と言う事で銀時はこれ以上の志村宅への接近・・・ではなく、
夜の散歩を諦めて失神している近藤を引きずり、家路についたのだった。
まぁ運び賃としてそのままお登勢の店に運び込み、
勝手に飲み食い始めたのだが。
そして銀時は、途中で気が付いた近藤に、
前々から思っていた事を序とばかりに吐き出し始めたのであった。
「決まってんだろ、沖田君だよ沖田君。」
テメェんトコの鬼っ子だ。と、銀時は一度置いたビールを呷った。
「何だかんだ言ってウチの子等に付きまといやがってよぉ。
放任主義にも程があんだろうが。
躾はちゃんとしろよ、躾は。ってか仕事しろ。
テメェ共々」
ケッと吐き出すように言い募る銀時に、近藤は微かに眉を顰めた。
「躾も何も、総悟は良い子だぞ?
ただ、照れ屋だからそこら辺は奥深くに
隠されてるだけで」
「隠すなよ、そこは。
周りの為にも前面に押し出していけよ。」
「それに新八君達に付きまとうって言うより、
仲良く遊んでいるだけだろう?微笑ましいじゃないか」
うんうん。と頷く近藤に、銀時はうんざりとした表情を浮かべる。
「全然微笑ましくねぇよ。
最近のあいつ等、何やってっか知ってっか?
怪談だぞ、怪 談。いい年して何やってんだよ。
怖くて仲間に入っていけねぇじゃねぇかっ!」
いや、そっちこそいい年して何言ってんだ。
そう言うツッコミをして頂きたいが、生憎我らがツッコミマスターは
お妙を交えた何時ものメンバーで楽しく怪談の真っ最中だ。
なので基本真面目な近藤は、困ったように腕を組んだ。
「仲間外れは感心しないな・・・
よし、判った。俺等も怪談をしよう」
「・・・おいこらゴリラ。
何顔面怪談の様なツラして言ってやがる。
何を理解しやがった。」
「いや、実はだな~」
「ちょ、聞こえてますぅぅ!!?
何?殴られすぎて鼓膜破れちゃいましたぁぁ!!?」
叫ぶ銀時を無視し、近藤は懐から何かを取り出し、テーブルに置いた。
「心霊写真・・・て訳じゃないんだが・・・」
見てくれ。そう言って置いた数枚の写真を指差した。
それに対し、銀時は顔を背けると数回手を振る。
「心霊写真じゃねぇならいいじゃねぇか、んなの。
ってかしたくねぇんだよ、そんな話。
注目する所はそこじゃねぇんだよ」
「いや、ここの新八君の隣なんだが・・・」
「新八!?」
近藤の言葉に、銀時は背けていた顔を
一瞬にして写真に寄せた。
確かに、そこには近藤の言うとおり新八が写っている。
・・・何故だか視線はこちらに向いていないが。
だが注目する所はそこではなく・・・
「・・・なんだ、コレ」
そう言って銀時が注目している先、其処には新八の姿と・・・
「なんで神楽と二人でアイスなんか食ってる訳ぇぇ!!?
ちょ、許せないんだけど、銀さん。」
神楽の姿だった。
「・・・や、そこじゃなくてな」
「っつうか俺に黙ってアイス食ってるのもあれだけど、
何より新八のこの顔っ!
ヤバクね?もう色々ヤバクね?
よりによって棒アイスとかっ!
ヤバイの域超えてね!?
これは俺と夜二人っきりでするべき顔だろぉ!?
ってかさせるね、近々っ!」
写真を握り締めて切々と訴える銀時に、流石にお登勢から
灰皿が飛んできた。
思わず怒鳴り声を返そうとした銀時だったが、お登勢の
殺人的視線にそっと視線を外す。
・・・多分、この方が居る限り、新八の身の上は安全だ。
「万事屋・・・寝る前にアイスを食べるのは感心しないぞ。
っと、そうじゃなくてな」
そう言って近藤は銀時の手から零れた写真を手に取った。
そうじゃないのは近藤も同じだ。
だが、ツッコミ不在なのでそのまま進む。
「・・・ここだ、ここ」
近藤は写真の一部を指差し、銀時の顔へと近づけた。
そこには・・・
「・・・なんだ、コレ」
思わず銀時の眉が顰められるのも仕方が無い。
そこには楽しげにアイスを食べる新八と神楽の他に、
はっきりとしない影が映っていたのだ。
「ほら、これもこれも・・・」
次々に写真を見せていく近藤。
その写真全て、はっきりとしない影が映っていた。
見る見る顔色が悪くなっていく銀時。
「おい・・・これって・・・」
コクリと喉を鳴らしそう呟けば、近藤は あぁ。 と
重々しく頷いた。
「お妙さんだ」
「・・・・お妙・・・なんでこんな事に」
真剣な目を写真に向ける銀時に、近藤はもう一度
深く頷いた。
「全くだ、一体何でこんな・・・
写真を幾ら撮っても、お妙さんの姿は映らない。
どんなタイミングで、どんな場所から撮ったとしても
全てこうだ。
その上いつの間にかその場から消えてるんだから、
不思議と言うほかないだろう?」
あぁ、一体俺はどうすれば貴方の写真を手に入れられるのですか、
お妙さんんん!!!
そう咽び泣く近藤に、思わず哀れみの視線を送りそうになった
銀時だったが、今の言葉に少し引っかかりを覚え、
カクリと首を傾げた。
「その場から・・・消えてる?」
「あぁ、そうだ。こう・・・カメラを構えるだろう?
その時は確かにファインダーの中に居るんだが、
シャッターを押す瞬間、その姿が消えるんだっ!」
こう、パッと。身振りを交えながら説明する近藤に、
銀時はちょっと待て。と手を上げた。
「・・・ちなみにその後のお妙は?」
銀時の質問に、一瞬ポカンとした近藤だったが、直ぐに
質問の意図に気付き、ポンと手を打った。
「あぁ、それも不思議なんだが、いつの間にか
俺の後ろに居たりするな。
いや~、どんな場所に隠れててもそうなんだから、
本当不思議・・・いや、そんな不思議でもないか。
それだけ俺達の愛が深いって証拠だもんなぁ、うんうん。
あ、それでか。その後のお妙さんの拳が一段と重いのも。」
ニコニコと・・・多分ニコニコと幸せそうな笑顔を
腫れた奥に隠して、近藤が話し続ける。
ちなみにこれも不思議な事なのだが、そうして気を失った後は
大抵カメラが何処かに消えているか、
跡形もなく壊されているらしい。
ここにあるのは、奇跡の数枚だと言う。
・・・一番不思議なのは、僅かな残像しか残さない程の
スピードを手に入れたお妙の身体能力だな。
そう思いつつも、やっぱり後が怖いので何も言わず、
そっと新八の写っている写真を懐に入れた銀時であった。
**********
新ちゃんが関わった坂田も人のことは言えません(←人外)
新しいキーボードに中々慣れません(泣)
考えてみれば、今年始めに買ったんですよね、PC。
で、その時も慣れるまでに苦労したような・・・
って、なんでそんな短期間で壊れてんのさ。
と言うかデスクトップのキーボードが壊れる事って
そんなにない・・・って店員さんに不思議がられました。
・・・やっぱり、坂田に対する呪いを叩きつける勢いで
駄文を書き続けた報いでしょうか?
まぁそうだとしても、
悔い改めませんけどね?(コラ)
・・・とりあえずボチボチ頑張って打ち込みします。
以下、拍手お返事
通りすがり様
拍手&ご感想、有難うございますvv
ナイスですね、変態坂田(コラ)
多分、乾いてるかどうかを確かめる為、二・三度は頬擦りしてると
思いますよvv(ちょっ待てι)
で、新ちゃんからの返事は、何時でも拳です。
と言うか、この場合それ以外の返事はないですよねv
まぁそれすらも、ウチの坂田は喜んで受け止めそうですが(笑)
日々、こんな感じですが少しでもほっこり楽しんで頂けるよう
頑張っていきますんで、また気軽に遊びに来てくださいませv
狸御殿様
何時も拍手&ご感想、有難うございますvv
またまた続いちゃいました、夏のお約束vv
本当、実際銀さんみたいなのが居たら、ウザイ事この上ないですね。
怖い癖に、仲間外れはイヤ☆・・・みたいな(うわ~ι)
しかも、新ちゃんの声はどんなものでも聞き逃さない男ですから。
文句を言いつつも、きっと今後も聞き続けると思います。
・・・本当、生者の執念が一番怖いι
布団の中に出る系!私も実は苦手です~ι
逃げ場ないですもんね、本気でっ!
ってかご友人がぁぁ!!!ちょ、マジですか!?本気で怖いんですけど~(涙)
・・・せめて布団の中だけでも、安全地帯で居て欲しいですよねι
ちなみに、私的には新ちゃんのご先祖様が総出で止めてる系が
ツボでしたvv
銀さん、寝てても無意識に新ちゃんに近付いていきそうですもんね(笑)
今後も全力でもって阻止していって欲しいですv
「何処まで行くんでィ第十三回、ワクワク怪談大会~」
「そりゃこっちの台詞だ、コノヤロー」
真昼間の万事屋で、やる気のない沖田の声と、
生気のない銀時の声が響いた。
「銀ちゃん!何時にもまして目が死んでるネ!
どうしたヨ、怪談する気満々アルカ!?」
「ちげぇよっ!!何ポジティブな方に持ってってんだよ!
空気読め、頼むから空気読めっ!
見て、この銀さんの状況!思いっきりやつれてるよね?
もうヘロヘロ状態だよね!?
眠れてねぇんだよ、もう。
だから新ちゃん、膝貸してください。」
「膝蹴りで強制的に眠らせて欲しいんですか?
・・・体に悪いですよ?」
「いや、判るよ。そんな心底心配気な顔されなくても
十分だよ。
え、何?優しさ皆無ぅぅぅ!!?」
酷ぇよぉぉぉ!!と、ソファにうつ伏せて泣く銀時を他所に、
新八達は話を進めていく。
こうなるといい年して泣き真似している方は堪らない。
態々『突っ込めよ!!』と言うのは簡単だが、多分そんな事しても
この鬼っ子達はそれすらもスルーするか、
居た堪れなくなる程生暖かい視線と言葉を送ってくる
に違いない。
銀時はそこまで考えると、無言で体を起こし、体勢を整えるて
何事も無かったかのように、目の前にあるお茶を啜った。
その時、何処からか鼻で笑った声がした気がしたが、
心の平穏の為聞かなかった事にした。
だってSは打たれ弱いのだ。
と、言う事で本日も無駄な抵抗を無視して、鬼っ子達は話を
進めている。
こう言う時、耳のいい自分が恨めしくなる。
なんで仕事は年中日曜なのに、
耳だけは日曜にならねぇんだろう。
偶には主である俺に気を使って、休みを取れ。
あ、でも新ちゃんの声だけは別で。
新ちゃんの声だけは、何時でも何処でも
どんなに離れていても耳に入って来い。
あの心擽る声は、天使の羽音だ。
って、そんな新ちゃんも怖い話してんだけどねっ!
本当、なんでそんなウキウキした感じで話してっかな。
顔だけ見たら、超可愛いんですけど。
興奮気味に頬染めちゃって?
目なんかキラキラさせちゃって?
これで銀さんへの愛を語っててくれたら、完璧なんだけどね!?
なのに話してるのは、布団から出てきた腕の話で・・・
って、怖ぇぇぇぇ!!!!
ちょ、やめて。本当にやめて。
そんな愛らしい声で、世にも恐ろしい語りは本気で止めて。
その手がウルト○マンの形取ってても、面白くも
なんともないからぁぁ!!
何だ、それっ!普通に怖ぇよっ!
なんで布団の中見たら、そんなのが敷布団から出てんだよっ!
え?別に布団の中に出た訳じゃねぇの?
寝てる人の布団が変な形に膨らんでたから、捲ったらあった・・・と。
あ~、それなら本人は気付いてなくていいや。
・・・・って良くなくね!?
やっぱ怖くね!!?
もう布団被れねぇよっ!
どうすんだよ、布団被らないで寝て、目の前になんか出ちゃったらっ!
何処にも安全地帯がねぇじゃねぇかっ!
・・・あ、別に怖い訳じゃねぇんだけどよ。
銀さん、単にびっくりして心臓に負担掛けたくないだけだし?
ほら、銀さんてば健康に気を使う方じゃん?
それに、こんな怪談如きに震え上がる銀さんじゃねぇし。
武者震いだし、これっ。
でも何に対しての武者震いなのかは突っ込むなよ?
微かにあるだろう優しさをかき集めて、
全力でスルーして下さいっ!お願いしますっ!!
・・・て、まだ話続けんのかよ。
しかも寝てる内に壁から手が出てきて、足引っ張るとかっ!
ざけんな、神楽っ!
お前銀さんに、ホームレスに
なれって言ってんのかっ!
大体なぁ、そんなの寝相が悪いヤツの言い訳だ、言い訳。
現実にそんな事、ある訳ねぇんだよ。
あ?そいつも同じような事、言ってたって?
起きた時、壁近くまで移動してた自分を見て、寝相悪いって?
そうだろ、そうだろ。
言っておくけどなぁ、銀さんだってそう言う時、あっからね?
起きたら壁の近くって事、あるから。
今日もそんな感じだったから。
もうさ、最近マジで睡眠不足から、一度眠ると
何があっても起きねぇんだよね、銀さん。
ん?何よ、沖田君、人の足見て。
言っとくけど、触ったら金取るからね?
ちなみに新ちゃんの足は、見ただけで金額発生すっから。
は?その痣は・・・って、あぁ、またか。
や、何かよ、時々あんだよ、足首に痣作っちまう事。
何だろうなぁ、よっぽど寝相悪いのかな、俺。
両足首に痣って、どんだけ暴れてんだよって話だよなぁ。
あれ?なんでそんな微妙な顔して
遠ざかってんの、お前ら。
************
気付かないウチに体験中(笑)
朝、何時もの様に万事屋へとやって来ると、そこには
信じられない光景が広がっていた。
信じられない光景・・・それはまず、ここにはいない人達が
居た事で。
や、居るには居るんだけどね、何時も。
別にそれ自体、不思議でも何でもないんだけどね。
でも、起きてるって事が本気で不思議だ。
寧ろ怪奇現象だ。
しかもその内の一人は朝食を作っていて、
もう一人はその手伝いなんかをしちゃってたりして。
え、これ何てドッキリ?
そんな事を考えてしまった僕は、決して悪くないと思う。
だって目の前の二人、妙にニヤニヤしてるしね!
思わず身構えてしまった僕に、ニヤニヤ笑いの二人は
爆弾発言をかましてくれたのだった。
・・・あ、そう言えば今日、僕の誕生日だ。
考えてみれば去年もそうだったっけ・・・と、銀さんが淹れてくれた
お茶を飲みながら、ぼんやり思う。
僕が来る前に起き出して、朝食の支度を自主的にして。
その後もこんな感じだったっけ・・・と、何時もより居心地の悪い
ソファに座りながら、目の前の光景を眺めた。
何時も洗濯機に洗濯物すら入れない銀さんは洗濯物を干していて、
汚す専門の神楽ちゃんはパタパタとハタキをかけている。
そして僕はと言えば、折角の誕生日なんだからゆっくりしとけ。
と言われ、居心地悪くソファの住人だ。
なら休みにしといてくれればいいのに。
ポツリと呟けば、凄い剣幕で怒られた。
そう言う問題じゃないらしい。
ならどんな問題なんだろう。
まぁいいや。
碌な答え返ってきそうにないし。
何にせよ・・・兎に角居心地が悪い。
だって基本、僕は動くのを苦にしない性質なのだ。
貧乏性とよく言われるけど、こればかりは仕方が無い。
しかも他の、滅多に動かないあの二人が働いているのだ。
悪い気もするし、何よりワキワキする。
あぁ、もう銀さんたら皺伸ばさずに干してるしっ!
それじゃ乾いた時皺くちゃになっちゃうじゃないですかっ!
ってかパンツは隠して干してくださいよ。
なんで前面に出していくんですかっ!
見せたいんですか!?
その『闘魂』パンツを見せびらかしたいんですか!?
あ・・・でも流石に神楽ちゃんのは隠してくれた。
うん、ですよね。それ前面に出したら
そこから突き落としてやる所でしたよ。
って、僕の足袋、何処に隠してんですか。
銀さんの懐で人肌乾燥ですか。
突き刺して
突き落としていいですか、もう。
って、神楽ちゃん、それパタパタ超えてるから。
パタパタ超えてバッキバキ言ってるから。
もうハタキじゃなくて、単なるタタキだからぁぁ!!?
何?何か嫌な事でもあったぁぁ!!?
あ・・・しかも折れたし。
いや違うから。そのハタキ、全然弱くないし古くもないから。
自然現象じゃなくて、単なる破壊現象だから。
・・・うん、明日はもう少し早めに来ようかな。
掃除に時間掛かりそうだし。
あ・・・そう言えば去年も同じ様な感じだったっけ・・・
思わず遠い目をしてしまったのも無理はないと思う。
ちなみに定春は僕の足元だ。
何でも僕を監視しつつ、癒してくれてるらしい。
や、確かに動物って心癒してくれるけどね。
フワフワしてるし。
でも、今、夏なんですけど。
フワフワってよりムワムワって感じなんですけど。
汗がジワジワ出てきてるんですけどぉぉ!!?
第一今すぐ家事を交代してくれたら、それだけで
十分心癒されると思うんだよね、もう。
と、言う事で。
うん、確かに銀さん達の気持ちは有難いし嬉しいんだけどね?
「銀さん、神楽ちゃん」
僕は手にしていた湯飲みを静かに置き、慣れない作業に戸惑っている
二人の名前を呼んだ。
「いいって言ってんのに・・・」
「全く、貧乏性にも程がアルヨ。」
ブツブツと不満顔で呟く二人に、まぁまぁと苦笑を浮かべ、
僕はゴミを集めた袋の口を閉じた。
結局あの後、渋る二人を宥めながら家事へと参戦したのだ。
うん、やっぱり動いてる方がよっぽどいいや。
自然と浮かぶ笑みに、銀さんの唇が尖る。
「折角ゆっくりして貰おうと思ったのによぉ」
「あはは、気持ちだけで十分ですよ」
それに・・・と、それぞれ道具を持って掃除をしている
二人に目をやる。
「掃除も洗濯も、後ゆっくりする事も
一人でするより三人でする方が断然いいですもん」
だからちゃっちゃとやって、三人でゆっくりしましょうね。
その瞬間、不満の色に染められてた顔がゆっくりと緩んでいく
のが見えて、僕の顔もますます緩んでいったのだった。
**********
短いけれどなんとか間に合った新ちゃんハピバ話。
・・・新しいキーボード・・・慣れるまで時間が掛かりそうです(涙)