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朝、何時もの様に万事屋へとやって来ると、そこには
信じられない光景が広がっていた。
信じられない光景・・・それはまず、ここにはいない人達が
居た事で。
や、居るには居るんだけどね、何時も。
別にそれ自体、不思議でも何でもないんだけどね。
でも、起きてるって事が本気で不思議だ。
寧ろ怪奇現象だ。
しかもその内の一人は朝食を作っていて、
もう一人はその手伝いなんかをしちゃってたりして。
え、これ何てドッキリ?
そんな事を考えてしまった僕は、決して悪くないと思う。
だって目の前の二人、妙にニヤニヤしてるしね!
思わず身構えてしまった僕に、ニヤニヤ笑いの二人は
爆弾発言をかましてくれたのだった。
・・・あ、そう言えば今日、僕の誕生日だ。
考えてみれば去年もそうだったっけ・・・と、銀さんが淹れてくれた
お茶を飲みながら、ぼんやり思う。
僕が来る前に起き出して、朝食の支度を自主的にして。
その後もこんな感じだったっけ・・・と、何時もより居心地の悪い
ソファに座りながら、目の前の光景を眺めた。
何時も洗濯機に洗濯物すら入れない銀さんは洗濯物を干していて、
汚す専門の神楽ちゃんはパタパタとハタキをかけている。
そして僕はと言えば、折角の誕生日なんだからゆっくりしとけ。
と言われ、居心地悪くソファの住人だ。
なら休みにしといてくれればいいのに。
ポツリと呟けば、凄い剣幕で怒られた。
そう言う問題じゃないらしい。
ならどんな問題なんだろう。
まぁいいや。
碌な答え返ってきそうにないし。
何にせよ・・・兎に角居心地が悪い。
だって基本、僕は動くのを苦にしない性質なのだ。
貧乏性とよく言われるけど、こればかりは仕方が無い。
しかも他の、滅多に動かないあの二人が働いているのだ。
悪い気もするし、何よりワキワキする。
あぁ、もう銀さんたら皺伸ばさずに干してるしっ!
それじゃ乾いた時皺くちゃになっちゃうじゃないですかっ!
ってかパンツは隠して干してくださいよ。
なんで前面に出していくんですかっ!
見せたいんですか!?
その『闘魂』パンツを見せびらかしたいんですか!?
あ・・・でも流石に神楽ちゃんのは隠してくれた。
うん、ですよね。それ前面に出したら
そこから突き落としてやる所でしたよ。
って、僕の足袋、何処に隠してんですか。
銀さんの懐で人肌乾燥ですか。
突き刺して
突き落としていいですか、もう。
って、神楽ちゃん、それパタパタ超えてるから。
パタパタ超えてバッキバキ言ってるから。
もうハタキじゃなくて、単なるタタキだからぁぁ!!?
何?何か嫌な事でもあったぁぁ!!?
あ・・・しかも折れたし。
いや違うから。そのハタキ、全然弱くないし古くもないから。
自然現象じゃなくて、単なる破壊現象だから。
・・・うん、明日はもう少し早めに来ようかな。
掃除に時間掛かりそうだし。
あ・・・そう言えば去年も同じ様な感じだったっけ・・・
思わず遠い目をしてしまったのも無理はないと思う。
ちなみに定春は僕の足元だ。
何でも僕を監視しつつ、癒してくれてるらしい。
や、確かに動物って心癒してくれるけどね。
フワフワしてるし。
でも、今、夏なんですけど。
フワフワってよりムワムワって感じなんですけど。
汗がジワジワ出てきてるんですけどぉぉ!!?
第一今すぐ家事を交代してくれたら、それだけで
十分心癒されると思うんだよね、もう。
と、言う事で。
うん、確かに銀さん達の気持ちは有難いし嬉しいんだけどね?
「銀さん、神楽ちゃん」
僕は手にしていた湯飲みを静かに置き、慣れない作業に戸惑っている
二人の名前を呼んだ。
「いいって言ってんのに・・・」
「全く、貧乏性にも程がアルヨ。」
ブツブツと不満顔で呟く二人に、まぁまぁと苦笑を浮かべ、
僕はゴミを集めた袋の口を閉じた。
結局あの後、渋る二人を宥めながら家事へと参戦したのだ。
うん、やっぱり動いてる方がよっぽどいいや。
自然と浮かぶ笑みに、銀さんの唇が尖る。
「折角ゆっくりして貰おうと思ったのによぉ」
「あはは、気持ちだけで十分ですよ」
それに・・・と、それぞれ道具を持って掃除をしている
二人に目をやる。
「掃除も洗濯も、後ゆっくりする事も
一人でするより三人でする方が断然いいですもん」
だからちゃっちゃとやって、三人でゆっくりしましょうね。
その瞬間、不満の色に染められてた顔がゆっくりと緩んでいく
のが見えて、僕の顔もますます緩んでいったのだった。
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短いけれどなんとか間に合った新ちゃんハピバ話。
・・・新しいキーボード・・・慣れるまで時間が掛かりそうです(涙)