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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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「おめでたい日だって言うのに、大変ですね」

何時もの様に近藤を迎えに来た土方に向かって、
新八は苦笑を浮かべてそう告げてきた。

それに土方は は? と首を傾げる。

いや、こんなのは何時もの事じゃね?
決して慣れたくはなかったのだけれど。
大体おめでたい日ってのは何だ?

近藤さんの頭は何時でもおめでたいぞ?

そんな疑問が顔に表れたのだろう、新八は一瞬キョトリとし、
コテリと小首を傾げた。

「もしかしてまた忘れてます?」

今日、誕生日でしょ?そう言われ、漸く土方は今日が自分の
誕生日だと言う事を思い出した。

思い出しはしたが・・・押し寄せてきたのは嬉しさとか
気恥ずかしさとかではなく、物凄い虚しさだけで。

だってオマ・・・誕生日だと言っても仕事は山ほどある訳で。
しかもその中の一番最初の仕事が近藤さんの回収
そしてこの後はきっと、とんでもない事が自分を待っているのだ。

良い事なんてものでは全くなく、不幸丸出しの出来事が
部下とか総悟とかS王子とか総悟とか・・・

まぁ総合して悪魔の手によって、
強制的に

・・・本当、何なんだろう、あいつは。
何時も命を狙われてはいるが、この日ばかりは特別だ。

生まれてきた事を祈ってくれるのではなく、
生まれてきた事を呪いたくなる勢い
で色々仕掛けてきやがって。

そんなに俺が嫌いか?
いや、嫌いなんだろうけどさっ!
心底嫌いなんだろうけどさっ!
好かれてたらそっちの方が驚きだけどなっ!?

でも限度があると思うんですけどぉぉ!?
・・・とつい出てきてしまった溜息に、新八は哀れんだ視線を
投げかけてきた。

「・・・まぁお仕事、お忙しそうですもんね」

誕生日も忘れちゃいますよ。そう言ってはくれるが、
多分違う。

いや、仕事が忙しいってのは本当だが。
しかも仕事以外も忙しいってのもあるが。

それ以上に思い出したくない記憶として
封印されているんだ、きっと。

部下とか総悟とかS王子とか総悟とかのせいで。

「えっと・・・何か欲しいものとかあります?」

遠くへ行きてぇなぁ~。なんてつい意識を飛ばしていると、
新八が不意にそんな事を言ってきた。

「あ?」

「いえ、何時もお世話になってますし、お誕生日ですし。
って言ってもそんなに高いものは買えないんですけど」

プレゼントしますよ。なんて笑う新八に、ちょっと涙が出そうになった。

だが、何時も世話になっているのはこちらの方だ。
別に俺ではないのだけれど。
主に少し先で倒れこんでいる人物なのだけれど。

でも、世話になっているのは確かだし、それに自分は年上だ。
年下に何かを強請る程落ちぶれては居ないし、
何より給料をちゃんと貰っていなさそうな少年に
お金を使わせるのは忍びない。

だが、新八はもうやる気満々なようで、

「何がいいですか?肩でも揉みます?
それとも腰でも揉みます?
あ、足とかも結構いいんですよ?」

なんて嬉々とした表情で言ってくる。

・・・ってかマッサージしかなくね?
何その母の日とかに贈りそうな肩揉みチケットォォ!!?

ま、あれだけどね?
最初っから強請ろうとは思ってねぇけどな!?
でも・・・やっぱり給料少ねぇんだなぁ、こいつ。

なんて、さっきとは別の意味で涙が出そうになった。

なんかもう、こっちが何かを買ってやりたい。

だが・・・そうだなぁ・・・もし本当に貰える事が出来るのならば・・・

「・・・安らげる時間が欲しいな」

いや、本当に。

思わず出た心の声に、新八はパチリと一回瞬きをし、
そして何かを納得したように大きく頷いた。

「判りました。じゃあちょっと待ってて下さい。
近藤さん、埋めてくるんで」

「おぉぉぉおいっ!!!
ちょえぇ!?何でそんな結論んんん!!?」

早速とばかりに縁側から腰を上げる新八を、慌てて引き止める。
すると新八はキョトリととても不思議そうな顔で見返してきた。

「え?だって土方さん、安らげる時間が欲しいって・・・」

近藤さん埋めたら、結構安らげますよね?そう言う新八に、
いやいやいや・・・と首を振り、とりあえず腰を下ろさせた。

「や、確かに安らげるかもしれねぇけどな?
その前に近藤さんが安らかになっちまうだろうが」

「そうですね。おまけに姉上も心安らげます」

にっこり笑う新八。
っつうかそっちが本命じゃね!?

「・・・とりあえずまだ止めといてくれ。
と言うか別に今のは本気じゃなくてな?」

「う~ん・・・だったら銀さんですか?
確かに街中とかで会うと、いっつも喧嘩してますもんね。
でも、そっちは安心して下さい。
向こう一週間ぐらいは出会いませんよ」

ちょ、万事屋ぁぁぁ!!!?
何やったんだ!?何やっちまったんだ、お前ぇぇ!!!

ニコニコと笑う新八に、一瞬寒気が走る。

・・・いや、落ち着け、俺。
きっとアレだ。仕事か何かでここを離れてるんだ、うん。
何だ、仕事なさそうな感じの癖に、本当は忙しいんじゃねぇか、おい。

・・・それならそれで、新八がここでのんびりしてる
理由が判んねぇんだけどな

ま、人数がそんなにいらない仕事なんだろう、うん。
そうだ、そう言う事にしておこう、俺。

確認は絶対ぇしねぇけど。

その後も色々と考えている新八に、もういいから。と告げようと
した所で、不意にゾクリとした感触が全身を駆け巡った。
そして・・・

「面倒なんで、アンタ自身が安らかになりなせぇ」

悪魔の声と共に、何かの衝撃が俺に襲い掛かってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?土方さんどうしたんですか?」

ドサリと音がして新八が視線を向けれると、そこには縁側から
落ちて地面の上に横たわっている土方と、
それを縁側から見下ろす沖田の姿があった。

「あぁ、急に睡魔に襲われたんだろ。
見なせぇ、安らかな寝顔じゃねぇか」

「本当だ・・・て、土方さんって目を開けて眠る人なんですね。
白目顔で面白いですよ」

「本当でぃ。写メ撮っといてやろ。」

「でも・・・こんなトコで寝ると風邪引いちゃいますよね。
どうします?起こしますか?」

「いや、疲れて寝てるんだろうから、起こすのは悪ぃや。
何か掛けて・・・って、あぁ、丁度いいじゃねぇか。
土掛けといてやろう。
知ってますかィ?土って案外暖かいんだぜィ?」

「へ~、そうなんですか。」

ザカザカ土方に土を掛けていく沖田から、新八はそっと
視線を外した。

これは多分優しさとかそう言うものでは決してないと断言できる。
・・・だが、それを発言する勇気は新八にはなく。


すみません、土方さん。
近藤さん達はどうにかなるかもしれませんが、
この人だけは無理です。

ってか無謀の域です。

まぁでも・・・と、土を顔以外に満遍なく掛けられた土方を
チラリと見る。

・・・うん、経緯はどうあれ、土方さん寝てるし。
寝るってのは体を休めてるって事だし。

「・・・ゆっくり休んで下さいね」

出来れば今日が終わるまで。

それが一番の幸せ・・・と言うか安全策だ。と
心を込めて合掌したのであった。

***********
ぎりぎり間に合ったぁぁ!!!!

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