[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
その夜、テレビに映っていたのは少し前に流行ったコテコテの
ハリ○ッド映画だった。
所謂派手でお約束満載なアレだ。
そんな中、主役の野郎が、これまた何度となく何処かで聞いた事のある
台詞を恥ずかしげもなく披露していた。
・・・オマエの為なら死ねるってオマッ・・・
そんな事言っといて死んだ事ねぇだろ、これ。
っつうか死ぬ気もねぇだろ、それ。
モブキャラなら即死亡フラグだけど、主役級は生存フラグだからね、本当。
もう大体ラストが予測出来たな・・・なんて思いながら見ていると、
向かいのソファに寝そべり、一人で占領していた神楽がボソリと呟いたのが
聞こえた。
「・・・銀ちゃんもアレネ」
・・・や、何が?
そんな俺の疑問に気づく事もなく、今度は隣に座っていた
新八が頷いて答えた。
「あ~・・・確かにね」
・・・だから何が確かに?
何?この俳優が俺に似てんの?
馬っ鹿、お前等。よく見てみ?
相手はハリ○ッド俳優様よ?
失礼極まりまくりじゃね?
どう見たって銀さんの方が上だろうがよ。
もう何倍も。
全くよ~・・・なんて背凭れに体を預けて言ってみたらば、
ものっそく残念な目で見詰められた。
え?なんでそんな目で見てんの?
銀さん、何も間違ったこと言ってないよね。
正しい事しか言ってないよね?
ほら、よく見てみって!!
そうすりゃ真実が見えてくっから!
「見れば見るほど切なくなるからやめましょう。」
「え、何で?」
「聞いたら駄目ヨ、銀ちゃん。
真実をオブラートに包んで話せるほど、
まだ私達は経験値を積んでないネ」
「どんな真実ぅぅぅぅ!!?」
そう叫べば、俺的には鋭い刃物の様な真実だと告げられた。
なんだその妙な気遣いと生暖かい優しさっ!
言えよっ!言っちまえよっ!
そんな簡単に銀さん、傷付いたりしないからっ!
もう既に血みどろだけどね、その言葉でっ!!
なんなんだよもう。
じゃあ何がアレなんだよって話だ。
え?言ってみ?ホラ、言ってみって。
本当はアレなんだろ?恥ずかしくて誤魔化しちゃったけど、
実は・・・みたいな?そんな感じだろ?
判ってるって、オマエ等本当ツンデレなっ!
・・・って温度ひくっ!!
何その視線!まさに極寒、ツンデレ地帯なんですけどぉぉ!!!
あ、違うから。今の別に間違えた訳じゃないから。
あれ?ちょっと難しかったかな?
だから今のはさ~、こうツンデレと・・・っておいコラ新八!
オマエ判ってんだろ!
判ってたら突っ込めよ!小さいボケもちゃんと拾ってけよ!
銀さん、大火傷しちゃったじゃねぇかぁぁ!!!
「やですよ、巻き添え食いたくないですもん」
「ざけんな。俺とオマエは既に一蓮托生。
死なば諸共だコノヤロー」
そう言って新八の肩へと腕を回し、頭を抱え込んでやれば
ウソばっかりネ。なんて呆れた声が神楽から聞こえてきた。
あ?なんだそりゃ。
いつ銀さんがウソなんか吐いたよ。
「銀ちゃんはさっきのヤツと一緒ヨ。
簡単に一人で命、捨てそうアル。」
「あ?んな訳ねぇだろ。
言っとくけどアレだよ?銀さん、まだまだ死ぬ気ないから。
まだ色々としてない事いっぱいあるからね?
主に新八関係で。
それが叶うまで・・・っつうか満足するまで
全然死ぬ気ないから。
未練たらたらだから、本当」
「プラス妄想で執着ですね、判ります。」
神楽の言葉にそう返せば、ドスッと勢いのある拳を
新八から鳩尾に頂いた。
ちょ、オマ・・・・っ!!
痛さに悶えていると、俺の腕の中から逃げ出した新八が
軽く首を回しながら呆れたような顔でこちらを向いた。
「っつうかそれこそウソでしょ。
アンタ、結構簡単に僕達見捨てますよ、きっと」
・・・おい、ちょっと待て。
なんでオマエ達を見捨てる話になってんだ?
俺が命を簡単に捨てるって話じゃなかったっけ?
いや、捨てないけどね?捨てねぇけど・・・
俺の命とオマエ等の命なら、オマエ等のが
残ってた方がいいなぁ、やっぱ。
あぁ、そう考えて見るとさっきのありきたりヒーローに
親近感を覚える。
映画と違って、こっちだと完璧死亡フラグだけどな。
まぁそれでもいいやな。
コイツ等が生きてんなら。
その方がずっといい・・・
ぼんやりと、そんな絶対口に出せない事を考えていると、
深々とした溜息が二人分、耳に入ってきた。
「言っときますけどね、僕は違いますよ。
どんなにアンタが危険な目にあっても、
僕の命でアンタが助かるって言われても
命捨てようとは思いませんから。」
「私もネ。
誰が銀ちゃんの為に死ぬか、コノヤロー」
・・・え、何コレ。
ちょ、酷いんだけど。酷過ぎるんだけどォォ!!?
や、別にいいんだけどよ!?それで良いんだけどよ!?
寧ろそうして欲しいんだけどよ!?
でもあの・・・・えぇぇぇぇぇ!!!?
あまりの衝撃発言につい呆然としてしまう。
そんな俺に構わず、新八達は ね~。等と同意しあってて・・
ちょ、待って。本気で待って。
既に死にそうなんだけど、銀さん。
主に心が断末魔の悲鳴を上げてるんですけどぉぉぉぉ!!!
これ以上聞きたくなくて思わず新八へと手を伸ばすが、
僅かに届かず、再び新八は言葉を続けた。
・・・ツンデレ。そうツンデレだ。
ツンデレだからこその言葉だ。
ツンデレツンデレツンデレツンデレ・・・・
「だってそうでしょ、死んだからって絶対にアンタが助かるって
保障、何処にあるって言うんですか。
死んだ後、アンタが幸せににるって保障、何処にあるんですか。
だから僕等は絶対死にませんよ。
責任感強いんで、ちゃんと生きて、最後までアンタの面倒見てやります。」
「その通りネ。
銀ちゃんみたいな物臭マダオの面倒なんて私達以外
誰もみれないヨ。」
だから銀さん。
ツンデレ呪文を必死に唱えていた俺に、二人はニカッと笑顔を向けると、
「だからアンタも最後まで面倒見られてくださいね」
「勝手に死んだら承知しないアル」
等と宣言してくれた。
どうやら俺の生存フラグは、こいつ等と出会った瞬間に確立されてたらしい。
・・・や、今現在幸せすぎて死にそうだけど。
************
リハビリがてらちょっと初心に帰ってみました。
ウチのお子様達は常に前向きなツンデレです。