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席替えと言うのは何故かドキドキするもので。
仲の良い人と近くになれたらいいな。とか、
出来れば後ろの席がいいな。とか。
もっと言えば、好きな子の隣に行けたらラッキーだな。みたいな。
・・・まぁいないんだけどね、僕の場合そんな子は。
しかも目が悪いから、必然的に前の席になっちゃうし。
でも仲の良い友達と近くになれるかどうか・・・と言う
ドキドキは残っているし、前の席だとしても、
それが真ん中かどうかでまた変わってくる。
って事で、ドキドキしながらクジを引いたのだけれど・・・
「・・・なんかまだドキドキしてんですけど」
いや、寧ろハラハラと言うかゾクゾクと言うか・・・
僕はボソリと呟くと、視線を机の上に一点集中させる事にした。
案の定と言うかやっぱりと言うか・・・僕が引いた番号は、
見事に教壇のまん前を指し示していた。
でも、クジなんだから、誰にも文句は言えない。
強いて言うならば、自分のクジ運の悪さに文句を言いたい。
だけど自分で自分に追い討ちをかけたくはない。
なので何も言えないのだけれど、言いたくなるのが人間と言う物だ。
特に今の状況は。
だって・・・
「・・・移動してないじゃん、僕」
そう、席替えだと言うのに、僕の席は同じなのだ。
「先生・・・僕なんか虚しいです」
思わず教壇に肘を着き、移動している他のみんなを見ていた銀八先生に
ぼやけば、そっか~?と心の全く篭っていない言葉が返ってきた。
「いいじゃん、別に。お前目、悪いし。」
「なら、目が悪いので後ろの席にして下さい」
「おいおい、目が悪いなら前だろ?」
「老眼なんです。」
そう言ってみるが、通るはずもなく・・・
「ま、自分のクジ運の悪さを大いに嘆け。
俺は自分の運の強さを褒める」
なんてしめられてしまった。
「いや、先生関係ないでしょ」
なんだ、運の強さって。むっつりしていると、カタリと隣の席に
誰かが移ってきたのに気付いた。
場所はもう仕方がない。後はご近所さんの面子だ。
せめて仲が良い人が来てくれたらいいな~。
・・・なんて思いつつそちらを見れば・・・
「おぅ、新八ィ。お隣同士、よろしく頼むぜィ。
宿題とかノートとかホームワークとか」
「言い方変えただけでワンポイントじゃねぇか」
いっそ清々しい程男前な事を言ってくる沖田さんが居た。
・・・いや、仲良いけどね。仲良い人だけどね?
でも隣の席は遠慮したいと、つい思ってしまうのは
仕方ないことだと思う。
「いいじゃねぇかィ。俺と新八の仲だろ?」
「おいおい、聞き捨てならねぇなぁ。
一体どんな仲だってぇの」
ちなみに俺と新八は教師と生徒と言う禁断の仲だ。
ニヤリと笑って少し机を寄せてくる沖田さんに、先生が入ってくる。
・・・それ、禁断でもなんでもないですよね、先生。
普通に考えてそうですよね。
寧ろここに居る生徒全員とその関係ですよね、先生。
って言うかなんでそんな食いついてるの、沖田さん。
言っとくけど沖田さんもそうだから。
教師と生徒の仲だからね、本当。
っつうか生徒同士ってのもそのまんまだから。
魅惑でも何でもないから。
ここに居る全員がそうだから。
妙な方向で盛り上がり始めた二人に、僕は大きく溜息を吐いていると
反対側に誰かがやって来たのに気付いた。
・・・こうなると、せめてこちら側は本当に仲が良い人がいい。
と言うか、もう普通の人でもいい。
あんまり話した事のない人でも、誰でもいい。
無害であるなら。
そんな事を願いながら、ちらりと視線を向ければ。
「やぁ」
長い髪を後ろで一つのお下げにし、
笑っているけど、とりあえず謝りたくなるような顔をした
人がいました。
・・・・誰?
「いや~、最前列だからちょっとイヤかな~なんて思ってたんだよね。
ほら、何か背後に人が居ると殺したくなっちゃうでしょ?
我慢って嫌いなんだよね~、俺」
「いえ、僕は別に・・・」
ってか何処のゴルゴ!?
ちょ、怖いんですけど。
後ろ所か、隣に居るだけでも
殺られそうなんですけどぉぉ!!
こんな人、同じクラスに居たっけ?と、必死に記憶の棚を
漁っていると、その人は少し驚いた声を上げた。
「へ~、凄いね、君。
我慢せずに殺しちゃうんだ」
「え、何その納得。
違いますよ?そっちに対しての『別に』じゃないですよ!?」
普通に判りますよね、それぇぇ!!?
ってか本当、誰だ、この危険人物ぅぅ!!!
でも、面と向かって誰だなんて言える筈もなく。
だってさ、やっぱ失礼だよね、クラスメートにそんな事聞くの。
まぁその前に、聞くのも恐ろしいってのもあるんだけど。
ダラダラと汗を流していると、反対側から軽い口笛が
聞こえてきた。
「何でィ、楽しそうな話してんじゃねぇか。
ちなみに俺は後ろと言わず周囲漏れなく
殺したくなりまさァ。特に土方」
「すみません、全く楽しい話じゃないんですけど。
寧ろ恐ろしくて泣きたくなって来るんですけど。
あ、それともアレですか。ちょっとしたジョークみたいな・・・」
「あ~、だよね~。
ウロチョロ・・・ってかモゾッとされただけで
どうしようもないよね~」
「無視かよっ!?
ってかどうしようもないって何!?
動くなってかっ!一mmたりとも動くなってかっ!!」
僕を挟んで交わされる会話に、かなり泣きたくなって来る。
なんかもう、ここが教室だとか信じられない感じだ。
とりあえず、冗談だとは思うけど、絶対とは言い切れないので
じっとしておく。
ってか沖田さんは知ってるんだ、この人。
ヤバイな~、僕全然思い出せないよ。
・・・まぁ会話の内容はどうあれ、楽しそうに話してるから
そっとしておこう。
そう思い、僕は視線を下に落としたのだけれど・・・
「あれ?なんか急に大人しくなっちゃったね。
何?電池切れ?だったら壊しちゃうぞ?」
「故障じゃねぇかィ?
仕方ねぇ、叩いて直してやるからちょっと
四つん這いになりなせェ」
「おぉぉぉいっ!!
ちょ、人をなんだと思ってんですかぁぁ!!」
両サイドから、やっぱり恐ろしい事を言われた。
何コレ、本当何コレ。
どれ選んでも、死亡フラグしか
見当たらないんですけどぉぉ!!
助けてください、先生。と、微かな希望を胸に教壇を見れば、
「寧ろ壊してから、
叩いて直した方がいいんじゃね?」
なんて馬鹿にも程がある発言をしていた。
本っっ当、期待裏切らないのなっ!
「で、アンタ誰でさァ」
「ここの生徒じゃねぇよな」
「うん。いやぁ学校行くのに途中で飽きちゃって、
近くだったからここに来たんだよね」
「おぉぉぉいっ!!!!!
知らなかったのかよっ!
っつうか判ってたなら注意しろよっ!
で、アンタは変な妥協をすんなぁぁ!!!!」
「「「あ、直った・・・・・チッ!」」」
「なんで舌打ちぃぃ!?」
********
八万打企画・第三弾。安岐様からのリクで、
「学パロ(3Z)沖新に神威が絡むお話」と言う事でしたが、
如何だったでしょうか?
折角ご指名頂いたのに、一回も兄ちゃんの名前が出てこないと
言うとんでもない事態にι
本当、すみませんι
こんな感じになりましたが、少しでも楽しんで頂けたら
嬉しい限りですv
企画参加、本当に有難うございましたvv
拍手パチパチ、有難うございますvv
以下、拍手お返事
ウノーサノー様
拍手&ご感想、有難うございますvvv
イメージ通りと言って頂けて安心しました~v
ですよね、きっと奴の中では、新八>>>>>世界な感じですよ。
もう新八だけ居ればいいっ!みたいな。
ご想像の通り、家に帰った後は、拗ねて甘えて片時も
離れようとしませんねv
それこそご飯の支度をしている時も、背中に張り付いて
オンブお化けと化していると思われます(笑)
新八の忍耐力、半端ないですねっ!(そこ!?)
ではでは、企画参加本当に有難うございましたv
狸御殿様
拍手&ご感想、有難うございますvv
理想の病みでしたかっ!嬉しいです~vvv
やっぱり、新八の笑顔を前にしたら、そうそう病んでいられませんよ(笑)
ヘタレ病み、気に入って頂けて嬉しいですv
そして、お笑い担当攘夷組(笑)
もう幾多の戦場を駆け抜けたお陰で、新八のツボも軽々キャッチですよv
・・・まぁ一部を除いて・・・ですが(笑)
でも、そんな的確なツボ押しも、当人の天然さと、鬼人如き番人のお陰で
台無しなんですけどねv
ってかその後の会話がvvv
やっぱり、彼等は懲りずに坂田の留守を狙って通い続けるんですね。
諦めの悪さも、かつての経験から学んでいる・・・と(笑)
何時も暖かいお言葉、有難うございますv
「・・・なんかさ、最近坂田家の食卓、豪華じゃね?」
ホカホカの昼飯を目の前に、銀時がポツリと呟いた。
「ん~、そう言えばそうですね~」
はい、どうぞ。と言いながら、新八が銀時へご飯を渡す。
それを ん。 と頷きながら、銀時が受け取る。
「ここのトコ、ずっとこんな感じネ」
神楽と言えば、既にご飯を胃の中へと納め終わり、
目の前のおかずへと手を伸ばしていた。
普段ならば取り合いになりそうな卵焼きも、本日はたっぷりと
テーブルの上に置かれている。
他にも野菜炒め(しかも少量と言えど肉入り)等があり、
坂田家の財布事情としてはちょっと驚きだ。
「やっぱアレか。ここのトコの銀さんの働きのお陰か」
満足げに頷きつつ、銀時は卵焼きを一つつまんだ。
ここの所、珍しくも仕事が入っていたのだ。
人数としては銀時一人と言うものだったが、一日限定等と
言うものではなく、二週間という少しだけ長期のもので。
お陰で銀時は朝早く出かける羽目になっていたのだが、
その分新八の手作り弁当という特典がついていて、
ぶつくさ文句を言いつつも、少しだけ働く楽しさというものを
感じていたりした。
まぁどうせなら一緒の方が断然いいのだが。
いやいや、でも仕事に行く前、『いってらっしゃい』と言う
見送りだとか、『お帰りなさい』と言う出迎えだとか。
しかもそれが全てにっこりとした笑顔の新八と言うのも
ちょっと捨てがたい。
欲を言えば、『お帰りなさい』の後に
「お風呂にします?それよりご飯?それとも僕・・・とか」
なんてはにかみながら言って欲しい所なのだが、
それを言ったら重い拳と冷ややかな笑顔と言う
とんでもない照れ隠しをされたので、自重する事にする。
・・・あぁ、でも次の日、いってらっしゃいのチュー
してくれたからいいや、うん。
よし、今度からはもう少し仕事、頑張っとこう。
あ、でも今は新八補給の方が大事か。
なんせここの所、朝と夕方しか家に居られなかったから、
新八が足りない、絶対的に。
とりあえず今日は滅茶苦茶ベッタベタしよう。なんて考えていると、
神楽が 違うネ。 と言ってきた。
それに 何がよ。 と視線を返せば、神楽は行儀悪く
箸を横に振った。
「確かに銀ちゃんの働きもあるけど、ここにある大半は
ヅラ達のお陰ネ」
「・・・は?」
何故ここでヅラ達の名が出るのか・・・
ってか達ってなんだ、達って。
訳が判らず眉を潜めていると、新八が あぁ。 と小さく苦笑した。
「よく、桂さん達が食べ物とか持ってきてくれるんですよ」
貰い物とかそう言うの。そう言って新八は卵焼きを一つつまみ、
これも昨日、安く手に入ったからって・・・と笑って
パクリと口の中に入れた。
いや・・・
いやいやいや・・・え?
ちょ、何それ。なんで知らないうちにヅラ達が来てんの?
っつうか達って何だよ、だから。
そう言うと新八は微かに首を傾げ、さも当然の事のように
高杉と坂本の名を告げた。
「まぁ最初高杉さんから荷物が届いた時は驚きましたけどね。
なんか職業柄?色んな人に色んなモノ貰うらしくて、
お裾分けだそうです。」
「驚くも何も・・・え?なんで普通に届いてんの、ソレ。
しかもなんで普通に開けてんのぉぉぉ!!?
ヤバイよね!あいつの職業柄で色んな人から貰ってるものって
明らかにヤバイモンの方が多いよね!?」
思わず箸と茶碗をテーブルに叩きつけて怒鳴れば、
隣から神楽の冷静な声が掛かった。
「普通にハムのセットとかゼリーの詰め合わせだったネ」
・・・おいコラ高杉。
なんか色々と突っ込みてぇが、
とりあえず自分の職業思い出せ。
「で、坂本さんからは色んなトコの名産品ですかね?
お米とか送ってくれるから本当、助かっちゃって・・・」
なんてニコニコ話す新八だが、米ってお前・・・
いや、あるけどね?そう言うのも確かにあるけどね?
でも、名産品とかで送ってくるものでもなくね?
寧ろ実家から来るようなもんだろ、それ。
全く何考えてんだか・・・と銀時は深々と溜息を吐き、
お茶を手に取った。
「ってかよぉ、あいつ等から届くもんなて何が入ってっか
判んねぇんだから、勝手に開けんなよ」
ってか幾ら何でも俺宛のものを勝手に開けるな。
どうすんだよ、密かに頼んだ通販的なもんだったら。
俺の威厳も命もなくなるじゃん?
そう告げれば、新八と神楽はキョトンとして首を傾げた。
「え、でも僕宛だったし・・・」
「・・・は?」
「銀ちゃんじゃなくて新八宛だったヨ」
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・おぉぉおいっ!!
ちょ、何ソレ。なんで新八宛ぇぇ!!?
っつうか俺等が知り合いじゃなかったっけぇぇ!!?
なんで新八にぃぃ!?
ってか、そもそも何で新八宛のがここに届いてんだよ、
・・・最高じゃねぇか、おい。
何?もう完璧家族認定?
「あ、大丈夫ですよ?
ちゃんと毎回お礼の手紙とか電話、してますから」
黙り込んだ俺をなんと思ったのか、慌てて新八が
言葉を続けた。
・・・いや、しなくていいよ、そこ等辺は。
ってか坂本はまだしも、高杉にまでしてんのかよ。
お礼する前に、警察に連絡しとけ、そこは。
「それで、何かいっつも心配して頂いて・・・
不自由はしてないか、何か欲しいものはないか?とか・・・」
「え?何ソレ。
何処の援助交際?」
「何言ってんですか、アホですか、アンタ」
「じゃ言ってねぇの?欲しいもの」
「言わなくても先に送ってくれてますから」
「おい」
だから食料関係ばっかきてんのかっ!
っつうか何か怖っ!その過剰なまでの気配りっ!
と突っ込むが、新八は気にせずどんどん進んでいく。
「後、この間顔色悪かったけど大丈夫か・・・とか」
「いや、この間って何時。
なんで高杉達が知ってんの?
あいつ等今、ここに居ないよね?
遠いお空の何処かだよね?」
「あぁ、そう言えば不思議ですね」
俺の言葉に新八コテンと首を傾げるが、直ぐにポンと
手を叩いた。
「あ、でもこの間遊びに来てくれましたから、その時かもっ!」
「おぉぉぉいっ!!!」
ちょ、聞いてねぇぞ、そんなのっ!!と叫べば、新八は
「だって坂本さん達、銀さんに気を使わせるのは忍びないって・・・」
と至って普通に答えた。
・・・いや、明らかにそれ、
俺に『気付かせずに忍び込む』気だったろ・・・
現に今まで知らなかったしよぉ。
「なんかここでの料理気に入ってくれたみたいで、
今度朝食も食べてみたいって言ってくれて」
やっぱり何時も豪華な食事してると、質素なものが食べたくなるんですかね?
なんて笑っているが・・・本当、ちょっと待て。
え?何、あいつ等新八の手料理食べたの?
っつうかその言い方だと、昼も夕食も食べた後って感じなんですけど!?
「あいつ等はまだいいネ。
ヅラなんてほぼ毎日通ってるヨ」
「はぁ!?」
「まぁいいじゃない、神楽ちゃん。
食材持参なんだし」
「いやいや、そう言う問題でもなくね?
ってか何で俺がいないのに入り浸ってんだよっ!!」
新八も餌付けしてんじゃねぇぇ!!!と、叫べんだその瞬間、
玄関を叩く音が聞こえてきた。
続いて聞こえてきたのは、聞き慣れた声で・・・
当分仕事にはいかねぇ。
寧ろ家から出ねぇ。
そう心に近い、木刀片手に玄関へと急いだのは言うまでもない。
*********
八万打企画第二段・りさね様からのリクで、
「銀新前提で攘夷組(桂・高杉・辰馬)に総モテな新ちゃん」
と言う事でしたが・・・すみませんっ!攘夷組が一度も
出てきませんでしたぁぁぁ!!!(土下座)
でも虎視眈々と狙われてはいますので、はい(滝汗)
こんな感じになってしまいましたが、少しでも楽しんで頂けたら
嬉しいです。
企画参加、本当に有難うございましたv
その日、新八は何時ものように買い物へと出掛けていた。
最初、銀時が着いて行くと言っていたが、急にお登勢に呼ばれたので
新八一人で出てきたのだ。
「待ってろって言われたけどね・・・」
でも何時終わるのか判らない用だったし、何よりタイムサービスの品が
終わってしまう可能性がある。
人は限定という文字に弱いのだ。
そしてそれが終わってしまうと、弱るのだ、坂田家の食卓が。
と言う事で一応銀時に声を掛け、さっさと出てきてしまったのだ。
銀時は焦っていたが、お登勢には敵わないし、新八のタイムサービスに掛ける
思いは止められない。
でも、お陰で無事タイムサービスの品は手に入れる事が出来た。
新八はニコニコと満足げな顔で万事屋への道を歩いていた。
「あれ?新八君じゃねぇですかィ」
声を掛けられ振り向けば、そこには沖田と土方、それに山崎が揃って立っていた。
新八は三人に軽く頭を下げ、足を向ける。
「こんにちは、今日は三人で巡察ですか?」
「そうでィ、
全く働き者な俺を褒め称えて崇め奉ってくだせェ」
「っざけんなっ!テメーはサボってるのが見つかって
連れ戻されてるトコじゃねぇかぁぁ!!」
「本当ですよ。公園なんて見つかりやすいトコで昼寝してるなんて・・・
少しはコソコソしようって気にならないんですかっ!」
「そう言う事でもねぇよなぁ!?
っつうか山崎、テメーもそんな見つかりやすいトコでミントンしてやがったよなぁ。
呼んで来いってつったのに中々帰って来ねぇと思ったらよぉ!!」
沖田と山崎の頭をそれぞれ殴り、怒鳴りつける土方に、
新八は乾いた笑いをあげた。
「土方さん、大変ですね」
「・・・有難うよ」
でもまぁ・・・と。新八に労われた土方は胸ポケットから煙草を取り出し、
火をつけた。
「大変さで言うなら・・・お前も大概だろ」
そう言うと大きく吸い込んだ煙を吐き出した。
その言葉に、山崎は苦笑を浮かべ、沖田は小さく肩を竦めた。
だが、言われた本人の新八は意味が判らずきょとんとする。
「・・・まぁ大変と言えば大変ですけど・・・」
食費とか・・・そう言う新八に、山崎が苦笑したまま違う違う、と手を振る。
「まぁそれもそうだと思うけどね?そうじゃなくてほら・・・
旦那とか・・・」
ね?と微かに首を傾げられ、新八も思わず首を傾げる。
「そう言えば今日は一緒じゃねぇのかィ?」
そんな二人の間に入るように、沖田が声を掛けた。
「そういやぁ今日は見かけねぇなぁ」
沖田の言葉に、土方達も辺りを見回す。
それに新八は苦笑を浮かべる。
「着いて来るって言ったんですけど、出掛けに用が出来ちゃって」
「え?それで一人で来たの?」
大丈夫?と驚く山崎に、新八は苦笑を浮かべるしかない。
「流石に大丈夫ですよ。そんな子供じゃないんですから」
「いや、そう言う意味じゃなくて・・・」
山崎がそこまで告げた時、不意にピリッとした空気が背筋を走った。
咄嗟に土方達三人は振り返ると、そこにはゾクリとするような
目つきの銀時が立っていた。
「・・・何やってんだ、テメー等」
声の調子も言葉も、そして表情でさえ何時もの銀時だ。
ただ一つだけ違うのは、その目。
まるで憎悪の感情しか知らないとでも言うように、
ただ一色しか浮かんでいない。
土方は思わず手にかけた刀から、力を抜く事が出来なかった。
「あ、銀さん。もう用は終わったんですか?」
そんな空気を壊すかのように、新八が声を掛ける。
そしてそのまま銀時の元へと行こうとする新八に、思わず土方の手が
伸びた。
だが、土方の手が届く前に、銀時の手が新八を素早く引き寄せてしまう。
「おいおい新八君~。銀さん、ちょっと待ってろって言わなかった~?」
何一人で買い物終えちゃってんの?そう言いながら、銀時は
新八の肩を引き寄せ、土方達から隠すように体制を変えた。
その子供じみた態度に、土方達から舌打ちや溜息が零れる。
だが銀時はそんなのまるで気にしないとでも言うように、
ただ新八へと視線を向ける。
「しかも何でこいつ等と一緒に居んの?
銀さん言ったじゃん、駄目だって。
こいつ等見たらBダッシュって何時も言ってんじゃん」
「いや、Bダッシュ無理ですから。
世代でもないですから、僕」
「あ~はいはい。言い訳は後で聞きます~。」
さ、帰んぞ。そう言うと銀時は新八の肩を抱いたまま、
その場を後にしようとした。
「あ、ちょっと待って下さいよ。
ちゃんと挨拶しないと・・・」
そう言って新八は銀時の肩口からちらりと土方達に視線を向ける。
「あぁ?んなのいいんだよ。
今まで散々喋ってただろうが、それでもう十分。
終わり、終了、閉店で~す」
「いや、何がだよ」
そんな二人に、山崎は大きく肩を竦めると、またね。とばかりに
手を軽く振った。
新八はそれに苦笑し、軽く頭を下げてその場を後にしようとする。
その背中に、新八。と土方が声を掛けた。
瞬間、銀時の肩が揺れたが、気にせずにそのまま言葉を続ける。
「・・・大丈夫なのか?」
そんな土方の言葉に、新八は少しだけ困ったように眉を下げる。
「大丈夫ですって。子供じゃないんですし」
ね、銀さん。新八の言葉に、銀時は少しの間を置いて、
「・・・行くぞ」
と呟いた。
「あ~あ、行っちゃいましたね~」
遠くなっていく背中を見ながら、山崎がポツリと呟いた。
「しかし本当、心狭いですよね、旦那。
ちょっと話してただけだってのに・・・」
「それすらも気に食わねぇんだろ。
いっその事どっかに閉じ込めときゃ旦那も安心するだろうにねィ」
「・・・やめろ、総悟。
本当にやりそうだろうが」
短くなったタバコを捨て、土方が心底嫌そうな顔で答え、
山崎も同意するように何度も頷いた。
「そうですよ。さっきだって副長が新八君の名前呼んだだけで
凄かったですもん。
俺、死ぬかと思いましたよ~」
ブルリと体を震わす山崎に、沖田はニヤリと口元を緩めた。
「そん時ぁ俺等の出番でしょうが。
ま、例え無事に助け出せたとしても、旦那が生きてる限り
無駄に終わるだろうけどねィ」
新八も厄介なお人に捕まったもんだ。何処か楽しげに笑う沖田に、
土方は深々と溜息を吐くと、新しいタバコに火をつけた。
「そんな無駄な事は御免被るな」
「でも大丈夫ですかね?
あれで新八君、後から旦那に酷い事とかされませんかね?」
心配気に呟く山崎に、土方と沖田は瞬間、視線を交わす。
そして土方は深々と紫煙を吐き出し、沖田は軽く肩を竦めた。
そんな二人の顔を、山崎はキョトンとしたまま見回す。
「え?なんですか、その反応。
あれ?だって副長だって心配だったからさっき声掛けたんですよね?」
不思議そうな山崎に、土方は まぁな。と返す。
「でもまぁ・・・大丈夫だろ、あれ」
「ですねィ。新八君は大丈夫でしょうねィ」
納得いかないように首を傾げる山崎の前で、
二人が思い浮かべるのは、去り際の新八の顔で。
それは困ったように眉を下げながらも、
口元に苦笑を浮かべながらも、
相手を信頼し、安心しているもので。
あんな表情を浮かべるぐらいだ。
束縛はされても、それ以上の事はされていないのだろう。
と、言うよりも嫌われるのが怖くて出来ないのか・・・
「ま、山崎は気を付けときなせェ。
夜道とか人込みとか屯所内とか」
「え、なんで俺限定ぃぃ!!?
っつうか屯所内ってなんでだよっ!
明らかにそれ内部犯じゃないですかっ!」
「うるせぇぇ!!!何時までもくだらねぇ事言ってんじゃねぇよ。
さっさと仕事に戻るぞ」
既に見えなくなった後姿に背を向け、土方達もまた
街の中へと消えていったのであった。
*********
八万打企画、第一弾。ウノーサノー様からのリクで、
「新八狂愛な 坂田が病み気味に周囲を威圧。でも
新八は怖がらず、結果的に両思い」・・・と言う事でしたが、
如何だったでしょうか?あまり病み気味にならなかったようなι
こんな感じになりましたが、少しでも楽しんで頂けたら
嬉しいですv
企画参加、本当に有難うございましたv
沢山の企画参加、有難うございましたv
本日をもって、受付は終了させて頂きます。
以下、拍手&メルフォお返事
蒼さま
企画参加並びにお祝いのお言葉、有難うございますっ!
貴方の奴隷、太門ですvvv(コラ)
ですよね、やっぱりそれは黒い何かが発生しますよね。
って事でリクエスト、がっつり受け取らせて頂きますvv
えぇ、そりゃもう容赦なくやらせて貰いますよっ!(ちょ、待てι)
順次上げさせて頂きますので、もう暫しの間お待ちくださいませvv
kentan様
企画参加、並びにお祝いのお言葉有難うございますv
こちらの方こそ、嬉しいお言葉の数々に小躍りしそうになりましたv
こんな辺鄙な所まで足を運んで頂けて、嬉しい限りですvvv
リクエストもがっつりと受け取らせて頂きましたv
あれを気に入って頂けたようで本当に嬉しいですv
気合入れて書かせて頂きますので、もう暫しの間お待ちくださいませv
団子様
企画参加、並びにお祝いのお言葉有難うございますv
こちらこそ、そう言って頂けて幸せいっぱいですvv
病み銀も気に入って頂けてるようで嬉しい限りですv
多分その内調子に乗って増えるかもしれませんが、
その時は生暖かい目でもって見守って下さいませvv
リクエストもがっちり受け取らせて頂きましたvv
少しでも楽しんで頂けるよう、頑張って書きますので、
暫しの間お待ちくださいませv
Mag.様
こちらこそご無沙汰しております~ι
今回は企画参加、並びにお祝いのお言葉有難うございますvv
ってか言われるまで気付きませんでしたよ!確かに新八の八だ~vvv
もうこれは祭り上げるしかないってやつですね!(おいι)
リクエストもがっつり受け取らせて頂きました!
ご期待にそえるよう、盛大にうっかりしますね!(え?)
リクエストし過ぎなんてとんでもないっ!寧ろこれからも
ガンガンして構ってくださいませvv
では、暫しの間お待ちくださいませv
狸御殿様
こちらこそ、何時も拍手&ご感想、有難うございますvv
本当、日々の励みになりますよ~v
そして今回の近藤さん・・・遠慮なくどうぞ☆(え?)
と言うか気に入って頂けてるようで本当嬉しいですvv
そうなんですよ、密かにウチの中だと一番の男前なんですよvvv
でも毎回あんな扱いで・・・(涙)
いや、そこを平気で乗り越えられてる所がまた男前なんですけどね(笑)
趣味丸出しで書いてるウチの近藤さんですが、喜んで貰えている
ようなら、今後も調子に乗って書いていこうと思ってますので、
どうぞその時はよろしくお付き合い下さいませvv