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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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その日、新八は何時ものように買い物へと出掛けていた。
最初、銀時が着いて行くと言っていたが、急にお登勢に呼ばれたので
新八一人で出てきたのだ。

「待ってろって言われたけどね・・・」

でも何時終わるのか判らない用だったし、何よりタイムサービスの品が
終わってしまう可能性がある。

人は限定という文字に弱いのだ。
そしてそれが終わってしまうと、弱るのだ、坂田家の食卓が。

と言う事で一応銀時に声を掛け、さっさと出てきてしまったのだ。
銀時は焦っていたが、お登勢には敵わないし、新八のタイムサービスに掛ける
思いは止められない。

でも、お陰で無事タイムサービスの品は手に入れる事が出来た。

新八はニコニコと満足げな顔で万事屋への道を歩いていた。

「あれ?新八君じゃねぇですかィ」

声を掛けられ振り向けば、そこには沖田と土方、それに山崎が揃って立っていた。
新八は三人に軽く頭を下げ、足を向ける。

「こんにちは、今日は三人で巡察ですか?」

「そうでィ、
全く働き者な俺を褒め称えて崇め奉ってくだせェ」

「っざけんなっ!テメーはサボってるのが見つかって
連れ戻されてるトコじゃねぇかぁぁ!!」

「本当ですよ。公園なんて見つかりやすいトコで昼寝してるなんて・・・
少しはコソコソしようって気にならないんですかっ!」

「そう言う事でもねぇよなぁ!?
っつうか山崎、テメーもそんな見つかりやすいトコでミントンしてやがったよなぁ。
呼んで来いってつったのに中々帰って来ねぇと思ったらよぉ!!」

沖田と山崎の頭をそれぞれ殴り、怒鳴りつける土方に、
新八は乾いた笑いをあげた。

「土方さん、大変ですね」

「・・・有難うよ」

でもまぁ・・・と。新八に労われた土方は胸ポケットから煙草を取り出し、
火をつけた。

「大変さで言うなら・・・お前も大概だろ」

そう言うと大きく吸い込んだ煙を吐き出した。
その言葉に、山崎は苦笑を浮かべ、沖田は小さく肩を竦めた。
だが、言われた本人の新八は意味が判らずきょとんとする。

「・・・まぁ大変と言えば大変ですけど・・・」

食費とか・・・そう言う新八に、山崎が苦笑したまま違う違う、と手を振る。

「まぁそれもそうだと思うけどね?そうじゃなくてほら・・・
旦那とか・・・」

ね?と微かに首を傾げられ、新八も思わず首を傾げる。

「そう言えば今日は一緒じゃねぇのかィ?」

そんな二人の間に入るように、沖田が声を掛けた。

「そういやぁ今日は見かけねぇなぁ」

沖田の言葉に、土方達も辺りを見回す。
それに新八は苦笑を浮かべる。

「着いて来るって言ったんですけど、出掛けに用が出来ちゃって」

「え?それで一人で来たの?」

大丈夫?と驚く山崎に、新八は苦笑を浮かべるしかない。

「流石に大丈夫ですよ。そんな子供じゃないんですから」

「いや、そう言う意味じゃなくて・・・」

山崎がそこまで告げた時、不意にピリッとした空気が背筋を走った。
咄嗟に土方達三人は振り返ると、そこにはゾクリとするような
目つきの銀時が立っていた。


「・・・何やってんだ、テメー等」


声の調子も言葉も、そして表情でさえ何時もの銀時だ。
ただ一つだけ違うのは、その目。

まるで憎悪の感情しか知らないとでも言うように、
ただ一色しか浮かんでいない。

土方は思わず手にかけた刀から、力を抜く事が出来なかった。

「あ、銀さん。もう用は終わったんですか?」

そんな空気を壊すかのように、新八が声を掛ける。

そしてそのまま銀時の元へと行こうとする新八に、思わず土方の手が
伸びた。
だが、土方の手が届く前に、銀時の手が新八を素早く引き寄せてしまう。

「おいおい新八君~。銀さん、ちょっと待ってろって言わなかった~?」

何一人で買い物終えちゃってんの?そう言いながら、銀時は
新八の肩を引き寄せ、土方達から隠すように体制を変えた。

その子供じみた態度に、土方達から舌打ちや溜息が零れる。
だが銀時はそんなのまるで気にしないとでも言うように、
ただ新八へと視線を向ける。

「しかも何でこいつ等と一緒に居んの?
銀さん言ったじゃん、駄目だって。
こいつ等見たらBダッシュって何時も言ってんじゃん」

「いや、Bダッシュ無理ですから。
世代でもないですから、僕」

「あ~はいはい。言い訳は後で聞きます~。」

さ、帰んぞ。そう言うと銀時は新八の肩を抱いたまま、
その場を後にしようとした。

「あ、ちょっと待って下さいよ。
ちゃんと挨拶しないと・・・」

そう言って新八は銀時の肩口からちらりと土方達に視線を向ける。

「あぁ?んなのいいんだよ。
今まで散々喋ってただろうが、それでもう十分。
終わり、終了、閉店で~す」

「いや、何がだよ」

そんな二人に、山崎は大きく肩を竦めると、またね。とばかりに
手を軽く振った。

新八はそれに苦笑し、軽く頭を下げてその場を後にしようとする。
その背中に、新八。と土方が声を掛けた。
瞬間、銀時の肩が揺れたが、気にせずにそのまま言葉を続ける。

「・・・大丈夫なのか?」

そんな土方の言葉に、新八は少しだけ困ったように眉を下げる。

「大丈夫ですって。子供じゃないんですし」

ね、銀さん。新八の言葉に、銀時は少しの間を置いて、

「・・・行くぞ」

と呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~あ、行っちゃいましたね~」

遠くなっていく背中を見ながら、山崎がポツリと呟いた。

「しかし本当、心狭いですよね、旦那。
ちょっと話してただけだってのに・・・」

「それすらも気に食わねぇんだろ。
いっその事どっかに閉じ込めときゃ旦那も安心するだろうにねィ」

「・・・やめろ、総悟。
本当にやりそうだろうが」

短くなったタバコを捨て、土方が心底嫌そうな顔で答え、
山崎も同意するように何度も頷いた。

「そうですよ。さっきだって副長が新八君の名前呼んだだけで
凄かったですもん。
俺、死ぬかと思いましたよ~」

ブルリと体を震わす山崎に、沖田はニヤリと口元を緩めた。

「そん時ぁ俺等の出番でしょうが。
ま、例え無事に助け出せたとしても、旦那が生きてる限り
無駄に終わるだろうけどねィ」

新八も厄介なお人に捕まったもんだ。何処か楽しげに笑う沖田に、
土方は深々と溜息を吐くと、新しいタバコに火をつけた。

「そんな無駄な事は御免被るな」

「でも大丈夫ですかね?
あれで新八君、後から旦那に酷い事とかされませんかね?」

心配気に呟く山崎に、土方と沖田は瞬間、視線を交わす。
そして土方は深々と紫煙を吐き出し、沖田は軽く肩を竦めた。
そんな二人の顔を、山崎はキョトンとしたまま見回す。

「え?なんですか、その反応。
あれ?だって副長だって心配だったからさっき声掛けたんですよね?」

不思議そうな山崎に、土方は まぁな。と返す。

「でもまぁ・・・大丈夫だろ、あれ」

「ですねィ。新八君は大丈夫でしょうねィ」

納得いかないように首を傾げる山崎の前で、
二人が思い浮かべるのは、去り際の新八の顔で。


それは困ったように眉を下げながらも、

口元に苦笑を浮かべながらも、

 




相手を信頼し、安心しているもので。

 




あんな表情を浮かべるぐらいだ。
束縛はされても、それ以上の事はされていないのだろう。

と、言うよりも嫌われるのが怖くて出来ないのか・・・

「ま、山崎は気を付けときなせェ。
夜道とか人込みとか屯所内とか」

「え、なんで俺限定ぃぃ!!?
っつうか屯所内ってなんでだよっ!
明らかにそれ内部犯じゃないですかっ!」

「うるせぇぇ!!!何時までもくだらねぇ事言ってんじゃねぇよ。
さっさと仕事に戻るぞ」


既に見えなくなった後姿に背を向け、土方達もまた
街の中へと消えていったのであった。


*********
八万打企画、第一弾。ウノーサノー様からのリクで、
「新八狂愛な 坂田が病み気味に周囲を威圧。でも
新八は怖がらず、結果的に両思い」・・・と言う事でしたが、
如何だったでしょうか?あまり病み気味にならなかったようなι

こんな感じになりましたが、少しでも楽しんで頂けたら
嬉しいですv

企画参加、本当に有難うございましたv

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