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「・・・なんかさ、最近坂田家の食卓、豪華じゃね?」
ホカホカの昼飯を目の前に、銀時がポツリと呟いた。
「ん~、そう言えばそうですね~」
はい、どうぞ。と言いながら、新八が銀時へご飯を渡す。
それを ん。 と頷きながら、銀時が受け取る。
「ここのトコ、ずっとこんな感じネ」
神楽と言えば、既にご飯を胃の中へと納め終わり、
目の前のおかずへと手を伸ばしていた。
普段ならば取り合いになりそうな卵焼きも、本日はたっぷりと
テーブルの上に置かれている。
他にも野菜炒め(しかも少量と言えど肉入り)等があり、
坂田家の財布事情としてはちょっと驚きだ。
「やっぱアレか。ここのトコの銀さんの働きのお陰か」
満足げに頷きつつ、銀時は卵焼きを一つつまんだ。
ここの所、珍しくも仕事が入っていたのだ。
人数としては銀時一人と言うものだったが、一日限定等と
言うものではなく、二週間という少しだけ長期のもので。
お陰で銀時は朝早く出かける羽目になっていたのだが、
その分新八の手作り弁当という特典がついていて、
ぶつくさ文句を言いつつも、少しだけ働く楽しさというものを
感じていたりした。
まぁどうせなら一緒の方が断然いいのだが。
いやいや、でも仕事に行く前、『いってらっしゃい』と言う
見送りだとか、『お帰りなさい』と言う出迎えだとか。
しかもそれが全てにっこりとした笑顔の新八と言うのも
ちょっと捨てがたい。
欲を言えば、『お帰りなさい』の後に
「お風呂にします?それよりご飯?それとも僕・・・とか」
なんてはにかみながら言って欲しい所なのだが、
それを言ったら重い拳と冷ややかな笑顔と言う
とんでもない照れ隠しをされたので、自重する事にする。
・・・あぁ、でも次の日、いってらっしゃいのチュー
してくれたからいいや、うん。
よし、今度からはもう少し仕事、頑張っとこう。
あ、でも今は新八補給の方が大事か。
なんせここの所、朝と夕方しか家に居られなかったから、
新八が足りない、絶対的に。
とりあえず今日は滅茶苦茶ベッタベタしよう。なんて考えていると、
神楽が 違うネ。 と言ってきた。
それに 何がよ。 と視線を返せば、神楽は行儀悪く
箸を横に振った。
「確かに銀ちゃんの働きもあるけど、ここにある大半は
ヅラ達のお陰ネ」
「・・・は?」
何故ここでヅラ達の名が出るのか・・・
ってか達ってなんだ、達って。
訳が判らず眉を潜めていると、新八が あぁ。 と小さく苦笑した。
「よく、桂さん達が食べ物とか持ってきてくれるんですよ」
貰い物とかそう言うの。そう言って新八は卵焼きを一つつまみ、
これも昨日、安く手に入ったからって・・・と笑って
パクリと口の中に入れた。
いや・・・
いやいやいや・・・え?
ちょ、何それ。なんで知らないうちにヅラ達が来てんの?
っつうか達って何だよ、だから。
そう言うと新八は微かに首を傾げ、さも当然の事のように
高杉と坂本の名を告げた。
「まぁ最初高杉さんから荷物が届いた時は驚きましたけどね。
なんか職業柄?色んな人に色んなモノ貰うらしくて、
お裾分けだそうです。」
「驚くも何も・・・え?なんで普通に届いてんの、ソレ。
しかもなんで普通に開けてんのぉぉぉ!!?
ヤバイよね!あいつの職業柄で色んな人から貰ってるものって
明らかにヤバイモンの方が多いよね!?」
思わず箸と茶碗をテーブルに叩きつけて怒鳴れば、
隣から神楽の冷静な声が掛かった。
「普通にハムのセットとかゼリーの詰め合わせだったネ」
・・・おいコラ高杉。
なんか色々と突っ込みてぇが、
とりあえず自分の職業思い出せ。
「で、坂本さんからは色んなトコの名産品ですかね?
お米とか送ってくれるから本当、助かっちゃって・・・」
なんてニコニコ話す新八だが、米ってお前・・・
いや、あるけどね?そう言うのも確かにあるけどね?
でも、名産品とかで送ってくるものでもなくね?
寧ろ実家から来るようなもんだろ、それ。
全く何考えてんだか・・・と銀時は深々と溜息を吐き、
お茶を手に取った。
「ってかよぉ、あいつ等から届くもんなて何が入ってっか
判んねぇんだから、勝手に開けんなよ」
ってか幾ら何でも俺宛のものを勝手に開けるな。
どうすんだよ、密かに頼んだ通販的なもんだったら。
俺の威厳も命もなくなるじゃん?
そう告げれば、新八と神楽はキョトンとして首を傾げた。
「え、でも僕宛だったし・・・」
「・・・は?」
「銀ちゃんじゃなくて新八宛だったヨ」
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・おぉぉおいっ!!
ちょ、何ソレ。なんで新八宛ぇぇ!!?
っつうか俺等が知り合いじゃなかったっけぇぇ!!?
なんで新八にぃぃ!?
ってか、そもそも何で新八宛のがここに届いてんだよ、
・・・最高じゃねぇか、おい。
何?もう完璧家族認定?
「あ、大丈夫ですよ?
ちゃんと毎回お礼の手紙とか電話、してますから」
黙り込んだ俺をなんと思ったのか、慌てて新八が
言葉を続けた。
・・・いや、しなくていいよ、そこ等辺は。
ってか坂本はまだしも、高杉にまでしてんのかよ。
お礼する前に、警察に連絡しとけ、そこは。
「それで、何かいっつも心配して頂いて・・・
不自由はしてないか、何か欲しいものはないか?とか・・・」
「え?何ソレ。
何処の援助交際?」
「何言ってんですか、アホですか、アンタ」
「じゃ言ってねぇの?欲しいもの」
「言わなくても先に送ってくれてますから」
「おい」
だから食料関係ばっかきてんのかっ!
っつうか何か怖っ!その過剰なまでの気配りっ!
と突っ込むが、新八は気にせずどんどん進んでいく。
「後、この間顔色悪かったけど大丈夫か・・・とか」
「いや、この間って何時。
なんで高杉達が知ってんの?
あいつ等今、ここに居ないよね?
遠いお空の何処かだよね?」
「あぁ、そう言えば不思議ですね」
俺の言葉に新八コテンと首を傾げるが、直ぐにポンと
手を叩いた。
「あ、でもこの間遊びに来てくれましたから、その時かもっ!」
「おぉぉぉいっ!!!」
ちょ、聞いてねぇぞ、そんなのっ!!と叫べば、新八は
「だって坂本さん達、銀さんに気を使わせるのは忍びないって・・・」
と至って普通に答えた。
・・・いや、明らかにそれ、
俺に『気付かせずに忍び込む』気だったろ・・・
現に今まで知らなかったしよぉ。
「なんかここでの料理気に入ってくれたみたいで、
今度朝食も食べてみたいって言ってくれて」
やっぱり何時も豪華な食事してると、質素なものが食べたくなるんですかね?
なんて笑っているが・・・本当、ちょっと待て。
え?何、あいつ等新八の手料理食べたの?
っつうかその言い方だと、昼も夕食も食べた後って感じなんですけど!?
「あいつ等はまだいいネ。
ヅラなんてほぼ毎日通ってるヨ」
「はぁ!?」
「まぁいいじゃない、神楽ちゃん。
食材持参なんだし」
「いやいや、そう言う問題でもなくね?
ってか何で俺がいないのに入り浸ってんだよっ!!」
新八も餌付けしてんじゃねぇぇ!!!と、叫べんだその瞬間、
玄関を叩く音が聞こえてきた。
続いて聞こえてきたのは、聞き慣れた声で・・・
当分仕事にはいかねぇ。
寧ろ家から出ねぇ。
そう心に近い、木刀片手に玄関へと急いだのは言うまでもない。
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八万打企画第二段・りさね様からのリクで、
「銀新前提で攘夷組(桂・高杉・辰馬)に総モテな新ちゃん」
と言う事でしたが・・・すみませんっ!攘夷組が一度も
出てきませんでしたぁぁぁ!!!(土下座)
でも虎視眈々と狙われてはいますので、はい(滝汗)
こんな感じになってしまいましたが、少しでも楽しんで頂けたら
嬉しいです。
企画参加、本当に有難うございましたv