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席替えと言うのは何故かドキドキするもので。
仲の良い人と近くになれたらいいな。とか、
出来れば後ろの席がいいな。とか。
もっと言えば、好きな子の隣に行けたらラッキーだな。みたいな。
・・・まぁいないんだけどね、僕の場合そんな子は。
しかも目が悪いから、必然的に前の席になっちゃうし。
でも仲の良い友達と近くになれるかどうか・・・と言う
ドキドキは残っているし、前の席だとしても、
それが真ん中かどうかでまた変わってくる。
って事で、ドキドキしながらクジを引いたのだけれど・・・
「・・・なんかまだドキドキしてんですけど」
いや、寧ろハラハラと言うかゾクゾクと言うか・・・
僕はボソリと呟くと、視線を机の上に一点集中させる事にした。
案の定と言うかやっぱりと言うか・・・僕が引いた番号は、
見事に教壇のまん前を指し示していた。
でも、クジなんだから、誰にも文句は言えない。
強いて言うならば、自分のクジ運の悪さに文句を言いたい。
だけど自分で自分に追い討ちをかけたくはない。
なので何も言えないのだけれど、言いたくなるのが人間と言う物だ。
特に今の状況は。
だって・・・
「・・・移動してないじゃん、僕」
そう、席替えだと言うのに、僕の席は同じなのだ。
「先生・・・僕なんか虚しいです」
思わず教壇に肘を着き、移動している他のみんなを見ていた銀八先生に
ぼやけば、そっか~?と心の全く篭っていない言葉が返ってきた。
「いいじゃん、別に。お前目、悪いし。」
「なら、目が悪いので後ろの席にして下さい」
「おいおい、目が悪いなら前だろ?」
「老眼なんです。」
そう言ってみるが、通るはずもなく・・・
「ま、自分のクジ運の悪さを大いに嘆け。
俺は自分の運の強さを褒める」
なんてしめられてしまった。
「いや、先生関係ないでしょ」
なんだ、運の強さって。むっつりしていると、カタリと隣の席に
誰かが移ってきたのに気付いた。
場所はもう仕方がない。後はご近所さんの面子だ。
せめて仲が良い人が来てくれたらいいな~。
・・・なんて思いつつそちらを見れば・・・
「おぅ、新八ィ。お隣同士、よろしく頼むぜィ。
宿題とかノートとかホームワークとか」
「言い方変えただけでワンポイントじゃねぇか」
いっそ清々しい程男前な事を言ってくる沖田さんが居た。
・・・いや、仲良いけどね。仲良い人だけどね?
でも隣の席は遠慮したいと、つい思ってしまうのは
仕方ないことだと思う。
「いいじゃねぇかィ。俺と新八の仲だろ?」
「おいおい、聞き捨てならねぇなぁ。
一体どんな仲だってぇの」
ちなみに俺と新八は教師と生徒と言う禁断の仲だ。
ニヤリと笑って少し机を寄せてくる沖田さんに、先生が入ってくる。
・・・それ、禁断でもなんでもないですよね、先生。
普通に考えてそうですよね。
寧ろここに居る生徒全員とその関係ですよね、先生。
って言うかなんでそんな食いついてるの、沖田さん。
言っとくけど沖田さんもそうだから。
教師と生徒の仲だからね、本当。
っつうか生徒同士ってのもそのまんまだから。
魅惑でも何でもないから。
ここに居る全員がそうだから。
妙な方向で盛り上がり始めた二人に、僕は大きく溜息を吐いていると
反対側に誰かがやって来たのに気付いた。
・・・こうなると、せめてこちら側は本当に仲が良い人がいい。
と言うか、もう普通の人でもいい。
あんまり話した事のない人でも、誰でもいい。
無害であるなら。
そんな事を願いながら、ちらりと視線を向ければ。
「やぁ」
長い髪を後ろで一つのお下げにし、
笑っているけど、とりあえず謝りたくなるような顔をした
人がいました。
・・・・誰?
「いや~、最前列だからちょっとイヤかな~なんて思ってたんだよね。
ほら、何か背後に人が居ると殺したくなっちゃうでしょ?
我慢って嫌いなんだよね~、俺」
「いえ、僕は別に・・・」
ってか何処のゴルゴ!?
ちょ、怖いんですけど。
後ろ所か、隣に居るだけでも
殺られそうなんですけどぉぉ!!
こんな人、同じクラスに居たっけ?と、必死に記憶の棚を
漁っていると、その人は少し驚いた声を上げた。
「へ~、凄いね、君。
我慢せずに殺しちゃうんだ」
「え、何その納得。
違いますよ?そっちに対しての『別に』じゃないですよ!?」
普通に判りますよね、それぇぇ!!?
ってか本当、誰だ、この危険人物ぅぅ!!!
でも、面と向かって誰だなんて言える筈もなく。
だってさ、やっぱ失礼だよね、クラスメートにそんな事聞くの。
まぁその前に、聞くのも恐ろしいってのもあるんだけど。
ダラダラと汗を流していると、反対側から軽い口笛が
聞こえてきた。
「何でィ、楽しそうな話してんじゃねぇか。
ちなみに俺は後ろと言わず周囲漏れなく
殺したくなりまさァ。特に土方」
「すみません、全く楽しい話じゃないんですけど。
寧ろ恐ろしくて泣きたくなって来るんですけど。
あ、それともアレですか。ちょっとしたジョークみたいな・・・」
「あ~、だよね~。
ウロチョロ・・・ってかモゾッとされただけで
どうしようもないよね~」
「無視かよっ!?
ってかどうしようもないって何!?
動くなってかっ!一mmたりとも動くなってかっ!!」
僕を挟んで交わされる会話に、かなり泣きたくなって来る。
なんかもう、ここが教室だとか信じられない感じだ。
とりあえず、冗談だとは思うけど、絶対とは言い切れないので
じっとしておく。
ってか沖田さんは知ってるんだ、この人。
ヤバイな~、僕全然思い出せないよ。
・・・まぁ会話の内容はどうあれ、楽しそうに話してるから
そっとしておこう。
そう思い、僕は視線を下に落としたのだけれど・・・
「あれ?なんか急に大人しくなっちゃったね。
何?電池切れ?だったら壊しちゃうぞ?」
「故障じゃねぇかィ?
仕方ねぇ、叩いて直してやるからちょっと
四つん這いになりなせェ」
「おぉぉぉいっ!!
ちょ、人をなんだと思ってんですかぁぁ!!」
両サイドから、やっぱり恐ろしい事を言われた。
何コレ、本当何コレ。
どれ選んでも、死亡フラグしか
見当たらないんですけどぉぉ!!
助けてください、先生。と、微かな希望を胸に教壇を見れば、
「寧ろ壊してから、
叩いて直した方がいいんじゃね?」
なんて馬鹿にも程がある発言をしていた。
本っっ当、期待裏切らないのなっ!
「で、アンタ誰でさァ」
「ここの生徒じゃねぇよな」
「うん。いやぁ学校行くのに途中で飽きちゃって、
近くだったからここに来たんだよね」
「おぉぉぉいっ!!!!!
知らなかったのかよっ!
っつうか判ってたなら注意しろよっ!
で、アンタは変な妥協をすんなぁぁ!!!!」
「「「あ、直った・・・・・チッ!」」」
「なんで舌打ちぃぃ!?」
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八万打企画・第三弾。安岐様からのリクで、
「学パロ(3Z)沖新に神威が絡むお話」と言う事でしたが、
如何だったでしょうか?
折角ご指名頂いたのに、一回も兄ちゃんの名前が出てこないと
言うとんでもない事態にι
本当、すみませんι
こんな感じになりましたが、少しでも楽しんで頂けたら
嬉しい限りですv
企画参加、本当に有難うございましたvv