[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
そう言えば・・・と、カウンターの向こうに居たババァが
マジマジとこちらを見詰めてきた。
あんだよ、ババァ。
言っとくが金ならねぇぞ。
あったらこんな所で呑んでねぇ。
そんな思いを込めて見返せば、とんでもない台詞が
飛び出してきやがった。
・・・あれ?俺、飲みすぎ?
なんか変な言葉が聞こえてきたんですけど!?
「おい、聞いてんのかい?
アンタ、いつ新八に掘らせてやるつもり・・・」
「ぅぉぉおおおおいぃっ!!
ちょ、何とんでもない事口走ってんだ、このババァ!!」
とりあえず聞かなかった事にしようと流せば、
再度ババァの口からとんでもない台詞が飛び出してきやがった。
慌てて言葉を被せれば、むっと顔を顰められる。
いや、そんな顔したいのは俺の方だから。
っつうか何っちゅう事言いやがんだ、このババァ!
恐ろしいにも程があるっつうか
俺の新八を汚すな。
そう訴えれば、何を今更・・・と呆れた顔を返された。
「アンタに食われちまったって時点で
既に可哀想な事になってんだよ、新八は」
「だから汚すんじゃねぇよっ!
ってかさっきから人聞きの悪ぃ事ばっか言いやがって。」
「人聞き悪いってテメーがやってる事だろうがぁ!
事実なんだから潔く認めなっ!
で、偶には変わってやんな」
「事実も何も夢みたいな事抜かしてんじゃねぇぇ!!
ってか変わるって何をぉぉ!!?」
偶にも何も
全然ないんですけどぉぉ!!
・・・とまで口走りそうになって、慌てて口を閉じ、
そっと視線を逸らせた。
だが、流石はババァ、伊達に年を食っちゃいねぇ。
なんとなく察しがついたようで、アンタ・・・と言ったきり、
酷く生暖かい視線が向けられてきた。
「あそこまで熟年夫婦な気配を出しておいて、
まさか・・・ねぇ」
まぁアンタも一応良心ってもんがあったんだね。なんて
妙に優しい声で言いながら、ババァは少なくなった俺の
コップに酒を注いでくれた。
・・・同情か?同情なのか、コレは。
そんなもんいらねぇから幸せをくれよ。
っつうか良心なんてもんのせいでこの現状なら、
即効で投げ捨ててるね、俺は。
いらねぇよ、そんなもん。
邪魔なだけじゃねぇか。
あんのはヘタレな男心だけなんだよ、
コンチキショー。
あ、でも流石にこれは隠しておこう。
うん、良心からって事にしておこう。
そうだよ、俺、良心的な男だから?
新八がちゃんと成人するまで待ってるっつうか?
や、向こうから誘ってきたら、また話は別だけどね?
なんつぅの?やっぱ新八の気持ちを優先したいって言うか?
杓子定規にはまってるだけの男じゃないからね、俺は。
絶対成人するまではっ!・・・とかじゃ全然ないから。
そう言う空気にはマジ敏感だから。
僅かでも感じ取ったら、
絶対逃さないからぁぁ!!
・・・って事で新八から誘ってくんねぇかな~。
「ならその良心でもって、ちょっと新八に
掘らせてやんなよ」
ぼんやりと桃色未来を想像していると、再びババァから
爆弾が投下されてきた。
思わず呑んでいた酒が変な所に入り、むせてしまう。
すると 落ち着き無いねぇ。なんて嫌そうなババァの声が
聞こえてきた。
うっせぇよ!落ち着きなくなるような事言ったのは誰だよっ!
「っつうかそんな良心は本気でいらねぇ」
大体なんでそんな話になるんだ。と問い質せば、ババァは
それがねぇ・・・と言って、タバコに手を伸ばした。
「新八に『人類股間計画』の話したら、
せめて一度使うまで待っててくださいって言われてねぇ」
「・・・おい、待てババァ。
何なんだよ、その空恐ろしい計画はっ!
ってかなんちゅう会話してんだよ、新八とっ!!!」
なんでも以前俺が猫になっていた時に、そんな会話を
していたらしい。
本当、俺の新八を汚すな。
ってか俺の為にもその計画は是非無かった事にして下さい。
まだ使っていたいです。
・・・や、使ってないけどね、最近。
でも、希望は持っていたい・・・と
思いっきり睨み付けるが、ババァは何処吹く風。
深々と溜息を吐いた。
「でもアンタがそんなんだから、新八が使う機会なんて
ないだろう?」
「ったりめぇだ。
使うも何も、アレは俺のもんだ」
「まだ手も出してないヘタレが威張るんじゃないよ。
ったく、だからいっその事アンタに相手させようと
思ったんだけどねぇ・・・」
まさかまだとは・・・と、ババァはもう一度、呆れたように
深々と溜息を吐いた。
「あたしの計画は、何時になったら遂行出来るのかねぇ」
・・・いや、実際問題遂行されない方がいいだろ。
そんな人類絶望計画。
でも、まぁ・・・と、俺はコップに残っている酒を
グイッと口にした。
新八が一度使ったら、計画が遂行されると言うなら
ある意味好都合だ。
それを理由に絶対ぇ使わせねぇ。
ババァ、ナイスアシスト。
後はアレだよなぁ・・・と、空になったコップを
ババァへと差し出した。
・・・とりあえず新八の良心に訴えてみっか?
***********実はまだ未遂だった二人(笑)
「ありゃ珍しい。今日は休みかィ?」
「えぇ、そうですけど・・・」
そう言って新八は少し驚いたようにこちらを見詰めてくる沖田を、
不思議そうに見返した。
それもその筈、だって場所は志村家の縁側だ。
・・・と言うか正しくは新八は縁側、沖田はそれに面した
庭先にとひょいと顔を出してきたのだ。
もしかしたら留守だった・・・と言うかその可能性の方が
高かった家に、一体何の用が・・・
と思ったが、沖田の手にアイマスクが握られてるのを見て
口を閉ざした。
だってこれ、聞くだけ無駄だ。新八は素早く判断すると、
お茶を淹れて来ますね。と言ってその場を後にしたのだった。
「いやぁ、今日は絶対家に居ないと思ったんだけどねィ」
当てが外れたぜィ。と、縁側に座り、お茶を啜る沖田に、
だから何で留守の家に突撃訪問!?・・・と叫びたくなった
新八だったが、やっぱり流す事にした。
だってやっぱり言うだけ無駄だ、きっと。
「なんで居ないと思ったんですか?」
でも、絶対とまで断言されるのは気になる。と、新八は
沖田に問いかけた。
今までだって、そりゃ日曜に休み・・・と言うか休み自体が
そんなにないが、それでも時にはあって、家に居た事はある。
・・・と言うか、そもそも沖田に自分の休みを
教えた覚えが無い。
だから不思議に思ったのだが、沖田は何を言ってるんだとばかりに
呆れた表情でこちらを見返してきた。
「何言ってんでィ、今日はバレンタインだぜィ?
旦那が離さねぇだろ」
「僕とバレンタインデーと銀さんが
何故繋がるのか
そこからがまず判りませんが」
沖田の答えに、にっこりと笑って返す新八。
とりあえず既に何かがあったらしい。
新八の笑顔からそう読み取ると、沖田は まぁいいか。と
そのまま縁側へと体を横たえた。
「そう言えば沖田さんは大変なんじゃないんですか?」
「何がでィ」
「何ってチョコですよ、チョコ」
あ、だからか・・・と、新八は一人納得したように手を叩いた。
そしてこちらをちらりと横目で見ている沖田の横で、
うんうんと小さく頷く。
「追っかけられて大変だからここにサボリに来たんでしょ?
沖田さん、見た目だけはいいから。」
「よ~し、名誉毀損の現行犯だねィ。
未成年だし、ここは軽く切腹と切腹と切腹、
どれがいいか選ばしてやらぁ」
「すみません、間違えました。
見た目がいいですの間違いです」
「・・・あんま変わってる気がしやせんが。
ま、いっか面倒くせぇし。で?それが何でィ」
ごろりと新八の方へと体を向けて、沖田が続きを促す。
「否定はしないんですね、見た目の事。
ってかチョコですよ。色んな人から貰ったんじゃないですか?」
そう言われ、沖田は あ~。と思い出すかのように
視線を上げ、片肘をついた。
「そう言やぁ今年も送られてきてたねィ、邪魔くせェ」
「・・・今この瞬間、殆どの男性を敵に回しましたよ、沖田さん」
「殆どが敵にもなりゃしねぇからいいでさァ。
ま、基本ウチに送られてくるモノなんて殆どが物騒なモノ
だからねィ。
まず一箇所に集めて、検査して安全性を確かめてからそれぞれに
分けられるから・・・ま、半分ぐらいしか手元に来ねぇけどな」
「・・・それでも邪魔臭い程の量なんですね、
コンチキショー」
ピキリと頬を引き攣らせた新八だったが、沖田は
うんざりしたように緩く首を振った。
「当たり前でさァ。こっちとら旦那じゃねぇんだぜ?
あんな甘いもんばっかあったって、邪魔なだけでさァ」
その言葉に、やはり新八は頬を引き攣らせたが、直ぐに
ハタリと考えを思い直した。
考えてみれば、幾らバレンタインのチョコと言っても、
所詮チョコはチョコだ。
一個や二個程度なら普通に食べられるが、それ以上となると
確かに厳しいものがある。
・・・まぁ、どっかの糖尿銀髪は違うのだろうけど。
「それは・・・大変ですね」
「あぁ、だから大抵他の奴等に分け与えてやってんでさァ。
一味加えて」
「・・・え?」
もてる男も大変だ。としみじみと呟けば、沖田から貰ったチョコの
行く末を教えてもらったのだが、なんだか不穏な言葉も
伝えられてしまった。
「悔しいやら何やらでものっそく微妙な
顔してて愉快だけどねィ。
全く、たかがチョコ一つに何夢持ってんだか・・・
ま、他のもんは盛ってんだけどねィ?」
あ、新八も要りますかィ?そう言って沖田は横たわったまま体を
捻ると、ズボンのポケットから可愛くラッピングされた
箱を一つ、笑顔で新八へと差し出した。
・・・とりあえず、何加えたんですか・・・とか。
夢以外の何を盛ったんですか・・・とか。
先に調べた安全性の意味がねぇじゃん・・・とか。
ってか何で僕まで!!?・・・とか、色々と思った新八だったが、
「丁度甘いモノが欲しかったんで、有難く貰っときますね。
いや~、喜びますよ、銀さん。」
と、これまたにっこり笑顔でそれを受け取ったのだった。
その後、暫くの間異様に生気のない真選組隊士や、
銀髪天パの姿が街の彼方此方で見かけられたと言うのは
・・・まぁ言うまでもない。
***********
遅れましたがバレンタイン話。
今年はうっかりしませんでした(笑)
「僕、銀さんの手って好きなんですよね~」
オヤツはないけどオヤツな時間。
新八と二人でお茶を啜っていると、突然新八がそんな事を言い出した。
・・・あれ?なんでそんな話題?
確か今日の夕飯、何にするか話してなかった?
え、何?好きってそう言う意味で好きって事?
おかず的な意味で好きって事!!?
最近肉食ってないから、銀さんの手を差し出せって事!?
無理。無理だからね。食べられないから、銀さんの手ぇぇ!
筋張ってて全然美味しくないから、本当。
あ、でも新八の手なら銀さんいけるかも。
だって好きだからね、新八の手。
おかずでも、おかず的な意味でも大好物だから。
寧ろお世話になってます的な感じだからね、うん。
あ、ちょっと待て。ならもしかして新八も?
「・・・銀さん、ちょっと脳みそ
握り潰していいですか?」
思わず脳内桃色劇場が開演した所で、
新八の冷たい声が耳に乱入してきた。
「ちょ、なんで突然猟奇殺人予告ぅぅ!?」
「や、なんとなく不穏な感じがしたんで」
慌てて開演を中止するが、新八からの視線の温度は低いままだ。
全く、妄想ぐらい自由にさせてくれってぇの。
以心伝心も考えもんだなぁ、おい。
よし、考えるのは新八が帰ってからにしよう。
なのでその目は止めてください。
銀さん、知らない世界の扉開けちゃいそうだから。
なんかゾクゾクしてきたからね、コレ。
「・・・で?俺の手がなんだって?」
とりあえずまだ扉は開けたくないので、先程の会話を
引き戻してみる。
すると蔑んだ目をしていた新八がパチリと手を叩き、
次にヘラリと頬を緩ませた。
「あぁ、ただ好きだなぁって思って」
・・・ね、これで妄想すんなって
どんな拷問!?
思わずまた脳内桃色劇場が開演しそうになったので、
俺は慌てて新八から自分の手へと視線を移した。
よし、よくやった。流石俺
学習能力半端ねぇよ、オイ。
だけど・・・と見詰めたまま俺は手を自分の目の高さまで
上げた。
これの何処がいいんだ?
まじまじと見るが、何の変哲も無い、至って普通の手のひらだ。
寧ろ所々細かい傷があって、あまり見ていて気持ちの良い
もんでもない。
と言うか結構嫌いだったりする。
だってこれは、守る為と言っては血に塗れ、
守ろうとして取りこぼして来た惨めな手だ。
こんな手の何がいいんだか・・・
そう思い、自然と眉間に皺が寄る。
と、その時、不意に横から自分のよりも小さな手が
伸びてきた。
そしてその手はそのままキュッと俺の手を両手で
包み込んでしまった。
「わ、思ったより指、長いですね」
見れば新八が顔まで寄せてきて俺の手を観察していて。
何が楽しいのか、くすくすと笑いながらやんわりと俺の手を
擦っていく。
「銀さんのね、この大きな手が好きなんですよ、僕。
ってか羨ましいのかな?
無駄に器用な手先も、意外と暖かい所も、
あんまり褒めたくないけど、美味しい甘味を作る所も」
そう言いながら、俺の指を一つ一つ折っていく新八。
なんかアレ?て思う言葉もあったが、それでも
新八が一つ俺の指を折り曲げていく度に、なんだかホコホコ
胸が暖かくなってきて。
俺はそんな新八の手の方が愛しくて、大好きで。
・・・まぁさっきまで脳みそ握りつぶそうとしてた手だけどね。
でも、例え本当にそんな事になったとしても、
なんの問題もねぇけどな。
新八に握られるなら、手だろうが脳みそだろうが
何処でも幸せだ。
・・・あ、でもやっぱ脳みそはなしの方向で。
まだまだ銀さんは新八と幸せ時間を過ごしたいです。
でもまぁそんな事素直に言える俺だったら、
妄想なんてものを四六時中してない訳で。
でもせめて少しでも気持ちが伝わるように・・・と、
空いている方の手で新八の頭を撫でてみる。
するとキョトンとした新八が顔を挙げ、次にとても嬉しそうに
口元を緩めた。
「後、そうやって頭を撫でてくれるトコとかも」
新八のその笑顔に、俺の手もまんざら悪くねぇんじゃね?
とか思ったのは言うまでもねぇ。
新八が笑ってくれるなら、
俺はきっと何だって好きになるさ。
「あ、でも一番好きなのは、仕事している時の手かな?」
「マジでか!?
じゃあちょっくらパチンコ打ってくらぁ!!」
「仕事じゃねぇぇぇぇぇ!!」
********
私は拍手してくれる皆さんの手が好きです(コラ)
何時もパチパチ、有難うございますvv
「たでぇまぁ~」
銀玉に見放された午後、銀時はカクリと肩を落とし家へと
帰ってきたが、中からは誰の声も返ってこなかった。
「あんだよ、銀さんが帰ってきたって言うのに
誰もいねぇのかよ。」
なんて言いながらも、お説教が待ってなくて良かったと
少し安心する。
・・・あ、でもやっぱ出迎えがないとちょっとアレだ。
や、別に寂しいとかじゃ全然ないんだけどね。
お説教が待ってなくて良かったんだけど。
あ~でもなぁ・・・や、だけどなぁ・・・
・・・うん、やっぱお説教なくて良かった事にしとこう。
だって新八、怒るとマジ怖ぇじゃん。
流石あのお妙と血が繋がってるだけはあるってもんよ?本当。
銀時はお説教時の新八を思い浮かべて、
ブルリと体を震わせた。
・・・が、同時に少しだけ口元が緩むのも感じて。
だってなぁ、怒られるって事自体は構われてるって
感じがすんだよなぁ。
なんて言うの?なんかこう、俺の事考えてますよ・・・みたいな?
しかもあいつ、怒る時も一生懸命っつうかさ。
それがまた可愛いっつうか、そんな可愛い口から
出てくる言葉にもゾクゾクしちゃうっつうか。
・・・あれ?
銀さん何かヤバクね?これ。
なんか全然大人な感じがしないんですけど。
寧ろ変な意味で大人な感じがするんですけど。
主に特殊な。
いやいや待て、自分。
Sな自分を取り戻せ。
フルフルと頭を振って湧き出てきた思考を吹き飛ばしながら、
銀時は玄関を上がり、居間へと向かった。
そして昼寝でもしようとソファに向かったのだが・・・
「ありゃ、先客が居やがったか・・・」
何時も銀時が寝転んでいるソファ。
そこには気持ち良さそうに眠っている新八の姿があった。
「お~い、風邪引いちまうぞ~」
銀時は新八の横に腰を下ろすと、小さな声でそう呟く。
今日は比較的暖かな方だが、それでもまだまだ冬真っ盛りだ。
このままでは確実に風邪をひいてしまうだろう。
だが、ここまで気持ち良さそうに眠ってられると、
どうにも起こすのが可哀想になってくる。
「ってかこうしてるとまだまだ子供だね~」
比較的年相応な新八だが、こうしていると
幼さが前面に出ている気がする。
「でっかい目が隠れてるってのになぁ。
ってかメガネ、痛くねぇか?」
横向きで寝ている為、余計にそう思う。
銀時はそっと新八の顔からメガネを外すと、近くのテーブルに置いた。
そして乱れた前髪を優しく撫でる。
すると、新八の口元がやんわりと緩んだ。
「幸せそうにしちゃってまぁ・・・」
そのまま新八の頬へと手を滑らせる銀時。
すると今度はくすぐったかったのか、新八が小さな笑い声と共に
首を竦ませた。
その瞬間、銀時の指が新八の唇へと触れた。
「ぅおっ!!!」
指先に感じた柔らかな感触に、銀時の声が上がる。
「・・・え、何このプニプニ」
思わず指を当てたまま、銀時は新八の唇をじっと見つめた。
・・・こんな小さな口から、凄まじい突っ込みが
出てくるんだよなぁ。
動転してか、つい変な関心をする銀時の視線の先で、
新八の唇は気持ち良さ気に小さな寝息を立てている。
それは小さくて、プニプニしてて、ほんのり赤く色づいていて。
「なんか・・・美味しそう?」
思わずそんな事が口に出た。
・・・や、ちょっと待て、俺。
なんでそんなんが出てくんだ?
美味しそうって何だ?
いや、新八の唇だけどさ。
「ちょ、本気で待てって。
違うから、そう言うんじゃないから。
そんな趣味でもないから、銀さん。
そりゃ新八には時々キュンってくるよ?
でもそれはあくまで小動物的な?
子供って可愛いな~。みたいな?
そう言う感情からであって、そんな・・・
あれ?、何時からそんなの好きになったっけ、俺。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ってそんなトコで正気に戻んじゃねぇよ、
俺ぇぇ!!
違う、本当違うから。
何が違うか判らんねぇけど、
兎に角違うからっ!!」
なんかこのままだととんでもない事に気付いてしまいそうだ。
銀時はそう思い、さっさと新八の唇から手を離そうとするが、
「・・・プニプニ」
思うだけで離れない体はある意味裏切り者だ。
「・・・え?本当何これ。
このプニプニから離れられないんですけどぉぉ!?」
内心焦ってはいるが、その指先は
まるで感触を楽しむかのように新八の唇を辿っていて。
次の瞬間、それが温かくて柔らかいものに包まれた。
「!!!!」
見れば新八の指が、銀時の指にパクリと食いついていて。
同時に心臓まで食らい漬かれたうな気がした。
「・・・お前、それは反則だろ」
一気に熱くなった頬を空いている手で覆いながら、
銀時はぼそりと呟く。
・・・とりあえずこの正直な体がこれ以上暴走する前に
起きてくんねぇかな?
あ、でも折角だからもう少しだけこのままでも・・・
いや、折角だからってなんだよ。
っつうか折角って言ったら折角だよなぁ、おい!
「・・・何やってるネ」
その後、帰ってきた神楽にものっそく冷めた目で
見られました。
や、折角だったんです、本当。
*********
坂田、妙な方向で自覚(笑)