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年末は稼ぎ時だ。
って事でクリスマスから大晦日まで仕事ぎっしり。
寒いだなんて言う暇もないくらい働き捲くったお陰で、
無事年を越す事が出来た。
「・・・けど疲れたよな~」
ぼんやりと炬燵に入り込んだまま、無駄に煩いテレビを眺める。
何だかんだでギリギリまで働いて、家に着いたのは
紅白の始まる寸前だ。
家の大掃除は、その状況を見越していた新八のお陰で
既に終わっていたのだが、何故だか神楽のテンションが
急上昇してしまい、まずそれを抑えるのに苦労した。
ってか何故あのテンションを仕事時に発揮しないんだろうか、アイツは。
・・・や、発揮されても困るか。
だって仕事が終わらないばかりか、倍増しそうだ。
しかも押さえるのが俺一人だったから、尚疲れた。
お妙が年末年始も仕事だって言うから、泊り込んでいた新八も
その場に居たのだが、生憎御節の準備だの年越し蕎麦だのと
台所の住人になっていて加勢は頼めなかったし。
一つ、深々と息を吐いて元凶である神楽に視線をやる。
昨日遅くまで起きていたせいか、今はぐっすりと夢の住人だ。
なんだかムカつくので、こっそり顔まで炬燵の布団を被せてやる。
「ちょっと、何やってんですか」
咎めるような声と共に、目の前に暖かい湯気を出した湯飲みが置かれた。
「ん~、なんつうか・・・嫌がらせ?
あ、違う。風邪引くかと思ってよ」
「全然フォローになってねぇよ」
ってかこの方が風邪ひくでしょ!・・・と言いつつ、
新八はそっと被せた布団を神楽の顔から引き下げる。
そして後ろを回り、俺の隣へと腰を降ろした。
「だってよ、コイツのせいでどんだけババァに怒鳴られたと
思ってんだよ。
ったく、メカ如きでテンション上げやがって」
「いや、アンタも結構上がってましたよね、あの時。
滅茶苦茶大笑いしてましたよね、アレ」
「や、アレは笑うだろ、普通。
思わず拝みそうになったからね?
何?サ○コは一体何処を目指してんの?
何かのラスボスにでもなりたいの?」
それならヤベェよ。
だってどんな勇者だろうが倒せそうにねぇもん、アレ。
うんうんと一人で納得しつつお茶を一口飲む・・・と、
新八から あっ! と言う声が聞こえてきた。
つられて見れば、新八の視線はテレビへと向っており、
そこには今日も意味不明な語尾をつけている放送禁止アイドルの姿が。
「おいおい、正月早々いいの?コレ。
言っとくけど正月だからって世の中はそんなに甘くねぇぞ?」
ってか生放送だろ、コレ。
すげぇな、勇者だな、番組責任者。
うん、その勇気に免じてサ○コ討伐を命じてやろう。
・・・まぁまだ何にもしてないけどな、サ○コ。
歌ぁ、歌ってるだけだけどな、サ○コ。
「お通ちゃん、頑張ってますよね~。
年越しライブやって、テレビにも出て・・・」
僕も応援頑張んなきゃ。なんてニコニコと笑ってテレビの画面を
見詰めている新八に、 あ~そう。 なんて適当に返事をしておく。
するとムッとしたような新八の視線が突き刺さってきた。
だが、それを流すように俺はテーブルへと顔を突っ伏した。
だって仕方ねぇじゃん。実際面白くねぇし。
アイツ出てきたらオマエ、そればっかだし。
言っとくけどな、銀さんだって頑張ったじゃん?
年末がっつり仕事したし、神楽の暴走だって止めようとしたし。
あ~、面白くねぇな、正月早々よぉ。
年越しライブがなんだってんだよ、ピーピー音が入る中
年越したって気分良くねぇだろ。
寧ろ何言ってるか気になって、
年なんて越せねぇだろうが。
言っとくけどなぁ、日本人なら炬燵に入って紅白見て、
んで蕎麦食って初詣に・・・・・・あれ?
そこまで思って、俺は思考を止めた。
大晦日・・・新八は俺達と共に仕事をしていた。
で、帰って来て台所の住人になって、テンション高くなった
俺と神楽を怒って、下のババァに謝って。
まるでワンコ蕎麦の様に年越し蕎麦を啜る神楽にさり気なく
注意して、それで寒いからと中々炬燵から出ない俺を
神楽と二人して無理矢理引っ張り出して初詣に行って・・・
・・・あれ?
思わず顔を上げ新八を凝視していると、お通の出番が終わったのか、
新八が俺へと視線を返してきた。
「どうかしました?銀さん」
そう言って首を傾げたんだけどよ、それ銀さんの台詞じゃね?
だってオマエ・・・
「お通の年越しライブ・・・行かなかったのか?」
親衛隊隊長として、どんなゲリラライブだろうが馳せ参じている新八だ。
なのに何で?と呆然としていると、あぁ。と目の前の顔が
ゆるりと笑った。
「まぁ行きたかったですけどね、
やっぱり年越しは家族で過ごさなきゃ」
だから止めました。なんて当然の様に言ってくれちゃって。
「・・・あ、そうなんだ」
うん、そうだな。うん・・・そうだ。
「あれ?銀さん本当大丈夫ですか?
顔、真っ赤ですよ?」
炬燵、暑いですか?そう言って新八は俺の頬にペタリと掌を
押し付けてきて。
うん、そうだな、きっとそうだ。
だから、あの・・・
俺は新八の掌ごと、テーブルへと自分の頬を押し付けた。
ヤバイ、銀さん今なら軽くサ○コに立ち向かえるかも。
************
明けましておめでとうございます。
今年もこんな感じでグダグダやっていくつもりですので、
どうぞよろしくお願いします。
そろそろ日も傾いて来た頃、神楽は定春と共に外から
帰宅した所で、何故だかソファの上で毛づくろいをするサル達を
発見した。
「・・・何してるアルカ」
半目で視線を飛ばしていると、新八は手を止めずに声だけで、
その前に座っている銀時はものっそい笑顔で お帰り。と
返してくる。
それに神楽は少し間を置いたものの、ちゃんと ただいま。と返し、
未だサルとなっている二人の向かい側に座った。
別にイチャツクのは何時もの事だから気にならないが、
どうも今回のは違う気がする。
だって新八が嫌がっても照れてもないネ。
・・・ま、照れてるってのは銀ちゃんの妄想だけどナ。
神楽はじっとりと二人を見詰めると、もう一度同じ言葉を吐き出した。
「で、何してるアルカ」
「神楽ちゃん、帰ってきたら手洗いウガイ」
だが、今度も答えは返ってこず、代わりに銀時の頭を
ワサワサと探っている新八から注意を促される。
「うっせぇなぁ、母ちゃんはよぉ。
今はこっちが気になってそれ所じゃないアル」
「おいおい、そんな言い方すんじゃねぇよ」
ケッと舌打ちしながら言えば、銀時から生温い笑顔で
気色悪い声を掛けられた。
思わず視線の温度が下がるが、今の銀時にそれは
感じ取れないらしい。
ニヨニヨとしたまま、漸く神楽の問い掛けに答えてくれた。
「新八はな~、今銀さんの白髪抜いてくれてんだよ」
そう言うなり、実際に新八がブチッと抜いたらしい。
銀時は一瞬声を上げたものの、直ぐにニヨニヨ顔へと
戻っていく。
「銀ちゃんので白髪の見分けがつくアルカ!?」
「馬っ鹿、オマエ新八の愛を舐めんなよ?
愛があればんなもんがっつり見分けられんだよ。
寧ろそれが判るぐらい銀さんの事見ててくれてんだよ」
銀時がそう言う間にも、新八は景気良く髪を
ブチブチ抜いていく。
その顔は、真剣を通り越してちょっと怖い。
「・・・新八、それちゃんと白髪を抜いてるアルカ?」
「おいおい神楽ちゃん、何言ってんの?
新ちゃんの真剣な姿が見えてないの?」
いや、見えてる。
真剣と言うよりも、何か鬼気迫る姿が。
機嫌の良い銀時を無視し、恐る恐る新八を見ていると、
再びブチッと抜きながら、小さく頷くのが見えた。
「うん、見分けはついてるから」
そう神楽の問い掛けに答えてくれたが、
答えになっているようでなっていない気がする。
だって聞いたのは、抜いてるかどうか・・・だ。
まぁ銀時の表情を見ている限り、本当に抜いているようなのだけど・・・
神楽はソファから腰を上げると、ソロソロと新八の後ろへと移動した。
そしてそっと新八の手元を見てみる。
・・・うん、確かに見分けは出来ているようだ。
銀髪と白髪を見分けられるなんて地味に凄い。
流石ジミー代表、新八ネ。
「・・・私、手ぇ洗ってくるネ」
「ウガイもね」
そう言われ、素直に頷いておく。
そして洗面所に来た所で、そう言えば・・・と今朝の事を思い出した。
昨日の夜、どうやら銀ちゃんは隠れてお菓子を食べたらしい。
新八がゴミ箱を見て静かに怒っていたっけ・・・
「なら自業自得ネ」
神楽は今も呑気に鼻歌なんぞを歌いながら新八に
白髪以外を抜かれている
銀時の幸せで間抜けな姿を思い浮かべた。
・・・よし、後で私も参加しよう。
***********
罰だろうが何だろうが、坂田家は常に三人行動(ある意味ひでぇ)
日も変わろうかと言う時間、銀時と新八はそっと細心の注意を払いながら
神楽の寝床でもある押入れの扉を開けた。
「あ、ありましたよ、銀さん」
「ってかよぉ、これ本当にいいのか?
だって酢昆布だぜ?しかも入れるのは靴下の中って・・・
これって何重の拷問?
どっちに対しても匂い半端ねぇと思うんだけど!?」
「しょうがないでしょ?神楽ちゃん、プレゼントは
靴下の中に・・・って友達から聞いてきちゃったんですから」
それにこの靴下はまだ未使用です。ボソボソと言われ、
銀時は渋々神楽の枕元にある靴下の中へと酢昆布の塊を入れた。
そして再びそ~っと押入れの扉を閉め、静かにその場を後にする。
「あ~、もうマジ緊張した。」
居間まで戻り、銀時と新八の二人はホッと胸を撫で下ろす。
一度寝たらある程度の騒音など無視して朝までぐっすりな神楽だが、
今夜だけは別だ。
「神楽ちゃん、サンタ捕獲するって意気込んでましたもんね」
新八は苦笑し、眠りに付くまで気合十分に張り切っていた
神楽の姿を思い浮かべた。
寧ろ来るまで起きていると言う神楽に、サンタの姿を見たら
次の年からはプレゼントは貰えないだの何だのと
冷や汗を掻きながら胡散臭い説明をしたのだけれど、
どうやらそれを信じてくれたようだ。
「ったく、誰だよサンタなんて考えたヤツは。
言っとくけどあれだよ?普通に不法侵入だからね?あのおっさん。
しかも子供しかプレゼント贈らないって物凄い差別主義者だから。
よし、今度会ったら殴っとこう」
「知り合いかよ。
ってか変な事言って夢を壊さないで下さいよ、もう」
ほら、もう寝ましょう。新八はそう言うと銀時の背を押し、
そのまま布団が敷いてある和室へと足を進めた。
ちなみに 寒いだろうから。 と銀時が新八の布団へと
入ってこようとしたが、やんわりと言葉で、
けれども態度はきっぱりと、力の限り叩き出したので
無事眠りの国へと旅立つことが出来たのであった。
「・・・え、何、これ」
次の日、何時もの様に目覚めると、新八の枕元に小さな紙袋が
置いてあった。
確か寝る前には何もなかったと思うんだけど・・・と新八は
不思議に思い、首を傾げる。
だが、その紙袋はちゃんと新八の枕の横に置いてあって。
・・・もしかしてクリスマスプレゼントだろうか。
ちらりとまだ眠っている銀時を見てそんな事が頭を過ぎるが、
それはもう昨日の夜のウチに貰っている。
なら何だろう?
とりあえず布団の上に座り袋を開けてみると、中から出てきたのは
新品の足袋が一足。
そしてこの家で足袋を穿いているのは自分しかいない訳で。
新八はクスリと口元を緩ませると、隣で寝ている銀時へと
視線をおろした。
「有難うございます、銀さん。」
新八はそう一人呟くと、寝ている銀時の頬に小さく唇を落とし、
早速その足袋を穿いて・・・
「ぅわっ!」
突然横から出てきた腕に、腰を抱きこまれた。
「ちょ、銀さん!?」
見れば新八の腰には銀時の腕が回っており、埋められた顔からは
銀時の嬉しそうな笑い声が聞こえてきていた。
「・・・何なんですか、もう」
ってか起きてたんですか、アンタ。と先程してしまった自分の行動に
頬を染めながら、新八は腹にある銀時の頭をポカリと叩いた。
けれど銀時からは笑い声しか返ってこず・・・
「・・・銀さん、アンタ何時からMに趣旨変更したんですか?」
「いや、してないからね?
堂々とドS路線突き進んでるから、銀さん。
今はただサンタからのプレゼントに喜んでるだけだから、
そこら辺疑わないでくれる?」
「まず頭の正常さを疑いたくなるんですけど。
ってかプレゼント?」
訳が判らず首を傾げていると、銀時は少しだけ体を離し、新八の足元を
指差した。
ソコには真新しい足袋を穿いた新八の足が・・・
「銀さんが用意して寝床に置いといたからね、それ。
いや~、中々気の利いたことしてくれるじゃねぇか。
銀さんの一番欲しいもんだよ、コレ」
そう言って再び新八を抱き締めてくる銀時に、新八は
いや、これあったの僕の枕元ですから。・・・とか、
しかも穿いたかどうか確り確認してた感じじゃね?・・・とか、
ってかプレゼントって言うより、完全罠じゃん。・・・とか。
色々と思ったが、口には出さず、仕方ないな・・・と苦笑を浮かべて
そっと銀時の背中に腕を回した。
うん、仕方ないよね。
だって僕もコレが一番欲しかったのだ。
*********
この後まったりする間もなく、テンション高めの娘が乱入(笑)
ボーナスって何ですかね。
今の所噂でしか聞いた事のない僕にとっては、
完全なる未知的存在なんですけど。
ってか寧ろ都市伝説に近いと言ってもいいですね。
あ、違うか。それは給料の事でしたっけ。
「って事で銀さん。今日家の事のお手伝い、
お願いしてもいいですか?」
年末は忙しくなるから、今から色々やっときたいんで。
淡々と話していた新八は、にっこり笑うとそうお願いしてきた。
・・・うん、お願いだ、あくまで。
例えその手に呑み屋の請求書が握られていても、
額にピクピクと青筋が浮かんでいようとも、
お願いには変わりはない。
あ~、こんなに可愛くお願いされちゃ~、
聞かないわけにはいかねぇよな、オイ。
本当、銀さんてば愛妻家っ!
勿論気分良くお手伝いさせて貰いますっ!
だからそろそろ定春の解除をして下さい。
アルコールが抜ける前に、血と魂が抜けきるんで。
「・・・で、何コレ」
恐妻・・・基愛妻である新ちゃんのお願いを聞き届け、
家事の手伝いを大人しくしている訳だが・・・
「何ってお手伝いして貰ってるんですけど?」
俺の疑問に、後ろから新八の不思議そうな声が返ってくる。
うん、確かにお手伝いしてたよね。
ちゃんとお風呂掃除してたし、その後新八に呼ばれて
台所に行けば、棚の上の掃除をお願いされたし。
でもさ、でもよ?これって・・・
「・・・普通に負んぶじゃね?」
そう、台所の掃除が済んだ新八は、同じように棚の掃除を
終えた俺の背中に突然飛びついてきたのだ。
予想外の出来事に、え、これなんてフラグ?なんて驚いてた俺に、
新八が言った言葉が
「じゃあ次は居間の掃除に行きましょう」
・・・だった。
・・・いや、いいんだけどね?居間の掃除。
それに今日一日お手伝いするって言った銀さんが借り出されるのも
判るんだけどね?
でも・・・なんで負んぶ?
「だって銀さんが言ったんじゃないですか、
ちゃんとお手伝いしてくれるって」
俺の疑問を不満と受け取ったのか、少しだけ新八の声が
尖るのが判った。
あ~、チキショー。きっと今頃可愛らしい唇をほんの少しだけ
尖らせてんだろうなぁ。
本当、なんで負んぶなんだよ。
顔が見えねぇじゃねぇか、コレッ!!
せめて抱っこだったなら・・・って、いやいや
負んぶだからこそ、堂々と新八のケツに触れられてるんだしな。
そうだ、銀時。ちょっと冷静になろう。
二兎を追うものは結局何も得られねぇんだ。
ならばここは我慢してこの感触を・・・や、待てよ?
抱っこでも抱え方によっちゃケツ、触れねぇ?
「あ、手が滑った~」
「っ!!!ちょ、新ちゃん、それ絞まってるからっ!」
「だって落ちそうだったんですもん」
「その前に銀さんが落ちそうだったよ!?」
突然キュッと首を絞められ・・・(いや、掴んでたよね、アレ。
確実に確実に銀さんの命を掴みに掛かってたよね!?)
慌てて頭を振って新八の手を振りほどき、抗議の声を上げれば、
プイッと視線を逸らされた。
この野郎・・・幾ら銀さんが愛妻家でも、
許せるものと許せねぇもんがあんだぞ、コラ!
勿論これは許すけどね!
だって『もん』とかっ!!!
その上プイッてオマ・・・
見えたからね、肩越しでもばっちり見えたからね、
そのツンデレ具合っ!!
よっしゃ、次はデレだ。どんと来い。
ウェルカムだ、デレ。
オマエの真なる力を見せ付けてくれぇぇ!!!
「・・・銀さん、顔怖いです。
いいからさっさと居間に行ってくださいよ」
ニヤニヤして待っていると、呆れたような顔で新八が
睨んできた。
どうやらデレてたのは俺の顔だったらしい。
お陰で新八のデレは無くなってしまった・・・
俺の馬鹿っ!!
・・・ま、それでも新八の顔がちょっと赤かった気がするから
良しとしよう。
ヘイヘイと軽く答えて新八の体を背負いなおし、
居間へと向う。
「ちなみにそれが終わったら、今度は洗濯物ですからね」
「はいはい、その時もちゃんとお運び致しますよ。」
「当然です。それ込みのお手伝いですもん」
そう言って、背中の新八はクスクスと笑った。
すみません、そんなお手伝いなら毎日させて下さい。
***********
なんかうっかりした(コラ)