[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
動物は過ごしやすい場所を見つけるのが上手いらしい。
「って事は、ここが家の中で一番涼しいトコなのかな?」
新八は洗い終わった洗濯物がいっぱい詰まった籠を抱え、
部屋の隅でスヤスヤと眠りこけている定春を見詰めた。
エアコンなんて物は存在しない万事屋にとって、
最近の暑さはシャレにならない。
窓全開、おまけに玄関も全開な状態だ。
それでも暑いので、神楽は廊下で寝転び、銀時は外に涼を求め
出かけてしまっている。
だが、家事をこなす新八はそんな事している暇はない訳で。
新八はグイッと頬の汗を肩口で拭うと、暫しその場に
佇んでみた。
「・・・気持ち涼しいかな?」
なんとなく風が通っているような気がする。
「どう?定春」
そう聞くと、まるで答えるように定春の耳がピクリと動いた。
新八はそれにクスリと笑うと、
「後で掃除はさせてね?」
そう告げて、洗濯物を干すべくその場を後にした。
「・・・あれ?」
洗濯物を干し終わり、次は掃除だ。と居間へと戻ってきた新八の
目に入ったのは、先程と同じ場所で寝そべっている定春と、
それに体を預けるようにして寝ている神楽の姿だった。
「何時の間に来たんだろう・・・」
さっきまでどんなに怒っても廊下から剥がれなかったのに・・・
涼を求めてここまで来たのだろうか?
でも幾らここが他の所より涼しくても、定春の傍は
暑いと思うのだが・・・
そんな思いから神楽の顔を覗きこむが、新八の心配を
余所に、神楽はとても気持ち良さそうに寝ていて。
「・・・これじゃ掃除は無理かな?」
苦笑を浮かべ、新八は屈み込んでいた体を起こした。
その気配に、定春の目が少しだけ開く。
「定春は大丈夫?」
そう聞くと、問題ないとでも言うように軽く耳を動かし、
再び目を閉じてしまった。
どうやら大丈夫なようだ。
ならば・・・と新八は一撫で、定春の頭を撫でる。
「僕、先に買い物行って来るからお留守番お願いね」
少しだけ心配な気持ちもあるが、定春が居るなら大丈夫だろう。
と、新八は玄関を開けたまま買い物へと出かける事にした。
あ、でも一応お登勢さんには一言言っておこう。
「・・・増えてるし」
太陽の照りつける中、暑い思いをして買い物から帰ってくると
定春の傍に銀色の頭が一つ、増えていた。
こんなに早く帰って来たと言う事は、外で涼しい場所が
見付からなかったのだろう。
または、涼しい場所に居られなくなったか・・・だ。
「全く・・・幾ら負けてきたんだか」
多分後者だろうと中りをつけて、新八は深く息を吐いた。
その溜息に、定春の目がゆっくりと開く。
「定春も大変だね?」
横たえた体には神楽が、そして首元には銀時が体を預けて
眠っているのだ。
幾らなんでも暑いだろう。
そう思って問い掛けると、定春は仕方ないとでも言うように
ワフッと小さく息を吐いた。
・・・多分この中で一番の大人は定春だ。
「ごめんね?」
尊敬と謝罪を篭めて定春の頭を撫でると、新八は買ってきた物を
手にとり、その場を後にしようとした。
・・・が。
「え?」
何かが袴に引っかかって前に進めない。
不思議に思い顔を向けると、何故だか定春が新八の袴の裾を
噛んでいた。
そしてクイクイとひっばって来る。
「え、ちょ定春?
僕、買ってきたものを置きに行かなきゃ・・・」
それに他にもやる事あるし・・・と言ってみるが、定春は知らん顔。
新八の言葉を無視して尚もクイクイと袴を引っ張った。
「えっと・・・もしかして僕も寝ろ・・・って事?」
そう問い掛けてみると、肯定するかのように
漸く定春が袴から口を離した。
・・・とりあえず今日買ってきたものの中に
腐るものは入ってない筈だけど・・・
でも・・・と新八は視線を下へと降ろす。
幾ら涼しい風が通ると言っても、こんなに密集してたら
暑いだろう。
現に神楽も銀時も、額にうっすらと汗をかいている。
おまけにお昼の用意とか、掃除とか・・・ってこれは今は無理か。
でも他にもやる事あるし・・・
あぁ、でも。
と新八はやんわりと口元を緩めた。
確かに気持ちは良いかもしれない。
「お~い、誰か居ないのかい?」
ったく、玄関開けっ放しで物騒だね。そう言いながら、
お登勢は静まり返った万事屋へと足を踏み入れた。
そして居間へと来た所で、動かしていた足を止める。
「・・・暑苦しい光景だねぇ」
何やってんだか。そう言って苦笑するお登勢の視線の先では、
汗をかきながらも気持ち良さそうに眠りこけている
三人と一匹の塊が。
「暑気払いにカキ氷でも・・・と思ったんだけどねぇ」
ま、明日にするかね。そう言って来た時とは違い、そっと静かに
その場を後にしたのであった。
*************
過ごしやすい場所=気持ちの良い場所な坂田家。
その日は久し振りに入った仕事で、少しばかり夕飯が遅くなってしまった。
とりあえず簡単なものを作り、食べ終わったのが九時過ぎ。
そこから後片付けをして、明日の朝食の準備もして、
予め家の中に干しておいた洗濯物を寄せて畳み、合間に
お風呂から出てきた神楽ちゃんの髪の毛を乾かして・・・
・・・で、なんでアンタまで
タオルを差し出してくるんですか、銀さん。
もう寝ると言った神楽ちゃんにおやすみの挨拶をし、
使い終わったタオルを片手にその場を後にしようとしたら、
何時の間にお風呂から出てきたのか、銀さんが僕のすぐ後ろで
立っていた。
何故だか頭をボトボト濡らしたまま、タオルを差し出して。
「俺も頼むわ」
や、頼むわじゃないでしょ。
え?銀さん一体何歳のつもりですか?
寧ろ何様のつもりですか?
思いっきり嫌だという感情を表に出してみたのに、
銀さんはそんな事気付きもしないようで、さっさと僕に
タオルを渡すと、先程まで神楽ちゃんが座っていたソファへと
腰を降ろしてしまった。
その上、肩に手を当てて首をコキコキと曲げ、
「いや~今日は疲れたわ。
なんか今日の銀さん、凄くなかった?
ものっそく真剣に仕事してなかった?」
もう手を上にあげる事すら出来ないわぁ。等と言うものだから、
いっその事タオルを放り投げて無視してやろうとした
僕の目論見は無残にも砕け散ってしまった。
・・・確かに、今日の銀さんは物凄く動いてくれた。
仕事の内容は蔵の掃除で、その広さと物の多さに明日まで
掛かってしまうのでは?と思っていたのに、それが
今日一日で終わってしまった程の働きっぷりだったのだ。
「・・・今日だけですからね」
僕は出来るだけ判りやすく深々と溜息を吐くと、
渋々手にしていたタオルで銀さんの濡れた髪を拭くことにした。
・・・気持ち乱暴なのは、微かに納得出来ない心の一部
のせいだと言う事にしといて下さい。
「はい、もういいですよ」
最後の仕上げとばかりに、勢い良く銀さんの髪を撫で付けると、
チラッと時計に目をやる。
げ、もうこんな時間だよ。
のんびりとお礼を述べてくる銀さんを尻目に、
僕は慌ててタオルを洗濯機に入れるべく、その場を後にした。
・・・と、タオルは明日でいいか。
まずは着物を洗って・・・って、色物と一緒にすんなって
あれ程言ってんのに!!
ぐちゃぐちゃに混ぜられている洗濯物を分けてるいと、
ひょこりと銀さんが顔を出してきた。
「新八ぃ、爪きりってどこだっけ?」
「引き出しの一番上ですよ」
とりあえず一回洗ってしまおう。そうすれば明日楽だし。
・・・あ、でもまずは汚れを
落としといた方がいいかな、コレ。
手にした洗濯物の汚れを見ながらそう答える。
銀さんは僕の答えに適当な返事を返し、そのまま居間へと
戻っていった。
全く、自分で探しもしないで。
・・・ってコレ破れてんじゃん!
ぅわ~、どうしよう。コレってこのまま洗ったら
ますます酷くなりそうなんだけど。
縫ってから洗おうか。
あぁ、でもそうしたらもっと帰るのが遅くなるな。
・・・どうしよう。
銀さんの着物を目の前にし、ちょっと思案していると、
再び、今度は居間から銀さんの声が聞こえてきた。
「お~い、ねぇぞぉ?」
ちょ、今の時間考えてくださいよ。
神楽ちゃん、もう寝てるんですよ?
「大きな声出さないで下さいよ」
銀さんの着物を持ったまま、急いで居間へと向う。
そして引き出しの前でしゃがみ込んでいる銀さんを押しのけ、
中から爪切りを取り出して銀さんへと渡した。
「全く、上辺だけ見てないない言うんだから!」
はい、ちゃんと新聞敷いてやって下さいね。
そう言うと おぅ、サンキュ。と言って銀さんはソファの
前に腰を降ろした。
きちんと新聞を敷くのを確認し、僕はチラリと手にしている
銀さんの着物を見る。
・・・ま、やっちゃいますか。
ここまで持ってきてしまった序だ。
僕は裁縫道具を棚の上から下ろすと、銀さんの向かい側の
ソファへと腰を降ろした。
「・・・何?やっぱ破れてた?」
気配を感じたのか、銀さんはパチンパチンと爪を切りながら
僕へと問い掛けてきた。
「気付いてたなら早く言って下さいよ」
「や、気付いてたってかもしかして?って感じだったからよ」
悪いね。等と言葉ほど悪く思っていない口調で
告げる銀さんに、一つ溜息。
「それでも言って下さい。
帰る時間がどんどん遅くなっちゃうじゃないですか」
そう言うと銀さんはパチンと爪を切った後、
キョトンとした顔を僕へと向けた。
「え、何?オマエ帰るの?」
「帰りますよ」
「こんな時間なのに?」
「こんな時間になったのは誰のせいですか。
ってか姉上に今日はちゃんと帰ってきときなさいって言われてるんで」
朝、出かける時に言われた言葉を告げると、銀さんは
フーンと言ってまた爪きりへと戻ってしまった。
うん、今日は言われたんだよね。帰って来いって。
明日の朝、久し振りに二人でご飯食べたいからって。
だからさっさとこれを縫って帰らなきゃ。
僕は慣れた手つきで針に糸を通すと、破れてる部分を
縫い始めた。
既に深夜に近い時間帯だけあって、部屋の中は静かだ。
聞こえてくるのは銀さんが爪を切る音と、
下から僅かに聞こえる音だけ。
「・・・ってかさ、もうすぐ日付変わるじゃん?」
パチン
そんな中、爪を切る音と共に銀さんの声が聞こえてきた。
うん、そうですね。
「こんな遅くに外歩くの、未成年としてどうよ?」
パチン
別にいいんじゃないですか?
誰かさんが酔い潰れた時とか、よく迎えに呼ばれますし。
「・・・今度店のオヤジに一言言っとくわ」
パチン
その前に酔い潰れないようにして下さいね。
「・・・善処します。
ってかマジで帰んの?」
パチン
えぇ、約束しましたから。
「フーン。なら、仕方ねぇか。
とりあえずこれ終わったら送ってってやるよ」
パチン
え、いいですよ。
銀さんだって疲れてるんでしょ?
「それぐらい屁でもありません~」
パチン
・・・なら髪の毛も自分で乾かせよ。
「それは無理。
それとこれとは疲労の度合いが違うから」
パチン
あきらかに送って貰う方が疲れると思うんですけどね?
そんな会話をしてる内に、針仕事を終えた僕は
一先ず針を置き、繕ってた部分を伸ばしてみる。
うん、なんとか上手に出来た。
後はこれを洗濯機に放り込んでまわすだけだ。
広げていた裁縫道具をしまい、ソファから腰を上げると
再び銀さんから声が掛かった。
見れば既に両手を追え、足の爪ももうすぐ切り終える所だった。
何だろう、なんかまだ用があるのかな?
なら早く言って欲しい。
と言うかいっそ明日にして欲しい。
そんな事を思っていると、銀さんは僕に背を向けたまま
ポツリと呟いた。
「・・・ってかさ、もう日付変わったよな?」
パチン
「え?・・・あ、本当だ。
もう12時過ぎてますよ」
「ならアレだ」
パチン
「なんですか?」
うわ~。と少しウンザリしながら時計を見ていると、
銀さんからそんな意味不明な言葉がかけられる。
何の事だと聞いてみても、銀さんは『アレ』としか言わない。
もう本当何なんだよ。
用があるならさっと言えばいいのに!!
付き合ってられないと銀さんに背を向け、洗濯機へと向おうと
した所で、
「・・・おめっとさん」
パチン
と、思い掛けない言葉が来た。
へ?とカレンダーに目をやれば、ソコには『11』の数字が・・・
って違うか。もう日付が変わったんだから、
今日は『12』日な訳で・・・
あっ!と気付き、思わず振り返れば銀さんは爪きりを終えたらしく、
立ち上がってグシャグシャと新聞を丸めていた。
「銀さん、今のって・・・」
「さ~終わった終わった。
後はちゃっちゃと送って俺も寝るかな」
そう言って僕に背を向けたまま、ゴミ箱に新聞を放り投げている
銀さんの顔は見えないけど。
「あ~、でも面倒だなぁ、おい。
・・・やっぱさ、オマエ泊まってかねぇ?
姉ちゃんが帰ってくる頃には送ってくからよ」
そう言って未だ背を向けて伸びをしている銀さんの顔は
やっぱり見えないけど。
微かに見える銀さんの耳が赤くなっていて、
僕はこっそり心の中で姉上に謝る事にした。
***********
新ちゃんハピバ☆
ちなみにこの後、時間ギリギリに送ってった坂田は
修羅と鉢合わせ、ボコられます(笑)
久しぶりに友人達とカラオケに行ってきましたv
お互い素性は丸判りなメンバーなので、
清々しいほどのヲタカラです。
どこまでがセーフなのか考えなくて済むって
本当素晴らしいv
ってかまさか花/慶でパチンコ映像が流れるとは
思ってなかったんですけどぉぉぉ!!?
・・・あれはアリなのか?
・・・うん、アリだな。アリ(断言)
以下メルフォお返事
蒼様
企画参加、並びにお祝いのお言葉有難うございます~vv
自重だなんてとんでもないっ!ガンガン乗ってきて下さいませ~vv
私もさせて貰いますんでvv(それこそ自重ぉぉ!!)
リク、確り受け取らせて頂きましたvv
と言うかもう一つの例のヤツ!(笑)
こちらもいつかやらかせて貰いますね~vv
団子様
企画参加、並びにお祝いのお言葉有難うございますvv
そしてお帰りなさいませ~vvv
こちらの方こそ、お忙しい中覗きに来て下さり、嬉しい限りですよvv
その上暖かいお言葉の数々vv本当有難うございますv
リクエストもがっつり受け取らせて頂きましたvv
少しでも楽しんで頂けるよう、頑張らせて貰いますっ!
白様
企画参加、並びにお祝いのお言葉有難うございますv
辺鄙な所ですが、楽しんで頂けてるようで嬉しい限りですvv
リクエスト、がっつり了解しましたv
あのお話、気に入って頂けてる様で本当嬉しいですv
同じように気に入って頂けるよう、頑張って書かせて貰いますねv
・・・と、明け方ここまで書いてPC落としたら地震がきました(泣)
超怖ぇ!しかも長いし!!
例のヤツではないらしいですが、誘発する可能性はあるかも・・・とか
本当もう、勘弁してください(泣)
「だから傘持って行こうって言ったじゃないですかっ!」
「うるせぇなぁ。予定では降り出す前に帰ってくる筈だったんだよ。
なのにオマエがタイムサービス狙って待ってるから」
「お菓子をどれにするかで真剣に悩み込んでた人に
言われたくないです。」
ってか誰のせいでタイムサービス狙わなければいけない生活を
送っていると思ってるんだ。
雨の降る中、原付から荷物を降ろし足早に家の中へと駆け込む。
その間も言い合う口は止まらない。
バタバタと階段を駆け上がり、そのまま玄関へと飛び込んだ。
「あ~、もう濡れちゃったよ」
買ってきた戦利品を置き、ハタハタと着物の水気を払う。
・・・が、結構な勢いだった為か、しっとりと滲みこんでいて
それだけではダメなようだ。
とりあえずタオルを持ってこよう・・・と、新八は草履と足袋を
脱いで玄関へと上がり、置いておいた買い物袋を持ち上げた。
「今タオル持ってきますから、銀さんは先に着替えてて
下さ・・・い・・・って、何ですか、一体」
振り返って銀時に告げる新八だったが、その先にある銀時の顔に
思わず半目で見詰めてしまった。
や、だって何かしまりなく緩んでるし。
寧ろみっともなくニヤケてるし。
「いや、何てぇの?台詞と言うか行動と言うか
今の姿と言うか?
もう一体どれに萌えたらいいのか銀さん迷っちゃう」
いやん。と体をくねらせて告げる銀時に、新八の目は益々
温度を下げていく。
「寧ろそのまま迷子になって帰ってこないで下さい」
いいからさっさと着替えて来いっ!と銀時の背中を蹴り、
居間へと押し出した。
「銀さ~ん、着替え判りました?」
買ってきたものを台所へと置き、新八はタオルを片手に
居間へと戻ってきた。
「オマエね、銀さんを何歳だと思ってんの?」
その奥の和室で、銀時が上半身だけ裸になった状態で
呆れた顔を見せ、渡されたタオルを受け取った。
それに新八は苦笑する。
「だって銀さん、朝も僕に任せっきりじゃないですか」
「あれはただ単に甘えてるだけですぅ。」
「いや、それこそ本当に何歳気取りだよ」
全く・・・と、新八はタオルで体を拭く銀時の足元に
脱ぎ散らかされた着物を拾っていく。
そしてそれらを抱え、銀時に確り拭く様に告げると
再び新八は和室を後にしようとした。
「ってちょっと待て」
だが、そんな新八の襟首を銀時が掴んで止める。
「何ですか?」
後ろ襟を捕まれた新八は、キョトンとした顔で振り向き、
銀時の行動に首を傾げた。
そんな新八の行動に、銀時は僅かに眉を顰める。
「何ですか?じゃねぇよ。
オマエだって濡れてんじゃん」
そう言ってそれまで体を拭いていたタオルを新八の頭に被せる。
頭はそれ程濡れていないものの、着物はやっぱり濡れていて冷たい。
その感触に、ますます銀時は眉を顰めた。
「さっさと着替えねぇと風邪ひくだろうが」
「僕は大丈夫ですよ。それよりも買って来た物を
冷蔵庫に入れないと・・・」
体を銀時の方向へと向けられ、ワシャワシャとタオルで
拭かれていく新八が告げるが、銀時はお構い無しだ。
「少しぐらい置いといたって腐りゃしねぇよ。
いいから着替えた着替えた。
なんなら銀さんが着替えさせてやろうか?」
ニヤリと良くない笑みを浮かべられ、新八はフルフルと
頭を振った。
「んだよ、遠慮すんなって」
「いえ、全力で遠慮します」
「・・・ケチ」
「や、なんで!?」
「仕方ねぇ。ならせめて着替え出してやらぁ」
その間ちゃんと体拭いとけ。銀時はそう言うと新八の頭を
一撫でし、箪笥へと体を向けた。
ゴソゴソと箪笥の中を漁る銀時に、少しだけ新八の
心がほっこりする。
何だかんだ言って優しいんだよね、銀さん。
・・・ちょっとセクハラ気味だけど。
渡されたタオルの温もりと、銀時の優しさに
頬を緩ませていると、銀時からホイと着替えが手渡された。
・・・のだが。
「・・・なんですか、コレ」
手渡されたのはどう見てもナース服で。
「何って・・・着替え?」
「じゃねぇよ!
何でこんなの持ってんですか!?」
思わず銀時に向って放り投げると、軽々とキャッチされ
再び差し出された。
「馬鹿ヤロー、万事屋舐めんなよ?
ナースだろうがセーラーだろうが
何でも揃ってんだってぇの。
ちなみに新八にジャストサイズだから安心しろ」
「安心所か不安だらけだよ!
なんで僕指定なんですかっ!
ってかそっちこそ仕事舐めんな!?」
大体僕、着替え置いてあるでしょ!そう言うと銀時は
え~。と唇を尖らせた。
「オマエちょっとは空気読めよ。
こんなシチュエーション、使わない手はなくね?」
「そっちこそ空気読めよ。
ちょっと絆されそうになった僕の純情を
どうしてくれるんですか!?」
「え、マジでか!?
ならなおの事美味しく戴きますっ!」
「粉砕したわ、そんなのぉぉ!!!」
「じゃあ、せめて俺の着流しで」
そう言って銀時は自分の着替え用に出していた着流しと
ナース服を新八へと差し出してきた。
「ちなみにそれも嫌だってんなら、
残るは裸割烹着しかねぇからな?」
再びよくない笑顔を向ける銀時に、これからは例えどれだけ降水確率が
低くても傘だけは持ち歩こう。
序に銀さんは叩き潰そう。それも今すぐ。
・・・と固く誓った新八であった。
**************
坂田が変態なのは基本装備で。