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「だから傘持って行こうって言ったじゃないですかっ!」
「うるせぇなぁ。予定では降り出す前に帰ってくる筈だったんだよ。
なのにオマエがタイムサービス狙って待ってるから」
「お菓子をどれにするかで真剣に悩み込んでた人に
言われたくないです。」
ってか誰のせいでタイムサービス狙わなければいけない生活を
送っていると思ってるんだ。
雨の降る中、原付から荷物を降ろし足早に家の中へと駆け込む。
その間も言い合う口は止まらない。
バタバタと階段を駆け上がり、そのまま玄関へと飛び込んだ。
「あ~、もう濡れちゃったよ」
買ってきた戦利品を置き、ハタハタと着物の水気を払う。
・・・が、結構な勢いだった為か、しっとりと滲みこんでいて
それだけではダメなようだ。
とりあえずタオルを持ってこよう・・・と、新八は草履と足袋を
脱いで玄関へと上がり、置いておいた買い物袋を持ち上げた。
「今タオル持ってきますから、銀さんは先に着替えてて
下さ・・・い・・・って、何ですか、一体」
振り返って銀時に告げる新八だったが、その先にある銀時の顔に
思わず半目で見詰めてしまった。
や、だって何かしまりなく緩んでるし。
寧ろみっともなくニヤケてるし。
「いや、何てぇの?台詞と言うか行動と言うか
今の姿と言うか?
もう一体どれに萌えたらいいのか銀さん迷っちゃう」
いやん。と体をくねらせて告げる銀時に、新八の目は益々
温度を下げていく。
「寧ろそのまま迷子になって帰ってこないで下さい」
いいからさっさと着替えて来いっ!と銀時の背中を蹴り、
居間へと押し出した。
「銀さ~ん、着替え判りました?」
買ってきたものを台所へと置き、新八はタオルを片手に
居間へと戻ってきた。
「オマエね、銀さんを何歳だと思ってんの?」
その奥の和室で、銀時が上半身だけ裸になった状態で
呆れた顔を見せ、渡されたタオルを受け取った。
それに新八は苦笑する。
「だって銀さん、朝も僕に任せっきりじゃないですか」
「あれはただ単に甘えてるだけですぅ。」
「いや、それこそ本当に何歳気取りだよ」
全く・・・と、新八はタオルで体を拭く銀時の足元に
脱ぎ散らかされた着物を拾っていく。
そしてそれらを抱え、銀時に確り拭く様に告げると
再び新八は和室を後にしようとした。
「ってちょっと待て」
だが、そんな新八の襟首を銀時が掴んで止める。
「何ですか?」
後ろ襟を捕まれた新八は、キョトンとした顔で振り向き、
銀時の行動に首を傾げた。
そんな新八の行動に、銀時は僅かに眉を顰める。
「何ですか?じゃねぇよ。
オマエだって濡れてんじゃん」
そう言ってそれまで体を拭いていたタオルを新八の頭に被せる。
頭はそれ程濡れていないものの、着物はやっぱり濡れていて冷たい。
その感触に、ますます銀時は眉を顰めた。
「さっさと着替えねぇと風邪ひくだろうが」
「僕は大丈夫ですよ。それよりも買って来た物を
冷蔵庫に入れないと・・・」
体を銀時の方向へと向けられ、ワシャワシャとタオルで
拭かれていく新八が告げるが、銀時はお構い無しだ。
「少しぐらい置いといたって腐りゃしねぇよ。
いいから着替えた着替えた。
なんなら銀さんが着替えさせてやろうか?」
ニヤリと良くない笑みを浮かべられ、新八はフルフルと
頭を振った。
「んだよ、遠慮すんなって」
「いえ、全力で遠慮します」
「・・・ケチ」
「や、なんで!?」
「仕方ねぇ。ならせめて着替え出してやらぁ」
その間ちゃんと体拭いとけ。銀時はそう言うと新八の頭を
一撫でし、箪笥へと体を向けた。
ゴソゴソと箪笥の中を漁る銀時に、少しだけ新八の
心がほっこりする。
何だかんだ言って優しいんだよね、銀さん。
・・・ちょっとセクハラ気味だけど。
渡されたタオルの温もりと、銀時の優しさに
頬を緩ませていると、銀時からホイと着替えが手渡された。
・・・のだが。
「・・・なんですか、コレ」
手渡されたのはどう見てもナース服で。
「何って・・・着替え?」
「じゃねぇよ!
何でこんなの持ってんですか!?」
思わず銀時に向って放り投げると、軽々とキャッチされ
再び差し出された。
「馬鹿ヤロー、万事屋舐めんなよ?
ナースだろうがセーラーだろうが
何でも揃ってんだってぇの。
ちなみに新八にジャストサイズだから安心しろ」
「安心所か不安だらけだよ!
なんで僕指定なんですかっ!
ってかそっちこそ仕事舐めんな!?」
大体僕、着替え置いてあるでしょ!そう言うと銀時は
え~。と唇を尖らせた。
「オマエちょっとは空気読めよ。
こんなシチュエーション、使わない手はなくね?」
「そっちこそ空気読めよ。
ちょっと絆されそうになった僕の純情を
どうしてくれるんですか!?」
「え、マジでか!?
ならなおの事美味しく戴きますっ!」
「粉砕したわ、そんなのぉぉ!!!」
「じゃあ、せめて俺の着流しで」
そう言って銀時は自分の着替え用に出していた着流しと
ナース服を新八へと差し出してきた。
「ちなみにそれも嫌だってんなら、
残るは裸割烹着しかねぇからな?」
再びよくない笑顔を向ける銀時に、これからは例えどれだけ降水確率が
低くても傘だけは持ち歩こう。
序に銀さんは叩き潰そう。それも今すぐ。
・・・と固く誓った新八であった。
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坂田が変態なのは基本装備で。