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ほら、よくあるじゃん?
街歩いてっと、アンケートだの勧誘だのって
声かけてくるヤツ。
銀さんなんてさ、なんつうの?
人の良さが滲み出てるっつうか湧き出てる感じじゃん?
だからよく声かけられんだよ。
やだね~、人の良いトコに漬け込みやがってよ。
無碍に出来ねぇっての、本当。
まぁ足蹴にはすんだけどよ。
ま、そう言う事で本日も捕まってしまって
こんな時間になってしまいました。
別にパチンコ屋に吸い込まれてた訳じゃありません。
そろそろ良い子は眠りに付く時間。
ちょっと出掛けて来ると言って昼過ぎに出て行った俺は
素直に遅くなった理由を言ったのに、目の前の新八は
「なら財布だしてみろ」
と笑顔で返してきました。
・・・あれ?どこでバレたんだ?
とりあえず、『僅かしかない』と『全くない』のでは、
些細なようでとてつもなく大きな差があるので
なんとか誤魔化そうとしたのだが、
『後ろめたい俺』と『本気主婦モードな新八』の
力の差もとてつもなく大きかったようだ。
気が付けば仁王立ちしている新八の前で、正座をしていた。
・・・あれ?
俺って白夜叉とか言われてなかったっけ?
「全く、どうせ勝てないんだからやんなきゃいいのに」
深々と溜息を付き説教を終えた新八に、俺は軽く肩を回しながら
正座を崩した。
「んだよ、そんなのやってみなきゃ判らねぇだろうが。」
「やらなくても判ります。
じゃなきゃパチンコ屋さんはやっていけません」
そりゃそうだ。
思わず納得しかけるが、イヤイヤイヤと頭を振る。
だってあの箱を積み上げた後の優越感と幸せ度は
やってるヤツにしか判らねぇ。
それが例え、稀にしかないとしても・・・だ。
過去、数回あったその幸せな光景を思い出し、
序にふと今日あった事も思い出した。
「そう言やぁ今日、俺の幸せを祈らせてくれって
言うのに捕まったんだけどよ」
そう言うと、新八は大きな目を更に丸くした。
「え、それ本当だったんですか!?」
「ウソをつく時は、ほんの少しの真実を交えた方が
バレないものなのだよ、新八君」
「や、バレバレでしたけどね。
っつうかそんな自慢げに言う事でもないですけどね」
で、銀さんはどうしたんですか?と聞いてくるので、
「他人に祈って貰って得られるほど、
俺の幸せは容易いもんじゃねぇって言っといた」
と答えたら、銀さんらしいですね。とやんわり笑われた。
・・・やべ、俺超幸せ。
「でも僕だったら、何も言えず祈られちゃいそうです」
どうやら完全に怒りは解けたらしい。
苦笑しつつお茶を入れてくれる新八に、俺は立ち上がって
ソファに腰を下ろした。
「あ~、オマエそう言うの弱そうだもんな。
押し売りには強いけど。
ってか別に『今すっごく幸せだから間に合ってます』って
言えばいいんじゃね?」
事実そうだろ?淹れて貰ったお茶を一口飲み、そう問い掛ける。
すると新八は一瞬キョトリと目を丸くし、次ににっこりと
口元を上げた。
「そうですね~、現に今日のおかず盗られたりとかしましたけど、
それは帰って来るだろうと思って用意していた
人の分を貰ったんで大丈夫でしたし。
毎日の事で言うと・・・掃除をする端から
汚しまくってくれる人達が居るんで
やりがいはありますし、
少ない生活費で遣り繰りしてるんで、計算能力と
家事能力が格段に上がりましたし・・・
まぁこれは現在進行形で予定外の出費を
ガンガンしてくれるので
本当、鰻上りなんですけどね。
それになんか声量も上がったし・・・あ、何故か血圧も上がった気がしますけどね。
でも体力も上がった気がしますし、打たれ強くなったような
気もしますし・・・いいんじゃないですか?
全体的に。
人間諦めも肝心ですし。
本当、これ以上の幸せを祈る程度で貰えるとは
とても思えませんね」
ねぇ、銀さん。
そう言って笑う新八は・・・何故だろう
とても怖かった。
思わず固まれば、クスリと笑う気配が。
「なんてウソですよ。」
笑いながらそう言う新八に、俺は心底胸を撫で下ろした。
ちょ、オマふざけんなよ。
銀さん真剣に泣きそうになったじゃねぇか。
そう文句を言えば、
「ウソをつく時は少しの真実を混ぜればいいんでしょ?
・・・まぁ少しなんかじゃないですけど」
なんて言い返してきやがった。
本当、なんかすんません。
・・・て待てよ?ウソってどの部分がウソだったんだ?
もしかして幸せじゃねぇのか!?
まぁさっきので心底幸せって言うのも
どんだけMなんだって話になんだけどなっ!
慌ててそう聞けば、新八は呆れた顔を俺に寄越した。
「何言ってんですか。
アンタ達と一緒に居て、幸せじゃない訳ないでしょう?」
・・・多分、今夜俺は幸せすぎて死ねる。
*******
偶にはうっかりしてみる。
「なんでこんな暑いアルカ~」
「それは今が夏だからだよ」
「でもみぃちゃん家は涼しかったアル」
「それはエアコンがあったからだよ、きっと」
「じゃあウチもエアコン買うアル」
「・・・夏は暑いもんなんだよ、神楽くん」
「って、暑苦しいなぁ、オイ」
少しはシャキッとしなさい!なんて声が背後から聞こえてきて、
それまで扇風機を奪い合いながらグダグダ言い合っていた俺と神楽は、
のっそりと顔を向けた。
見ればハタキ片手に腕まくりをしている新八の姿が。
よし、夏万歳。
「仕方ないネ、新八。暑いんだから見苦しくもなるヨ。
見てみるネ。銀ちゃんなんか、暑くて鼻の下がデロッデロに
伸びきってるアル。
切断してこいよ、もう」
「ちょ、神楽ちゃんんんん!!?
怖いんだけど。
暑い筈なのに一瞬背筋がひんやりしたんだけどぉぉ!?
涼しくて良かったけどね!
ってか伸びてねぇよ、そんなに!
見てみ?ちゃんと見てみ!?何時ものすっきり爽やかな
銀さんのフェイスがあるからぁぁ!!」
なぁ、新八!!そう言って視線を向ければ、返ってきたのは冷ややかな笑顔。
・・・あれ?今って夏だったよね?
「すみません、陽炎で全く見えません。
でも本当、毎日暑いですよね~。」
何時まで続くんだろ。と、新八は片手で顔を仰ぎながらそうぼやく。
「確かに。何時まで続くんだろうな~、この暑さ。
もうこうなったらパフェでも食べて体の中から涼を取るしか
なくね?」
「その前に体の中から血液抜き取ってきて下さい。
確実に涼しくなりますよ?こう、意識がなくなる程」
「あれ?それ死んでね?」
「暑苦しいのがいない&冷えた体で涼を取る。
一石二鳥ネ!」
「おぉぉぉいっ!
笑顔でサラッと言ってんじゃねぇよ!
めっちゃ心が寒くなったわっ!!!」
「銀ちゃんだけずるいネ。
お詫びに扇風機の占領権を私に寄越すヨロシ」
「え、何この理不尽。
チッキショー、絶対渡さねぇ!」
ってか何でこんな時だけ流暢な日本語ぉぉ!!?
神楽の言葉に怒鳴り返しながら、一生懸命扇風機の前に
体を押し込んでいると、パシリといい音が後頭部で炸裂した。
思わず頭を抱え込んで振り返れば、呆れ顔の新八が。
・・・ちっ、どうせならその可愛い足で
踏んで来いよ。
「アホな事ばっかり言ってないで、さっさと首振りに
して下さいよ。
僕だって当たりたいんですから」
「大丈夫だ。特等席な銀さんの膝があいてっから」
「何が大丈夫なんですか、それの。
ってか暑苦しいって言ってんでしょ!!」
「だからエアコン買お~。
それか銀ちゃんの屍~」
「どんな究極選択ぅぅ!!?」
寧ろオマエがなれっ!とばかりに、扇風機の前と言う
狭い範囲で、再び神楽とのど突き合いが始まる。
それに今度は扇風機を壊されたら堪らない・・・と、
新八まで参戦してきて。
数分後、暴れれば暴れるほど暑くなるのに気付き、
仕方なく首振りにして三人並んで扇風機に当たる事となった。
「あ~、でも本当。エアコン購入真剣に考えましょうか?
家の中でも熱中症になった人、結構居ましたし」
確かそろそろシーズンオフで安くなって来てるはず・・・と、
新八は扇風機の風に前髪を揺らしながら呟いた。
「おぉ!マジでか!?
快適に過ごす為なら私、銀ちゃんの糖分減らしてもいいネ」
「いや、そこは自分の酢昆布を減らせよ。
っつうかエアコン・・・ね~」
確かに、ここの所の暑さで外での作業と言う仕事が幾つかあったから、
一っっっっっ番安いのならなんとかなるかもしれねぇ。
・・・でも・・・
「・・・やっぱ駄目だな。
電気代も掛かるし」
「あ~・・・ですよね~」
きっぱり言えば、新八もある程度予測していたのか
苦笑を浮かべて答えを返してきた。
「んだよぉ、糠喜びさせてんじゃねぇぞ、コラ」
神楽も口ではそう言うものの、然程期待はしていなかったようだ。
今は扇風機に向かって声を出し、一人で遊んでいる。
と言う事で、我が家のエアコン導入はまた遠のいた。
・・・っつうか元々入れる気はねぇけどな。
金がないってのも理由の一つだが・・・
俺はちらりと視線を巡らせる。
少し手を伸ばせば届く距離。
そこに神楽が居て、新八が居て。
こんな状況を作り出してくれる扇風機を
手放せる訳がねぇ。
じんわり滲んでくる汗を感じながら、
俺は今年も扇風機に深く感謝した。
*******
どんな些細な理由も逃しません。
既に恒例となりつつある、万事屋での怪談話。
何時通りの時間帯、何時も通りの面子。
そんな中・・・
「いや~、こんな事してたなんて知らなかったですよ」
「・・・なら知らないままで良かったんじゃね?」
地味なモンが一つ、ニコヤカに増えていた。
「ってか何でテメェまで居んだよ。
来んなよ、帰れよ。序にコイツ連れてけよ」
「無理言わないで下さいよ、旦那。特に最後部分。
それに俺、今休憩時間ですから」
まぁだからこそ隊長を連れ戻すよう言われたんですけど。
そう言う山崎は、暢気に沖田の隣に座ったままお茶をズズッと啜った。
「なら尚更言うとおりにしろよ。
命令だろ?命令優先だろ?」
「それはそうなんですが・・・」
「山崎ぃ、休憩はきちんととんな」
「了解です、隊長」
「優先すべき順番、間違ってね!?」
アホかっ!!と叫ぶ銀時の横で、同じようにお茶を啜っていた
新八が、まぁまぁと苦笑して宥めてくる。
ちなみにその反対側では神楽が座っており、
銀時は二人に挟まれている形になっている。
ので、銀時は早々に諦めの体制に入った。
どうやら色々気に食わない事が盛り沢山だが、それ以上に
今の体勢は幸せらしい。
故に、怒りは然程続かない。
やってられねぇ。とばかりにダラリと背凭れに体を預けた銀時を
横目に、神楽が山崎へと声を掛けた。
「ってか特別に入れてやるから、なんか話せヨ」
「いや、なんかって言われても・・・」
怪談でしょ?そう言い、何かあったかな・・・と、山崎は
天井へと視線を向けた。
そして暫し考えた後、何か思い出したのかポンと軽く手を叩く。
「まぁそんなに怖くはないんだけど・・・」
そう言い、沖田から手渡された懐中電灯を顔の下から照らした。
これは少し前の張り込みの時の話。
「・・・今日も動きはなし・・・か」
夜も更けきった頃、山崎はカーテンを少し開けた部分から、
目的である部屋を見詰めていた。
既にその部屋の人物は眠ったらしく、窓の明かりは消えている。
山崎は深々と息を吐き出し、覗いていた双眼鏡から目を離した。
ここに来て既に一週間、流石にずっと同じ体勢で居る時間が長い為、
肩や腰にくる。
山崎はクルクルと軽く肩を回すと、敷きっぱなしにしている
布団へと腰を下ろした。
大体のサイクルは判ってきているので、今から少しだけ
仮眠が取れる。
それでも一応は・・・と、山崎はカーテンを少し開けたまま、
そちらに向けて体を横たえた。
道を挟んだ向かい側、そこに対象者の部屋がある。
本当なら少し離れていた方がいいのだが、これはこちらが気を付けていれば
いい事だ。
それにここは長い間人が住むことはなく、空き部屋だったと言うので、
無人を装っていれば警戒される事はないだろう。
それにしても・・・と、山崎は窓を眺めながらぼんやり考える。
部屋は角部屋、まだ新しいし、交通の便も買い物もいい。
結構な好条件だと思うのだが、なんでずっと空き部屋だったんだか。
・・・まぁ怪しいヤツがお向かいさんってのがあるけどね。
そんな事を思って小さく笑い、山崎はそのまま暫しの休息を得るべく、
瞳を閉じたのだった。
眠りに落ちてどれだけ経ったのか、不意に山崎の意識が浮上した。
何か変な感じがしたのだ。
「・・・何だ?」
まだぼんやりする頭で、それでも窓の向こうに視線をやる。
すると、少しだけ開いているカーテンの隙間に、白いものが見えた。
山崎は一瞬にして目を覚まし、慌てて体を起こそうとし・・・
ピタリと動きを止めた。
最初、対象者に動きがあったと思ったのだ。
窓の向こうはまだ暗くて、対象者の部屋は真向かいだ。
そんな中、白いものが見えたのだから、明かりがついたとか
そう言ったものだと思ったのだ。
と言うか、それ以外考えられないだろう。
だってここは角部屋で。
直ぐ前は道になっていて。
しかも部屋の位置は三階で。
おまけにベランダもない窓なのだ、そこは。
なのに・・・
固まる山崎の視線の先。
そこには、カーテンの隙間から大きな目が
こちらをじっと見下ろしていた。
「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!!!!」
ボソリと言いおわった後、間を挟む間もなく叫び声が響いた。
言うまでもなく、銀時だ。
そんな銀時に、山崎が大袈裟だなぁ、なんて苦笑する。
「そんなに怖くなかったでしょ?
ただ見られてただけですし」
ねぇ。山崎はそう言って新八達に話を振った。
「そうですよ、全く銀さんってば怖がりなんですから」
「怖がりってなんだよっ!
違うから、そんなんじゃないから」
「なら離して下さい、手」
「そうネ、汗ベトベトで気持ち悪いヨ」
「うるせぇよ!暑いんだから仕方ねぇだろ!?
ってかなんでそんなに平然としてんだよ、お前らっ!!」
銀時は嫌がる新八達の手を握ったまま、そう力説する。
それに沖田はフルフルと緩く首を振った。
「判ってねぇですねィ、旦那ァ。
どうせその目は『様子を見に来た近藤さんか土方さん』って
オチがついてんですから、怖がる必要ねぇでさァ」
「そうそう、もうオチが読めてきたネ」
「マジでか。
んだよ、態々雰囲気作ってやって損したぜ」
「なら離して下さい、手」
ギャアギャアと騒ぎ出す銀時達に、山崎はコトンと首を傾げた。
「局長達じゃないですよ?」
「「「「・・・へ?」」」」
山崎の言葉に、銀時達は間抜けた顔を向けた。
そんな四人に、山崎は笑顔でその時の状況を説明する。
「その日は偶々上の連中に呼び出されてて、しかも
次の日もまた早くから呼び出されてるとかで、
そこから近かったその部屋に来てたんですよ、二人とも。
だからその時は既に横になってましたね。
第一大きさ的に人じゃなかったですよ、アレは」
やだなぁ、もう。そう言って笑う山崎に、銀時達の顔色が
悪くなっていく。
「え・・・じゃあ今の本当の怪談・・・」
「ん?そうだよ?だって怪談大会なんでしょ?」
まぁ怪談って言うか実体験なんだけど。
あくまで笑ってそう告げてくる山崎に、
今度は四人分の悲鳴が万事屋内に響いたのであった。
偶にはオチのないものでも・・・(笑)
まだまだ熱いバサラ熱。
とりあえず全員一回はEDを見て、後は恒例のお楽しみ武器を
せっせと出しています。
ってか今回もお楽しみ武器、半端ねぇ。
KGの傘がとても普通に見えました(笑)
で、思った事・・・多分今回の真の主人公はKGです(コラ)
そしてアニバサのヒロインもKGです。(真剣)
だってあのED!!!!
ゲームといい、アニメといい、報われすぎてて後が怖いです(←不幸慣れ)
以下、拍手お返事
狸御殿様
何時も拍手&ご感想有難うございますvv
ってか毒をもって毒を制すってvv
その通り過ぎて大笑いです(笑)
そして人身御供な新ちゃんが合いすぎてて身もだえモノですよ~vv
毎日万事屋に出勤する姿が、まさにそれですよね。
世界平和は新ちゃんに掛かっております(笑)
おっきい手でワシワシするの、萌えますよね~vv
しかも鷲掴みとかvv掴まれた頭のちっささも際立って、
余計萌え萌えしてしまいますvv
賛同頂けてよかった~v新たな扉、ドンドン開けていきましょう!
私も追いかけていきます!(コラ)
ポンポンと軽く手を乗せれば、まるで誂えた様にしっくりと
自分の手に馴染む。
・・・これ、本当は俺のモンじゃね?
「あ~、またこんな所に脱ぎっぱなしにしてっ!」
昨日呑んだ酒に浸りながらまったり朝寝を決め込んでいたら、
昼の少し前に我が家のオカンに叩き起こされてしまった。
流石に昼までってのは許されなかったらしい。
ズキズキと痛む頭を抱え、これ以上怒らせる前に・・・と
なんとか体を起こせば・・・少し遅かった。
昨日寝る前に脱ぎ散らかしてそのままにしてあった服が
見つかってしまったのだ。
・・・いや、確かに言われてたけどね?
脱いだものは洗濯機に入れろって何度も言われてるけどね。
でもよ、この場合ちゃんと着替えて寝た事を
まず褒めてくれ。
なんて俺の些細な願いは叶わず、新たな怒りのツボ・着物のシミを
見つけてしまった新八は、ギロリと俺の前で仁王立ちした。
あぁ・・・その冷たい視線が
俺に新しい世界への扉を開かせる。
・・・て、ヤバイヤバイ。
落ち着け、俺。思い出せ、ドS精神。
でもその冷たい視線もツボ過ぎる。
ドキドキと高鳴る心臓を押さえつつ、俺はゆっくりと
腰を上げた。
そしてキャンキャンとお小言を始めた新八の頭にポンと手を乗せ、
序にワシャワシャとその柔らかい頭をかき混ぜる。
「ちょ、やめて下さいよ。ってか聞いてるんですかっ!?」
「あ~、はいはい、聞いてるよ~。
何時もあんがとね~」
そう言い、最後に軽く数回叩いて新八の頭から手を離し、
そのまま洗面所へと足を向けた。
・・・よし、なんとか新たな世界には旅立たなかったぞ。
・・・ってかいいよなぁ、アレ。
顔を洗い、何だかんだ言って用意してくれた朝兼昼食を
食べ終わった後、まったりとソファに座ったまま、
隣でテレビを見ている新八の顔を盗み見る。
何時でも背筋をぴしっと伸ばしている新八なので、
背凭れに体を預けまくっている俺から見れば、
丸っこい後頭部もばっちり見えていて。
・・・いいよなぁ、本当。
つい、手が伸びてしまう。
「何ですか?」
突然の感触に驚いたのか、一瞬肩を竦めた新八が
不審げに俺へと視線を向けてくる。
それに ん~。 と適当に返事をし、俺は伸ばした手の先の
感触に神経を集中させた。
サラリとした手触り。
手に馴染む丸い感触。
あぁ・・・やっぱりいいな、コレ。
なでなでと新八の頭をひたすら撫でる。
「・・・楽しいですか、それ」
そんな俺に、不審げなままの視線を投げかけながら、新八が
問い掛ける。
「結構」
即答で答えれば、返ってきたのは深々とした溜息。
失礼なヤツだな、コノヤロー。
まぁ自分では判らないかも知れないが、こいつの頭は心地が良い。
なんと言うかこう・・・しっくり俺の手に馴染むのだ。
・・・ってか俺の手にはまるとか、ちんまくね、コレ。
サラサラと流れる髪をかき上げながら、新八の後頭部の形を確かめる。
おぉ、凄い。掴めるぞ、コレ。
何か力入れたらそのままグワシャと潰れそうだ。
や、しねぇけどよ、そんな事。
だってこれは慈しむべき物体だ。
寧ろ癒し的存在だ。
まぁ新八自体がそれなんだけどよ。
もう何つぅの?触ってるだけで元気になるっつうか?
あ、一部じゃなくて全体な。
そこはちゃんと言っとくから。
そんな即物的なもんじゃないから、銀さん。
まぁ全体って言ってんだから、
そこも含まれてんだけどな。
あぁ、でもさっきまでズキズキしていた頭も、
今じゃピンク色に染まってホンワカ幸せ気分だ。
半分が優しさで出来てるもんなんか目じゃねぇな。
ALL新八は半端ねぇ。
でもよ・・・いいのかコレ。
頭って大事じゃなかったっけ?
なのにこんな剥き出しで大丈夫なのか!?
俺みたいにワサッと吸収材系にしなくていいのか、
この髪の毛!
あぁ、でもこのサラサラした髪の感触も気に入ってるしなぁ・・・
さて、新八の頭を守る為にはどうすればいいのだろう。
俺はフワフワしている脳で一生懸命考えた。
結果・・・
「・・・何してんですか、銀さん」
冷たい声音で新八が問い掛けてくる。
きっと表情も、俺が新たな世界の扉を勢い良く開きたくなる
ぐらいの冷たさをしているのだろう。
止めてくれ、今じゃその新たな世界への扉は
自動ドア並みの簡単オープンだ。
まぁ今は声だけだからまだ大丈夫だろう。と、俺は
抱き締めている新八の頭に頬擦りをした。
そう、大事な大事な新八の頭は、今は俺の腕の中だ。
これならちんまい新八の頭を何からも守れるし、
何より俺が気持ち良い。
まさに一石二鳥!
やっべ、今日の俺、滅茶苦茶冴えてる。
スリスリと頬擦りし、俺は体全体で幸せを満喫した。
・・・ってかこれだけしっくり腕の中にはまるんだから、
頭だけじゃなく、新八そのものが俺のもんじゃね?
*******
何ものからも守れますが、坂田からは守れてません(←一番の悪)