忍者ブログ
銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



「もういいです!」

そう言ってこちらに背を向けてしまった新八に、銀時は漸く、それまで
止まらなかった自分の口を閉ざした。

あ~・・・やっちまったなぁ、おい。

向けられた小さな背中に、銀時は少し罪悪感を感じながら、居心地悪そうに
頭を掻いた。

始まりは何時も交わされている会話からだった筈だ。
新八からのお小言は既に日常会話の内だ。
その中には銀時の体を心配しているが故に・・・と言うのも含まれており、
なんだかこそばゆいものがある。
で、照れ隠しに反抗なんぞしてみるのだが・・・それが今日は
調子に乗りすぎてしまったようである。
反抗に反抗、文句に文句が重なり、何時の間にやら罵詈雑言の嵐。

結果、幾らツッコミ役を担っていると言っても、まだまだ人生経験の浅い
新八が銀時に口で適う訳もなく・・・
今現在の状況へと繋がってしまったのであった。

さて・・・どうしたもんか・・・

自分が悪いのは判っている。
判ってはいるが、素直に謝れる程素直な性格でも年齢でもない訳で。

銀時はただじっと目の前の背中を見詰めるしかなかった。

・・・あ、赤くなってる。

背中を向けられている為、自然と目に入る新八の首は、怒りの為か
ほんのりと赤みが差しており、怒りの度合いが判ると言うもので。

・・・んなに成る程怒んなくてもいいじゃねぇか。
俺の口が悪い事なんざ、とうに知ってるだろうが。

そう文句を心の中で呟きつつも、視線は首筋に縫い付けられたまま離れず、
銀時の中でとある欲求が湧き上がり始める。

本当にさ・・・なんでこうすれ違うかね。
俺の言葉が足りないのが悪いんだろうけどよ、仕方ねぇじゃん。
こんな状況、知らねぇんだもんよ。
こんなに近しいヤツ、持った事ねぇんだもんよ。
あぁ、本当。オマエと一つだったらいいのに。
その赤みの差してる首筋に齧りついて、肉を食らって、血を啜って。
全てを取り込んだら、こんなすれ違いはなくなるんだろうか。

新八の全てを 俺のものにすれば。


それは以前からあった想い。

けれど本当にそんな事が出来る筈もなく、我慢をしてきたのだけれど・・・

こう無防備に向けられると・・・ねぇ。

つい伸ばしそうになってしまう手を感じながら、ただ見詰めていると
その背中が小さく動き、

「・・・僕、今日はもう帰ります」

と、告げられた。
どうやら無言のままの銀時に、謝罪の言葉を諦めた様である。
それと同時に目の前から離れようとする背中に、銀時は慌てて手を伸ばし、

 

 

    ガブリ

 

 

・・・序に口も出してしまった。

「いっっっっ!!!!」

突然の痛みに振り返る新八、その視線の先には あっ と自分のした事に
驚いている銀時の顔があり、

「~っにすんだコノヤロー!!!」

新八は怒りに導かれるまま、握った拳を銀髪へと振り下ろした。

 


「何考えてんですか、アンタ!!」

殴られた頭を撫でながら肩を落としている銀時に、新八は腰に手を当て、
怒りを顕にしていた。

「いや、何考えてって・・・」

言ったらオマエ引くもん。最後の部分を濁してそう答えると、新八は
大きく溜息をついた。

「口喧嘩に本当に口出してどうすんですか、もう」

そう言いながら銀時に噛まれた首筋に手をやると、ぬらりとした感触が感じられ、
新八の眉間には深い皺が刻まれた。
それでも一応確認の為・・・と、当てた手を見てみれば、そこには
少量ではあるが、確かに血が着いており、

「うわ~、血が出てますよ。アンタ、手加減って言葉知ってます?」

じっとりとした目で銀時を睨み付けた。
銀時はと言うと、口の中に微かに広がる鉄の味に、既に新八の首から
血が出てるのを知っていたが、改めてその自分よりも小さな手に着いた
新八の血を見、先程とは比較にならないほどの罪悪感に襲われていた。

「・・・わりぃ」

そう呟き肩を落とす銀時に、新八は一瞬目を見開くが、直ぐに苦笑へと
表情を変える。

「いいですよ、僕も言い過ぎましたし。ごめんなさい、銀さん」

新八からそう言われはしたものの、銀時の中の罪悪感は中々晴れず、
痛いか? と問い掛けた。

それに対し新八は、たいした事ないですよ。 と答えつつ、再びその傷口
に手を当てようとした。

「馬鹿、あんま触んな」

そう言って新八の手を止め、傷の具合を見る為にその首筋を覗き込んだ。

見れば確りと歯型はついているものの、出血は止まっており、銀時はホッと
胸を撫で下ろした。

「どんな感じですか?」

前から抱き締めるように新八の項部分を覗き込んでいる為、
銀時の直ぐ横で新八の声が聞こえてくる。
その感触に少しだけ肩を竦ませながらも、銀時は傷の具合を伝えた。

「なら大丈夫ですね」

「ん~、でも血が着いてる」

「思いっきり齧られましたからね」

誰かさんに。茶化すように言う新八に、銀時はもう一度謝罪の言葉を
口にする。

そして目にするは、白く細い首筋に着いた赤い血。

確かに自分はそれを望んでいた、欲していた。
けれどそれはこの身に取り込みたいという欲求で。
一つになりたいと言う願望で。

でも実際目にしてみれば、そんな欲求など吹き飛んでしまって。


この首に血は似合わない と。

血を纏う新八は見たくない と、そう思ってしまって。

銀時は少しでも早くその血を拭い去ろうと、新八の首筋に舌を這わせた。

「ちょっ!銀さん!!?」

何やってんですか!!と叫ぶ新八に、銀時は 消毒で~す。 と簡潔に答えると
熱心にその血を舐め取り始めた。

「消毒って・・・馬鹿ですか、アンタは!!」

「いや、だって銀さんのせいだし、銀さんが出させた訳だし」

首筋に感じる銀時の舌の感触に、新八はなんとか逃げ出そうと身を捩るが
直ぐに銀時の力強い腕によって抱き締められ、それを阻止された。

その腕の力に、どうやっても逃げれないのを感じて新八は諦めとともに
身体の力を抜いた。

新八が逃げない事を感じ取った銀時は、更に丹念にその血を舐め取る事に
集中し始める。
すると、その感触が擽ったいのか、時折新八が肩を竦めた。
そして耳元に落ちてくる小さな笑い声。

「銀さん、犬みたい」

そう言ってクスクスと笑う新八に、銀時は少しだけ泣きそうになった。

 

 

 

 

 

 


「って事で、あいつを食うのは止めにする」

あ、でも別の意味では食うけど、絶対。そう宣言して団子を口にする銀時に、
話を聞き終わった(と言うか無理矢理聞かされた)桂は盛大な溜息を吐いた。

「オマエは何をやってるんだ・・・」

「団子食ってんだよ」

それは見れば判る!と言うか食うな、俺の団子だろうが!!」

一休み・・・と寄った団子屋の前で銀時に見つかり、気が付けばそんな話を
聞かされ、おまけに団子まで奪われて・・・

人の話は聞かないくせに、なんでこういう時だけ現れるのだろう、この男は。

怒りも顕に睨み付ける桂などお構いなしに、銀時の話は続く。

「やっぱアイツは居なきゃダメだ。
俺の傍に居なきゃダメだ。」

アイツの血を見た時、マジでゾッとしたもんなぁ。と、自分のした事を
棚上げして呟く銀時に、桂はフッと笑いを零した。

確かに、あの少年に血は似合わないだろう。

そして、今の銀時の傍にあの少年が居ないというのも・・・

桂はそこまで思い、ふと頭を過ぎった疑問を口にした。
それに銀時は僅かに目を開くと、


「ん~、甘かったとか美味しかった・・・と言うより・・・
愛しかったな、アイツの血は」


でもあの時のだけで、もう十分だ。

そう答えて、満足そうに笑みを深めた。

*****************
銀新十題の「知らないこと」の続編。
ちょい病みから少しだけまともになりました(笑)

拍手[3回]

PR


「明日は家に帰りますね」

もう寝るだけとなった時間帯、ソファに座った新八が隣に座って
ガーゼに薬を塗りこんでいる銀時に向けて告げた。

なんでも捻挫に良く効くとかで、銀時が何処かから調達してきたのだ。
他にも新八の代わりに家事をしてくれたり・・・

幾ら銀時の不注意で負ってしまった怪我だとしても、自分にだって
責任があるのだ。

薬や家事を代わってくれるのは有難いが、流石に家の中の移動まで
抱きかかえられるのはどうか・・・と断るのだが、銀時はそれを許さなかった。

『俺のせいだろ?』

だから世話させろ。真剣な表情でそう言われれば、強固に断るのも気が引け、
これで少しでも銀さんの気持ちが晴れるのなら・・・と、
結局銀時のやりたいようにやらせていた。

意外と世話好きなのかな?

新八は、自分の世話を少し楽しそうにやっていた銀時を思い出し、
クスリと笑った。
今だって自分で出来るのに、甲斐甲斐しく包帯を交換をしてくれようとしている。

けれど、そうやって世話になるのもそろそろ終わらせなければ。
万事屋に泊まる様になって既に四日。
さほど酷くもなかった捻挫は、腫れも引いてそんなに痛みもない。

「・・・まだ居た方がよくね?」

そう思っていると、クスリを塗り終えた銀時がソファから下り、新八の足元に
跪いてポツリと呟いた。
そしてそっと新八の足を持つと、自分の座り込んだ膝の上に置き、優しく
ガーゼを当てる。

冷たい感触に、一瞬ピクリと足を動かすが、直ぐに銀時の大きな手で
優しく撫でられ、新八は入ってしまった身体の力を抜いた。

「大丈夫ですよ、もう。それに・・・」

ゆっくりと撫でられ続けるそれに、新八は自分の頬が熱を持っていくのを
自覚した。

「・・・あんまり甘やかされると、癖になっちゃうし・・・」

俯き、恥ずかしそうにそう告げる新八に、銀時の眉尻が少しだけ上がる。
そしてそれまでよりも殊更優しく、新八の足首を撫でた。

「ば~か、癖になって困るのは捻挫の方だろうが」

そう言って銀時は傍らに置いてあった包帯に手を伸ばし、丁寧に巻いていく。


なんてな、俺は困んないんだけど。
大体怪我させたの、俺だし。
って言うか治るの早くね?折角関係ねぇ薬塗ってたってのによぉ。


腫れの引いてしまった新八の足を、忌々しげに睨む銀時。
それに気づかず、新八は でも・・・ と、帰宅の意思を告げてくる。

銀時は尖りそうになる声を抑え、

「完治するまで居ればいいさ。で、もし癖になったとしても、
銀さん的には全然OKよぉ~」

銀さんの器の大きさを舐めんなよ。そう茶化すように言う銀時に、新八は
笑いを零す。

「そんな事言ったら、図に乗りますよ」

「お~、乗れ乗れ。乗りまくりやがれってんだ、コノヤロー」

なんですか、それ。笑う新八に、銀時は適当に返事をしながら、
丁寧に丁寧に、気を抜けば折ってしまいそうになる細い足首を
気にしつつ、包帯を巻きつけていく。


癖になれよ。

甘えて、甘やかされて。

俺がいないとどうしようもないぐらいに。

癖になれよ。

捻って、捻られて。

ドコにも行けないほど、酷くなれ。



俺がオマエを壊し始める前に。


 

「・・・癖になっちまえよ、なぁ?」

ポツリと呟き、銀時はゆったりと口元を上げて、愛しげに包帯の巻かれた
新八の足を撫で上げた。

*****************
『ちょい病み銀さん』を気に入ってくれた団子様へv

拍手[6回]


 

夜も更けた頃、万事屋のソファに座っていた新八は、本日数え切れない
程吐いた溜息の数を、また一つ増やしていた。

本来ならば、今頃は家に帰って、明日に控えているお通ちゃんのライブの為の
準備に忙しかった筈だ。

DVDやCDで曲のお浚いをしたり、発声練習・・・は近所迷惑になるから
布団に潜り込んで。
鉢巻やハッピはもう数日前から準備してあるからいいとして・・・
あ、新しい団扇を作ってそのままにしてたから、忘れないように・・・
って、もう必要ないんだったっけ。

予定していた今夜の予定を思い出し、新八がもう一つ、溜息の数を
増やそうとしたその時、銀時が濡れた髪をタオルで拭きながら
居間へと入ってきた。

「おっまたせ~、新ちゃん」

「銀さん・・・」

「さ、寝よっか」

銀時は拭いていたタオルを肩に掛けると、新八の座るソファまで来て
その体をヒョイと抱え上げた。

「ぅわっ!ちょっ、何すんですか!!」

突然の事に驚き、新八が暴れるが、銀時はそれを無視して布団が敷いてある
和室へと足を向けた。

「もっ、一人で歩けますから!」

「ダメですぅ~。そんな足で歩かせられません」

クイッと顎で指された場所には、白い包帯が巻かれており、新八はグッと
言葉を詰まらせた。

「それに銀さんのせいだからねぇ。オマエは黙って世話されてなさい」

滅多にないよぉ、こんな事。ドコか楽しそうにそう言う銀時に、
新八はまた一つ溜息の数を増やした。


こうなってしまったのは数時間前。
準備の為、今日は早く帰らして欲しいと告げ、序に前々から言ってあった
明日の休みの事を確認すると、新八は万事屋を後にしようとした。

その時、銀時はデスクの椅子に座り、ダラダラとジャ○プを読んで
新八を見送っていて、些か明日の万事屋(特に食事方面)に不安を
覚えたのだが、もし何かあっても被害を被るのはその場に居る
銀時だ・・・と自分に言い聞かせ、今度こそその場を後にした。

そして階段を降りている途中で先程締めた筈の玄関が開く音と、自分の名を
呼ぶ声を聞き、新八は立ち止まって振り返った。

その瞬間、急いで降りてきたらしい銀時とぶつかり、階段から
落ちてしまったのだ。



 

「本当、悪かったな」

抱えていた新八を布団の上に下ろし、銀時は優しい手つきで包帯の巻かれている
新八の足首を撫でた。

「別にいいですよ。途中で止まってた僕も悪かったんですし」

それに落ちたって言っても、数段でしたしね。そう言って新八は
力なく笑った。

ただ、お通ちゃんのライブに行けないのが辛いだけで。

怪我と言っても軽い捻挫だったので、新八はそのまま帰ろうとしたのだ。
そして予定通り、お通ちゃんのライブにも行こうとしていたのだが、
それを銀時が止めた。

銀時曰く、小さな怪我だろうと軽く見るな。・・・と言う事らしい。

少しだけ、なら自分はどうだ。と言い返したかったが、真剣な表情の
銀時に、新八は負けたのだった。

「だから気にしないで下さい」

アンタらしくないですよ。新八はそう言って銀時の肩に掛けられていた
タオルを手に取り、まだ濡れている髪を拭き始めた。
それに銀時は黙って俯き、少しでも新八が拭きやすいような体勢を取る。

「銀さん、滅茶苦茶お世話すっから。もうトイレでもお風呂でも
ドコでも連れてってお世話すっから。仕事休んで」

「いや、仕事はして下さいよ。てか、そこら辺は遠慮して下さい」

笑う新八に、銀時の頬も緩む。

「本当、いいですからね。大体ワザとじゃないんですし」

銀時を慰めようと言葉を続ける新八だが、それに対して銀時の返事はない。
相当堪えてるのかな?と思いつつ、そのまま続ける。

「そう言えばあの時なんで急いでたんですか?」

何か用でした?拭いていたタオルを取り、髪の乾き具合を確認しながら
新八が問い掛けると、あ~ と銀時が唸る。

「銀さん?」

「あ~、なんかあったと思うんだが・・・忘れた」

新八が落ちたショックと共に。顔を上げ、何時ものように何を考えているか
判らない表情を新八に向けた。
それに新八は一瞬目を丸くすると大きく息を吐き、次にクスクスと
笑い出した。

「なんですか、それ」

「本当、なんなんでしょうねぇ」

「いや、アンタが言うなよ」

乾いた髪を一つ撫で、新八は もう寝ましょ。 と布団の中へと体を入れた。
銀時もそれに一つ頷くと、隣に敷いてある自分の布団の中へと潜り込んだ。

「おやすみなさい、銀さん」

「おぅ、お休み」

言葉を交わして部屋の電気を消す。

暫くすると、新八の寝息が聞こえ始め、銀時はゆっくりと体を起こした。
そして新八の方へと体を屈め、寝ているのを確認する。

寝つきのいい新八は、本当にもう眠りの国に居るようだ。
銀時は新八の顔近くに肘を着くと、性格を現しているかの様な真っ直ぐな髪を
一房手に取り、その感触を楽しんだ。

「オマエ、本当素直な。銀さんが無意味にオマエに怪我させるなんて
ある訳ねぇじゃん。」

ワザとでごめんなぁ。その分しっかりお世話すっからよ。
クスリと笑い、銀時は新八のまるっこい額にそっと唇を落とした。

*******************
ちょっと病み銀。

拍手[6回]



視線を下ろせばそこには今時珍しい黒い髪。
眼鏡に隠された大きな真っ直ぐな目、生真面目そうな顔。
そしてそれを支えている、白くて細い首。


あぁ、噛り付きたい。

 


『知らないこと』

 


「きっとさ~、すっごく甘いと思うんだよね、アイツの血って」

これよりさ。銀時はそう言うと、食べていた団子の串を小さく振った。
その言葉に、隣に座ってお茶を飲んでいた桂は大きく息を吐いた。

「馬鹿だな。馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、やっぱり馬鹿だ」

「馬鹿って言った方がヅラなんですぅ~」

「ヅラじゃない、桂だ!!と言うか文章として合ってるのか、それは!」

「テメー限定バージョンだから合ってる。・・・って言うか
マジで甘いって、きっと。香りも絶対生臭くねーよ」

いいよな~、吸い尽くしてぇなぁ。と頬杖を付き、幸せそうに言う
銀時に、桂の眉間に皺が寄る。
そんな桂に気付かず、銀時は更に言葉を続けた。

「あのほっそい首に噛り付いてさ、肉を噛み千切って甘い血を啜るんだ。
あぁ、きっと泣くだろうからその涙も舐め取ってよ。
逃げないようにしっかり抱きしめてよ、最後の最後まで吸い付くすんだよ。
んな事出来たら・・・幸せだろうなぁ」

「・・・馬鹿が。誰の血であろうとも変わりはしない。それはオマエも
よく知っている事だろう、銀時。
大体護ると言っていたオマエがそんな物騒な事を言ってどうする。」

険しい顔でそう告げる桂に、銀時は驚いたように目を丸くし、次に
見慣れた何時もの表情に戻る。

「・・・そうか?」

「っ!銀時!!」

「物騒か~・・・そうだな、確かにな。でもよぉ、やっぱり違うと思うんだよ。
だって新八のだぜ?吸えば新八の血が流れてくんだよ、俺の中に」


新八の血が。

新八の命が。

新八が。

 

全て 俺の 中に

全てを 俺の ものに





それは なんて 甘い 誘惑

 


「それって最高に幸せじゃね?」


ニヤリと笑う銀時に、桂の眉間の皺が深まる。

 

だってホラ、きっと今も誰かと居るんだよ、アイツは。

それにホラ、あいつは優しいから誰かの為に怪我とかしちゃうのよ。

そんなのホラ、許せなくね?


「オマエは・・・馬鹿だ」

「・・・失礼なヤツだな~。さっきからそれしか言ってねーぞ、コラ」

やっぱ新八が居ないと会話が弾まねぇな~、駄目だな、本当ツマンねー。
ボヤく銀時に桂の肩が落ちる。

「矛盾してるぞ、銀時。血を全部吸い尽くせば、新八君はもう
ドコにも存在しなくなるんだ」

「マジでか!?あ、そうかチキショー。思いつかんかったぜ、銀さんとも
あろうお方が!!」

どうすっかなー。そう言って頭を抱え込む銀時に、

「・・・やっぱり馬鹿だな」

もっと簡単な方法があるだろうに・・・桂は小さく呟いた。

 

 

噛り付きたいんです、その白い首に。

きっと甘いであろうキミの血を吸い尽くしたいのです。

けれど、その笑顔が見れなくなるのは。

その優しい声で名を呼ばれなくなるのは。

どうしようもなく、イヤなのです。


でも誰かにその笑顔を見せるのも。

誰かの名前を呼ぶのも。

どうしようもなく、イヤなのです。

キミの全てを自分一人のものにしたいのです。
 

でも、どうすればこの気持ちを抑え切れるのか判らなくて。

他の方法を 知らなくて。


あぁ、だから。

今日も キミの首元に 手を 伸ばす。


あぁ、けれども。

今日も その手は 辿り着くことをせず。


護ると言ったのは本当。

噛り付きたいのも本当。


矛盾している 俺の 心

とりあえず 今は まだ

キミの血の味を 俺は 知らない。

***************************************
[銀新十題]さまからお借りしました。
 

拍手[4回]


[1] [2
«  Back :   HOME  
無駄語りご案内
銀魂の新八受け中心、女性向けブログです。 BL、やおいなどの言葉を知らない方、また、知っていて嫌気をを感じる方は、ご注意を。 また、出版社様、原作者様、その他関係者様方とは一切関係ありません。
HN:
太門
性別:
非公開
フリーエリア
ご感想、きりのいい数字等踏まれましたら、お気軽にドウゾ☆
バーコード
ブログ内検索
カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
カウンター
アクセス解析
忍者ブログ [PR]