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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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「もういいです!」

そう言ってこちらに背を向けてしまった新八に、銀時は漸く、それまで
止まらなかった自分の口を閉ざした。

あ~・・・やっちまったなぁ、おい。

向けられた小さな背中に、銀時は少し罪悪感を感じながら、居心地悪そうに
頭を掻いた。

始まりは何時も交わされている会話からだった筈だ。
新八からのお小言は既に日常会話の内だ。
その中には銀時の体を心配しているが故に・・・と言うのも含まれており、
なんだかこそばゆいものがある。
で、照れ隠しに反抗なんぞしてみるのだが・・・それが今日は
調子に乗りすぎてしまったようである。
反抗に反抗、文句に文句が重なり、何時の間にやら罵詈雑言の嵐。

結果、幾らツッコミ役を担っていると言っても、まだまだ人生経験の浅い
新八が銀時に口で適う訳もなく・・・
今現在の状況へと繋がってしまったのであった。

さて・・・どうしたもんか・・・

自分が悪いのは判っている。
判ってはいるが、素直に謝れる程素直な性格でも年齢でもない訳で。

銀時はただじっと目の前の背中を見詰めるしかなかった。

・・・あ、赤くなってる。

背中を向けられている為、自然と目に入る新八の首は、怒りの為か
ほんのりと赤みが差しており、怒りの度合いが判ると言うもので。

・・・んなに成る程怒んなくてもいいじゃねぇか。
俺の口が悪い事なんざ、とうに知ってるだろうが。

そう文句を心の中で呟きつつも、視線は首筋に縫い付けられたまま離れず、
銀時の中でとある欲求が湧き上がり始める。

本当にさ・・・なんでこうすれ違うかね。
俺の言葉が足りないのが悪いんだろうけどよ、仕方ねぇじゃん。
こんな状況、知らねぇんだもんよ。
こんなに近しいヤツ、持った事ねぇんだもんよ。
あぁ、本当。オマエと一つだったらいいのに。
その赤みの差してる首筋に齧りついて、肉を食らって、血を啜って。
全てを取り込んだら、こんなすれ違いはなくなるんだろうか。

新八の全てを 俺のものにすれば。


それは以前からあった想い。

けれど本当にそんな事が出来る筈もなく、我慢をしてきたのだけれど・・・

こう無防備に向けられると・・・ねぇ。

つい伸ばしそうになってしまう手を感じながら、ただ見詰めていると
その背中が小さく動き、

「・・・僕、今日はもう帰ります」

と、告げられた。
どうやら無言のままの銀時に、謝罪の言葉を諦めた様である。
それと同時に目の前から離れようとする背中に、銀時は慌てて手を伸ばし、

 

 

    ガブリ

 

 

・・・序に口も出してしまった。

「いっっっっ!!!!」

突然の痛みに振り返る新八、その視線の先には あっ と自分のした事に
驚いている銀時の顔があり、

「~っにすんだコノヤロー!!!」

新八は怒りに導かれるまま、握った拳を銀髪へと振り下ろした。

 


「何考えてんですか、アンタ!!」

殴られた頭を撫でながら肩を落としている銀時に、新八は腰に手を当て、
怒りを顕にしていた。

「いや、何考えてって・・・」

言ったらオマエ引くもん。最後の部分を濁してそう答えると、新八は
大きく溜息をついた。

「口喧嘩に本当に口出してどうすんですか、もう」

そう言いながら銀時に噛まれた首筋に手をやると、ぬらりとした感触が感じられ、
新八の眉間には深い皺が刻まれた。
それでも一応確認の為・・・と、当てた手を見てみれば、そこには
少量ではあるが、確かに血が着いており、

「うわ~、血が出てますよ。アンタ、手加減って言葉知ってます?」

じっとりとした目で銀時を睨み付けた。
銀時はと言うと、口の中に微かに広がる鉄の味に、既に新八の首から
血が出てるのを知っていたが、改めてその自分よりも小さな手に着いた
新八の血を見、先程とは比較にならないほどの罪悪感に襲われていた。

「・・・わりぃ」

そう呟き肩を落とす銀時に、新八は一瞬目を見開くが、直ぐに苦笑へと
表情を変える。

「いいですよ、僕も言い過ぎましたし。ごめんなさい、銀さん」

新八からそう言われはしたものの、銀時の中の罪悪感は中々晴れず、
痛いか? と問い掛けた。

それに対し新八は、たいした事ないですよ。 と答えつつ、再びその傷口
に手を当てようとした。

「馬鹿、あんま触んな」

そう言って新八の手を止め、傷の具合を見る為にその首筋を覗き込んだ。

見れば確りと歯型はついているものの、出血は止まっており、銀時はホッと
胸を撫で下ろした。

「どんな感じですか?」

前から抱き締めるように新八の項部分を覗き込んでいる為、
銀時の直ぐ横で新八の声が聞こえてくる。
その感触に少しだけ肩を竦ませながらも、銀時は傷の具合を伝えた。

「なら大丈夫ですね」

「ん~、でも血が着いてる」

「思いっきり齧られましたからね」

誰かさんに。茶化すように言う新八に、銀時はもう一度謝罪の言葉を
口にする。

そして目にするは、白く細い首筋に着いた赤い血。

確かに自分はそれを望んでいた、欲していた。
けれどそれはこの身に取り込みたいという欲求で。
一つになりたいと言う願望で。

でも実際目にしてみれば、そんな欲求など吹き飛んでしまって。


この首に血は似合わない と。

血を纏う新八は見たくない と、そう思ってしまって。

銀時は少しでも早くその血を拭い去ろうと、新八の首筋に舌を這わせた。

「ちょっ!銀さん!!?」

何やってんですか!!と叫ぶ新八に、銀時は 消毒で~す。 と簡潔に答えると
熱心にその血を舐め取り始めた。

「消毒って・・・馬鹿ですか、アンタは!!」

「いや、だって銀さんのせいだし、銀さんが出させた訳だし」

首筋に感じる銀時の舌の感触に、新八はなんとか逃げ出そうと身を捩るが
直ぐに銀時の力強い腕によって抱き締められ、それを阻止された。

その腕の力に、どうやっても逃げれないのを感じて新八は諦めとともに
身体の力を抜いた。

新八が逃げない事を感じ取った銀時は、更に丹念にその血を舐め取る事に
集中し始める。
すると、その感触が擽ったいのか、時折新八が肩を竦めた。
そして耳元に落ちてくる小さな笑い声。

「銀さん、犬みたい」

そう言ってクスクスと笑う新八に、銀時は少しだけ泣きそうになった。

 

 

 

 

 

 


「って事で、あいつを食うのは止めにする」

あ、でも別の意味では食うけど、絶対。そう宣言して団子を口にする銀時に、
話を聞き終わった(と言うか無理矢理聞かされた)桂は盛大な溜息を吐いた。

「オマエは何をやってるんだ・・・」

「団子食ってんだよ」

それは見れば判る!と言うか食うな、俺の団子だろうが!!」

一休み・・・と寄った団子屋の前で銀時に見つかり、気が付けばそんな話を
聞かされ、おまけに団子まで奪われて・・・

人の話は聞かないくせに、なんでこういう時だけ現れるのだろう、この男は。

怒りも顕に睨み付ける桂などお構いなしに、銀時の話は続く。

「やっぱアイツは居なきゃダメだ。
俺の傍に居なきゃダメだ。」

アイツの血を見た時、マジでゾッとしたもんなぁ。と、自分のした事を
棚上げして呟く銀時に、桂はフッと笑いを零した。

確かに、あの少年に血は似合わないだろう。

そして、今の銀時の傍にあの少年が居ないというのも・・・

桂はそこまで思い、ふと頭を過ぎった疑問を口にした。
それに銀時は僅かに目を開くと、


「ん~、甘かったとか美味しかった・・・と言うより・・・
愛しかったな、アイツの血は」


でもあの時のだけで、もう十分だ。

そう答えて、満足そうに笑みを深めた。

*****************
銀新十題の「知らないこと」の続編。
ちょい病みから少しだけまともになりました(笑)

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