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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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「第十二回、なんでエアコンないんでィコンチキショー
怪談大会~」

「・・・文句言うなら帰って~。
って言うか文句なくても帰って~」

「文句じゃなくて感想でさァ。
でもそう言うなら・・・」

「そうネ。帰るアルカ、新八」

「おいぃぃぃ!!!!
何処に帰る気だ、テメー等っ!ってかオマエの
帰る家はここだろうが、神楽ぁ!新八ぃ!!」

「・・・や、僕違いますから」

真昼間の万事屋で、暑苦しい銀時の叫び声と
涼やかな十代組三人の声が響いた。

 



 


「てかさ、本当お前は仕事しろよ」

うんざりとした口調で、ソファに座った銀時が忙しなく
内輪を仰ぎながら沖田に告げる。

それに沖田は呆れた顔で見返した。

「何言ってんてせさァ、旦那ァ。
こんな暑い日に仕事するなんてバカのする事でさァ。
熱中症になったらどうしてくれるんです?
変わりに死んでくれるんですか?
まぁそれでも仕事はしませんけど」

「丸っきり犬死じゃねぇか。
ってかそんな黒い服着込んでる時点で既にバカだって
事に気付け。
そしてバカ序に仕事に行け」

見てるだけで暑いわっ!と吐き捨てる銀時に、きょとりとした目を
沖田が向ける。

「だからこんな暑いのに仕事なんかしやせんって。
あれ?旦那もそう言う理由で仕事してないんじゃねぇんですか?」

「全く持ってその通りだよ、沖田君。
やっぱ体が資本だしね!」

「あ~もうっ!バカな事ばっか言ってないで下さいっ!」

くだらない事を言い合う二人の前に、ドンドンと勢い良く
冷えたお茶を置き、銀時の隣へと腰を置く新八。

「暑いんですから、さっさとやりますよっ!」

そう言って、最早定番となった懐中電灯を手に取ったのだった。

「え?新ちゃん今までの会話スルー!!?」

「・・・暑いからねィ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは僕の友達の話なんだけど・・・」

「え、誰?どんな友達?銀さんも知ってるヤツ?
知らないヤツならきちんと教えなさい。
色々教えておく事があるから・・・」

「今から一言でも喋ったら、髪の毛毟って
頭から涼しくしてやるネ、銀ちゃん」

「・・・・・・・・・・・」

ギロリと鋭い視線を神楽から送られ、銀時の口が完全に
閉じた所で、再び新八の口が開かれた。

 

 

 

 

 

 


その友達って言うのが、ちょっと『見える』人らしくて、
時々見えないモノが見えるらしいんです。


海に泳ぎに行けば海に。

山に行けば山に。

そして普通に道を歩いていても、道端に。


で、まだ子供の頃なんかは、自分以外に見えないモノだなんて
思わないから、普通に言葉に出していたそうなんです。


『ねぇ、なんであの人海の上に立ってるの?』

『ねぇ、なんであの人達は木の陰からじっとこっちを見てるの?』

『ねぇ、なんであの人、血だらけで立ってるの?』


自分としては見たまま、不思議に思った事を口に出しているだけなのに、
その度に言われた人は怪訝そうな顔になって。

それがまた不思議で問い掛けて。

そんな事を繰り返していると、子供の言う事だと笑ってくれてた
人達も、次第に気持ち悪がり、終いには怒り出してくる。

でも、その子には見えているので賢明に説明をする。
そしてまた怒られる。

こうなると悪循環ですよね。

しかも、伝えたい人達には一向に伝わらないのに、
その『見えないモノ』にはこちらが見えてるのが判るのか、
時折寄ってくるモノが出始めてきて。


一方的に自分の辛さを語り、恨みを語り、悔いを語る。

どうにかしてくれと訴えられ、寂しいから一緒に居ようと言われ。


中には有無を言わせず凄い力で引っ張られた事もあったそうです。


そんな事を繰り返してたその子は、最終的にこれは

『見えてはいけないモノ』

だと悟ったらしいです。


なので例え見えても見えないふりをし、
何か言われても聞こえない振りをする。


そうこうしている内に年月は過ぎ、段々と『見える』事も
少なくなってきて、少しホッとしていたらしいんですね。

やっぱり見えない事にこした事、ないですし。


そんな話を、僕の家に遊びに来る時に話してたんですよ。
もう昔の事だから・・・と笑い話にして。


怖くなかったのか・・・と聞くと、そりゃ怖いのもいたさ。と答える。

見た目が怖いのもいたし、何か判らないけど怖い感じのも居た。

あぁ、でも一番怖かったのは・・・とその子が言い掛けた時、
不意にその子の足が止まってしまった。

場所としては、もう目の前が僕の家で、後少し歩けば門・・・て
所です。

そんな場所でピタリと止まってしまった友人に、
僕は首を傾げました。

どうしたの?って聞いても、声が届いていないのか
友人はじっと家の門を凝視しているんです。

で、僕も見てみたんですが、別に何時もの見慣れた風景
あるだけで、驚くようなものなんて何もない。

一体どうしたんだろう・・・と、僕がもう一度声を
掛けようとしたら、顔を真っ青にした友人が
門を凝視したまま、僕に告げてくるんです。


「・・・一番怖かったのはさ、ウチに居たやつだよ。
玄関の真ん中に、ドンて首だけがあってさ、じっと見て来るんだよ。
『見えてるのか?』『見えてるんだろ?』『もう直ぐそこに行くからな』
って、毎日毎日言ってくるんだ。
そしてその度に、少しずつ、首から下が出て来るんだよ。

『今日はここまで来たぞ』『ほら、もう直ぐ腕が出る』
『あぁ、見ろ。もう捕まえられるぞ』・・・って。」


そんな事は御免だ。けれど居る場所は家の玄関前。
逃げる事も出来ず、友人はただ恐怖を隠して見ない振りをしていたらしいです。

でも、なんで今、ここで立ち止まってそんな話をするのか。

そう聞くと、友人は門から目を逸らさず、小さく震える手を
ゆっくりと上げて視線の先を指差した。

 

「だって・・・居るんだよ。
首だけの男が門の前で、

『もう直ぐ、もう直ぐこの手で捕まえてみせる』

って叫びながら、ほらそこにっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「・・・また銀ちゃんアルカ・・・」

言葉と共にビシリと指差した新八に、銀時の叫び声が上がる。
それに続き、神楽の呆れたような声も。

「またかじゃねぇよっ!
んだよ、それ!何時の話だよっ!
俺、夜中にその門、
滅茶苦茶通ってんですけどぉぉ!!?」

少し涙目になりながら、新八の方を揺さぶる銀時。

「いや、それこそ何時の話だよ。
ってか何で夜中に来てんだよ」

アンタこそ何してんですか。と、揺さぶられながらも
新八が突っ込むが、銀時には聞こえていないようで
そのままギュッと抱き込んでしまった。

「ちょ、どうすんだよ。何でそんなのが居んだよ。
やべぇよ、もう行けねぇよ、銀さん。
これはアレか?新八も帰すなってフラグか?
よし、判った。新八、今日からここに住み込みな。
寧ろ同棲な。待ってろ、今すぐ銀さんが荷物
持ってきてやっから・・・って
門の前にいらっしゃるんだったぁぁ!!
行けねぇ、それは行けねぇよ、銀さん。
別に怖い訳じゃないけどね!」

って事で神楽行って来いっ!と、新八を抱き締めたまま
命令する銀時に、うるせぇヨ。との言葉と共に
神楽のキツイ拳が落ちる。

「ったく、またオチが台無しネ。
本当に毛、毟るぞこの天パ」

ケッと舌打する神楽に、新八がまぁまぁと声を掛ける。
そして意識のなくなった銀時の腕から脱出し、
優雅にお茶を飲んでた沖田へと向き直った。


「って事で沖田さん、まだウチの門前に大きな穴
開いてますからどうにかして下さいね。
序に
近藤さんにいい加減にしろって言っておいて下さい

「そりゃ無理ってもんでさァ」

沖田の答えに、新八は深々と溜息を零したのであった。

 

 

 

 

 

その後、暫くの間新八の帰宅時間になると
激しい攻防戦が繰り広げられる事になったのは、言うまでもない。


*********
志村家では見慣れた風景。

・・・と言うかここまで書いといて何ですが、
こう言う話、苦手な方っていらっしゃいますかね?
そんなに怖くはないと思うんですが・・・ι

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