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「銀さん、自分の洗濯物ぐらい自分で仕舞ってくださいよ」
洗濯物の山を横に、新八は居間のソファでゴロゴロしているだろう
銀時へと声を掛けた。
「ん~・・・銀さん今忙しいから、新八頼まぁ」
が、返ってきたのはそんなやる気の無い声。
新八は一つ息を吐くと、畳み終えたタオルを手に立ち上がった。
「・・・何が忙しいですか、何が」
そのまま居間へと向かえば、新八の想像通りの光景が広がっていて。
新八はタオルを抱えたまま、ソファに寝転びジャ○プを読み漁っている
銀時の横へと仁王立ちした。
「何って・・・アレだよ。
少年の心を忘れないように必死にだなぁ」
「いや、そろそろ忘れろよ。」
それよりも、はい。と、新八は銀時の顔目掛けて持っていたタオルの山を
落とした。
「ちょ、行き成り何すんだ、テメッ!」
「はいはい。いいからそれ、お風呂場に持ってって下さいね。
ぐしゃぐしゃにしたら畳みなおして貰いますよ?」
そう言って、起き上がろうとした銀時の顔をタオル毎押し戻し、
そのまま続きをするべく、新八は和室へと戻っていった。
「全く、銀さんてば何にもしないんだから」
だが、流石に今回は動いたらしく、何かブツブツ言っている声が
足音と共に居間から出て行ったのが聞こえた。
「自分の洗濯物ぐらい自分で仕舞えばいいのに」
そんなんだから、いざと言う時困るのだ。と新八は軽く唇を
尖らした。
一応新八にだって休みはある。
休みはあるのだが、新八の性分と言うか、この家の住人共の
洒落にならない物臭加減と言うか・・・
そんなモノのせいで、完全なる休みと言うのは殆どなかったりする。
・・・まぁいいんだけどね、別に。
ここだってもう『ウチ』みたいなもんだしさ。
でも・・・
「流石に朝っぱらから電話でパンツの場所を聞かれるとは
思って無かったよ」
しみじみ呟いて、新八は次に畳もうと手にした銀時のパンツを
掲げ、深く息を吐いた。
「だって仕方ねぇじゃん。
酒抜こうと風呂に入ろうとしたはいいけど、パンツどこにあるか
判んなかったんだからよ。
大体電話で聞かれたくなかったら、帰んなきゃいいだろ」
何時の間来たのか、和室の入り口に銀時が腕を組んで凭れ掛かっていた。
それを新八が呆れた視線で見返す。
「そう言う問題じゃないですよね、それ。
第一なんで僕が銀さんのパンツまで
管理しなきゃいけないんですか」
「安心しろ、代わりに新八のパンツは銀さんが
ちゃんと管理してやる」
「全く安心できねぇよ」
新八は持っていた銀時のパンツを丸めると、力任せに
銀時へと投げつけた。
「おわっ!ちょ、やめてくなんい?
おっさんのパンツはある意味凶器だっつうの」
「自分のパンツでしょうがっ!
大体そのある意味凶器な物体を、僕は毎日畳んでるんですけど!?」
放り返されたパンツを勢いのままガシッと掴む新八。
その口調は、このまま手にしたパンツを引き裂いてやりたい・・・
と言うか寧ろ中身ごと引き裂いてやりたい。
等と言う感情が滅茶苦茶込められていたが、そんな事をしたら
困るのは自分だ。
・・・いや、別に中身はどうでもいいが、パンツはマズイ。
そんな事しても繕うのは自分だし、何よりそんな光景は
畳んでいるよりももっと寒いし辛い。
大体穿けるのにそんな勿体無い事は出来ないしね。
新八は気分を落ち着かせる為一つ息を吐くと、
手にしていたパンツを丁寧に畳んだ。
・・・がそんな事しても落ち着く所か
落ち込むだけで。
・・・本当、なんて精神的攻撃に長けてるんだろう、
おっさんのパンツって。
「いや~、愛を感じるね~新八君」
新八がそんな事を考えているのを知らず、銀時が
洗濯物畳んでいる新八の姿を見て口元を緩ます。
「僕は疲れしか感じませんよ、銀時サン」
「ぅわやっべ、その呼び方滅茶苦茶クルわ。
もう替えのパンツが欲しいぐらい」
「これ以上洗濯物増やすんじゃねぇよっ!!
ってかその前に僕の精神的苦痛を感じ取れぇぇ!!!」
新八の叫びと共に、再び銀時のパンツが舞った。
が、幾ら凶器であってもたかがパンツ。
物理的には全く威力は無く、銀時は口元を緩ませたまま
投げられたパンツを軽く手に取った。
「いやいや、愛しか感じられねえって、本当」
銀さんってば愛されてる~。そう言って銀時は軽くパンツを
振ると、そのまま和室の向こうへと姿を消した。
「・・・何言ってんだか・・・」
それを呆れた視線で見送りながらも、新八の手は
次の洗濯物へと移っている。
手にしたのは銀時の甚平。
これも新八が出さなければ、銀時は探し出すのに
苦労する事だろう。
「まぁその前に探さないか・・・」
探す前に新八に聞くだろうし、何より
言われる前に用意してしまうだろう。
そこまで思い、新八は簡単に予測できた自分の行動に
小さく笑った。
何だかんだ文句を言いつつも、自分でもそれが
当たり前となっているのだ、既に。
「ま、手伝って欲しいのは本当だけどね」
でも、まぁいいか。そう結論付けて、新八は
丁寧に銀時の甚平を畳みだした。
「・・・アレ?パンツは?」
とりあえずドン引きですね☆(当たり前です)