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二日酔いに痛む頭を抱え起き上がると、不思議な事に昼を過ぎていた。
あれ?俺放置?
いやいやまさか。違うって、そうじゃないって。
ただ単にあいつ等が優しくなっただけだって。
呑んできた銀さんを慮って、そっとしといてくれたんだよ、うん。
怒ってるとか呆れてるとか、そんなんじゃなくて。
あくまで優しさだから、優しさ。
あ~、良い子だなぁ本当。出来てるよ、空気読めてるよお前ら。
今までこんな事なかったからね?
二日酔いだろうが何だろうが、
問答無用で叩き起こされてたからね?
これが成長したってやつ?いや~良かった良かった。
でも一応・・・と、俺はそ~っと襖を開けて居間を覗いた。
うん、違うから。
別に怖いとかじゃないから。
ただ行き成り出てったりして新八達驚かしちゃマズイじゃん?
だから・・・・て。
「いねぇじゃん、誰も」
なんだよ、ビビッて損した。小さく舌打ちをして、俺は居間へと
足を進めた。
「買い物でも行ってんのか?」
腹を掻きつつ、水を飲む為にそのまま台所へと向かう。
その途中、テーブルの上に一枚の紙が乗っているのに気付いた。
不思議に思って手に取ってみると、新八らしい生真面目な文字が
綴られていた。
「えっと・・・『お登勢さんに誘われたので、新しく出来た健康ランドに
行ってきます。家の近くなので、神楽ちゃんはそのまま僕の家に
泊まるそうです。』・・・おいおい、健康ランドってオマ・・・
ま、いいや。」
なんとなく十代がそんなトコに行くなよ。とか思ったが、
十代は十代でも、職業・主婦に近い十代だったな・・・
と思い直し、それもアリかと納得した。
しかもババァに誘われてってトコがまたなんとも言えず
しっくり来てて微妙だ。
「っていいやじゃねぇよ。え?なんで俺放置?
放置だよね?紛れも無くぅ!だって普通起こすだろう、コレ。
何でもない日は叩き起こして、こういう時だけそっとしとくって
どんな優しさぁ!?」
全然優しくねぇ!
寧ろババァの財布に対しての優しさだろ、コレ!!
「大体俺の飯どうすんだっ・・・て」
と言い掛けた所で、続きの文字が目に入ってきた。
『ご飯は昨日のカレーが残っているのでそれを食べてください。
夕ご飯は、多分まだカレーが残っているので、それを食べてください。
明日の朝は、きっとカレーが残っている筈なのでそれを食べて・・・』
「って三食カレーかよっ!」
何だ、コレ。
加齢臭じゃなくてカレー臭撒き散らすことになっぞ、おいぃ!
・・・や、別に本当に加齢臭醸し出してる訳じゃないけどね、銀さん。
基本、フローラル(トイレの脱臭剤)系か、バニラ(主に甘味)系だから、
銀さんは。
ってかふざけんなっ!!と、手にしたメモを叩き付け・・・ようとしたが、
折角の新八の直筆メモにそんな事出来ませんっ!!と、
そっと丁寧に畳んで懐に入れる。
・・・いや、別に違うから。
変な蒐集趣味があるとかそんなんじゃないから。
そりゃ今までの『今日はもう帰ります』メモや
お使いメモももれなく取ってあるけど、違うから。
単に新八が大好きなだけだから、銀さん。
・・・あ、嘘。違うわ、コレも。
大好きなのは本当でも、とって置く理由が違ったよ、うん。
本当はエコね、エコ。地球、大切だからねぇ。
ほら、幾らメモに使ったって言っても、まだ再利用出来んじゃん?
まぁどんな風に再利用してるのかは
言えないんだけどね。
ま、そんな地球に優しい俺が新八お手製のカレーを残す事なんて
出来る筈も無く、言われたとおりにカレー三昧な一日を
過ごす事になった。
うん、大丈夫。銀さんカレーも大好きだから。
「・・・でもアレだな」
なんとなく、何時もより美味しくないような気がした。
次の日、元気良く帰ってきた新八達に
「カレー臭っ!!」
と言われたのは言うまでもない。
・・・てかオマエまで行ってたの?定春ぅぅ!!!
「ぅわっ!ちょ、なんで抱き付いてきてんですか。
苦しい!本気で苦しいですからぁぁ!!」
「おまけに臭いネ!
もう加齢なのかカレーなのか判らないヨ!!」
「うっせぇよ。テメー等ももれなくカレー臭くなりやがれっ!」
それと昨日出来なかったお前等を補給させやがれ、コノヤロー。
・・・途中、文字が打てなくなりました。
坂田の呪い!!!?