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ツいてない日ってのはとことんツいていないもので。
そのツいていない日ってのが、どうやら今日だったらしい。
すっかり人気のなくなった暗い夜道に一人、
俺は近くに転がっていた空き缶を力任せに蹴り上げた。
「ったく、何が新台入れ替えだってぇの」
全然出ねぇじゃねぇか。ぼやく俺の体を、すっかり
肌寒くなった風が通り過ぎていく。
・・・序に俺の懐も通り過ぎて行ったようだ。
お陰で滅茶苦茶寒い。
ってか本当何なんだ。
新台だってんだから、もう少し出してもいいんじゃねぇか!?
っつうか出すだろ、普通。
なのにオマ・・・一回も来ねぇってどうゆう事?
しかもなんで周りの奴等皆出してて
俺の所だけ出ねぇの!?
あ~、止めた。もう止めた。
だってなんかもう出る気しねぇもん。
当たる気、全然しねぇもん、もう。
朝一で行ったと言うのに、とんだ有様だ。
とりあえず少しでも元を取ろうと、滅茶苦茶トイレに行ってやった。
普段手も洗わないのに、石鹸までガンガン使ってやった。
ザマァミロ、コンチキショー。
で・・・だ。
すっかり寒くなった懐の変わりに温まろうと呑みに行ったら
行ったで、偶然長谷川さんと顔を合わせてしまった。
まぁどうせ同じような状況だろう・・・と愚痴を言い合おうと
思ってたのに・・・
「とんだ裏切り者だぜ、あのヤロー」
大きく舌打ちを打って、今度は近くにあった石ころを蹴飛ばす。
どうやら長谷川さんは大勝ちしたらしい。
酷く上機嫌な上、一杯ぐらいなら奢るよ?なんて言ってきやがった。
まぁ?俺ってば大人だから?
素直に長谷川さんの勝利を喜んで、奢ってもらったけどね?
文字通り『いっぱい』
最後はなんか泣きながら潰れてたけど、無視して置いて来た。
敗者は黙って去るのみってな。
そんなこんなで体は温まったが、やっぱり懐は寒いままだ。
しかも微妙に心にダメージ負ったし。
畜生、あれぐらいじゃ精神的慰謝料には程遠かったな。
本当、やってらんねぇ。
全く、神も仏もあったもんじゃねぇなぁ、おい。
いっその事、もう一回戻ってのみ直してやっかな。
あぁ、でも引き返すのも面倒臭ぇ。
しかも待ってるのがマダオの寝顔だなんて冗談じゃねぇ。
と、そこまで思っていた所で、不意にある事が脳裏に浮かんだ。
神も仏もねぇ。・・・でも天使は居るんじゃね?
特に坂田さんの家の中とかに。
そうだよ、こんなツいてねぇ日は、天使の顔でも拝んで
心癒されなくちゃな割りにあわねぇ。
そう思う俺の足は、先程までとは違って跳ぶように軽い。
時間は既に日付が変わった遅い時間。
これなら多分、余裕で天使の顔が拝めるはずだ。
押入れの中のは・・・覗いてる気配で起きられると
天使が修羅へと変わるから我慢しておこう。
もう一人は・・・確か今日は泊まると言っていたから
和室に居る筈だ。
よし、寝る前に存分にその天使のような寝顔を見て癒されよう。
ってかもうアレだね。天使のような・・・じゃないね、アレは。
天使そのものだよ、もう。
序に酔ったフリして布団に潜り込んじまうかな~。
あ、違った。フリなんかじゃなくて本当に酔ってんだっけ、俺。
ならいいんじゃね?
潜り込んでもセーフじゃね?
「あ~、最後の最後で運が回ってきたかも」
・・・なんて考えてた俺が馬鹿だった。
「ちょっと、聞いてんですか!?」
浮かれ気分で帰って来た俺を待ってたのは、天使の寝顔ではなく、
仁王立ちする修羅のようなお顔で。
寝顔を覗き込む筈が、正座させられて上から見下ろされて。
「全く、朝から珍しく出かけたと思えば
こんな時間まで帰らずにフラフラと・・・どうせパチンコで
すってきて憂さ晴らしに呑んでたんでしょ!」
アンタ、ウチの経済事情判ってるんですか!?なんて
説教を受けてたりします。
誰だよ、運が回ってきたとか言ったヤツ。
回ってきたも何も、止まらずにそのまま何処かに行っちゃったんですけど!?
あ~、凹む。凹むわ、コレ。
俯いて肩を落としていると、頭上から大きく溜息が落ちてきた。
序にコブシも落ちてくるか!?なんて気構えていると、
予想外にペシンと優しい感触が落ちてきた。
その感触にポカンとしたまま顔を上げると、眉を顰めたまま
口元を曲げている新八が居て。
「せめて連絡ぐらい入れて下さいよ」
子供じゃないんだから。そう怒ったように告げてくるが、
新八の手は優しくそのまま俺の頭を撫でていて。
・・・ってかよ、子供じゃねぇんだから
連絡ぐらいしなくてもいいだろ。
とかも思ったが、変わりに口から出てきたのは
『悪ィ』
の一言。
次の瞬間、新八の顔にやんわりとした笑みが浮かび上がり、
俺の心はホコリと温かくなった。
ま、どんなにツいてなかろうが、新八が居る限り
それで全部チャラになるって事だな。
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新八が居るって事で全てが本気で羨ましい今日この頃・・・
・・・また負けたんだぜorz