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日も暮れかかった時間、銀時はビニール袋をカサカサ鳴らしながら
何時もとは違う道を歩いていた。
「ったく、疲れて帰って来たってのに、何で態々・・・」
ブツブツぼやいているものの、銀時の足は止まることをしない。
寧ろ何時もより若干早足と言えよう。
理由は一つ。
その為に、銀時はぼやきながらも進んでいるのだった。
その日、銀時は朝から出掛けていた。
無論仕事ではなく、パチンコだ。
なので、先に呟いた『疲れた』と言う言葉も、体力的にではなく、
精神的に・・・だ。
自業自得と言うなかれ。
負けると本当にキツイのだ。いや、マジで。
その上新八達に黙って行ったと言う負い目もある。
財布の中身を見られて投げかけられるだろう説教や
冷たい視線を思うと、疲労もピークだ。
それでも、新八に出迎えられれば癒されたりも
するのだけれど。
なので、戦々恐々とする心を引きずりながらも、
癒しを求めて何とか帰った銀時であったのだが、
出迎えてくれたのは新八ではなく、シンと静まり返った
無人の万事屋であった。
「・・・あ?誰もいねぇのかよ」
ホッとしつつも誰も居ない事に少々拗ねながら
ソファに座った銀時だったが、直ぐにテーブルの上に
置いてあるメモを見つけ、軽く眉を上げる。
手に取り見てみると、其処には見慣れた文字があり、
今日は新八の家で夕ご飯を食べる旨が書いてあった。
どうやらお妙が同僚に野菜を大量貰ってきたらしく、
鍋にするから、来られるようだったら銀時も
こちらに来るように・・・と言う事らしい。
しかも・・・
「・・・なんつぅかまぁ・・・」
銀時は苦笑すると、手紙の下に置いてあったお札を手に取った。
新八のメモ曰く、
『まともに家に入りたかったら、
酢昆布とハーゲン○ッツ、買って来て下さいね』
・・・って事らしい。
どうやら自分の行動は、新八所か神楽やお妙にまでも
お見通しのようだ。
確かに、仕事もせずに朝からパチンコ・・・と言うのは
彼女達にとって十分殴る理由になるだろう。
約一名はノリの様な感じもするが。
・・・ってか凄すぎないか、新八の読み。
だって負けてくる事まできっちり読んでやがる。
新八気遣いにキュンとしつつも、
自分のパチンコ=負けと言う認識に
なっていると言う事実に、少し凹む。
・・・パチンコ、少し控えよ。
「でもよ~、言っとくけどアレよ?
銀さんめっちゃ疲れてっからね?
飯なんか、別に何でもいいし、この金で食ってもいいから
ってかその方が早くね?」
第一、幾ら賄賂を持っていっても、ただで済むとは思えない。
だって今日、めっちゃ負けたし。
・・・や、ここんトコ最近ずっとそうだけど。
今日に限っての事ではないのだけれど。
それにきっと新八にだってブツブツ言われるに決まってる。
・・・まぁ、流石にあの二人から責められていれば
庇ってくれるとは思うけれど。
だからこその、このフォローだとは思うけれど。
・・・けれど、財布の事情を知れば一転するかもしれない。
考えれば考えるほど、向かうのが恐ろしくなる。
いっその事この金でもう一度勝負してくるのもいいかも知れない。
そうすれば鬼の待つ場所に出向かなくてもすむし、
もしかしたら大逆転が待っているかもしれない。
「って待て待て、俺。
それは完全なる死亡フラグだ」
一瞬過ぎった考えに、慌てて待ったをかける。
銀時は深々と溜息を吐き、持っていたお札を懐へと入れた。
「・・・ま、仕方ねぇか」
本当、疲れてんだけどなぁ。そう呟くと、銀時は漸くソファから
腰を上げたのだった。
賄賂はばっちりだ。
まぁ何処まで効果があるかは判らないが。
銀時は書置きあったモノを買い込み、新八の家へと向かっていた。
気分は棍棒でラスボスの元へと向かう勇者だ。
いや、向こうはリセットボタンがあるからまだいい。
だが、俺には命一つだ。
・・・足りねぇなぁ、おい。
なんだか泣きそうになってくるが、それでも銀時の足は止まらない。
ブツブツ言いながらもどんどん進んでいく。
疲れているのは本当。
リセットボタンがないのも本当。
でも、まぁ仕方が無い。
何時だって、あいつが居る場所が
俺の帰る場所なのだ。
そう思い、銀時はまた一つ進むペースを上げた。
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最近勝ってないので憂さ晴らし。
・・・でも坂田には癒しの天使が居る理不尽(泣)