[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「暇だからこれをするネ、愚民共っ!」
外は雨、仕事は勿論なし。
そんなまったりした時間が流れている万事屋で、
神楽はバシリと何かをテーブルの上に叩き付けた。
「神楽ちゃん、口悪いよ?」
ってか何コレ。眉を顰め、神楽を嗜めた後で、新八が
テーブルの上に置かれた紙を覗き込む。
「えっと・・・ぅわ、卵が98円ですって。
・・・ちょっと行って来ようかな・・・」
「間違えたっ!違うネ、そっちじゃないヨ」
単色ではあるが大きなチラシに、新八の目が光る。
それを見た神楽が慌ててチラシを裏にした。
「あ?なんだ、この落書き」
ソファに寝転び、ジャ○プを読んでいた銀時が体を起こし
そう呟いた。
それに神楽は気持ち良い音と共に拳を贈り、強制的に黙らせる。
「その死んだ目を生き返らせてよく見るネ!
これは神楽様特製の人生双六ヨ!」
「人生双六?」
そう言われてよく見れば、確かにその様な感じがする。
でもこれ・・・
「・・・なんか恐ろしい事、書いてない?」
「大丈夫ネ。人生とは七転八倒ヨ」
「いや、それだと最終的に倒れたまんまだから。
そんな人生、遊びでも歩みたくないから。
寧ろ現実だけでいいから、もう」
「いいからやるヨロシ!」
見るからにやる気のない二人を無理矢理テーブルにつかせ、
神楽はポケットからサイコロを取り出してそう宣言したのであった。
「・・・って何で僕のコマがメガネしか描いてないんだよ」
「名前書くのが面倒臭かったアル」
いいからさっさと振るヨロシ。と言う神楽の催促に、
新八は納得いかない顔でサイコロを振った。
だって神楽は『か』で銀時は『ぎ』だ。
どれだけ面倒臭い『し』を書こうと思ったのだろう。
ちなみに順番はじゃんけんで決められ、新八、神楽、銀時の
順番である。
「えっと・・・1か。良かった、まだ何にもないマスだ」
「・・・地味で面白くない出だしネ。
私は4・・・と。おぉっ!近所のガキ大将になって
酢昆布を献上されるネ」
ほら、さっさと寄越すヨロシ。そう言い、新八達の手を差し出す神楽。
「え、何?本当に渡さなきゃいけないの?」
「っつうか持ってねぇよ、んなもん。」
「なら買って来いよ」
ギロリと睨み付けられるが、生憎外の雨は先程よりも強くなっている。
序にする買い物でもあれば、これ幸いと出かける所だが、
さっきみたチラシは先週のものだった。
なので 今度ね。と約束して、その場を濁すことにした。
「んじゃ俺か~。お、6じゃねぇか。
やっぱアレだな。何時でもついてる男だな、銀さんは。
・・・ってオムツ卒業に絶望。ベビーベッドに引きこもって7つ戻る
・・・ってなんでスタート地点より戻ってんだよぉぉ!!」
「・・・銀ちゃん、そんなにオムツ好きだったアルカ」
「ごめん神楽ちゃん。僕そっち側に行っていい?」
「おぉぉぉいっ!何現実と一緒にしてんだっ!
違うから、銀さんそんな趣味ちょっとしかないからぁぁ!!」
「ちょっとならあるのかよ」
「うん、新ちゃん限定で」
「ごめん神楽ちゃん。
本気でそっちに行かせて」
「なら俺も・・・」
「って移動した意味がねぇぇ!!!」
「うっせぇよっ!新八はさっさとサイコロ振るヨロシ!
で銀ちゃんは本気で近寄らないで。
本当、なんかもう全体的に無理。」
「ちょ、怒鳴られるよりきついんですけど、それ。」
言葉遣い戻してぇぇ!!と嘆く銀時を反対側に蹴飛ばし、
神楽は新八へサイコロを渡した。
「えっと・・・あ、1だ。
良かった、また何にも書いてないマスだ」
「・・・本当、地味な進め方ネ」
私は・・・と。と言いながら神楽がサイコロを振る。
出た数は5。
「えっと・・・お菓子を妖怪糖尿寸前に全て奪われる。
失意の底と共にスタート地点に・・・って
何するカ、この天パァァァ!!!!」
「俺ぇぇぇぇ!!?
ちょ、だから現実と一緒にすんじゃねぇよ!
って糖尿関連を全て俺に結び付けるんじゃねぇぇ!!」
顔面に来た拳をなんとか避けながら、銀時が叫び返す。
そして なんつぅ双六だよ。と文句を言いながらも
サイコロを振った。
「お、また6じゃねぇか。何々・・・
喜んだからもういいでしょ。人生はそんなに甘くはないと
心に刻みながら8つ戻る・・・って進まねぇぇぇ!!!
それ所かスタートからも遠ざかってるんですけどぉぉ!!」
「・・・銀ちゃん、そこまで自分の人生表さなくてもいいネ。」
「してねぇよ!?全然してねぇよ!?」
「はいはい、もうさっさと済ませましょうね。
あ、また1だ」
「・・・新八、それ面白いか?」
「こっちでも自分の人生そのままヨ」
「スタート地点をうろついてる人達に
言われたくないです」
一人、こつこつと進んでいく新八に対し、二人は未だスタート地点、
もしくはそれ以下だ。
たかがゲーム。
けれどもそれで片付けたくない何かがある。
じっとりとした視線を絡ませた後、神楽は 絶対勝ぁぁつ!と
叫び、勢い良くサイコロを振ったのだった。
結果、一番最初にあがったのは地味に歩んできた新八だった。
しかも出す目は常に3以下、何か書かれているマスは全てスルー
と言う、ある意味凄いあがり方で。
「喜んで良いのかどうか難しいんだけど、これ」
「上がったんだから喜んでおけばいいネ!
オマエの人生と一緒で
全く面白くなかったけどナ!!」
「断定!!?まだ人生の折り返し地点にも
行ってないんだけど!?」
「いいからっ!おら、サイコロ貸せって!!
・・・よしっ!今度は5だ・・・って
家政婦は見た!?お陰でお宝コレクションは全て回収され
悲しみと共にスタート地点へ・・・ってまたかぁぁ!!!
いや、違うからね?アレは偶々新ちゃんの洗濯物が
銀さんトコに紛れてただけで、別に集めてた訳じゃないからっ!」
「身に覚えあり!!?
ちょ、何を何処に隠してんですか、銀さんっ!!!」
「机の鍵のついてる引き出しの中ヨ」
「オマエが家政婦ぅぅぅ!!!?」
その後、あがる所かスタート地点付近をうろつく事しか出来なかった
神楽と銀時の手によって、神楽特製の人生双六は固く封印される事となった。
八万打企画第七弾・リミル様からのリクで
「坂田家が人生すごろくをするギャグで勝者は新八」
と言う事でしたが、如何だったでしょうか?
とりあえず勝者・・・と言うかあがれたのは新八だけに
なってしまいました(笑)
こんな感じになりましたが、少しでも楽しんで頂けたら
嬉しいですvv
企画参加、本当に有難うございましたvv
買い物の帰り道、天気も良いし・・・と少しばかり遠回りしていた
銀時と新八、そして神楽は同じようにプラプラ歩いている
黒い集団を見つけた。
「うわっ、最悪。見てみ、新八。
あれに横切られたら不幸になんぞ」
途端に嫌な顔をする銀時に、言われた言葉にピキリと青筋を立てる
土方。
「おいこら天パ。何人を黒猫扱いしてやがんだ」
「え?別にしてないけど?
単にゴキブリ扱いしてただけだけど?」
「うわ~、勘違い丸出しじゃねぇですかィ。
何ですか、子猫ちゃん気取りですかィ?
恥ずかしいんでプライベートな趣味は控えて下せェ」
「おぉぉぉいっ!!
誤解されるような事言ってんじゃねぇぇ!!
っつうか普通に考えたら黒猫だろうが、それっ!
何それより酷ぇ扱いしてやがんだぁぁ!!」
「うるせぇよ!
テメェなんかゴキブリで十分だってぇの!
子猫っつぅのはなぁ、ウチの新ちゃんみたいなのを
言うんだよコノヤロー!!」
「いや、言いませんから」
って言うか何喧嘩売ってんですか、アンタ。そう言い、新八は
呆れた顔で銀時の腕を引いた。
そして軽く土方達に頭を下げる。
「すいません、お仕事中に。」
「いやいや、仕事中だからこそいいんでさァ。
寧ろもっと邪魔して序に土方さんを葬って下せェ
大丈夫、お巡りさんならここに居るんで
事件は即解決でさァ」
そう言う仕事ならやる気がでまさァ。そういい笑顔で言う
沖田に、新八の笑みが引き攣る。
「おぉ!そしたら私もテレビデビューヨ。
『そう言う事をする人にしか見えませんでした』って
涙ながらに語ってやるヨ、銀ちゃん!」
目を輝かせる神楽の頭を、銀時はパカンと叩く。
「文章が微妙に間違ってんじゃねぇか、それ。
っつうか勝手に人を犯罪者にしてんじゃねぇよ!」
怒る銀時に、沖田がキョトンとした顔をする。
「あれ?違ったんですかィ?旦那」
「・・・沖田君、ちょっと止めてくんない?
その本気でびっくりした顔、止めてくんない?」
「気持ちは判るがな」
「珍しく常識的な反応ネ」
「おぉぉぉいっ!っざけんな、テメー等。
なんだここ、敵ばっかりかっ!」
うんうんと頷く土方と神楽に銀時の叫びが上がる。
そして何も言わなかった新八へと擦り寄り、その肩へと
額を寄せて懐いた。
「新八~、あいつ等酷くね?
もう銀さんのガラスのハートはボロボロだよ。
これはもう甘味か新ちゃんでしか癒されねぇよ」
そんな銀時に、新八は小さく息を吐くとポンポンと頭を
優しく叩き、
「はいはい、判りましたから離れてください。
おかず一品減らしてでも甘味を買いますから」
笑顔でそっと離した。
「え?無理してまで甘味選択?」
「旦那ァ、手始めに軽犯罪ですかィ?
言っとくけど俺は容赦しませんぜィ?
犯罪に軽いも重いもねぇんで」
さぁ手を出して下せェ。そう言いながら、沖田はチャラリと
手錠を取り出す。
それに銀時は慌てて体を新八の後ろへと隠した。
ちなみに腕はまだしっかり新八に抱きついたまままだ。
「ちょ、なんでこう言う時だけやる気満々!?」
「銀ちゃん・・・そう言う事する人だと思ってたヨ」
「だからテメーは俺をなんだと思ってんだぁぁ!!」
自分の後ろと前とで飛び交う声に、新八はうんざりとした
顔で大きく息を吐く。
とりあえず今日買って来た物の中に、早めに冷蔵庫に
入れなければいけないものはない。
だが、新八にはまだやるべき家事が色々と残っているのだ。
そろそろ帰りたい・・・と、新八はちらりと周囲に目をやった。
銀時と神楽たちは未だ激しく怒鳴りあっている。
それに終わりは見えないし・・・なんだか沖田はとても楽しそうだ。
そんなに銀時を犯罪者にしたいのだろうか。
それは寧ろ土方さんの方なんじゃ・・・とそちらを見てみれば、
土方はそ知らぬ顔で携帯を弄っていた。
・・・仕事しろよ、おい。
ちょ、貴方の部下が無理矢理仕事作ろうとしてますけど!?
いいんですか、これ。
アリなんですか、これ。
どっちでもいいんですが、僕は帰して下さい。
って言うかまず貴方が帰ってきて下さい。
ネ申曲キタコレ。なんて言ってんじゃねぇぞ、コラ。
トッシーか、トッシーなのか、今っ!
とりあえず、銀時ではないけれど今の新八に味方はいないようだ。
新八はもう一つ大きく息を吐くと、目の前の沖田へと
視線を向けた。
「お楽しみの所すみませんが、沖田さん。
何かのお仕事の途中だったんじゃないんですか?」
時間、大丈夫なんですか?銀時の俺は楽しんでねぇっ!と言う言葉は
無視して問い掛けると、あぁ。と漸く言葉の応酬が止まった。
「そりゃ大丈夫でェ。
単なる見回りだからねィ」
最近ここらで変質者が出るって話でねィ。と、そこまで言い、
何かに気付いたようにポンと軽く手を打った。
そしてそれまでチャラチャラと手の中で遊ばせていた手錠を
確りと持ち直すと、そのままカチャリと銀時の手に嵌めてしまった。
「「・・・・え?」」
思わず銀時と二人、間抜けな声を出してしまった新八をよそに、
沖田は土方へと声を掛ける。
「土方さ~ん、今朝の報告であった変質者、逮捕しましたぜィ」
「「はぁぁぁ!?」」
「おいおい、そりゃ別の変質者だろ」
沖田の言葉に漸く帰ってきた土方が呆れた顔を浮かべる。
「おぉぉいっ!別も何も変質者じゃねぇってのっ!
誤認逮捕も程があんだろうがぁぁ!!」
「旦那ァ、証拠はあがってんでィ。
観念してお縄について下せぇよ」
はい、離れて離れて~。と、沖田は銀時から新八を離す。
「銀ちゃん・・・やっぱり・・・」
「やっぱりじゃねぇよっ!
って言うか証拠って何だ、証拠って!!」
勢い良く詰め寄る銀時に、沖田は小さく肩を竦めると
懐から一枚の紙を取り出して銀時の目の前へと突き出した。
「これが証拠でさァ。
被害者による、犯人の似顔絵なんですけどねィ」
ほら。と沖田は紙に書かれている人物像を指差した。
だが、そこに描かれている人物像は、銀時には似ても似つかぬもので。
「・・・なんでコレが証拠?」
「おいおい、まだシラをきるんですかィ?
男らしくないですぜィ?ほら、よく見て下せェ」
そう言い、一層銀時へと紙を近づけた。そして・・・
「目と鼻と口の数が完全に一致してまさァ」
と、酷くいい笑顔で言い切ったのであった。
「・・・あぁ、なら仕方ねぇな。
よし、屯所まで連行しろ、総悟」
「はぁぁぁ!!?
ちょ、仕方なくねぇだろ、それぇぇ!!!」
新ちゃん助けてぇぇぇ!!!と叫ぶ銀時を、沖田と土方が
引きずっていく。
とりあえずドラマの時間がどうのと言っていた声は聞かない方向だ。
「・・・やっぱり人は見かけによるネ」
「神楽ちゃん、それどっちに向けて言ってるの?」
と言うかどうしよう・・・と、一瞬考えた新八だったが、
多分今止めても、また先程のような会話が繰り返されるだけだろう。
そんな時間の無駄は御免被りたい。
それにもし無事に銀時を助け出せたとしても、
その後グダグダと愚痴を言いまくり、それに自分を巻き込む
に決まっている。
そんなウザイ事も本気で御免被りたい。
って事で・・・と、新八は段々小さくなっていく銀時達の姿から
目を逸らす事にした。
その後、『放置プレイにも程がね!?』と自力で逃げ出してきた
銀時により一層纏わりつかれ、新八が心底後悔する羽目に
なったのは言うまでもない。
**********
八万打企画第六弾・椎羅様からのリクで
『十代組みが大人をからかう話』と言う事でしたが
如何だったでしょうか?
今回の被害者は坂田一人にしてみましたが、
最終的には新八に全ての被害が返ってきてしまったようなι
こんな感じになりましたが、少しでも楽しんで頂けたら
嬉しいですv
企画参加、本当に有難うございましたvv
「「・・・え、何それ」」
パチンコから帰って来た銀時。
遊びから帰って来た神楽。
丁度同じタイミングで帰って来た二人は、家の中に入るなり
やはり同じタイミングで声を揃えた。
その日、珍しく銀時はパチンコに勝って帰って来た。
逃げるように出てきたので、帰宅するのが恐ろしかったのだが
こうなれば話は違う。
銀時はほっと一安心しつつ、自分の甘味は少しだけで我慢し、殆どを
調味料と現金に換えてきたのであった。
理由はただ一つ。
家で待ち構えているだろう、可愛いけれど鬼神と化しているだろう
少年への貢物だ。
これなら説教は少なくてすむかも・・・いや、
もしかしたら褒めてくれるかもしれない。
いやいや、もしかしたら・・・
「・・・フラグ成立?やべ、これってフラグじゃね?
『今夜OKよ』フラグたってね?
だってアレじゃん?銀さん頑張っちゃったじゃん?
見てよ、この戦利品っ!
いや、それまで思いっきり貢いでたけどね!?
パチンコ屋に貯金しまくりだったけどね!?
でも勝ったじゃん、ついてるじゃん、俺。
こんだけあったら新ちゃんご機嫌じゃね?
軽く今夜泊まってくレベルじゃね!?
やべ、男の嗜み買っとくべきかな?ねぇ、おじさんっ!」
独り言を言いながら歩いていた銀時は、そのままのテンションで
ただすれ違った見知らぬ男性に問い掛けた。
「え?あ、いや別に買わなくても普通は財布に入れて・・・」
「ねぇよっ!なんなんだよ、何時も入れてんのかよ、
この変態オヤジがぁぁ!!!!」
律儀にも答えが返ってきたのだが、銀時は怒鳴り返すと
そのまま再び家路を目指した。
・・・やっぱり嗜みは常時常備しとかなければ駄目か・・・なんて
不届きな事を考えながら。
同じ頃、神楽も軽い足取りで家路を急いでいた。
ニコニコと笑っている笑顔の先には、小さな花を握っている
自分の手がある。
それは先程まで遊んでいた川原で見つけたものだ。
花屋などで売っている花の様に立派ではないが、
でも神楽は気に入ったし、新八も気に入るだろうと思ったのだ。
本当ならば摘んだりせず、その場まで新八を連れて行くのだが、
生憎、今日はそうもいかない事情があった。
それは神楽が遊びに行く前、新八から少しは掃除をしなさい。と
注意されていたのだ。
実際、その時の居間は神楽の食べた巣昆布の空き箱やらが
散乱していて、そう言われるのも無理はなかった。
けれど神楽的には別に気にならない程度だったし、
何よりジャン○タワーを乱立させていた銀時は
既に逃亡済みだった訳で。
大人以上に遊びに本気を出さなければいけない子供としては、
それに遅れる訳にはいかないっ!・・・と、新八の声を無視して
飛び出したのだった。
「・・・別にご機嫌取りじゃないけど・・・」
しかし、何時ものように遊んでいても、やはり何処かすっきりはしなくて。
けれど直ぐに帰るのもなんだか体裁が悪い気がして。
そんな時に見つけたこの花は、丁度良い理由に感じられ、
神楽は一生懸命摘んで、家路にと着いたのであった。
もしかしたら、綺麗な花を見つけてきた自分を怒らず、
褒めてくれるかもしれない。
そしたら、仕方ないからこの花を飾れるように
部屋の片づけをしてやってもいい気がする。
そしたら・・・もしかしたら・・・
「もっと褒めて、甘えさせてくれるかもしれないネ」
神楽は嬉しそうに笑うと、動かしている足のスピードを上げた。
でもまぁ最初は膝枕かな。
天気もいいし、昼寝には最高だ。
そんな事を考えながら着いた万事屋で、神楽は銀時は顔を合わせた。
「あれ?どうしたよ、神楽。まだ明るいじゃねぇか。
ガキは日が沈みきるまで全力で遊んでこいよ。
ってか寧ろ次の太陽が昇りきるまで
帰ってくんじゃねぇ」
「うら若き乙女にどういう遊びを推奨してくるアルカ。
そんな遊びは爛れたおっさん、略して銀ちゃんの方が
しっくりくるネ。
それで夜の蝶に身包み剥がされてこいヨ」
「ちょっ!お前こそどんな遊び推奨してんだぁぁ!!
ってか何処をどうすりゃそんな略し方になんだよっ!
それに、言っとくけど銀さん、そんな遊びしないから。
案外家庭的だからね?銀さん。
ギャンブルで身包み剥がされても、それはないから」
「どっちにしろ崩壊寸前な家庭ネ、
それ」
自信満々にそう宣言する銀時に、神楽は呆れた視線を返す。
そしてそのまますっと視線を銀時が持っている紙袋へと落とした。
「・・・天変地異アルカ?」
「どう言う意味だ、コラ。
ってかオマエも珍しいもん持ってんじゃねぇか。
どうしたよ、それ」
驚きに目を見開く神楽の頭をペシリと叩き、銀時が告げる。
それに神楽はさっと持っていた花を背に隠し、別に。と
視線を逸らした。
「・・・ってか銀ちゃんこそ珍しいネ。
それ、お菓子全然入ってないヨ」
どうしたネ。と聞いてくる神楽に、今度は銀時が
別に? と視線を逸らした。
互いの態度に、それぞれが怪しい気配を感じ取る。
これはもしかして・・・
そう思い、チラリと視線を相手に向ければ、やはり相手も
こちらを伺うように視線を向けていて。
次の瞬間、銀時と神楽は素早い動作で玄関へと手をかけ、
競う様に中へと入っていった。
「ちょっ!銀ちゃん邪魔ネ!!
どく・・・って言うか消え失せるヨロシ!!」
「うるせぇぇ!!オマエこそ邪魔だ、弾けろっ!
弾けてパーンてなっちまえっ!!
俺は大事な用があんだよ、マジでっ!」
「私こそ大事な用がアルネ!
新八の膝枕でお昼寝すると言う用がっ!」
「え、何その幸せすぎる用!?
よし判った。その用は銀さんに任せとけ。
っつうか任せてください、お願いします。」
「全身全力で遠慮してやるヨ。
も、いいからど~け~やぁぁぁ!!!」
バタバタガタガタ、ドガァボグゥ!と言う鈍い音交じりの
騒音を交えながら、銀時と神楽が狭い廊下を抜け、居間へと向かう。
そしてそこに目的の人物がいないと判ると、そのままの勢いで
和室の襖を開け放ったのであった。
「うわっ、びっくりした~。
どうしたんですか?そんな急いで」
和室の中へと向けた二人の視線の先。
そこに目的の人物は居て、驚いた顔でこちらを見ていた。
新八の問い掛けに答えるよりも早く、我先にと
中へと入ろうとした二人だったが、ぴたりとその足は止まってしまう。
そして出てきた言葉が 『何ソレ』 だ。
多分、その言葉を今一番言いたいのは新八の方であろう。
新八は訝しげに首を傾げる。が、直ぐに二人の視線の先に
あるものが判り、 あぁ。 と頬を緩めた。
「可愛いでしょ?時々遊びに来てくれるんですよ、この子」
ね~。そう言って微かに身を屈め、自分の膝に行儀良く
収まっている猫へと声を掛ける。
しかも満面の笑顔+やんわりと頭を撫でると言うオプション付だ。
その後、猫も交えた『新八争奪戦』が開始されたのは言うまでもない。
**********
八万打企画第五弾。箸様からのリクで、
「醜い新八争奪戦」と言う事でしたが、如何だったでしょうか?
多分最終的勝者は、猫と娘に落ち着くと思います(笑)
少人数な争奪戦になりましたが、少しでも
気に入って頂けたら嬉しいですv
企画参加、本当に有難うございましたvv
何時も拍手パチパチ、有難うございますv
以下、拍手&メルフォお返事
りさね様
拍手&ご感想、有難うございますvv
攘夷組が一切出てこないと言う有様でしたが、
楽しんで頂けたようで安心しました~v
もう志村姉弟は、揃ってストーカーホイホイのDNAを
持っているのだと思います、はい(笑)
企画参加して頂いて、本当に有難うございましたv
今後もこんな調子でやっていくつもりですので、
またお気軽に遊びに来てくださいませv
通りすがり様
拍手&ご感想、有難うございます~v
実はこっそり細々と、思い出したかのようにやってたり
するんですよ、3Z(笑)
って言うか本当、授業どころじゃなさそうですよね、あの席順v
と言うかまず教師が授業しなさそうです(笑)
また何れ3Zには挑戦してみたいので、その時はどうぞ
よろしくお付き合いくださいませv
安岐様
ご感想&お祝いのお言葉、有難うございました~v
リク内容に勝手に坂田を入れてしまいましたが、
気に入って頂けたようで嬉しいですvv
どうもあの二人を書いたら、もう一人のドSを入れたくなってしまいましてv(コラ)
十代組みは本当、和みますよね~v
これからもこんな感じで頑張っていこうと思いますので、
どうぞ末永くお付き合いして下さると嬉しいですv
企画参加、本当に有難うございましたvv
ウノーサノー様
拍手&ご感想、有難うございますv
やはり突っ込み入れたくなりますよね、あれは(笑)
と言うか私は『単なる空回り的健全な病銀』に
滅茶苦茶納得しつつ、大笑いさせて貰いましたよ~vv
確かにその通りですvv
どうぞこれからも生暖かい目で、彼の空回りっぷりを
見守っていて下さいませv
グルグルまわしてきますんでっ!(ちょι)
カズ様
拍手&ご感想、有難うございましたv
ツボに入って頂けたようで安心しました~v
本当、裏を見なければ優しい理想的な恋人なにんですけどね~ι
まぁその裏を、新八には絶対見せないと思いますので、
(新八的には)大丈夫だと思いますv
・・・まぁセコイ嫌がらせと言う名の罠は仕掛けられますけど(笑)
今後も病み銀等、頑張って行きたいと思いますので
どうぞよろしくお付き合いくださいませv
企画参加、本当に有難うございましたv
狸御殿様
拍手&ご感想、有難うございますv
病み銀、気に入っていただけましたかvv
本当、新八意外には滅茶苦茶凄んでいくんですけどね~、
新八相手となると、セコイ地道な罠しか仕掛けられません、
ウチの病み銀(笑)
でもとりあえず叱って通報しといて下さい(コラ)
と言うか夜中の台所での姿がっ!(笑)
・・・まぁお星様でも無理って事で、暫くはそのまんまで是非v
小さなうめき声が台所から聞こえ、銀時はそっと足を向けた。
すると、そこには一生懸命何かと戦っている新八の姿が。
「な~にやってんだよ」
「あ、銀さん」
声を掛ければ、クルリと振り返る新八。
そしてその手には、戦っていたらしい相手のビン。
どうやら蓋が固くて、開けられなかったらしい。
銀時の視線に気付いたのか、新八は恥ずかしそうに頬を染めた。
「もう少しで開きそうなんですけど・・・」
「馬ぁ鹿、手が赤くなってんじゃねぇか。
おら、ちょっと銀さんに貸してみ?」
そう言うと銀時は新八の手からビンを奪い取り、さっさと蓋を開けてしまう。
「あ、開いたっ!」
「こんぐらいチョロイチョロイ。」
おらよ。と銀時が蓋の開いたビンを渡すと、新八はにこりと口元を緩め、
有難うございます。と礼を述べた。
「っつうかこれぐらい何時でもやってやっから」
だからこんな手を赤くするまで頑張んな。銀時はそう言うと
渡したビン毎新八の手を取り、そっと赤くなった場所に口付ける。
それに、今度は新八の頬が赤く染まる。
「ちょっ!何やってんですか、アンタっ!!」
「何って・・・消毒?」
「いらんわ、ボケェェ!!!」
新八は慌てて銀時から自分の手を引き離すと、そのまま銀時から
庇うように体ごと横に向けた。
「それに・・・これぐらい僕だって・・・」
「馬ぁ鹿、銀さんがイヤなんだよ。
お前の手が赤くなんのも、飯の支度が遅くなるのもよ」
「最後が本音かよ。」
銀時の言葉に、新八がクスリと笑う。
それに銀時も薄く笑い、ポンと新八の頭に手を乗せた。
「ま、何にせよ何時でも呼べって。
読書と昼寝とパチンコタイム以外なら手伝ってやっから」
「それ、手伝ってくれる気があるんですか?」
全くもう。そう言いながらも、新八の顔は笑っていて、
ならついでに・・・とばかりに上の棚に置いてある皿を
取ってくれる様頼んだ。
「いっその事、下に置こうかな、これ」
新八は渡された皿を見詰めながら独り言のように呟いた。
比較的大きなその皿は、あまり坂田家の食卓には出ない。
なので上の棚に仕舞っていたのだが、やっぱり使う事もある訳で。
まぁ取れる事には取れるんだけどね・・・と、新八は
下の棚に空いている所があったかどうか、思い浮かべた。
「別にいいだろ、今まで通り上でも。
これ、そんな使わねぇし。」
第一必要な時は呼べって言ってんだろ。呆れたように告げる銀時に、
新八も呆れたような顔を返す。
「・・・読書と昼寝とパチンコの時以外・・・でしょ?」
「食事は特別待遇って事で」
「どうせなら仕事をその位置づけにして下さい」
まぁいいや。と、新八は皿を置いて笑った。
「じゃあ仕舞う時もお願いしますね。
ご飯食べて早々、呑みにいかないで下さいよ?」
新八の言葉に、銀時は ゲッ とした表情を見せるが、
すぐに肩を落として ヘイヘイ と返事を返したのだった。
「さて・・・と」
どれだったかな・・・と、銀時は夜中の台所で呟いた。
今起きているのは銀時のみ。神楽は既に深い眠りについているし、
新八も既に送って行った後だ。
もしかしたらまだ起きていて、明日の予定やら献立やらを
考えてるのかもしれない。
それか、もう布団について、夢の中に居るのかもしれない。
もしそうなら、俺の夢を見ていてくれたらいい。
銀時はそう思って少し笑った。
そして漸く、自分がここに居る理由のものを見付け、
口元の笑みをもっと深める。
銀時が探していたもの、それは一個のビン。
新八が、蓋が固くて開けられなかったビンだ。
銀時はそれを手に取ると、口元を緩めたままギュッと力を込めて
蓋を閉め直した。
頻繁には使わないけれど、時折使う大皿は上の棚に。
ビンの蓋はなるべく固く。
消えそうな電球は、見付けてもそのままに。
家電は壊れても完全には直さず。
味噌や米など、重いものがなくなりそうな時は
なるべく家に居て。
「俺をもっと頼れよ、新八」
銀時は微笑んだまま、そっと固く閉めたビンを戻した。
新八はやれば出来る子だ。
しかも今までの環境から、あまり人に頼ろうとしない。
そんな所も好きなのだが、でもそれ以上に甘えて欲しくて。
頼ってほしくて。
依存して欲しくて。
些細な事でいいんだ。
日常的な事でいいんだ。
それを積み重ねて、山になって、当たり前になって。
俺がいなくても、咄嗟に俺の名前を呼んでしまうぐらいに。
そして何時か、俺がいないと駄目になってしまうぐらいに。
もう俺は、既に駄目になってしまっているんだから。
「甘えてくれねぇなら、甘えさせるまでっ・・・てね」
銀時はそう呟くと、優しくビンを撫で、幸せそうに笑った。
さぁ、他にどんな罠を張ろうか。
***********
八万打企画第四弾・カズ様からのリクで「ちょい病み話」
と言う事でしたが・・・ちょい病みと言うか、病みスタートって
感じになってしまった気が・・・ι
いや、寧ろセコイ嫌がらせのような・・・(笑)
ちょい病み・・・勉強しなおしてきますっ!
こんな感じになってしまいましたが、少しでも
楽しんで頂けたら嬉しいですv