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買い物の帰り道、天気も良いし・・・と少しばかり遠回りしていた
銀時と新八、そして神楽は同じようにプラプラ歩いている
黒い集団を見つけた。
「うわっ、最悪。見てみ、新八。
あれに横切られたら不幸になんぞ」
途端に嫌な顔をする銀時に、言われた言葉にピキリと青筋を立てる
土方。
「おいこら天パ。何人を黒猫扱いしてやがんだ」
「え?別にしてないけど?
単にゴキブリ扱いしてただけだけど?」
「うわ~、勘違い丸出しじゃねぇですかィ。
何ですか、子猫ちゃん気取りですかィ?
恥ずかしいんでプライベートな趣味は控えて下せェ」
「おぉぉぉいっ!!
誤解されるような事言ってんじゃねぇぇ!!
っつうか普通に考えたら黒猫だろうが、それっ!
何それより酷ぇ扱いしてやがんだぁぁ!!」
「うるせぇよ!
テメェなんかゴキブリで十分だってぇの!
子猫っつぅのはなぁ、ウチの新ちゃんみたいなのを
言うんだよコノヤロー!!」
「いや、言いませんから」
って言うか何喧嘩売ってんですか、アンタ。そう言い、新八は
呆れた顔で銀時の腕を引いた。
そして軽く土方達に頭を下げる。
「すいません、お仕事中に。」
「いやいや、仕事中だからこそいいんでさァ。
寧ろもっと邪魔して序に土方さんを葬って下せェ
大丈夫、お巡りさんならここに居るんで
事件は即解決でさァ」
そう言う仕事ならやる気がでまさァ。そういい笑顔で言う
沖田に、新八の笑みが引き攣る。
「おぉ!そしたら私もテレビデビューヨ。
『そう言う事をする人にしか見えませんでした』って
涙ながらに語ってやるヨ、銀ちゃん!」
目を輝かせる神楽の頭を、銀時はパカンと叩く。
「文章が微妙に間違ってんじゃねぇか、それ。
っつうか勝手に人を犯罪者にしてんじゃねぇよ!」
怒る銀時に、沖田がキョトンとした顔をする。
「あれ?違ったんですかィ?旦那」
「・・・沖田君、ちょっと止めてくんない?
その本気でびっくりした顔、止めてくんない?」
「気持ちは判るがな」
「珍しく常識的な反応ネ」
「おぉぉぉいっ!っざけんな、テメー等。
なんだここ、敵ばっかりかっ!」
うんうんと頷く土方と神楽に銀時の叫びが上がる。
そして何も言わなかった新八へと擦り寄り、その肩へと
額を寄せて懐いた。
「新八~、あいつ等酷くね?
もう銀さんのガラスのハートはボロボロだよ。
これはもう甘味か新ちゃんでしか癒されねぇよ」
そんな銀時に、新八は小さく息を吐くとポンポンと頭を
優しく叩き、
「はいはい、判りましたから離れてください。
おかず一品減らしてでも甘味を買いますから」
笑顔でそっと離した。
「え?無理してまで甘味選択?」
「旦那ァ、手始めに軽犯罪ですかィ?
言っとくけど俺は容赦しませんぜィ?
犯罪に軽いも重いもねぇんで」
さぁ手を出して下せェ。そう言いながら、沖田はチャラリと
手錠を取り出す。
それに銀時は慌てて体を新八の後ろへと隠した。
ちなみに腕はまだしっかり新八に抱きついたまままだ。
「ちょ、なんでこう言う時だけやる気満々!?」
「銀ちゃん・・・そう言う事する人だと思ってたヨ」
「だからテメーは俺をなんだと思ってんだぁぁ!!」
自分の後ろと前とで飛び交う声に、新八はうんざりとした
顔で大きく息を吐く。
とりあえず今日買って来た物の中に、早めに冷蔵庫に
入れなければいけないものはない。
だが、新八にはまだやるべき家事が色々と残っているのだ。
そろそろ帰りたい・・・と、新八はちらりと周囲に目をやった。
銀時と神楽たちは未だ激しく怒鳴りあっている。
それに終わりは見えないし・・・なんだか沖田はとても楽しそうだ。
そんなに銀時を犯罪者にしたいのだろうか。
それは寧ろ土方さんの方なんじゃ・・・とそちらを見てみれば、
土方はそ知らぬ顔で携帯を弄っていた。
・・・仕事しろよ、おい。
ちょ、貴方の部下が無理矢理仕事作ろうとしてますけど!?
いいんですか、これ。
アリなんですか、これ。
どっちでもいいんですが、僕は帰して下さい。
って言うかまず貴方が帰ってきて下さい。
ネ申曲キタコレ。なんて言ってんじゃねぇぞ、コラ。
トッシーか、トッシーなのか、今っ!
とりあえず、銀時ではないけれど今の新八に味方はいないようだ。
新八はもう一つ大きく息を吐くと、目の前の沖田へと
視線を向けた。
「お楽しみの所すみませんが、沖田さん。
何かのお仕事の途中だったんじゃないんですか?」
時間、大丈夫なんですか?銀時の俺は楽しんでねぇっ!と言う言葉は
無視して問い掛けると、あぁ。と漸く言葉の応酬が止まった。
「そりゃ大丈夫でェ。
単なる見回りだからねィ」
最近ここらで変質者が出るって話でねィ。と、そこまで言い、
何かに気付いたようにポンと軽く手を打った。
そしてそれまでチャラチャラと手の中で遊ばせていた手錠を
確りと持ち直すと、そのままカチャリと銀時の手に嵌めてしまった。
「「・・・・え?」」
思わず銀時と二人、間抜けな声を出してしまった新八をよそに、
沖田は土方へと声を掛ける。
「土方さ~ん、今朝の報告であった変質者、逮捕しましたぜィ」
「「はぁぁぁ!?」」
「おいおい、そりゃ別の変質者だろ」
沖田の言葉に漸く帰ってきた土方が呆れた顔を浮かべる。
「おぉぉいっ!別も何も変質者じゃねぇってのっ!
誤認逮捕も程があんだろうがぁぁ!!」
「旦那ァ、証拠はあがってんでィ。
観念してお縄について下せぇよ」
はい、離れて離れて~。と、沖田は銀時から新八を離す。
「銀ちゃん・・・やっぱり・・・」
「やっぱりじゃねぇよっ!
って言うか証拠って何だ、証拠って!!」
勢い良く詰め寄る銀時に、沖田は小さく肩を竦めると
懐から一枚の紙を取り出して銀時の目の前へと突き出した。
「これが証拠でさァ。
被害者による、犯人の似顔絵なんですけどねィ」
ほら。と沖田は紙に書かれている人物像を指差した。
だが、そこに描かれている人物像は、銀時には似ても似つかぬもので。
「・・・なんでコレが証拠?」
「おいおい、まだシラをきるんですかィ?
男らしくないですぜィ?ほら、よく見て下せェ」
そう言い、一層銀時へと紙を近づけた。そして・・・
「目と鼻と口の数が完全に一致してまさァ」
と、酷くいい笑顔で言い切ったのであった。
「・・・あぁ、なら仕方ねぇな。
よし、屯所まで連行しろ、総悟」
「はぁぁぁ!!?
ちょ、仕方なくねぇだろ、それぇぇ!!!」
新ちゃん助けてぇぇぇ!!!と叫ぶ銀時を、沖田と土方が
引きずっていく。
とりあえずドラマの時間がどうのと言っていた声は聞かない方向だ。
「・・・やっぱり人は見かけによるネ」
「神楽ちゃん、それどっちに向けて言ってるの?」
と言うかどうしよう・・・と、一瞬考えた新八だったが、
多分今止めても、また先程のような会話が繰り返されるだけだろう。
そんな時間の無駄は御免被りたい。
それにもし無事に銀時を助け出せたとしても、
その後グダグダと愚痴を言いまくり、それに自分を巻き込む
に決まっている。
そんなウザイ事も本気で御免被りたい。
って事で・・・と、新八は段々小さくなっていく銀時達の姿から
目を逸らす事にした。
その後、『放置プレイにも程がね!?』と自力で逃げ出してきた
銀時により一層纏わりつかれ、新八が心底後悔する羽目に
なったのは言うまでもない。
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八万打企画第六弾・椎羅様からのリクで
『十代組みが大人をからかう話』と言う事でしたが
如何だったでしょうか?
今回の被害者は坂田一人にしてみましたが、
最終的には新八に全ての被害が返ってきてしまったようなι
こんな感じになりましたが、少しでも楽しんで頂けたら
嬉しいですv
企画参加、本当に有難うございましたvv