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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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小さなうめき声が台所から聞こえ、銀時はそっと足を向けた。
すると、そこには一生懸命何かと戦っている新八の姿が。

「な~にやってんだよ」

「あ、銀さん」

声を掛ければ、クルリと振り返る新八。
そしてその手には、戦っていたらしい相手のビン。

どうやら蓋が固くて、開けられなかったらしい。

銀時の視線に気付いたのか、新八は恥ずかしそうに頬を染めた。

「もう少しで開きそうなんですけど・・・」

「馬ぁ鹿、手が赤くなってんじゃねぇか。
おら、ちょっと銀さんに貸してみ?」

そう言うと銀時は新八の手からビンを奪い取り、さっさと蓋を開けてしまう。

「あ、開いたっ!」

「こんぐらいチョロイチョロイ。」

おらよ。と銀時が蓋の開いたビンを渡すと、新八はにこりと口元を緩め、
有難うございます。と礼を述べた。

「っつうかこれぐらい何時でもやってやっから」

だからこんな手を赤くするまで頑張んな。銀時はそう言うと
渡したビン毎新八の手を取り、そっと赤くなった場所に口付ける。

それに、今度は新八の頬が赤く染まる。

「ちょっ!何やってんですか、アンタっ!!」

「何って・・・消毒?」

「いらんわ、ボケェェ!!!」

新八は慌てて銀時から自分の手を引き離すと、そのまま銀時から
庇うように体ごと横に向けた。

「それに・・・これぐらい僕だって・・・」

「馬ぁ鹿、銀さんがイヤなんだよ。
お前の手が赤くなんのも、飯の支度が遅くなるのもよ」

「最後が本音かよ。」

銀時の言葉に、新八がクスリと笑う。
それに銀時も薄く笑い、ポンと新八の頭に手を乗せた。

「ま、何にせよ何時でも呼べって。
読書と昼寝とパチンコタイム以外なら手伝ってやっから」

「それ、手伝ってくれる気があるんですか?」

全くもう。そう言いながらも、新八の顔は笑っていて、
ならついでに・・・とばかりに上の棚に置いてある皿を
取ってくれる様頼んだ。

「いっその事、下に置こうかな、これ」

新八は渡された皿を見詰めながら独り言のように呟いた。
比較的大きなその皿は、あまり坂田家の食卓には出ない。
なので上の棚に仕舞っていたのだが、やっぱり使う事もある訳で。

まぁ取れる事には取れるんだけどね・・・と、新八は
下の棚に空いている所があったかどうか、思い浮かべた。

「別にいいだろ、今まで通り上でも。
これ、そんな使わねぇし。」

第一必要な時は呼べって言ってんだろ。呆れたように告げる銀時に、
新八も呆れたような顔を返す。

「・・・読書と昼寝とパチンコの時以外・・・でしょ?」

「食事は特別待遇って事で」

「どうせなら仕事をその位置づけにして下さい」

まぁいいや。と、新八は皿を置いて笑った。

「じゃあ仕舞う時もお願いしますね。
ご飯食べて早々、呑みにいかないで下さいよ?」

新八の言葉に、銀時は ゲッ とした表情を見せるが、
すぐに肩を落として ヘイヘイ と返事を返したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 



 


「さて・・・と」

どれだったかな・・・と、銀時は夜中の台所で呟いた。

今起きているのは銀時のみ。神楽は既に深い眠りについているし、
新八も既に送って行った後だ。

もしかしたらまだ起きていて、明日の予定やら献立やらを
考えてるのかもしれない。
それか、もう布団について、夢の中に居るのかもしれない。

もしそうなら、俺の夢を見ていてくれたらいい。

銀時はそう思って少し笑った。
そして漸く、自分がここに居る理由のものを見付け、
口元の笑みをもっと深める。

銀時が探していたもの、それは一個のビン。
新八が、蓋が固くて開けられなかったビンだ。

銀時はそれを手に取ると、口元を緩めたままギュッと力を込めて
蓋を閉め直した。

 

 

 

頻繁には使わないけれど、時折使う大皿は上の棚に。

ビンの蓋はなるべく固く。

消えそうな電球は、見付けてもそのままに。

家電は壊れても完全には直さず。

味噌や米など、重いものがなくなりそうな時は
なるべく家に居て。





 


「俺をもっと頼れよ、新八」

銀時は微笑んだまま、そっと固く閉めたビンを戻した。

新八はやれば出来る子だ。
しかも今までの環境から、あまり人に頼ろうとしない。

そんな所も好きなのだが、でもそれ以上に甘えて欲しくて。

頼ってほしくて。

 


依存して欲しくて。

 


些細な事でいいんだ。
日常的な事でいいんだ。

それを積み重ねて、山になって、当たり前になって。

俺がいなくても、咄嗟に俺の名前を呼んでしまうぐらいに。

そして何時か、俺がいないと駄目になってしまうぐらいに。

 


もう俺は、既に駄目になってしまっているんだから。

 


「甘えてくれねぇなら、甘えさせるまでっ・・・てね」

銀時はそう呟くと、優しくビンを撫で、幸せそうに笑った。

 

 


さぁ、他にどんな罠を張ろうか。


***********
八万打企画第四弾・カズ様からのリクで「ちょい病み話」
と言う事でしたが・・・ちょい病みと言うか、病みスタートって
感じになってしまった気が・・・ι
いや、寧ろセコイ嫌がらせのような・・・(笑)
ちょい病み・・・勉強しなおしてきますっ!

こんな感じになってしまいましたが、少しでも
楽しんで頂けたら嬉しいですv

企画参加、本当に有難うございましたvv

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