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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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服に着いた知らない残り香や、口紅の痕。
よくある修羅場移行へのお約束だ。

でも僕は男だし、あくまで気をつける方であって、
気付くほうではない筈だ。

・・・まぁ、色々あって気付く方にもなるって
立場になったのだけれど。

でも、そんなのはドラマとかの中だけで、
実際そんな事はないと思っていた。

かなり認めたくはないが、案外モテる銀さんではある・・・
が、何故かそう言うのとは結びつかなかったし。

だから、まさか銀さんの洗濯物を前に、
固まってしまうなんて事態、想像も出来なかったんだ。

どうしよう・・・これ。

手にした銀さんの着流しを見詰め、暫し呆然とする。
そんな僕とは裏腹に、風呂場から聞こえる銀さんの鼻歌は
異様に明るく耳に入り込んでくる。

それを聞いて、上機嫌な理由はコレなのかな。なんて
思わず考えてしまう。

考えてしまうので、余計戸惑ってしまう。

これは・・・怒っていいべきか。
それとも見ない振りをした方がいいのだろうか。

だって銀さんだっていい大人だ。
やって良い事と、悪い事の区別ぐらい判っている筈だ。
それにもしかしたら僕の勘違いって事もあるかもしれない。

そう、そうだよっ!
だって今までちゃんとしてきたじゃないか。
上手いことやってきたじゃないか。

だからきっと僕の勘違いだよ、うん。

そう結論付けた所で、不意に風呂場から声を掛けられた。

「新八~、どうかしたか~?」

どうやらずっと脱衣所に居る僕を不思議に思ったらしい。
一瞬ビクリとするものの、慌てて返事を返した。

「や、別になんでもないんですけど・・・
えっと、銀さん?今日って何処に行ってたんですか?」

「・・・・・・パチンコだけど、なんで?」

思わず出てしまった僕の問い掛けに、銀さんは少しだけ
低くなった声でそう答えてきた。

・・・その間は一体なんなんですか、銀さん。

湧き上がってくる不信感に、手にした着物をギュッと握る。

「いえ・・・なんか銀さんの服から甘い匂いが
したような気がして・・・」

「・・・タバコの匂いじゃねぇか?
甘い匂いのやつって結構あるし」

「そう・・・ですか」

銀さんの言葉に一応頷くものの、明らかにタバコとは違う
匂いにますます不信感は沸いてくる。

それに、もしこの匂いが銀さんの言う通りタバコの移り香だとしても、
この着物についた痕は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 



「明らかに餡子の痕だろうが、コノヤロォォ!!!!」


やっぱり見ない振りなど出来ないので、風呂場に乗り込んで
鉄拳制裁させて頂きました。
 

 

 

 


全く、最近珍しく買い食いも隠し糖分もしてなかった
と思ったら、外で食ってきやがって。
しかもそれをなんとか誤魔化そうとするなんて・・・

銀さん、アンタ自分がいい大人なんだって事、
そろそろ自覚して下さい。

まぁ開き直って言ってきても、即 鉄 拳 ですが。

とりあえずお風呂から出てきた銀さんを正座させて、
お説教タイムスタートだ。

・・・と、意気込んでいたら、銀さんはしおらしい態度で
小さな包みを僕へと差し出してきた。

何だろう。と首を傾げると、銀さんは少しだけ照れくさそうに
『今日、ホワイトデーだからよ。お返し・・・みたいな?』
なんて言って来た。

どうやら銀さんは、今日一日甘味屋で悩みに悩んで
これを買ってきてくれたらしい。

着物の匂いはそこでついたもので、餡子は試食した時に
ついたんじゃないのか?と言う事だった。

「絶対ぇ美味しいからよ、それ。
もう銀さんの保障付き」

だから、一緒に食べね?なんて目の前に立っている僕を
上目遣いでおずおずと見てくるものだから、僕はつい
口元を緩めてしまった。

全く、銀さんたら・・・

 

 

 

 

 

 

アホですね、本当。

大体何に対してのお返しなんですか?
僕、チョコなんてあげてないですよね?

寧ろ貰いましたよね、今年もアンタから。

ってか保障しちゃうほど試食してきた訳ですか。
そりゃそうですよね、着物に匂いつくほど
店にいたんですからね?

その上これも公然と食べたいって事ですか。

 

 

 


とりあえず説教と言う名の拷問決定ですね。」

にっこりと笑って最終通告を銀さんに告げさせて貰った。

 

どうやらウチの場合、修羅場移行する為のアイテムは、
甘味の移り香と餡子の痕らしいです。

********
イベントであろうと、うっかりさせません。
寧ろイベントだからこそ、うっかりしません(え?)

拍手[13回]

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「・・・本当、勘弁してよ」

久しぶりに晴れた昼下がり、新八は天下の往来で深々と
溜息を零していた。

 




 

 

「おう、新八じゃねぇか。
こんなトコでボーッと何突っ立ってんでィ。
仕事サボってんじゃねぇよ」

とりあえず道のど真ん中で突っ立ってるのもアレなので、
脇の方へと身を寄せていた新八に、聞きなれた声が掛かる。
視線を向ければ、ジュース片手にこちらへと歩いてくる
沖田の姿が。

「アンタに言われたくない言葉
第一位ですよ、それ。」

「あぁ、そりゃSとしてはナイスチョイスだねィ。
で、何サボってんでィ」

「・・・そもそもサボる為の仕事がありませんが?」

「判ってまさァ」

今更何言ってんだ?と言わんばかりの沖田の表情に、
軽くイラッとくる。

だが、それを表面上に出しても、沖田を喜ばすだけだ。

新八は大きく深呼吸をする事で一先ず落ち着き、
持っていたビニール袋を軽く上げた。

「・・・ま、一応買い物の帰りですけどね。
買い物が仕事に入るかどうか、
物凄く疑問ですが。
でも、一応サボっている訳じゃないですよ?」

待ってるんです。そう言って新八はチラリと視線を動かした。
それに釣られて沖田も視線を向ければ・・・

「あ~・・・アレね」

二人の視線の先、そこには周囲の視線も何のその。
丸っきり無視して激しく言い争う大の大人が二人。

「一緒に買い物に来たんですけど、フラッとどっか
行っちゃって。
で、漸く見つけたと思ったら、・・・アレですよ」

一応声掛けたんですけどね・・・新八はそう言うと、
カクリと肩を落とした。

「なんでィ、旦那ともあろう御人
新八の事を無視したんですかィ?
旦那ともあろう御人が?」

「・・・どんな御人なんですか、沖田さんの中で」

「どんなに離れていようと新八の危機には必ず
駆けつける。
寧ろ危機じゃなくても駆けつける。
ならいっその事ずっと傍に居ろよ、
ってぇか居るじゃん、もう。
・・・てしみじみ思わせる御人でィ」

「すみません、本当にどんな御人なんですか
それっ!」

淡々と説明する沖田に、新八が声を荒げれば、

「あそこに居る御人でィ」

と、気持ち良いぐらいきっぱりと少し離れた所に居る
銀時を指差した。

「だから、新八が声を掛ければ一発だと思うんだけどねィ」

心底不思議だと言う風に、沖田が首を傾げた。

「一体今日はなんで喧嘩してんでさァ。
土方さんの開いてる瞳孔にガンでもつけられたのかィ?
そりゃ仕方ねぇや。あの人ぁそれが通常の目つきだからねィ。
生れ落ちた瞬間からそれだから。
傍迷惑極まりねぇよなぁ、本当。
潰れちまえよ、そんな目ん玉ぁ。
んで飛び出した目ん玉抉り出して貰って、
勝手にレッツパーリィィしてきやがれ。
後は俺が地に落としてやっから。
あ、それともマヨ臭でも移されちまいやしたか?
っつうても旦那だって糖分アルコール臭
マダオ臭撒き散らしてんだから、相殺って
感じだけどねィ。
っつうか寧ろ即殺って感じだねィ、俺的には。
で?理由はなんでィ?」

ま、理由なしでも普通に喧嘩してっけど。
そう言って沖田は新八へと視線を戻した。

それに対し・・・なのか、それとも全体に対してなのか。
新八は深々と溜息を吐くと、沖田の疑問に答えを返した。

「・・・朝御飯です」

「・・・は?」

思わぬ返答に、沖田の目が少し見開かれる。
それに新八は だからっ! と呆れた様に言葉を続けた。

「朝御飯ですよ。ほら、今日のお迎えって土方さん
だったじゃないですか」

そう言われ、沖田は あぁ。 と頷いた。

既に日常の一部と化してしまった、志村家への
近藤回収だが、時間が合えば、時折新八が朝御飯を
出してくれたりする。

現に沖田も既に何回か御呼ばれになっているし、
お礼と迷惑料を兼ねて、手土産を持って行ったりしている
訳だが・・・

それが何で喧嘩に?

多分、今日迎えに行った土方も、新八の朝御飯を
ご馳走になったのだろう。
でも、それと銀時が新八を構わずに土方と言い争いを
している事がどう繋がるのかが判らない。

尚も不思議そうにしている沖田に、新八は少しだけ
頬を染めて言葉を続けた。

「だから・・・その・・・どうも土方さんに会った時に
銀さん、それを聞いたみたいで・・・許せねぇって。
僕の朝御飯、土方さんから吐き出させるまで待ってろって」

「はぁ・・・」

気の抜けた声を出しながら、沖田は未だ言い争っている
二人へと視線を向けた。

相変わらず銀時は真剣に怒ってて、土方も真剣に
言い返している。

それはそうだ。
天下の往来・・・と言うか往来でなくても、
吐き出したくはない。
と言うか普通に無理だ。

けれど、銀時としてはそのままは許せなくて・・・

 





 


・・・まぁアレだ。

「愛されてんねェ、新八は。
全く羨ましくねぇけど」

「・・・でしょうね。
ほっといて下さい」

そう言うが、やっぱり新八の頬はほんのり赤く、
沖田はひっそりと口元を緩ませた。

 

 

 

 

 

「てか、吐き出させるより腹ぁ掻っ捌いて
中身出した方が早くねぇかィ?
あれ?俺超良い事言ったんじゃね?
やべ、旦那にアドバイスしてこねぇと。
寧ろ参加してこねぇと」

「ちょっ!土方さん、逃げてぇぇぇ!!!」

**********
ウチの坂田は心が狭いです。

拍手[21回]




漸く暖かくなったと思ったのに、寒さは根性入れて
まだしがみついて来る。

全くこの時期は過ごし難い。

 

 

「何なんだよ、この寒さは。昨日はあんなに
暖かかったじゃん?なのに何コレ。春なの?まだ冬なの?
衣替えの時期が判らねぇよ。
何時着りゃいいんだよ、春物」

「まぁそうですけど・・・
銀さん関係なくね?」

そう言って新八は片腕をがっつり出しつつコタツに
潜り込んでいる銀時を見返した。
それに神楽も肩までコタツ布団に包まりながら、力強く
頷く。

今日は銀時曰く、寒さが根性入れている日だ。
なので新八もコタツの恩恵に預かりながら、家計簿を
つけていたりする。

・・が、つければつけるほど泣きたくなる
・・・と言うか身も心も寒くなる訳で。

新八は小さく息を吐くと、さっさと家計簿を閉じた。
そんな新八に、銀時はフルフルと首を振る。

「判ってねぇなぁ、オマエ等。
言っとくけどアレよ?銀さん程季節感大事に
する奴、いないからね?」

「だから説得力ないですって、その格好じゃ。
ってか寒いならちゃんと着ればいいじゃないですか」

「それは俺のポリシーに反する。
銀さん、そう言うのも大事にしてるから」

「うざっ!そして面倒くせっ!」

「新八~、そんな事言っちゃ駄目ネ」

銀時の言葉に、新八が嫌そうな顔をするが、
珍しくも神楽がそれを諌めた。

「構ったらずっとこんな調子ヨ。
ウザさ倍増ネ」

「おぉぉぉい!何それ。
なんかそれだと銀さんがものっそい構ってちゃん
聞こえるんですけどぉぉ!!!」

「ホラ、調子に乗ってきたアル。
いいから夕飯の支度してこいヨ、銀ちゃん~」

私、お腹ぺこぺこネ。そう言って自分の腹をさする神楽に、
新八もチラッと時計に視線を向ける。

「あ、本当もうこんな時間だ。
じゃあ銀さん、いってらっしゃ~い」

「・・・あのさ、さっきの銀さんの台詞聞いてた?」

小さく手を振る新八を、銀時はじっとりと恨めしそうに
睨み付ける。
それに新八はにっこりと笑い、首を傾げた。

「聞いてましたけど、それが?」

「・・・寒いんですけど」

「そうですね。僕も寒かったですよ?
洗濯干す時とかお風呂洗う時とか、水仕事全般
洒落になってませんでしたよ?
寧ろ寒い通り越して痛かったですけどね?
で、それが?」

あくまでニコニコと笑顔のまま言い募る新八に
銀時が勝てるはずなどなく。

あ~っ!!!と最後の暖とばかりにコタツ布団に顔を埋めると、
勢いをつけてコタツから立ち上がった。

「わぁ~ったよ、コンチキショー!
暖かい飯作ってやんよっ!身も心も溶けるような。
そして溶けまくって銀さんに身を委ねたくなる様な
一品
を作り上げてきてやらぁぁ!!
でも寒いもんは寒ぃ~っ!!!!」

ちょ新八、取ってっ!寒そうに腕をさする銀時に、新八は
小さく苦笑を零すと近くにあった銀時の半纏を手に取った。

・・・ら、横から出てきた神楽に、何故だかがっつり
腕を取られてしまい。

「・・・え?」

「はいヨ~、銀ちゃん」

そのままブンと銀時の方へとぶん投げられてしまった。

「ええぇぇぇえ!!!?」

突然の事に思わず目を瞑った新八だったが、直ぐに
暖かいものにポスンと包まれたのを感じ、
恐る恐る強張っていた体の力を抜き、目を開けた。

「ほいっと。あ~、あったけぇ~」

やっぱ寒い時はこれだね。いや、寒くなくてもいいけど。

そう言って、開けた新八の視線の先には、嬉しそうに
自分に頬を摺り寄せてくる銀時の顔があって。

「・・・・・へ?」

「じゃあ作ってくっか。
あ、新八。落ちないように首にギュって腕回しといて」

「は?」

訳が判らないものの、素直に腕を回す新八に、
銀時は満足げに頷くと、抱えたままの状態で
台所へと向かっていったのであった。

 

 





「取れって・・・この場合普通半纏とかじゃありません?」

「いや?だって言ったじゃん、銀さん。
『新八取って~』って。
それに半纏なんかよりオマエのがあったけぇ」

「・・・子供体温をこれ程疎ましく思った事ないんですけど。
ってかこの格好で料理するつもりですか、アンタ」

「ん~・・・やっぱやり辛いか。
んじゃ新八、ちょっとそのまま背中回れ、背中」

「問題丸残りじゃね!?
あ~、もう!明日腰痛くなっても知りませんからねっ!」

「大丈夫、大丈夫~」

 

 

 

―――だって腰より引っ付くチャンスの方が大事ですからっ!

*********
寒いのでちょっとうっかり(笑)

拍手[18回]




何時も拍手パチパチ、有難うございますvv

本当に読んでいてくれる方々がいらっしゃるのだと
妙な実感が沸いて来ます(笑)



以下、拍手お返事

りさね様
初めましてv拍手&コメント、有難うございますv
新八大好きなウチの坂田を気に入って頂けてるとかv
有難うございます~v大分変態入っててへタレですけど、
どうぞ末永く生暖かい目で見守ってやって下さいませv
あと十代組みも気に入って頂けるようで嬉しいですvv
ですよね~、もう大人組に混じって可愛がりたくなりますよね~v
今後もそう思って頂けるよう、頑張っていきますので
どうぞよろしくお願いしますv


Mag.様
返信不要とありましたが・・・すみません、
あまりの素敵『だが、それがいい』活用に
大笑いさせて貰いましたよ~vvv
ちょ、マジナイスなんですけどぉぉ!!
とりあえず私もKGに土下座で謝ってきますっ!

拍手[1回]




銀さんがいそいそと家を出て行ってから早数時間。
既に日付も変わり、神楽ちゃんも夢の中だ。

「僕もそろそろ寝ようかな・・・」

ボソリと呟き、繕い終えた着物を置いて出ていた針を仕舞う。

銀さんが呑みに行く時、大抵僕は万事屋に泊まる。
幾ら神楽ちゃんが強くても、まだまだ子供だし、その上女の子だ。
定春が居ると言っても、一人になんかしておけない。

だけど銀さんは、

『オマエだってまだお子様でしょうが』・・・だの。

『ってかなんで銀さんが居ない時にお泊り!?』・・・だの。

『寧ろ神楽を泊まりに出して、二人で・・・』・・・なんて

頭の腐った発言しかしてきやがらない。

なので僕は銀さんが呑みに行った時だけ泊まろうと、
固く決心していたりする。



まぁそんな訳で、本日僕はお泊りだ。
電気を消し、一応銀さんの布団も敷いてある和室へと
引っ込もうとしたが突然力強く玄関が叩かれ、その足を止めた。

「え?まさか銀さん?」

咄嗟に時計を見れば、まだ帰ってくるには早い時間だ。
だって確か今日は、誰かの奢りだと言っていた。
ならばここぞとばかりに呑みまくって来るはず・・・

そう思っていると、またドンドンと玄関を叩かれた。
このままだと下からも押入れからも苦情が来てしまう。

でもこんな時間に来るお客なんて、碌な用件じゃないよなぁ。
なんて思いつつ、僕は早足で玄関へと向かった。

・・・ら、玄関で待っていたのは、碌な用件なんかじゃなく、
禄でもない輩だったりした訳で。

だってアレだモノ。
なんかユラユラ揺れてるもの。
二つのモジャモジャな影
ユラユラユラユラとっ!!

・・・うん違うな。
きっと来る所間違えたんだよ。
だってこんな季節外れのナマハゲ、知らないもの。
それに悪い子なんか居ないしね、ここには。
悪い大人は居るけど、今は呑みに行ってていないから。

それに良い子は寝てる時間だしね。
僕、良い子だし。きっと寝てるし。

なのでここに居る僕は幻だし、

玄関の影はもっと幻だ。

そう自分に言い聞かせつつ、その場を後にしようと
体を反転させた所で、幻から声が掛けられた。

「お~い、新ちゃ~ん。ちょ、開けて~。
愛しの銀さんのお帰りだよ~。
何時もみたいに可愛い顔で、
『ご飯にする?それともお風呂?それか・・・僕?』
なんてほっぺ真っ赤にして出迎えて~」

「おぉ!何時もそんな事しちょるのか、金時ぃ。
羨ましいのぉ~、一遍死んで来い」

「あれ?坂本、なんか間違ってない?」

「あははは、すまんの、また名前間違えたかの」

「ん?他にもあった気がすっけど・・・ま、いっか。
それより新ちゃんのチューだよ、チュー。
お帰りのチュ~」

「そんな事までしちょるんか。
本当羨ましいぜよ、金時ぃ。とりあえず死ね」

「って誰がしとるか、そんな事ぉぉぉ!!!」

幻+幻聴だと言う事にしておこうと思ったけど、
あまりの妄想具合に我慢出来なくなった僕は、
つい勢い良く玄関を開けてしまった。

だが僕の怒りなんてなんのその。
玄関先に立っていたモジャモジャ達は、開いた玄関に
機嫌よく中へと入ってきた。

どうやら相当呑んできたらしい。
ゴツンゴツンと色んな所に体をぶつけながら、
居間へと向かっていく。


・・・どうせなら頭ぶつけちまえ、頭。





とりあえず入れてしまったものは仕方が無い。
僕は大きく息を吐いて玄関を閉めると、酔っ払いがいるであろう
居間へと足を向けた。

・・・ら、なんでだろう。

「おぉ、新八君。お邪魔しているぞ」

「っつうか酒ねぇのかよ、酒」

そう言って我が物顔でソファに座っている、
手配書で見慣れている顔の方々が。

あれ?僕、さっき玄関閉めたよね?
しかも仕方なしに入れたの、モジャ達だけだったよね?

なのになんで居るの、この人達ぃぃ!!!

ってかどっから入った!と視線を巡らせば、
何故か開いている和室の窓を発見し・・・

「・・・まともに入って来れないんですか」

と言うか一緒に呑んでたんですか、あんた等。
カクリと肩を落として力なく問えば、何故か呆れたように
高杉さんに鼻で笑われた。

「まともに入ってきてどうすんだよ。
一応手配書に載ってる身だぜ?」

「うむ。何処で誰に見られてるか判らないからな。」

どうやらそれなりに気を使ってくれてるらしい。

使う所、完全に間違えてると思うんだけどね!?

大体自覚あるなら、まず呑みに行くな。

「ごめんなぁ、新ちゃ~ん。
もうさ、こいつらがど~しても、俺と新ちゃんの
新婚生活具合を見て見たいって言いやがってよぉ」

思わず半目で残念な大人達を見ていると、
更に残念な大人が擦り寄ってきた。

「何を言っておる、銀時。
お前がくだらん妄想をグダグダと言い募るから、
店から追い出されただけだろうっ!」

そう言って桂さんが銀さんの頭をパカリと叩く。

・・・どうせならカチ割る勢いでやって下さい。
と言うか・・・

「追い出された?」

耳に入った言葉に、コトリと首を傾げる。

だって妄想・・・ってのはキツイけど、ただ話してただけでしょ?
なのに追い出されるってどんな状況?

「妄想っつうか・・・
普通に通報されるレベルだな、ありゃ」

そんな僕の心境を察したのか、高杉さんがフッと渋く
笑いながら答えをくれた。

いや、そんなカッコ良く言われても、なんか傍に変なモノ
抱えてますからね、高杉さん。
なんですか、それ。
なんか角の薬局の前で見た事ある
ゾウさんなんですけどぉぉ!?
ってかさっきからちゃんと答えてくれて
普通にいい人ですね、高杉さんんん!!

・・・って、それよりもっ!

僕は古き良き伝統のお呪いをする為に持ってきていた
箒を勢い良く、足元に居る白モジャに振り下ろした。

「おいこら、天パ。」

「あ、ヤバイ新ちゃん。その目、ヤバイ。
なんか銀さんゾクゾクしてきたから。
箒が鞭に見えてきたから。
え、何コレ。
新しい世界への第一歩!?」

「あははは。キモイぜよ、金時~」

何故かウニョウニョと体をくねらせる銀さんに、
楽しげに笑いながらもそっと銀さんから離れていく坂本さん。

ちょ、モジャ仲間なんだからどうにかして下さいよ、コレっ!
僕も本気でキモイんですけどぉぉ!!

一先ず綿埃を払うように箒を動かし、
銀さんを足元から離れさせる。

そんな僕等に、桂さんが深々と息を吐いた。

「銀時・・・いい加減にしないか。
俺達は新婚生活具合を見に来ただけで、
夜の生活まで見るつもりは・・・」

「おおおぉいっ!!
結局見に来てんじゃないですかっ!
違いますからね!そんなんじゃないですからっ!!」

「恥ずかしがらなくてもいいぞ、新八君。
人にはそれぞれ趣味嗜好というものがあって、
それを否定する程俺達も野暮じゃない」

「そこじゃねぇよ、違うのはっ!
そんな事考える自分の頭を否定しろよ、コンチキショー」

「あ、忘れてたがこれ、土産だ」

「じゃないですよね、高杉さん。
それ明らかに途中でなんとなく持ってきた
角の薬局の前にあるゾウさんですよね

なんですか、邪魔になったんですか!?」

「んな事ある訳あるめぇよ。
なんだ?カエルの方が良かったのか?
でも新婚家庭にはこっちの方がいいだろうよ。

いいから遠慮なく受け取れ。
コイツがあると足の置き場がねぇんだよ」

「違いが全く判らないんですけど。
ってか結局邪魔なんじゃねぇかぁぁ!!」

「そうじゃ、チ○ポチ君。
ちょっとトイレ貸してくれんかの~」

「アンタはまず人の名前覚えやがれ。
何爽やかに人の名前を伏字部位にしてんだ、コノヤロー」

なんかもうやだ・・・僕は持っていた箒の柄を床に着き、
カクリと肩を落とした。

そこには、ニヨニヨと僕の足に縋り寄ってくる
白いモジャモジャ
が居て・・・

僕は箒を持ち上げると、そのモジャ目掛けて再度柄を
突き下ろした。

・・・うん、なんかカエルが潰れたような音がしたけど、
きっと幻聴だ。
だってもう真夜中だもん。
いい子は寝てる時間だもん。
僕だってもう寝ようとしてた所だもん。
だから幻聴ぐらい聞こえたって仕方ないよ、うん。

あぁ、でも目の前の煩い幻覚共は
消えないんだろうな~。

なら・・・と、突いてた柄をグリグリと力強く押して止めをさし、
僕はすっと押入れの前まで移動した。

そして残念な大人達の方を向き、にこりと笑う。

「皆さん、お休みなさい」

そう言って不思議そうにこちらを見ている銀さん達を余所に、
僕は勢い良く押し入れを開け放った。

そこには勿論、きちんと寝ていた良い子の見本である筈
神楽ちゃんが、物凄い形相で起きていたりした訳で。

・・・ま、アレだけ騒いでれば起きるよね、普通。

瞬間、色を失くした大人達に向かって、小さな影が
物凄い勢いで飛び掛っていきました。

うん、自主的に消えないなら、
消せばいいだけの話だしね。

 







その後、少しだけ風通しは良くなったものの、
とても静かに眠ることが出来たのは言うまでもない。


**********
何時も色々とお世話になってる蒼さんへv
こんな感じになりましたが捧げさせて下さいぃぃ!!
 

拍手[17回]


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