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漸く暖かくなったと思ったのに、寒さは根性入れて
まだしがみついて来る。
全くこの時期は過ごし難い。
「何なんだよ、この寒さは。昨日はあんなに
暖かかったじゃん?なのに何コレ。春なの?まだ冬なの?
衣替えの時期が判らねぇよ。
何時着りゃいいんだよ、春物」
「まぁそうですけど・・・
銀さん関係なくね?」
そう言って新八は片腕をがっつり出しつつコタツに
潜り込んでいる銀時を見返した。
それに神楽も肩までコタツ布団に包まりながら、力強く
頷く。
今日は銀時曰く、寒さが根性入れている日だ。
なので新八もコタツの恩恵に預かりながら、家計簿を
つけていたりする。
・・・が、つければつけるほど泣きたくなる
・・・と言うか身も心も寒くなる訳で。
新八は小さく息を吐くと、さっさと家計簿を閉じた。
そんな新八に、銀時はフルフルと首を振る。
「判ってねぇなぁ、オマエ等。
言っとくけどアレよ?銀さん程季節感大事に
する奴、いないからね?」
「だから説得力ないですって、その格好じゃ。
ってか寒いならちゃんと着ればいいじゃないですか」
「それは俺のポリシーに反する。
銀さん、そう言うのも大事にしてるから」
「うざっ!そして面倒くせっ!」
「新八~、そんな事言っちゃ駄目ネ」
銀時の言葉に、新八が嫌そうな顔をするが、
珍しくも神楽がそれを諌めた。
「構ったらずっとこんな調子ヨ。
ウザさ倍増ネ」
「おぉぉぉい!何それ。
なんかそれだと銀さんがものっそい構ってちゃんに
聞こえるんですけどぉぉ!!!」
「ホラ、調子に乗ってきたアル。
いいから夕飯の支度してこいヨ、銀ちゃん~」
私、お腹ぺこぺこネ。そう言って自分の腹をさする神楽に、
新八もチラッと時計に視線を向ける。
「あ、本当もうこんな時間だ。
じゃあ銀さん、いってらっしゃ~い」
「・・・あのさ、さっきの銀さんの台詞聞いてた?」
小さく手を振る新八を、銀時はじっとりと恨めしそうに
睨み付ける。
それに新八はにっこりと笑い、首を傾げた。
「聞いてましたけど、それが?」
「・・・寒いんですけど」
「そうですね。僕も寒かったですよ?
洗濯干す時とかお風呂洗う時とか、水仕事全般
洒落になってませんでしたよ?
寧ろ寒い通り越して痛かったですけどね?
で、それが?」
あくまでニコニコと笑顔のまま言い募る新八に
銀時が勝てるはずなどなく。
あ~っ!!!と最後の暖とばかりにコタツ布団に顔を埋めると、
勢いをつけてコタツから立ち上がった。
「わぁ~ったよ、コンチキショー!
暖かい飯作ってやんよっ!身も心も溶けるような。
そして溶けまくって銀さんに身を委ねたくなる様な
一品を作り上げてきてやらぁぁ!!
でも寒いもんは寒ぃ~っ!!!!」
ちょ新八、取ってっ!寒そうに腕をさする銀時に、新八は
小さく苦笑を零すと近くにあった銀時の半纏を手に取った。
・・・ら、横から出てきた神楽に、何故だかがっつり
腕を取られてしまい。
「・・・え?」
「はいヨ~、銀ちゃん」
そのままブンと銀時の方へとぶん投げられてしまった。
「ええぇぇぇえ!!!?」
突然の事に思わず目を瞑った新八だったが、直ぐに
暖かいものにポスンと包まれたのを感じ、
恐る恐る強張っていた体の力を抜き、目を開けた。
「ほいっと。あ~、あったけぇ~」
やっぱ寒い時はこれだね。いや、寒くなくてもいいけど。
そう言って、開けた新八の視線の先には、嬉しそうに
自分に頬を摺り寄せてくる銀時の顔があって。
「・・・・・へ?」
「じゃあ作ってくっか。
あ、新八。落ちないように首にギュって腕回しといて」
「は?」
訳が判らないものの、素直に腕を回す新八に、
銀時は満足げに頷くと、抱えたままの状態で
台所へと向かっていったのであった。
「取れって・・・この場合普通半纏とかじゃありません?」
「いや?だって言ったじゃん、銀さん。
『新八取って~』って。
それに半纏なんかよりオマエのがあったけぇ」
「・・・子供体温をこれ程疎ましく思った事ないんですけど。
ってかこの格好で料理するつもりですか、アンタ」
「ん~・・・やっぱやり辛いか。
んじゃ新八、ちょっとそのまま背中回れ、背中」
「問題丸残りじゃね!?
あ~、もう!明日腰痛くなっても知りませんからねっ!」
「大丈夫、大丈夫~」
―――だって腰より引っ付くチャンスの方が大事ですからっ!
*********寒いのでちょっとうっかり(笑)