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暑い暑いと思ってたら、突然寒くなった今日この頃。
万事屋では、普段なら別々に座っている筈の神楽と銀時が、
一つのソファで固まっていた。
「とりあえず何枚か冬物出しときますから、
もう少し我慢して下さいね」
そう告げる新八は、朝から衣替えに大忙しだ。
今も慌しく二人に告げながら、洗濯物を抱えて干し場へと
消えていった。
「・・・銀ちゃん、新八はなんであんなに元気ネ」
「オカンの血が煮えたぎってんだろ」
「なら銀ちゃんよりも暖かいカ?」
「・・・暖かいだろうが、その代償が凄すぎるぞ」
銀時はそう言って顔を顰めた。
その瞬間、腫れた頬が引き攣り、余計に顔を顰める羽目になる。
どうやら既に新八に抱きつき、その凄すぎる代償を
払い終えた後らしい。
「それは銀ちゃんだからヨ。
私だったらやんわり窘められて終わりネ」
「・・・どっちにしろ暖取れてねぇじゃねぇか」
「・・・そう言えばそうネ。」
ならば仕方ない・・・と、神楽はますます銀時へと体を寄せた。
ちなみに二人の足元には定春が寝そべっており、
それなりに重いけれど、きっちり暖は取れている。
「って言うかなんで急に寒くなるネ。
お陰で加齢臭に包まれまくりヨ、私」
「なら離れろコノヤロー、嘘だけど。
俺だってなぁ、酢昆布臭ぇのを我慢してやってんだよ!」
「何言うアルカ!
酢昆布の匂いなんて、芳しいことこの上ないネ!」
「酸っぱい事この上ないわぁぁ!!
・・・て、離れるな離れるな。
冷気が押し寄せてくる」
その言葉に、思わず身を起こして銀時の胸倉を掴んでいた
神楽が我に返り、慌てて手を離して身を寄せた。
「ぅおお!寒かったアル!!」
「ったくよぉ、少しは大人しくしてろってぇの」
「それはこっちの台詞ヨ。
折角酢昆布臭に染め上げた洋服が台無しネ」
「え?自ら酢昆布の匂いにしてんの、オマエ」
「ちゃんと箪笥の中に酢昆布入れてるネ」
乙女の嗜みネ。
お陰で食べてなくても食べてる気がしてくるヨ。
私、凄くネ?と滅茶苦茶自慢げに笑う神楽に、
銀時はカクリと力なく肩を落としたのだった。
「・・・ってか年頃の娘が自ら酢昆布・・・」
その後、少しだけ静かになった二人だったが、銀時は
小さな声でブツブツと呟き続けていた。
どうにも納得いかないらしい。
それに対し、ハッと鼻で笑う神楽。
「銀ちゃんが自ら加齢臭出してるのと同じネ」
「出してねぇよ。
寧ろ引っ込めるよ、そうなったら。
本当止めてくんない?心までもが凍えそうになってくるから!
・・・ってかマジで出してるの?俺」
「そう言えばじっとしてるより体動かしてた方が
暖かいって言ってたネ」
「ちょ、スルーとかマジでやめて!?
なんか肯定されるより現実味があるからぁ!?」
「ね、銀ちゃん。
動いてれば暖かくなるカ?
マダオは冷たくなってたけど」
「だからスルーは・・・って、はぁ?
なんで長谷川さんが出てくんだよ」
必死の訴えを無視して告げてきた神楽の言葉に、
銀時は首を傾げる。
しかも何やら不吉な言葉もあったような気がする。
思わず嫌な汗が流れた銀時に、
神楽はサラリとその時の状況を告げてきた。
「この間マダオが公園で寒い寒い言ってたネ。
で、体を動かせば少しは暖かくなる・・・って言ってたから、
教えてもらったおしくらまんじゅうしたヨ」
「・・・・・・・で?」
「開始直後に飛んでって、
公園の反対側に無様に着地したネ」
「・・・坂田家ではおしくらまんじゅう禁止な」
それに洗濯物が乾くまでの我慢だ。
そう強く言う銀時に、神楽も渋々了解したのだった。
「二人とも、今からそんなんで冬を越せるんですか?」
その後、再び静かになったものの、何も喋らないのも
またなんとなく寒い・・・と二人でしりとりをしていた所、
洗濯物を終えたらしい新八が呆れた顔で近付いてきた。
「そんな遠い未来の事を心配しても仕方ないネ」
「俺等は今、この時を必死に生きてんだよ」
「だからその必死さ加減が心配になるんですよ」
全く。と言いつつ、新八は片手に抱えていた毛布を二人の
肩へと掛けた。
「お登勢さんから借りてきました。
これでなんとか生き抜いてくださいね?」
ポンポンと二人の間で重ねた毛布を叩き、新八はニコリと笑う。
そして今度は布団を干す為に、和室へと身を返していった。
残った二人は掛けられた毛布へと顔を埋める。
「・・・ババァ臭ぇな、コレ」
「なんか線香の臭いがするネ」
「でも・・・なぁ?」
「うん・・・そうネ」
二人はチラリと視線を交わすと、勢い良くソファから立ち上がった。
そして二人して毛布に包まったまま、和室へと向った新八を追い掛ける。
とりあえず暖かいこの毛布は手放せないけど。
「新八~、私も手伝うヨ」
「銀さんも~」
「・・・や、その格好で
何手伝う気ですか、アンタ等」
振り返り、そう言う新八はやっぱり呆れ顔だけど、
何処となく優しい感じもして。
よし、心はポカポカだ。
***********
母ちゃん大好き家族。
朝、何やらゴソゴソと動いている気配で目が覚めた。
パシパシと目を瞬き、枕もとの時計を手に取ると、
既に何時も新八が起こしに来る時間を過ぎていて。
俺は回らない頭をコテリと傾げた。
まぁいいや、起こされるまで寝ていよう。
と布団に潜り込むが、ゴソゴソと動き回っている気配が
気になって眠れない。
ってか何時もの朝食を作ってる感じと違わね?
しかも新八だけでなく、神楽も起きているようで
二人でコソコソと話す声まで聞こえてくる。
・・・なんで俺を起こさず、二人でコソコソしてんだ?
や、別にいいけどね?こうやって二度寝出来るし。
なんか眠気ぶっ飛んでるけど。
でも、出来ないまでも布団でゴロゴロ出来てるしね?
この時期、布団でゴロゴロ出来るなんて幸せ以外の何物でもなくね?
だから全然気になんねぇんだけど・・・ほら、大きい音より
小さな音のほうが気になるって事、あんじゃん?
今もそんな感じだからさ・・・
もういっその事大きい声で喋ってくんねぇかなぁ!?
全然話してる内容とか興味ないけどぉ?
・・・あ、でも悪口とかだったらどうしよう。
・・・や、それも全然気にしないけどね!
ほら、銀さん大人だから。子供の言う事なんて軽く流せるから?
・・・でも直せる所だったら少しは考慮すっかな。
うん、ホラ銀さん、大人だから。
と言う事で・・・俺はそっと体を起こすと静かに襖へと近付き、
耳を当てた。
すると先程よりもよく聞こえてくる二人の声。
「あ、神楽ちゃん、そこちょっと歪んでるよ?」
「そうアルカ?まぁ少しぐらいなら大丈夫ネ。
銀ちゃん自体が歪みまくってるから」
・・・え?やっぱり悪口?
「もう、神楽ちゃんてば・・・ま、いっか」
え、いいの?良しにしちゃうの、新ちゃん!!?
ってか銀さんの何が歪んでんだ、コノヤロー。
今現在歪んでるらしい『ソコ』と共に説明して下さい!!
「でも銀ちゃん、きっとびっくりするネ。
朝起きたら『ハッスル祭り』だなんて夢のようヨ」
・・・そりゃ確かにびっくりするわ。
ってか何?その祭りぃぃ!!?
夢のようってより、悪夢そのものなんだけどぉぉ!!
「違うでしょ、神楽ちゃん。
ハッスルじゃなくてバースデーでしょ」
呆れた新八の声が聞こえ、俺はほっと胸を撫で下ろした。
あぁ、良かった。朝っぱらからどんな仕打ちを受けるかと
思ったじゃねぇか。
そうかそうか、バースデーか。
バースデー祭りの間違いか・・・て、なんで祭り?
っつうより!!
俺はばっと襖から耳を離して、カレンダーへと目を動かした。
・・・おいおい、俺の誕生日かよ、今日。
そう気付いた瞬間、顔がにやけるやら何か胸がこそばゆくなると言うか。
ならばこうして居て気付かれては不味いだろう。
・・・と、俺は素直に布団へと戻ることにした。
だって折角俺を驚かせようと頑張っているのだ。
ならばここは寝た振りでもして盛大に驚いてやらなければいけないだろう。
ったく、それにしてもあいつ等もお子様だね~。
こんなんで銀さんが喜ぶとでも思ってんのかよ。
言っとくけどアレだよ?この年にでもなれば、
寧ろ忘れられてた方が良い感じだからね?
そんな祭り、されても恥ずかしいだけだから。
あ、でも銀さんは大人だからちゃんとノッてあげるけどね?
ノリノリで驚いてあげるけどね?
いや~、お子様に付き合うのも大変だなぁ、おい。
「そう言えば神楽ちゃん、プレゼント用意出来た?」
ウキウキと布団へと移動し始めたその時、不意に新八の言葉が
耳に入ってきた。
それに対し、俺の耳がピクリと動く。
・・・や、後の楽しみにとっときたいんだけどね?
でもホラ、何か気に何じゃん?
で、気になったら最後、眠れなくなんじゃん?
まぁ眠気なんて綺麗さっぱりどっかにいっちまったんだけどさ。
でも・・・と俺は静かに襖へと体を戻した。
とりあえず新八は新しいマフラーを編んでくれたらしい。
・・・やべ、何かもうのた打ち回りたい。
だってオマエ、新八の手編みだよ、手編み!
これで何処に居ようと新八の愛を感じられていれるってもんだろ。
や、なくても何時も感じてるけどね、愛。
でもそっか~、マフラーか~。
確かマフラーは『貴方に首ったけv』って意味があるんだっけ?
え?違う?マフラーじゃなくてネクタイ?
いいんだよ、もう俺の中では一緒になったから。
っつうかどっちも首に巻くもんなんだから、変わりゃしねぇよ、んなの。
寧ろ手編みであるだけマフラーの方が上だね、上。
あぁ、でもどうするよコレ。
もうこれはお妙に挨拶しに行くしかなくね?
本物の坂田家にするしかなくね?
とりあえずお妙の拳を受ける覚悟を決めていると、
新八の先程の答えを告げる神楽の声が聞こえてきた。
「私のもバッチリネ!」
「へ~、何にしたの?」
「新八!」
「ん?何?」
「だから、新八アル!!」
「・・・は?」
その瞬間、思わず襖を開けて神楽を褒め称えてしまった俺は、
・・・・・・多分悪くない。
************
その後、がっかり感溢れるお子様達に
温度の低い視線を投げかけられる坂田。
・・・とりあえずマフラーだけ貰えました(笑)
どこもかしこもちっちゃい新八。
だから今日は家から出ちゃいけません!
「って、何でですか!!」
玄関の前で立ちふさがってる俺の前で、新八は怒りを顕にしている。
・・・ちょっと怖い。
その後ろでは、神楽もむっすり口を尖らしている。
・・・大分怖い。
でも、それ以上に玄関の外から聞こえる風の音が怖いので。
俺は気合を入れなおして、踏ん張っている足に力を篭めた。
だが、そんな気合も新八達の怒りを助長させているようで。
「早くしないとタイムサービスに間に合わないじゃないですか!」
「私も遊ぶ約束してるネ。さっさとどくヨロシ!」
「それに雨が降ってきたら『雨の日特売』も始まるんですよ?
ほら、見てくださいよ、外の曇り空!
それを見逃せって言うんですか!?」
「ビュービューの中、皆で傘で飛べるか確かめるネ。
こんなチャンス、みすみす見逃せないアル!!」
ギャンギャンと叫ぶ二人に、俺は無言で頭を振る。
タイムサービスなんて別にいいじゃん!
・・・や、そんな良くないけどね?
滅茶苦茶お世話になってるけどね、俺達。
ってか家の経済状況的にないと駄目だけどね。
でも今日ばかりはダメ。
しかも雨なんて降ってこられたらオマエ・・・余計ダメだろうが!
何変な特売作ってんだよ、コノヤロー。
菓子類も割引対象に入れとけよ本当。
っつうか神楽もこんな日にそんな約束してんじゃねぇよ。
お子様は晴天晴々、太陽の下で元気に遊ぶもんです!
・・・て、あぁ、オマエはダメなんだったっけな。
曇り空が一番適してるんだっけな。
なんか天気関係なく暴れまわってる気がすっけど。
「兎に角、ソコどいて下さい」
「さっさと外に行かせるネ!」
「・・・ダメ」
そう言う俺の背後では、再び強くなった風が音を鳴らしていて。
あぁ、もう絶対ダメだ、コレ。
だってさ、マジにさ。
こんな日に外なんか出たらオマエ等、
風に飛ばされちまうだろうがぁぁ!!?
あり得るだろ、オマエラちっちゃいんだから!
風が吹いたらピューって行っちゃうだろうがぁぁ!!
どうすんだよ、そうなったら。
何処に飛んでっちゃうんだよ、一体!
言っとくけど銀さんは無理だからね?
ピューっていけないから、ピューって!
あぁ、もう絶対ダメ。
今日は大人しくお家にいなさい。
どうしても外に行くってんなら、銀さんが変わりに行くから!
飛びたいなら高い高いしてやっから!!
「後、新八は今日お泊りだから」
「それもなんで!?」
風が収まるまで、家からは絶対出しません。
***************
台風、皆さんの所は大丈夫でしたかね?
「お、今日もお仕事ご苦労さんね~」
「・・・やべ、見たくもねぇ幻覚が見えてんだけど。
何コレ、総悟の呪いか?とうとう呪いが結果を出したのか?
結果出しすぎにも程があんだろ、コレェェ!!」
昼過ぎの道端で、その日も真面目に仕事をしていた
土方が盛大に吠えた。
「おいおい多串君、どったの?突然叫びだして。
何、ストレス?胃とか大丈夫?」
「誰が多串だコノヤロー。
ってか今大絶賛でストレス掛けられてんだよ。
胃所か心臓がやべぇよ、もう」
何なんだ、テメーは。そう言いつつ、土方は声を掛けてきた人物、
銀時からじりじりと身を引いた。
広い広いとは言っても、結構狭いこの世の中。
その上土方は巡察で街中を歩いているし、銀時も結構
ブラブラと出歩いている。
しかも思考回路が認めたくはないが似ている二人だ。
こうして街中で顔を合わす事がない訳ではない。
・・・が、大抵は罵詈雑言を投げ合うだけで、決して
先程のように労う言葉を掛け合う仲ではない筈だ。
しかもご機嫌な笑顔つきで。
ある意味最強の精神攻撃だ。
「んだよ、折角心配してやってんのに
酷ぇ言い草だなぁ、おい」
そう言ってはいても、銀時の顔は笑っていて。
「・・・その心配がトドメ差しに来てんだよ。
ってかご機嫌だな、テメーは」
銀時の機嫌の良さに、土方は目一杯引きながらそう告げた。
見れば銀時は手に何やら商品が詰め込まれているビニール袋を
持っている。
ならばパチンコか何かで勝って機嫌が良いのだろうか。
いい御身分だな、おい。
ある程度目星を付け、嫌味交じりでそう告げれば、
銀時の顔は一層幸せそうに緩んでいった。
「いい御身分なのは否定しねぇけどな?
原因はパチンコじゃねぇよ。
え?何、何で機嫌が良いか知りたいの?」
「いや、全く知りたくもねぇ」
「仕方ねぇなぁ、そこまで言うなら教えてあげようかな~。
あ、でも多串君に教えるの勿体無いかな?
ってか可哀想かな?何か幸薄そうだし。
や、だからこそ教えてあげて幸せを分け与えたほうがいいかな、うん。
あ~、もう銀さんてば心広いなぁ」
「うざっ!
ちょ、マジこいつウザいんだけど!?」
ってか俺は仕事中なんだよ!と、銀時から離れようとする
土方の肩に、銀時はガシリと腕を回して引き止めた。
「まぁまぁ、いいからちょっと聞けって。
この間さぁ、知り合いの子の娘が嫁に行ってさぁ」
勝手に肩に腕を回しつつ、語りだした銀時にウンザリする土方。
だがこうなるとそう易々と逃がしてはくれないだろう。
いい加減精神的に疲労していた土方は、少しの辛抱だと諦め、
適当に銀時の話を流す事に決めた。
・・・ってかそれが機嫌の良い原因だろうか。
まぁ嫁に行くのはめでたい事だしな・・・
そう告げると、バッカ、ちげぇよ。と返された。
・・・おいコラ。人の事言う前に
ちょっと鏡で今の自分の顔見て来い。
問答無用の馬鹿が居るから、本当。
「じゃあ何だよ。
さっさと話してどっか消えろ」
「全く多串君は短気だね~。話はこっからよ。」
そう言って銀時が話し出した内容は、それを見た神楽が
目を輝かせたと言う事だった。
「・・・まぁ憧れる年頃ではあるわな」
少し・・・と言うか大分意外だが。
「まぁアイツは貰った引き出物に目を輝かしてただけだけどな。
で、何か話がそう言う話に行ったわけよ」
結婚とかお嫁さんに。そう言われ、土方も同意する。
と言うか普通そっちにいくだろう、引き出物とかよりも。
やっぱりチャイナはチャイナか・・・と土方が思っていると、
でな?と銀時が話を続けた。
「ちょっと心配になったから聞いてみた訳よ。
オマエも嫁にいきたいのかって」
銀時の言葉に、土方は少し驚きながらも、そりゃそうか・・・と
納得した。
幾ら他人と言っても、傍から見れば銀時達は既に家族だ。
気持ち的には娘を持っているようなものだろう。
ならばその心配にも頷ける。
「・・・で、なんて返事が返って来たんだ?」
まぁコイツのこの機嫌の良さを見れば、
答えなんて判りきっているが。
そう思いつつも一応聞いてみると、銀時はダラリと頬を
緩ませて答えた。
「嫁にはいかねぇってよ、
新八のヤツ」
「・・・・・・・・・おい」
「いや~、もうさ何て言うの?安心したってぇか
当たり前ってぇか?
考えてみりゃもう嫁に来てるようなもんだからね、俺のトコに。
今日だって、『銀さん、一緒に買い物に行きましょ』とか
誘われちまってよ?何か常に一緒に居たいって感じバリバリでよぉ。
あ、でも途中でお通の番組やるの思い出して帰ったんだけどね?
途中っても玄関だったけどね?
結果俺一人で買い物に来たんだけどね?」
「や、それ思いっきり計画的犯行だろ。
忘れるわけねぇだろ、アイツが。
ってか何で新八!?普通ソコはチャイナに聞くだろ」
「それでも誘われたってのが大事なんだよ。
ってかなんで神楽に聞かなきゃいけねぇんだよ。
アイツは嫁に行かなきゃダメだろうが。
まぁ相手は一発ぶん殴るけど」
「完璧オヤジ感覚!?
ってか聞かなくても新八は嫁に行かねぇよ。
っつうか行けねぇよ!」
「うん、銀さんが居るからね」
「そうじゃねぇぇぇぇ!!!!」
その日、何度目かの悲痛な叫び声が上がり、
やっぱり総悟の呪いなんじゃねぇかな、コレ。と
真剣に思いつつ、胃を押さえた土方の姿が見られたと言う。
*************
やっぱり酷い扱いなマヨ(笑)
「思ったんですけど、銀さんなんかどうですかね?」
少しだけ曇った空の下、新八は汗をかいたラムネの瓶を
コクリと傾けた。
もう夏も終わりと言う事で、先程までスーパーで安売りされていた
品物だ。
ちなみに二本だと四円のお得。
なのでもう一本は隣に座っている沖田の手元にある。
「何がでィ?」
コクリとこちらも瓶を傾け、空いている方の手で駄菓子が
詰め込まれている紙袋を新八へと向けた。
こちらは沖田のサボリの結晶だ。
いただきます。と告げてゴソゴソと新八が紙袋の中を漁り、
小袋に入った菓子を手に取った。
「何ってアレですよ、『お兄ちゃん』です」
うわ、懐かしい~。と袋を開け、菓子を摘みながら
新八は沖田に答えた。
それに対し、沖田は少しばかり呆れた視線を返す。
「まだ考えてたんですかィ、アンタも暇だねェ」
「えぇ、暇ですよ。
もう三週間ばかり仕事ないですから」
それが何か?と笑う新八だったが、何かが笑っていない。
「・・・で、考えた末が旦那ですかィ?」
沖田はそれに触れず、話の先を求めた。
新八の手にしている瓶がミシリと音を立てた気がしたが、
それも気のせいと言う事にしておいて。
「ってかそれだと旦那が納得しねぇだろ?
まぁそう言うプレイもあるけどよ」
「知らねぇよ、そんなプレイ。
大体沖田さんてば、僕の欲しい『お兄ちゃん』像を
忘れたんですか?
まず金銭面的に考えてないですからね、それ。」
「・・・だねィ」
またもやものっそい笑顔で答えられ、沖田はそっと視線を逸らした。
どうやら新八の怒りは余程のものらしい。
「僕じゃなくて沖田さんの『お兄ちゃん』ですよ」
「俺?」
思いもかけない新八の言葉に沖田が聞き返すと、今度は
普通の笑顔で頷かれた。
「だって結構似てるじゃないですか、二人とも。
なんか飄々としてるし、ドSコンビだし。
まぁこんな兄弟が実際いたら
同じ町内には住みたくないですけど」
「寧ろ俺が同じ家に住みたくないでさァ」
ニコニコと告げてくる新八に、沖田は深い溜息を零す。
・・・まぁ趣味は合うだろうが、確実にかなり冷え切った
兄弟関係になるだろう。
・・・と言うか。
「なら、必然的に新八は俺の義姉ちゃんになる訳か・・・」
「はぁ!?」
「で、チャイナが姪か・・・やべ、果てしなくイラッと来た」
「や、なんで!?」
「あぁ?だって普通にイラッと来るだろ、あんな姪。
チクショー、絶対ぇお年玉なんてやらねぇからな。
そう言っといてくれや、義姉ちゃん」
「そこじゃねぇよ!
ってかなんで義姉さん扱いぃぃ!!?」
「仕方ねぇよ、幾ら新八が年下でも、兄貴の奥さんは
そう呼ばれる運命だからねィ。
ま、最初は慣れねぇかもしれねぇが我慢しなせェ」
「仕方なくねぇし我慢も出来ねぇよ!!!
ってか本当に思考回路そっくりだな、おい!!」
ってかこんな義弟もあんな旦那もいらねぇぇ!!
叫ぶ新八を余所に、沖田はニヤリと口元を上げ、
コクリと瓶を傾けた。
「で、今日の晩飯はなんでィ、義姉さん」
「・・・すみません、本気で止めてください、それ。
ってか何気に怒ってるんですか?怒ってるんですよね!?
変な事考え付いて
本っっ当、すんませんでしたぁぁ!!!」
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似てるけど兄弟としては無理(笑)