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朝、何やらゴソゴソと動いている気配で目が覚めた。
パシパシと目を瞬き、枕もとの時計を手に取ると、
既に何時も新八が起こしに来る時間を過ぎていて。
俺は回らない頭をコテリと傾げた。
まぁいいや、起こされるまで寝ていよう。
と布団に潜り込むが、ゴソゴソと動き回っている気配が
気になって眠れない。
ってか何時もの朝食を作ってる感じと違わね?
しかも新八だけでなく、神楽も起きているようで
二人でコソコソと話す声まで聞こえてくる。
・・・なんで俺を起こさず、二人でコソコソしてんだ?
や、別にいいけどね?こうやって二度寝出来るし。
なんか眠気ぶっ飛んでるけど。
でも、出来ないまでも布団でゴロゴロ出来てるしね?
この時期、布団でゴロゴロ出来るなんて幸せ以外の何物でもなくね?
だから全然気になんねぇんだけど・・・ほら、大きい音より
小さな音のほうが気になるって事、あんじゃん?
今もそんな感じだからさ・・・
もういっその事大きい声で喋ってくんねぇかなぁ!?
全然話してる内容とか興味ないけどぉ?
・・・あ、でも悪口とかだったらどうしよう。
・・・や、それも全然気にしないけどね!
ほら、銀さん大人だから。子供の言う事なんて軽く流せるから?
・・・でも直せる所だったら少しは考慮すっかな。
うん、ホラ銀さん、大人だから。
と言う事で・・・俺はそっと体を起こすと静かに襖へと近付き、
耳を当てた。
すると先程よりもよく聞こえてくる二人の声。
「あ、神楽ちゃん、そこちょっと歪んでるよ?」
「そうアルカ?まぁ少しぐらいなら大丈夫ネ。
銀ちゃん自体が歪みまくってるから」
・・・え?やっぱり悪口?
「もう、神楽ちゃんてば・・・ま、いっか」
え、いいの?良しにしちゃうの、新ちゃん!!?
ってか銀さんの何が歪んでんだ、コノヤロー。
今現在歪んでるらしい『ソコ』と共に説明して下さい!!
「でも銀ちゃん、きっとびっくりするネ。
朝起きたら『ハッスル祭り』だなんて夢のようヨ」
・・・そりゃ確かにびっくりするわ。
ってか何?その祭りぃぃ!!?
夢のようってより、悪夢そのものなんだけどぉぉ!!
「違うでしょ、神楽ちゃん。
ハッスルじゃなくてバースデーでしょ」
呆れた新八の声が聞こえ、俺はほっと胸を撫で下ろした。
あぁ、良かった。朝っぱらからどんな仕打ちを受けるかと
思ったじゃねぇか。
そうかそうか、バースデーか。
バースデー祭りの間違いか・・・て、なんで祭り?
っつうより!!
俺はばっと襖から耳を離して、カレンダーへと目を動かした。
・・・おいおい、俺の誕生日かよ、今日。
そう気付いた瞬間、顔がにやけるやら何か胸がこそばゆくなると言うか。
ならばこうして居て気付かれては不味いだろう。
・・・と、俺は素直に布団へと戻ることにした。
だって折角俺を驚かせようと頑張っているのだ。
ならばここは寝た振りでもして盛大に驚いてやらなければいけないだろう。
ったく、それにしてもあいつ等もお子様だね~。
こんなんで銀さんが喜ぶとでも思ってんのかよ。
言っとくけどアレだよ?この年にでもなれば、
寧ろ忘れられてた方が良い感じだからね?
そんな祭り、されても恥ずかしいだけだから。
あ、でも銀さんは大人だからちゃんとノッてあげるけどね?
ノリノリで驚いてあげるけどね?
いや~、お子様に付き合うのも大変だなぁ、おい。
「そう言えば神楽ちゃん、プレゼント用意出来た?」
ウキウキと布団へと移動し始めたその時、不意に新八の言葉が
耳に入ってきた。
それに対し、俺の耳がピクリと動く。
・・・や、後の楽しみにとっときたいんだけどね?
でもホラ、何か気に何じゃん?
で、気になったら最後、眠れなくなんじゃん?
まぁ眠気なんて綺麗さっぱりどっかにいっちまったんだけどさ。
でも・・・と俺は静かに襖へと体を戻した。
とりあえず新八は新しいマフラーを編んでくれたらしい。
・・・やべ、何かもうのた打ち回りたい。
だってオマエ、新八の手編みだよ、手編み!
これで何処に居ようと新八の愛を感じられていれるってもんだろ。
や、なくても何時も感じてるけどね、愛。
でもそっか~、マフラーか~。
確かマフラーは『貴方に首ったけv』って意味があるんだっけ?
え?違う?マフラーじゃなくてネクタイ?
いいんだよ、もう俺の中では一緒になったから。
っつうかどっちも首に巻くもんなんだから、変わりゃしねぇよ、んなの。
寧ろ手編みであるだけマフラーの方が上だね、上。
あぁ、でもどうするよコレ。
もうこれはお妙に挨拶しに行くしかなくね?
本物の坂田家にするしかなくね?
とりあえずお妙の拳を受ける覚悟を決めていると、
新八の先程の答えを告げる神楽の声が聞こえてきた。
「私のもバッチリネ!」
「へ~、何にしたの?」
「新八!」
「ん?何?」
「だから、新八アル!!」
「・・・は?」
その瞬間、思わず襖を開けて神楽を褒め称えてしまった俺は、
・・・・・・多分悪くない。
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その後、がっかり感溢れるお子様達に
温度の低い視線を投げかけられる坂田。
・・・とりあえずマフラーだけ貰えました(笑)