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今日、銀さんと買い物に出掛けたら、途中で土方さんと沖田さんに会いました。
・・・さよなら、タイムサービス。
そしてこんにちは、エア白米。
それにしても・・・と、相変わらず会えばいがみ合う二人を新八は見詰める。
・・・そんなに気が合わないなら、お互い無視すればいいのに。
そう思った僕は、以前銀さんにそう告げてみたのだけれど、
銀さん曰く、
「無視するのはいいが、無視されるのは我慢ならねぇ」
・・・との事だった。
ちなみに土方さんにも言ってみたのだけれど、全く同じ言葉が返って来た。
なんか・・・魂の双子??
とりあえず二人とも馬鹿みたいに子供だと言う事だけは
理解できたと思う、うん。
思わず溜息を吐くと、僕の隣で二人を煽ってた・・・
・・・と言うかドサクサに土方さんの悪口を言っていた沖田さんが
こちらを向いた。
「なんでィ、溜息なんか吐いて。そんなん吐いてると幸せが
集団逃走した挙句一念発起して不幸に転身、
おまけに里心がついて帰ってきちまうぜィ?」
「溜息一つでどんな悲劇!!?
ってか、吐きたくもなりますよ。今日のタイムサービス逃したら
シャレにならないですもん」
なのにあの馬鹿天パーときたら!!思わず拳を握り締めてしまうのも
仕方ないと思う。
本当、家帰って冷蔵庫を見て来いや、コラ。
そんな事してる暇ないって心底思うから、マジで。
「じゃあ先に行きゃ~いいじゃねぇか」
別に旦那と一緒じゃなきゃいけないって事ァないだろ。不思議そうに
そう言う沖田さんに、僕は曖昧に返事を返す。
「でも、その後確実にスーパーに来てくれるか判らないでしょ?
今日のはお一人様~ってのが多いんで、愚図るのを宥めすかして
漸くここまで来たんですよ?」
ま、ギリギリまで待ってダメだったら僕だけで行きますけど。
その場合、足りない分は勿論銀さんから引かせてもらう。
僕の答えを聞いて、沖田さんは納得してくれたみたいだ。
ニィッと口元を上げ、 大変だねィ。と笑った。
「本当ですよ。ここ最近仕事なくって、ギリッギリなのに。
それに構わず呑みに行くわパチンコに行くわで・・・」
地上最強のマダオなんだから。
そうぼやくと、沖田さんから いや、そうじゃねぇだろ。と言う言葉が
返って来た。
なんですか?糖尿予備軍、しかも今まさに代打で試合に出そうな勢いなのに
糖分を欲しがって、昼間っからパチンコに行って負けたのを貯金だと言い張り、
強くもないのにお酒を飲みたがるプー寸前の銀さんがマダオじゃないとでも?
・・・ま、確かに時々煌きますけどね。
時々。
そんな僕の気持ちが伝わったのか・・・と言うか多分顔に出てたんだろう。
沖田さんは 違う違う と手を振り、
「地上最強のダメ人間はウチの土方さんでさァ」
そこは譲れやせん。と言った。
「え~?そうは見えませんけど・・・目、死んでませんし」
「でも瞳孔開いてるぜィ?それにマヨ中毒・・・
てかマヨだしな。
それに仕事中毒。ま、あれでさァ。仕事がないと自分が保てねぇって
ヤツだねィ。休みんなると何していいか判らず、とりあえず書類
見る人でさァ」
「・・・それもどうかと思いますけど、
仕事しないよりいいじゃないですか」
「しっぱなしもダメでィ。いつか過労で死ぬんじゃねぇかなァ。
ってか死ぬんですけどねィ」
「って、決定かよ!!でもそれなら銀さんだってそうですよ!
あの人、この間トイレ行くのも面倒だって言って、馬鹿みたいに
行くの我慢してましたもん。仕舞にはプルプルしてましたもん。
イヤですよ、そんな死因。どんだけ怠けるのかって話ですよ!!」
「あ~、土方さんもそれと似たような事やってやしたねィ。
ここの書類が終わるまでは~!!って。見てて馬鹿みたい・・・ってか
馬鹿でさァ。思わず腹ぁ蹴っ飛ばしてやりたくなりやしたぜィ」
近藤さんに泣きつかれたんで止めやしたが。と、残念そうに呟く沖田に
新八もホッと胸を撫で下ろす。
・・・多分それをやられたら最後。侍として・・・と言うか
人として切腹したくなるだろう。
あ、でも今度同じ事してたら、
定春に乗って貰おう。
「・・・それは最終手段に残しときましょうよ。
って、それより銀さんですよ!
なんと言っても糖分!!家のは僕が管理してるんで手が出せないみたいですけど、
この間じ~っと蟻見てたんですよ、蟻!!
知ってます?蟻ってお尻のトコに蜜があるんですって。
そんな無駄知識、真剣に披露されても、真剣であればあるほど
引きますから!!!」
「いやいや、マヨも負けてませんって。一食一本ですからねィ。
しかも食前食後にも一本。
俺はマヨとタバコを買う為に働いてるようなもんだ。ってこの間
言ってやしたから、カッコつけて。馬鹿っぽかったですぜィ?
あ、見るか?ムービー撮ったから、そん時」
ほら、これ。と言って沖田が取り出した携帯を、新八が覗き込む。
「うわ~、本当だ。・・・この場合カッコ良ければカッコいいほど
厳しいものがありますね」
「だろ~?やっぱりダメ人間は土方さんでさァ」
「いやいや、銀さんですって。だって昨日も・・・」
「いやいやいや、土方の馬鹿もこの間・・・」
「「ちょっ!もう勘弁して下さぁぁぁあいぃぃ!!!」」
その後、銀さん達が喧嘩を早めに中断してくれたお陰で
無事タイムサービスに間に合う事が出来ました。
良かった~、これで当分食事の方は安泰だ。
けど、何故か銀さんは落ち込んでしまってて、ちょっとウザかった。
なんだろ、土方さんに言い負かされたのかな?
でも、どうも土方さんも同じような感じらしく、偶然会った山崎さんが
首を捻っていた。
ちなみにその時一緒に居た沖田さんには礼を言われた。
なんでだろ?
ま、この人に説明を求めても無駄か。
とりあえず奢ってもらったお茶は美味しかったし、その後銀さんと土方さんは
会っても口喧嘩をしなくなったので、良かったかも。
でも、お互い哀愁を漂わせて視線を交わすのはやめて欲しいと思います。
「ね・・・なんなんですか、あれ。ちょっとキモイんですけど・・・」
「いやいや、あれぐらいでそんな事言ってちゃ駄目ですぜィ。
この間なんて・・・」
「あ、それを言うなら銀さんも・・・」
「「も、本当すんませんでしたぁぁああ!!!」」
********************
子供達の親自慢です(え、ちがっ!!?)
何時もの様に万事屋で夕飯を食べ、台所で後片付けをしていると、
ヒョコリと顔を出した銀さんが出掛けてくると言ってきた。
また呑みに行くんですか?と呆れた顔で返すと、長谷川さんの奢りだから。
大人の付き合いも大事にしなくちゃね~。と嬉しそうに告げられた。
ま、お金ないから自分からはそんなに呑みに行けないしね。
・・・て、そんな事ないか。
ツケ扱いにして結構呑みに行ってるよ、この人。
そうは思うが、今日は奢りだそうだし、仕方ないか・・・と、
呑みすぎないように注意をし、送り出した。
「銀ちゃん、出掛けたアルカ?」
お風呂から出てきた神楽ちゃんに聞かれ、苦笑を返す。
そこで僕は あっ とある事を思い出した。
それは今日の昼間の事。
姉上から電話があって、知り合いに卵を沢山貰ったから、明日の朝卵焼きを
作るのだと告げられたのだ。
大量に作るから、神楽ちゃん達にも楽しみにしててね、と伝えておいて・・・と。
それを聞いた僕は、朝、誰よりも早く起き、それを阻止しようと
心に誓い、神楽ちゃんにも心の底から応援されたのだけれど・・・
ここにきて、予定が狂ってしまった。
何時もなら、銀さんが呑みに行く時、僕はここに泊まっていく。
けれど、今夜ここに泊まったら、姉上の卵焼きを阻止する事は出来ない。
どうしようかと悩んでいると、クイッと袖を引かれる。
「大丈夫ネ!定春も居るし、私、全然平気ヨ?」
僕の考えが顔に出ていたのだろう、
それより姉御の暴挙を止めるネ!と真剣な表情で言われ、僕は苦笑する。
そうは言われても、やっぱり神楽ちゃんを一人には出来ない。
銀さんだって、何時帰ってくるか判らないし、下手すると朝帰りって
可能性もある。
僕はちょっと悩んだ末、ある事を思いついた。
夜も更け、眠りの底に居た僕の耳に、何かの音が入り込んできた。
なんだろう・・・と、未だはっきりしない意識をなんとか浮上させる。
ちらりと隣に視線を向けると、そこにはぐっすりと眠り込んでいる神楽ちゃんと、
枕元に寄り添うようにこれまたぐっすりと寝ている定春の姿が。
結局女の子を一人で居させることに抵抗があった僕は、一緒に僕の家に
行く事を提案したのだ。
これなら神楽ちゃんを一人にする事も(まぁ定春も居るんだけど)ないし、
姉上の暴挙も止められる。
そう言うと、神楽ちゃんはとても嬉しそうに僕の提案に乗ってくれた。
やっぱり夜に一人ってのは心細いんだろうな。
今度銀さんにキツク言って置こう。
僕が帰った後、呑みに行かれると困るし。
ぼんやりとしたままそう思っていると、今度ははっきりとした音が耳に入った。
それはギシリ、ギシリと誰かが廊下を歩いている音で、
僕はビクリと体を竦めた。
もしかして姉上?
・・・いや、まだ帰ってくるには早い時間だ。
じゃあ一体???
そう思っている間にも、足音はどんどん僕達が居るこの部屋へと
近付いてくる。
早くなる心臓を押さえ、眼鏡を掛けると僕は布団を頭まで被った。
そして素早く動けるように布団の中で体勢を整え、視線を
廊下に面している襖へと向けた。
その瞬間、襖がゆっくりと開いていって・・・
・・・・え?
目にした人影に驚くまもなく、僕はアルコールの匂いに包まれた。
「え?ちょっ、何!!?」
「おぉ~、銀さん、今帰ったよぉ~」
ギュッと布団ごと抱き込まれてしまい、なんとか顔を出せば
そこにはヘラリと笑う、一人の酔っ払いが。
「帰ったよ~って、ドコに帰って来てんだよ、アンタ!」
てか、鍵は!!心持小さい声でそう怒鳴れば、よっぱらいの銀さんは
スリスリと頬を摺り寄せてきた。
「どこって、ウチですよ、ウ~チ!当ったり前でしょ~?
他にドコに帰んのよ、銀さん。
ちなみに鍵は開けました~。いいか~?
鍵はなぁ、開ける為にあるんだよ」
「その前に戸締りの為にも存在してんだよ。
も~、どうやって開けたんですか!」
抱き込まれてる為、中々身動き出来ない体をなんとか捩り、
どうにか出した手で擦り寄ってくる頭を離そうとしながら聞くと、
今度はその手を掴まれ、頬を摺り寄せられる。
「ん~、こうチョイチョイっとな。まぁアレだ。
人生色々経験値積んどくと、便利だな☆的な」
「そんな経験値は溝に捨てて来い。
ってかここ、僕ん家ですよ?判ってます??」
「判ってますよ~。だから鍵持ってないし。ってか今度寄越せ。
で、仕方ないからこ~、チョイチョイっと・・・」
「いや、それはもういいですから」
僕の家の鍵に何をしたんだか。人差指と親指をくっつけ、小さく動かして
実演してみせる銀さんの指を呆れた顔で見詰めていると、何か違和感を感じた。
「銀さん、ちょっと・・・」
掴まれていない方の手を出し、その手を掴んで月明かりを頼りに
目を凝らした。
すると、そこには確かに夕方までは存在しなかった傷が多数あって・・・
「どうしたんですか!これ!!」
隣で眠っている神楽ちゃんの事も、僕に抱き付いている酔っ払いの事も忘れて
ガバリと身を起こした。
「ん~?あぁ、これ~?・・・あれ~??」
僕に掴まれた手を見、銀さんは不思議そうに首を傾げた。
そして何か思い当たったのか、小さく声を零すと、ズリズリと体を
動かし、上半身を起こしている僕の腰にまで来ると、ポテリと頭を
落とした。
「ごめん。ちょっと部屋、家捜ししちゃった」
多分そん時ついたやつだ。僕のお腹に顔を埋め、そう呟く銀さんに
今度は僕が首を傾げる番だった。
「部屋って・・・万事屋をですか?
ってかそんなになるまで何探してたんですか?糖??」
だったら絞める、思わずキツクなる視線の先で、
腹の上を住処にした銀色の毛玉はポツリと呟いた。
「・・・お前ら」
「・・・・へ?」
「だって銀さん帰ったのに誰も居ないし。音もしないし。
押入れも厠も風呂も引き出しもゴミ箱も、
全部探したのにどこにもいないし」
その言葉に、僕は一瞬にして今現在の万事屋内の状況を把握したと思う。
・・・ってか引き出しとかってなんだ。
「・・・僕テーブルの上にメモ置いてきましたよね?」
そう、確かに僕はこちらに来る前に念の為・・・と、神楽と共に
こちらに泊まる旨を書いて置いておいたのだ。
それを言うと、決まり悪げに テーブルの下も見たから。 と
告げられた。
あぁ、そうですか。テーブルも引っくり返しやがったんですね、
コンチキショー。
僕が明日の(ていうかもう今日か)予定に頭を痛めていると、
腹の上からブツブツと呟く声が聞こえた。
「大体なんだよ、僕ん家って。
オマエが居て、神楽が居て、定春も居る。
ならここが銀さん家だろうがよ」
除け者扱いすんなよ、この駄眼鏡。反抗期かコノヤロー。ほっとくと永遠に
続きそうなので、一先ず僕は銀色の毛玉に向けて軽くチョップを贈った。
そしてそのまま髪に手を埋める。
「誰も除け者になんかしてないでしょ。
っつうか一人で出掛けたの、銀さんでしょうが」
「でもダメなの。オマエらは出掛けちゃダメなの~」
僕の腹に額をグイグイ押し付けてくる銀さんに、プッと笑いが漏れる。
「はいはい、判りましたよ。もう置いてったりしませんから
さっさと寝てください。
あ、その前に怪我したトコ消毒しましょうか?」
手以外にもありますか?そう聞くと、チラリと銀さんの頭が動いた。
「・・・ここに来るまでにコケた。・・・何回か。」
でもいい、もう寝る。そう言ってがっちりと僕の腰を抱え込んでくる
銀さんに、なんとも言えない、暖かい感情が溢れてくる。
それと共に、頭を撫でる手も優しいものへと変わっていき、
少しすると微かな寝息が聞こえ始めた。
銀時が眠ったのを確認し、新八は未だぐっすりと眠り込んでいる
神楽へと目を移す。
ね、この人、すっごく探したみたいだよ、僕らの事。
手がね、傷だらけなんだ。
それでね、転んじゃうぐらい慌てたんだって。
きっと明日、目が覚めて銀さんがここに居る事を不思議がる彼女に
そう全部話してあげよう。
そして言うのだ。
何時もの朝の挨拶ではなく、
『おかえりなさい』・・・と。
そう言われた時の銀時の顔を想像し、新八は楽しそうに笑みを浮かべると
とりあえず明日の卵防衛に勝利しなくては・・・と、
先ほどよりも狭くなった布団へと、その身を横たえたのであった。
******************************
二人+一匹の有り難味を思い知れ、坂田・パート2(笑)
それはお昼前の事。
そろそろ昼飯時だと、新八が台所へと立って行った。
「新八ぃ~。今日の昼、何~?」
デスクの椅子に座ったまま、それを見送った銀時が少し大きめの声で
問い掛けると、お素麺ですよ~。と返ってきた。
その言葉に、ウゲッと言う声が返る。
「おいおい、またかよ~。ここんトコずっと素麺じゃね?」
「安心して下さい。明日も明後日もその予定です。」
「いやいや、安心出来ねぇからね?ソレ。
そんなに素麺ばっか続いたら体力持たないから。
夏本番前に、早くも夏バテになるからね?」
他にねぇのかよ。と、銀時も台所へと向かう。
すると、鍋を火にかけながら新八がクルリとこちらを振り向いた。
その表情はとても愛らしく、微笑んでいて・・・
「使わねぇ体力なんざぁ
維持しててもしょうがないでしょ?」
・・・吐き出された言葉はとてつもなく厳しかった。
「大体食料買うのにもお金が必要なんですよぉ?
知ってましたかぁ?銀さん」
「えぇ!?マジでか!銀さん知らなかった・・・」
「お願いですから炎天下に頭のてっぺんから
足の先まで黒い物を纏って延々
立ち尽くしてきて下さい。で、近所のお子様達に
虫眼鏡向けられて燃え尽きろ」
「ホント、スンマセンでした~!!!」
ニコニコ笑いながらも続く辛辣な新八の言葉に、銀時は
調子に乗ってましたぁぁぁぁ!!と勢い良く頭を下げた。
そんな銀時に新八は一つ息を吐くと、戸棚から素麺の束を取り出す。
「全く・・・お素麺大量に貰えて良かったですよ。」
桂さんにお礼言わないと・・・そう言う新八に、銀時は小さく舌打ちを
する。
「っつうか普通甘味を持ってこねぇ?なんで素麺?」
「定番だからじゃないですか?って言うか甘味はご飯にならないでしょ。
大体これのお陰で僕達生き繋いでるんですからね!!」
文句を言わない!ぶうたれる銀時にビシッと告げると、新八は素麺を鍋の中に
いれ、
「っぅわっ!!!」
と声を上げた。
「どうした!新八!!」
火傷でもしたかと、銀時が慌てて近寄り、新八の肩を掴んで振り向かせると、
そこには真っ白にレンズを曇らせた顔が。
「へ?」
「あ、すみません。行き成り曇ったからびっくりしちゃって・・・」
そう言うと新八は眼鏡を取り、恥ずかしそうに袂から出したハンカチで
レンズを拭いた。
「おま・・・あ~、もう、あんまびっくりさせないでくれる?
銀さん、寿命が確実に縮んだから。
死因は腹上死って決めてるのに、
確実に減っちゃったから、一回分」
「相手次第ではもっと減らしてやりますよ」
「何々~?もしかして心配してんの?安心しろって、銀さんの相手は
最後の最後まで新ちゃ・・・」
「じゃあ僕銀さんには長生きして欲しいんで、そう言うのは
今後一切なしという方向でお願いします」
「うっそでぇす!!もう新ちゃんとの桃色生活を日々の糧にして
生きてくんで、減らさないでくださぁぁい!!」
「さ、茹で具合はどうかな~?」
銀時の言葉をサラッと笑顔で流し、新八は鍋の中を覗き込む。
今度は曇らないように、少し慎重に。
「・・・眼鏡って時々邪魔なのな」
新八の仕打ちに少し凹んでいた銀時だったが、鍋から出る蒸気に
苦労している新八の姿を見てポツリと呟いた。
それにクスリと新八は苦笑する。
「こう言う時は確かに不便ですね」
「コンタクトとかにはしねぇのか?」
ま、それじゃあ新八の大部分が失われる訳だけど・・・と言いながら
新八の後ろに立ち、一緒になって鍋を覗き込んでくる銀時にゴスッと
肘うちをかます。
「天パ100%の人に言われたかないです。・・・てか、ちょっと
コンタクトって怖いじゃないですか」
「あぁ?怖いって何よ」
つうか天パ100%って何!?肘が入った腹を摩りながら銀時が聞くと、
新八は少しだけ首を傾げ、人差し指を立てる。
それを自分の目へと近付かせながら言葉を続けた。
「だってこうやって目に入れるんですよ?なんか怖くないですか?」
そう言って視線を向けてくる新八に、銀時はにやんと笑うと、
「なぁに言ってんだよ。オマエはやれば出来る子でしょ?
大体もっとすっげーもん入れてんじゃん、いつも」
ここに。そう言ってペロンと新八の尻を撫で上げた。
その感触に、新八は顔を瞬時に赤く染め、次に声を上げようとした所で・・・
「入れるって何アルカ?」
と言う、それまでこの場に居なかった第三者の声が二人の耳に届いた。
「か、神楽ちゃん!!」
何時帰って来たの!!!新八は慌てて傍に居た銀時を押しのけ、
振り返ると其処にはキョトンとした表情の神楽が立っていた。
「何時ってさっきネ。ちゃんとただいまも言ったヨ。」
オマエ等が気付かずイチャイチャベチャベチャしてただけネ。そう言って
鼻で笑う神楽に、新八はカクリと肩を落とした。
「や、ベチャベチャはしてないから・・・」
「それよりも新八!新八はいつも何を入れてるアルカ?」
すっげーもんって何ヨ?と興味津々に聞いてくる神楽に、新八は言葉が出ない。
それまで以上に顔を赤くし、元凶でもある銀時を睨もうとするが・・・
「・・・あ・・・」
「ん?あぁ!判ったアル!!入れてるのはツッコミネ!」
確かに新八のツッコミはすっげーヨ。うんうんと納得したように
頷く神楽に、新八は乾いた笑いを浮かべた。
その視線の先では、先程押しのけた力が強すぎたのか、
壁と仲良くしながら意識を飛ばしている銀時の姿が。
「・・・まぁ、間違ってはいないよね」
だって僕、ツッコミだし。
いつも入れてるのも確かだし。
神楽ちゃんも納得したし。
それ以外の正解は全く見当たらないし。
そう納得すると、茹で上がった麺を水に晒し、何事もなかったかのように
昼の準備を再開した。
「神楽ちゃ~ん、序にツユとか持ってってくれる?」
「おぅ!了解ネ」
「っておぉぉぉおおおいっ!ちょ、酷くね?
銀さんほったらかしって酷くね!?」
「あ、復活した」
「新八、もっときっちりツッコンどくネ!せめて昼飯が終わる
ぐらいまで復活しないように・・・」
「だね~。今度からは気をつけるよ」
「ぅおおい!何それ。ただでさえ素麺続きなのに、それすらも
奪い取る気ですか!お前らは!!
てか新八!銀さんのにピンクの素麺入ってないんですけどぉぉ!?」
「もう頭の中まっピンクなんだからいいじゃないですか」
「よくねぇぇぇえ!だってなんかアレ、甘そうじゃん!?
超甘味的色合いじゃん!!」
「うるせぇぇぇぇぇええ!!!」
そして喚く銀時に、新八のすっげーモンが入れられたのは言うまでもない。
*************************
暑い日は頭も沸きます(←何時もです)
夕方、ご近所の方がスイカを持ってきてくれました。
外国のものらしく、見慣れた模様はないけれど、ご自宅で作られた
スイカだそうです。
夏ですものね、やっぱスイカですよね。・・・でも。
これ、スイカか??
(直径30cm↑、重さ10kg↑)
あまりの事に計っちゃったじゃない!
とりあえず写メ撮っちゃったじゃない!!
ま、撮ってはみたものの、きっと誰にもスイカだと認知されないだろうから
そのまま陽の目を見る事無く、私の携帯で生涯を終えるのだろうけど(なら撮るなι)
どうりで二人掛りで来た訳です。
どうりで出迎えた親のけたたましい笑い声が聞こえた筈です。
笑うしかねぇよ、このでかさ(真剣)
しかし、幾ら風物詩であろうとも、食べきれないのは目に見えているので
早速切って近くの親戚宅にお裾分けv
・・・と思ったら、切るだけでも一苦労でした。
もう家の中、スイカの香りでいっぱいです。
それ以上に冷蔵庫がスイカです。
・・・明日からのデザート(と言うか主食!?)が決まった瞬間でした。
ちなみに本日のデザートはスイカ。
スーパーで買ってきてあった品物です(泣)
その日、そろそろ出勤しようかと思っていた妙の元に、一本の電話が
入った。
それは弟である新八が事故に合い、病院に運ばれたという連絡で、
妙は一瞬、目の前が揺らぐのを感じた。
「おい!新八は!?」
人気のなくなった病院の廊下に備え付けられているソファに
一人座っていた妙の元に、慌しい足音と声が近付いてきた。
その人物に気付き、妙は椅子から立ち上がる。
「銀さん」
「怪我したってどういう事だ!大丈夫なのか!?」
何時もの呑気な雰囲気をかなぐり捨てたその焦り様に、妙は
落ち着いてください。と静かな声で制した。
「新ちゃんなら大丈夫です。事故と言っても軽い接触だったみたい」
ただ頭をぶつけた様だから、念の為検査してるトコです。妙のその言葉に、
銀時は大きく息を吐くと、力なく先程まで妙が座っていた椅子の隣へと
腰を下ろした。
「ごめんなさいね、大袈裟にしちゃって」
銀時の様子に、妙は謝罪を口にする。
連絡を受け、病院に駆けつけてみれば新八はまだ治療中で、その間に
一応・・・と、万事屋にも電話を入れておいたのだ。
銀時は足に肘を付き、俯いたその頭を緩く振った。
「いや、別に良い。知らない方がいやだしな。」
「神楽ちゃんは?」
「ババァに預けてきた。ちょっと動転してたんでな。」
後で連絡入れるわ。銀時の言葉に、まだここに居るのだと理解すると、
妙も再び元の場所へと腰を下ろした。
そして先程よりも詳しい説明を報告する。
どうも余所見をしていた車が歩道へと乗り上げてきたらしい。
そこには子供がおり、新八はそれを庇ったのだと。
「でも、怪我しちゃカッコつかないですよね・・って笑うもんだから、
全くねって言ってほっぺ抓ってやったわ」
「おいおい、怪我人にこれ以上怪我を負わしてどうすんだよ」
「ちなみに運転手には怪我以上のものを負わしてやりました」
「いや、怖いからね。何、その怪我以上のものって」
「やぁね~、当然の報いでしょ?それに・・・」
今の銀さんの方が怖いわよ。
吐き出された妙の言葉に、俯いたままの銀時の肩がピクリと動く。
「・・・何言ってんの、お前」
ハッと鼻で笑う銀時に、妙は浮かべていた笑みを引っ込める。
「そう言う誤魔化しは、その殺気を引っ込めてからにして下さい。
来た時からピリピリと・・・どうせなら加害者に向けて下さいな」
私ではなく・・・ね。
そう告げた瞬間、背筋が凍りつくような感触が妙を襲う。
「・・・やな女。」
俯いたまま、銀時は低く呟く。
「でしょうね」
視線を外し、妙は廊下の奥へと顔を向け、答えた。
「・・・まぁ大体の理由は判りますけど」
妙の言葉に、銀時が乾いた笑いを上げた。
「つくづくやな女だね、お前。・・・なぁ、なんでお前な訳?
どうして新八の事でお前から連絡貰わなきゃいけねぇんだよ。
どうして俺は、お前から新八の事を聞いて、感謝しなきゃいけない?」
投げやりだが、何処か獣が唸っているようにも感じる声音で
告げられ、妙は微かに視線を戻した。
「仕方ないわよ、私達、家族なんですもの」
その言葉に、隣からギリッと歯を噛み締める音が聞こえた。
ずっと二人で過ごしてきた。
二人だけの世界だった。
なのに一人の男が現れ、世界は急激に広がった。
・・・・広がってしまったのだ。
知らないでしょう?
私達の会話に、どれだけ貴方達の名前が出てくるのか。
判らないでしょう?
その事が、どれだけ胸を痛めつけるのか。
あぁ、でもね?幾ら世界が広がっても・・・
妙はそっと思いを馳せた。
それはあの時、電話口で弟の事故を告げられたあの時。
告げられた言葉に驚き、恐怖し、そして
『そちらは志村新八さんのお宅ですね』
ーーーーーーー安堵したのだ。
「仕方ないのよ?」
もう一度言い、妙は薄っすらと笑みを浮かべた。
その瞬間、俯いていて妙の表情など見えないであろう銀時から、
更に身を切るような殺気が発せられる。
その事に、ますます妙は口元を緩めた。
「私、いつか銀さんに殺されそうね」
それもズタズタに、この体中の血を一滴残らず流されて。
楽しげにそう告げてくる妙に、そりゃ~いい考えだ。と銀時は軽く視線を上げ
笑うが、その瞳は暗くぎらついたままで。
「で?今度は新八に連絡が来てお前の元に行くってか。
・・・誰がするかよ、んな胸糞悪ぃ事」
だがな、忘れるな。
銀時は暗い目のまま薄く口元を上げる。
「お前にくれてやれるのはそれだけだ」
突きつける様に銀時が告げたその時、廊下の奥に車椅子を押されて
こちらに向かってくる人影が現れた。
その瞬間、妙の隣にあった殺気が瞬時に分散し、立ち上がる。
そしてそのまま人影に向かって足早に駆けて行った。
銀時の姿に気付いた新八が、驚きの声を上げる。
次に微かに聞こえる嬉しそうな声に、ほんの少しだけ妙の胸が痛む。
私に何かあったら新ちゃんに。
新ちゃんに何かあったら私に。
これだけは、何があっても変わらない。
絶対に変わらないの。
呪文のように心の中で繰り返しながら、妙も新八の元へと向かうべく、
その場から立ち上がった。
視線の先には、先程までとは打って変わった空気を纏った男が、
親しげに新八の頬を撫でている。
『そちらは志村新八さんのお宅ですね』
蘇るあの声。
まだ彼の家がここなのだと示してくれたあの声。
けれど・・・
「・・・いやな男」
その光景に、妙は無意識のうちに握り締めた拳を一人、震わせた。
***************
初めて書いたお妙さんの話がこんな事に~!!!