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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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その日、そろそろ出勤しようかと思っていた妙の元に、一本の電話が
入った。
それは弟である新八が事故に合い、病院に運ばれたという連絡で、
妙は一瞬、目の前が揺らぐのを感じた。

 

 




 


「おい!新八は!?」

人気のなくなった病院の廊下に備え付けられているソファに
一人座っていた妙の元に、慌しい足音と声が近付いてきた。
その人物に気付き、妙は椅子から立ち上がる。

「銀さん」

「怪我したってどういう事だ!大丈夫なのか!?」

何時もの呑気な雰囲気をかなぐり捨てたその焦り様に、妙は
落ち着いてください。と静かな声で制した。

「新ちゃんなら大丈夫です。事故と言っても軽い接触だったみたい」

ただ頭をぶつけた様だから、念の為検査してるトコです。妙のその言葉に、
銀時は大きく息を吐くと、力なく先程まで妙が座っていた椅子の隣へと
腰を下ろした。

「ごめんなさいね、大袈裟にしちゃって」

銀時の様子に、妙は謝罪を口にする。
連絡を受け、病院に駆けつけてみれば新八はまだ治療中で、その間に
一応・・・と、万事屋にも電話を入れておいたのだ。

銀時は足に肘を付き、俯いたその頭を緩く振った。

「いや、別に良い。知らない方がいやだしな。」

「神楽ちゃんは?」

「ババァに預けてきた。ちょっと動転してたんでな。」

後で連絡入れるわ。銀時の言葉に、まだここに居るのだと理解すると、
妙も再び元の場所へと腰を下ろした。

そして先程よりも詳しい説明を報告する。

どうも余所見をしていた車が歩道へと乗り上げてきたらしい。
そこには子供がおり、新八はそれを庇ったのだと。

「でも、怪我しちゃカッコつかないですよね・・って笑うもんだから、
全くねって言ってほっぺ抓ってやったわ」

「おいおい、怪我人にこれ以上怪我を負わしてどうすんだよ」

「ちなみに運転手には怪我以上のものを負わしてやりました」

「いや、怖いからね。何、その怪我以上のものって」

「やぁね~、当然の報いでしょ?それに・・・」

 




 

 


  今の銀さんの方が怖いわよ。

 



 

 


吐き出された妙の言葉に、俯いたままの銀時の肩がピクリと動く。

「・・・何言ってんの、お前」

ハッと鼻で笑う銀時に、妙は浮かべていた笑みを引っ込める。

「そう言う誤魔化しは、その殺気を引っ込めてからにして下さい。
来た時からピリピリと・・・どうせなら加害者に向けて下さいな」


私ではなく・・・ね。


そう告げた瞬間、背筋が凍りつくような感触が妙を襲う。

「・・・やな女。」

俯いたまま、銀時は低く呟く。

「でしょうね」

視線を外し、妙は廊下の奥へと顔を向け、答えた。

「・・・まぁ大体の理由は判りますけど」

妙の言葉に、銀時が乾いた笑いを上げた。

「つくづくやな女だね、お前。・・・なぁ、なんでお前な訳?
どうして新八の事でお前から連絡貰わなきゃいけねぇんだよ。
どうして俺は、お前から新八の事を聞いて、感謝しなきゃいけない?」

投げやりだが、何処か獣が唸っているようにも感じる声音で
告げられ、妙は微かに視線を戻した。


「仕方ないわよ、私達、家族なんですもの」


その言葉に、隣からギリッと歯を噛み締める音が聞こえた。

 


ずっと二人で過ごしてきた。
二人だけの世界だった。
なのに一人の男が現れ、世界は急激に広がった。

 

・・・・広がってしまったのだ。

 

知らないでしょう?
私達の会話に、どれだけ貴方達の名前が出てくるのか。

判らないでしょう?
その事が、どれだけ胸を痛めつけるのか。


あぁ、でもね?幾ら世界が広がっても・・・

 

妙はそっと思いを馳せた。

 

それはあの時、電話口で弟の事故を告げられたあの時。
告げられた言葉に驚き、恐怖し、そして

 

『そちらは志村新八さんのお宅ですね』

 

ーーーーーーー安堵したのだ。

 

 

「仕方ないのよ?」

もう一度言い、妙は薄っすらと笑みを浮かべた。
その瞬間、俯いていて妙の表情など見えないであろう銀時から、
更に身を切るような殺気が発せられる。

その事に、ますます妙は口元を緩めた。

「私、いつか銀さんに殺されそうね」


それもズタズタに、この体中の血を一滴残らず流されて。


楽しげにそう告げてくる妙に、そりゃ~いい考えだ。と銀時は軽く視線を上げ
笑うが、その瞳は暗くぎらついたままで。

「で?今度は新八に連絡が来てお前の元に行くってか。
・・・誰がするかよ、んな胸糞悪ぃ事」


だがな、忘れるな。


銀時は暗い目のまま薄く口元を上げる。


「お前にくれてやれるのはそれだけだ」


突きつける様に銀時が告げたその時、廊下の奥に車椅子を押されて
こちらに向かってくる人影が現れた。
その瞬間、妙の隣にあった殺気が瞬時に分散し、立ち上がる。
そしてそのまま人影に向かって足早に駆けて行った。

銀時の姿に気付いた新八が、驚きの声を上げる。
次に微かに聞こえる嬉しそうな声に、ほんの少しだけ妙の胸が痛む。

 


私に何かあったら新ちゃんに。

新ちゃんに何かあったら私に。

これだけは、何があっても変わらない。

 

絶対に変わらないの。

 

 

 

呪文のように心の中で繰り返しながら、妙も新八の元へと向かうべく、
その場から立ち上がった。

視線の先には、先程までとは打って変わった空気を纏った男が、
親しげに新八の頬を撫でている。

 


『そちらは志村新八さんのお宅ですね』

 

蘇るあの声。
まだ彼の家がここなのだと示してくれたあの声。

けれど・・・

 

 

「・・・いやな男」

その光景に、妙は無意識のうちに握り締めた拳を一人、震わせた。

***************
初めて書いたお妙さんの話がこんな事に~!!!

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