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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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何時もの様に万事屋で夕飯を食べ、台所で後片付けをしていると、
ヒョコリと顔を出した銀さんが出掛けてくると言ってきた。

また呑みに行くんですか?と呆れた顔で返すと、長谷川さんの奢りだから。
大人の付き合いも大事にしなくちゃね~。と嬉しそうに告げられた。

ま、お金ないから自分からはそんなに呑みに行けないしね。
・・・て、そんな事ないか。
ツケ扱いにして結構呑みに行ってるよ、この人。

そうは思うが、今日は奢りだそうだし、仕方ないか・・・と、
呑みすぎないように注意をし、送り出した。

「銀ちゃん、出掛けたアルカ?」

お風呂から出てきた神楽ちゃんに聞かれ、苦笑を返す。
そこで僕は あっ とある事を思い出した。

それは今日の昼間の事。
姉上から電話があって、知り合いに沢山貰ったから、明日の朝卵焼きを
作る
のだと告げられたのだ。

大量に作るから、神楽ちゃん達にも楽しみにしててね、と伝えておいて・・・と。

それを聞いた僕は、朝、誰よりも早く起き、それを阻止しよう
心に誓い、神楽ちゃんにも心の底から応援されたのだけれど・・・

ここにきて、予定が狂ってしまった。
何時もなら、銀さんが呑みに行く時、僕はここに泊まっていく。
けれど、今夜ここに泊まったら、姉上の卵焼きを阻止する事は出来ない。

どうしようかと悩んでいると、クイッと袖を引かれる。

「大丈夫ネ!定春も居るし、私、全然平気ヨ?」

僕の考えが顔に出ていたのだろう、
それより姉御の暴挙を止めるネ!と真剣な表情で言われ、僕は苦笑する。

そうは言われても、やっぱり神楽ちゃんを一人には出来ない。
銀さんだって、何時帰ってくるか判らないし、下手すると朝帰りって
可能性もある。
僕はちょっと悩んだ末、ある事を思いついた。

 

 

 

 

 

 

 

 


夜も更け、眠りの底に居た僕の耳に、何かの音が入り込んできた。
なんだろう・・・と、未だはっきりしない意識をなんとか浮上させる。

ちらりと隣に視線を向けると、そこにはぐっすりと眠り込んでいる神楽ちゃんと、
枕元に寄り添うようにこれまたぐっすりと寝ている定春の姿が。

結局女の子を一人で居させることに抵抗があった僕は、一緒に僕の家に
行く事を提案したのだ。
これなら神楽ちゃんを一人にする事も(まぁ定春も居るんだけど)ないし、
姉上の暴挙も止められる。

そう言うと、神楽ちゃんはとても嬉しそうに僕の提案に乗ってくれた。

やっぱり夜に一人ってのは心細いんだろうな。
今度銀さんにキツク言って置こう。
僕が帰った後、呑みに行かれると困るし。

ぼんやりとしたままそう思っていると、今度ははっきりとした音が耳に入った。
それはギシリ、ギシリと誰かが廊下を歩いている音で、
僕はビクリと体を竦めた。

もしかして姉上?
・・・いや、まだ帰ってくるには早い時間だ。
じゃあ一体???

そう思っている間にも、足音はどんどん僕達が居るこの部屋へと
近付いてくる。

早くなる心臓を押さえ、眼鏡を掛けると僕は布団を頭まで被った。
そして素早く動けるように布団の中で体勢を整え、視線を
廊下に面している襖へと向けた。

その瞬間、襖がゆっくりと開いていって・・・


・・・・え?


目にした人影に驚くまもなく、僕はアルコールの匂いに包まれた。

「え?ちょっ、何!!?」

「おぉ~、銀さん、今帰ったよぉ~」

ギュッと布団ごと抱き込まれてしまい、なんとか顔を出せば
そこにはヘラリと笑う、一人の酔っ払いが。

「帰ったよ~って、ドコに帰って来てんだよ、アンタ!

てか、鍵は!!心持小さい声でそう怒鳴れば、よっぱらいの銀さんは
スリスリと頬を摺り寄せてきた。

「どこって、ウチですよ、ウ~チ!当ったり前でしょ~?
他にドコに帰んのよ、銀さん。
ちなみに鍵は開けました~。いいか~?
鍵はなぁ開ける為にあるんだよ

その前に戸締りの為にも存在してんだよ。
も~、どうやって開けたんですか!」

抱き込まれてる為、中々身動き出来ない体をなんとか捩り、
どうにか出した手で擦り寄ってくる頭を離そうとしながら聞くと、
今度はその手を掴まれ、頬を摺り寄せられる。

「ん~、こうチョイチョイっとな。まぁアレだ。
人生色々経験値積んどくと、便利だな☆的な

「そんな経験値は溝に捨てて来い。
ってかここ、僕ん家ですよ?判ってます??」

「判ってますよ~。だから鍵持ってないし。ってか今度寄越せ。
で、仕方ないからこ~、チョイチョイっと・・・」

「いや、それはもういいですから」

僕の家の鍵に何をしたんだか。人差指と親指をくっつけ、小さく動かして
実演してみせる銀さんの指を呆れた顔で見詰めていると、何か違和感を感じた。

「銀さん、ちょっと・・・」

掴まれていない方の手を出し、その手を掴んで月明かりを頼りに
目を凝らした。

すると、そこには確かに夕方までは存在しなかった傷が多数あって・・・

「どうしたんですか!これ!!」

隣で眠っている神楽ちゃんの事も、僕に抱き付いている酔っ払いの事も忘れて
ガバリと身を起こした。

「ん~?あぁ、これ~?・・・あれ~??」

僕に掴まれた手を見、銀さんは不思議そうに首を傾げた。
そして何か思い当たったのか、小さく声を零すと、ズリズリと体を
動かし、上半身を起こしている僕の腰にまで来ると、ポテリと頭を
落とした。

「ごめん。ちょっと部屋、家捜ししちゃった

多分そん時ついたやつだ。僕のお腹に顔を埋め、そう呟く銀さんに
今度は僕が首を傾げる番だった。

「部屋って・・・万事屋をですか?
ってかそんなになるまで何探してたんですか?糖??

だったら絞める、思わずキツクなる視線の先で、
腹の上を住処にした銀色の毛玉はポツリと呟いた。

 


「・・・お前ら」

 


「・・・・へ?」

「だって銀さん帰ったのに誰も居ないし。音もしないし。
押入れも厠も風呂も引き出しゴミ箱も、
全部探したのにどこにもいないし」

その言葉に、僕は一瞬にして今現在の万事屋内の状況を把握したと思う。
・・・ってか引き出しとかってなんだ。

「・・・僕テーブルの上にメモ置いてきましたよね?」

そう、確かに僕はこちらに来る前に念の為・・・と、神楽と共に
こちらに泊まる旨を書いて置いておいたのだ。

それを言うと、決まり悪げに テーブルの下も見たから。 と
告げられた。

あぁ、そうですか。テーブルも引っくり返しやがったんですね、
コンチキショー。

僕が明日の(ていうかもう今日か)予定に頭を痛めていると、
腹の上からブツブツと呟く声が聞こえた。

「大体なんだよ、僕ん家って。
オマエが居て、神楽が居て、定春も居る。
ならここが銀さん家だろうがよ」

除け者扱いすんなよ、この駄眼鏡。反抗期かコノヤロー。ほっとくと永遠に
続きそうなので、一先ず僕は銀色の毛玉に向けて軽くチョップを贈った。
そしてそのまま髪に手を埋める。

「誰も除け者になんかしてないでしょ。
っつうか一人で出掛けたの、銀さんでしょうが」

「でもダメなの。オマエらは出掛けちゃダメなの~」

僕の腹に額をグイグイ押し付けてくる銀さんに、プッと笑いが漏れる。

「はいはい、判りましたよ。もう置いてったりしませんから
さっさと寝てください。
あ、その前に怪我したトコ消毒しましょうか?」

手以外にもありますか?そう聞くと、チラリと銀さんの頭が動いた。

「・・・ここに来るまでにコケた。・・・何回か。」

でもいい、もう寝る。そう言ってがっちりと僕の腰を抱え込んでくる
銀さんに、なんとも言えない、暖かい感情が溢れてくる。
それと共に、頭を撫でる手も優しいものへと変わっていき、
少しすると微かな寝息が聞こえ始めた。

銀時が眠ったのを確認し、新八は未だぐっすりと眠り込んでいる
神楽へと目を移す。


ね、この人、すっごく探したみたいだよ、僕らの事。

手がね、傷だらけなんだ。

それでね、転んじゃうぐらい慌てたんだって。


きっと明日、目が覚めて銀さんがここに居る事を不思議がる彼女に
そう全部話してあげよう。

そして言うのだ。

何時もの朝の挨拶ではなく、


『おかえりなさい』・・・と。


そう言われた時の銀時の顔を想像し、新八は楽しそうに笑みを浮かべると
とりあえず明日の卵防衛に勝利しなくては・・・と、
先ほどよりも狭くなった布団へと、その身を横たえたのであった。

******************************
二人+一匹の有り難味を思い知れ、坂田・パート2(笑)

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