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~場所~
「・・・太陽が・・・痛い・・・」
小鳥が囀り、冷たいがそれが余計に空気の綺麗さを強調しているような早朝。
太陽もまだ出たばかりで、そんな空気を暖める事もせず、ただ眩しさを主張している。
これだけなら普通に爽やかな朝の風景であるが、そんな風景をぶち壊しているのが
道をフラフラと歩いているマダオオーラ全開の男、銀時。
「・・て違うから、銀さんそんなぶち壊してないから。
寧ろ銀さんが居る事でかなり爽やかさが倍増してるから。」
あ~、でもデビュー気分も倍増・・・等と呟きながら道沿いにある壁に手を着き
暫し止まる。
「やっぱアレだ。飲み過ぎは駄目だ。飲んでいいけど過ぎは駄目だ。
うん、よし一つ学習した。大丈夫、銀さんやれば出来る子だから次は大丈夫。
・・・て、あれ?なんかこんな感じ前にもあったような・・・なんだったっけ
デザイア?」
違うな~なんだっけな~あ~もう面倒くさいな~。そう言いながらチラリと
周辺に目をやる。
そう言えばちょっと前までは、休みたくなったら何処でも休んだものだ。
其処が墓場だろうが路地裏だろうが関係ない。
出来れば屋根とかあれば嬉しいのだが、結局はそんなに関係ない。
何処でも、何処だろうとも、関係ないのだ。
お登勢に借りたあの部屋だって、好きな時に、好きなように帰っていた。
気分次第では、何日も帰らない事だってあったのだ。
なのになんでこんなに一生懸命歩いているんだろうか。
なんでまっすぐあの場所に向かっているんだろうか。
「・・・ここで寝ちゃおうかな~」
そう考えているのに、そう声に出しているのに、何故か足は前に進みだす。
少しでもあの場所に辿り着くように、ゆっくりと、フラフラしつつも確実に
足は歩むのを止めない。
「なんだかな~・・・本当面倒くさい」
溜息を一つ、白い息と共に吐き出す。
けれど口元は緩やかに上がっていて。
「頭痛いし、気持ち悪いし、寒いし・・・」
でもきっとあそこは暖かい。
昨日は確か新八が泊まっていった筈だ。
出掛けるときにちょっと小言を貰った。
飲み過ぎるな、早めに帰って来い。
・・・お前は何処の奥様ですか。
いや、勿論万事屋のだけれども。
寧ろ銀さんのなんだけれども。
神楽もしたり顔で言っていた。
駄目ネ。マダオにそんな事言っても無駄ネ。
・・・お前ハ何処の反抗期娘ですか。
いや、勿論万事屋のだけれども。
寧ろ銀さんと新八のだけれども。
この分だとまた小言を貰う事になるだろう。
この分だとまたしたり顔で何か言われるだろう。
けれど、それでもアソコは暖かいのだ。
だから、どんな時でもアソコに帰っていくのだ。
「あ~、もう本当ダルイ。」
そう言いながらも、銀時の足は少しだけ速度を上げた。