気まずい二人乗り

 

『気まずい二人乗り』

 

今更こんな事が気まずい・・・なんて言ったら、アンタは笑いますか?

毎日と言っていい程一緒に居て。
それこそ、朝叩き起こす所から、夜布団を引いて・・・時には泊まって。
そんな日々を過ごしてるってのに、どうも駄目なんです、僕。

最初は別に気にしなかった筈なのに。
それどころか、こういったモノに乗るのも、二人乗りするのも初めてで、
緊張するやら嬉しいやら・・・
兎に角、その時の感情に『気まずい』なんてモノは含まれて居なかったのに。

最近はどうも駄目なんです。
前より緊張はしなくなったけど、別の意味で緊張し始めちゃったし。
なんか嬉しい・・・って言うか、それに似たこそばゆい感じが
倍増しちゃいましたし。
それらを自覚すればする程、妙に・・・気まずい。

だからちょっと離れて。
ついでに掴まる手もちょっと遠慮気味にしてみたのに。

その度に

「危ね～ぞ～」

って、相変わらずやる気のない声で
けれど手を取ってしっかりと掴ませるから。
またぺったり距離は縮まって。
ついでにしっかり手も廻す羽目になって。
おまけに自分の顔が火照ってくのも判って。

 

・・・近くなったアンタの耳も、赤くなってるのが見えて。

 

あぁもう、本当気まずい。

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[銀新十題]からお借りしました。
そして同じお題でもう一つお笑いVer
カッコ悪い銀さんでも大丈夫な方だけどうぞ。

『気まずい二人乗り』(お笑いVer)

何時もの二人乗り。
それが今日は・・・・ちょっと気まずい。

だって銀さん、なんですか、コレ。
銀さんが強いのも知ってますし、体つきもバランスの取れた
羨ましい位のモンだと知ってます。

知ってるんですけど・・・どうしましょう、コレ。

なんか何時もより、脇腹に柔らか味が・・・・

いえ、以前からちょっとフニッとしてるな～・・・なんて思ってましたよ。
でも幾ら強くても、筋肉ガチガチな訳ないですしね。
気になんてしてませんでしたよ。
でも今日は・・・なんか何時もよりフニフニ感溢るるって言うか・・・

なんでだろう、どうしてだろう。
なんで今日に限ってこんなに気にしちゃうんだろう。

だって今日は、週に一度の甘味開放デーで。

運転してる銀さんも、滅茶苦茶嬉しそうで。

 

・・・・・言えないだろう、こんな状況下で。

 

僕だって空気ぐらい読めますよ。それはもう物凄く読みまくりですよ。
だってツッコミだもの。

だからこそ、今、ツッコミたい。

でも人として突っ込んではいけないこの空気感。

あぁもう!!!・・・等と考えてたら、無意識に銀さんの腰に廻してた手に
力が入ってたようで、

「何々～、新八君ってば甘えん坊さん♪」

等と、態々振り返って告げてくる銀さん。
・・・いっそ本能の赴くままツッコんでやろうか・・・とも考えるが、
機嫌良く鼻歌まで始めてしまった銀さんに、そんな事出来る筈もなく。

惚れた弱みと言うか、甘いと言うか。
ツッコミのかわりに出てきたのは小さな溜息一つ。

僕は一人気まずく、残りのドライブをする羽目になったのだった。