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突然の雨音に窓から外を見れば、結構な豪雨だった。
「・・・アイツ、傘持ってったか?」
少し前、買い物に行くと言って出掛けて行った新八の事を
思い出そうとするが、どうにも思い出せない。
ま、当たり前か。
俺、ソファから動いてねぇもん。
その場所から、玄関を出て行く新八の姿が見える訳がない。
別にその前に
「原チャ出してやろうか?」
と言う俺の言葉に対して、
「今月は余分なお菓子を買う余裕がないんでいいです」
と断られた事に拗ねてた訳ではない。
うん、ジャ○プの続きが気になってただけだから、銀さん。
大体言ってみただけだしぃ?
だから断られてラッキー☆みたいな?
ってかなんで俺が優しさを醸し出すと警戒するんだ、新八は。
別に毎回お菓子が目当てで言ってる訳ねーじゃん。
純粋な優しさからであって、その特典としてあるニケツでの
新八にギュッて抱き付かれるのが目的な訳でもない。
単なる銀さんの優しさだ、優しさ。
完全無欠なるやらしさだってぇの。
・・・あれ?間違えた?
「ま、いいや」
俺は手にしていたジャ○プを放り出してソファから腰を上げた。
とりあえずこの雨だ。
迎えに行っても感謝こそされ、拒絶される事はねぇだろ。
万が一新八が用意周到に傘を持っていったとしても、
傘を差しながら荷物を持つのは辛い筈だ。
「あ~、もう銀さんてば優しいね~」
こんな雨の中お迎えに行っちゃうなんて。
普通ないよ?こんな優しさ。
や、別に好感度上げようなんて考えてないからね?
そんなのしなくても既にMAXだから、俺のは。
寧ろ限界がないから。
天井知らずだからね、これ。
「・・・っと、一応タオル出しとくか」
それとも持ってくか?玄関へと向おうとした足を止め、
一瞬悩む。
だってもし傘を持っていってなかったら、この豪雨だ。
新八は既に濡れているだろう。
・・・え?それってヤバクね?
だってアレよ?着物とか濡れちゃって、
髪の毛とかもしっとりしちゃって。
その上どっかで雨宿りとかしてたら、濡れた袴を持ち上げて
雨水絞ってたりするかもしなんくね?
・・・よし、持って行こう。
ってか早く行こう。
そんな新八を他人に見せるなんて勿体ねぇぇぇ!!!
そう言う新ちゃんを見て良いのは、銀さん限定です!
あ、念の為カメラも持ってくか。
とりあえずタオルを一枚ベルトに挟み、部屋の隅で横たわっている
定春の頭を撫で、留守番を頼む。
「・・・そういや神楽も遊びに出掛けてたっけ」
アイツの事だ。絶対雨が降ってようが、構わず遊んでいる事だろう。
しかも曇りだったから、傘を持っていかなかった筈だ。
「絶対ぇ傘の使い方間違ってるよな、アイツ」
ったく仕方ねぇ。と、もう一枚タオルを持ってくる。
女は体を冷やしちゃいけねぇ・・・ってか一応年頃の娘が
濡れたままほっつき歩くなってんだよ。
悪い虫がついたらどうすんだよ。
新八についてくる虫共々、
銀さんがぶっ潰すよ?
まだあいつ等には早いからね、そう言うの。
ってか坂田家は今の状態が完全体なんです。
余分なのは排除だ排除。
「とりあえず新八を迎えに行きつつ、帰りに神楽を探すか」
傘立てからやっぱりあった新八の傘と神楽の傘を取り出し、
玄関を開ける。
「あ、やっべ」
見上げれば先程よりも少し雨の勢いが弱まった気がする。
ヤバイヤバイ、雨が止んでしまったら迎えに行く理由がなくなってしまう。
ってかさっきの勢いはどうした!
もう少し根性入れて
ザカザカ降りやがって下さいぃぃぃ!!
急いで新八の傘を開き、雨の中へと飛び出す。
せめて新八に会うまでは
降り続けとけコノヤロー。
・・・あ、やっぱ会ってからもお願いします。
相合傘したいんで。
・・・ってか出来れば家まで。
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坂田の優しさ=坂田のやらしさ。