[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「・・・元気だね~お子様って」
呆れるような口調で呟く銀時の視界の先には、
久し振りに晴れた青空の下、キャッキャッとはしゃぎ回っている
新八と神楽、そして定春の姿が見える。
最近ずっと曇りだの雨だのといったジメジメした天気が
続いていたせいか、鬱憤が溜まっていたようだ。
しかし・・・しかし・・・だ。
幾らジメジメしたのがなくなり、気分爽快な晴れ間だと言っても、
暑いものは暑い。
寧ろ太陽光線が熱い。
新八達に強請られるまま、共に外へと来た銀時であったが、
川原に着いて早々、木陰へと逃げ込んでしまった。
それに最初ブーブーと文句を言われたが、
外に出てきただけマシだと思え。と言うと、
微妙に納得されてしまった。
・・・え?俺って何だと思われてんの?
少しだけショックを受けたが、炎天下に出るよりはマシと
自分に言い聞かせ、ゴロリと寝転ぶことにした。
・・・が、幾ら木陰と言っても眠れるほど涼しくはない訳で。
銀時は寝転んだまま遊んでいる新八達を眺める事にした。
「しかし・・・いいのかねぇ」
あれくらいの年齢になれば、それなりに人の目とか
気にしてカッコつけるものではなかっただろうか。
新八達の年齢を思い浮かべながら、そんな事を考える。
なのに視界の中の二人は、そんな事を気にするでもなく、
おっかけっこだろうか?何やら走り回っている。
・・・と言うか、新八がとんでもなく追い詰められている。
しかも幾ら晴れていると言っても、昨日まで雨が降っていたのだ。
泥が跳ねまくって、二人とも足元が泥だらけだ。
神楽なんて、ワザと水溜りに飛び込んでいくから余計に酷い。
「あ~あ、あんなに泥だらけになっちゃって」
年齢から言ってもありえないし、新八的にもありえないだろう。
だって昨日まで、洗濯物が乾かないと嘆いていたのだ。
あぁ、でも今日は一気に乾くと言って、嬉々として洗濯物を
干しまくっていたっけ。
ならばありか。
・・・や、そんな心配も年齢的にはアウトだろう。
やっぱり違うよな~。と呟く。
だって俺だってそれなりに粋がっていたのだ、あの年代は。
それはもう、今考えると恥ずかしいぐらいに。
・・・まぁ戦場に身を置いていたのだ。
気を張りまくって当然だろう。
あぁ、でも。
銀時はふと思いついた事に、緩く口元を上げた。
不意に出来た休息の時。
気の合う仲間と居るときだけは、格好つける事もなく
ガキみたいに気を抜いていたっけ。
思えばその時の自分達は、丁度あんな感じだったのかもしれない。
着いた泥に気づいたのか、いつの間にか追いかけっこを止めた
神楽し新八は、同じく足元を泥だらけにした定春と共に
川辺へと場所を移していた。
それは泥を落としているようであり、遊びの延長のようであり。
その楽しげな雰囲気を見詰め、銀時は あぁ、そうか。と
ある事に気がついた。
新八達があんな風に子供のように遊ぶ理由。
それは今までの彼等が気を張って居たからだ。
そして今、この場所では気を張る必要がないからだ。
詳しく聞いた事はないが、今までの新八達の環境を思えば、
気を張っていなければどうしようもなかったのだろう。
気を張って。
子供らしくはしゃぐ事もなく、周りに負けないように
懸命に、細い足でまっすぐと。
その足が今、銀時の前で楽しげに跳ね回っている。
「あ~チキショー暑いなぁ。
いっその事今度は海でも行くか、コノヤロー」
グイッと額の汗と共に目元の水分も拭って、銀時は体を起こし
川辺で遊んでいる子供達の下へと足を踏み出した。
そんで気が済むまではしゃぎまくっちまえ、コノヤロー。
******************
父性愛が煌く瞬間(笑)