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「いや~、春ですねィ。
全く、眠くなって仕方ねぇや」
「や、春とか関係なく何時でも漏れなく眠いですよね、アンタ。
ってか寝てますよね、そこ等辺で」
ま、気持ちは判りますけど。沖田の言葉に、新八がのんびりと
お茶を啜りながら答える。
久しぶりに晴れた空の下、新八と沖田は志村家の縁側で
既に半分ほど散りかけた桜を眺めていた。
それを見ながら、新八はふと、今年は寒さが続いたり、
天気が悪かったりでお花見をしなかったな・・・なんて思う。
「・・・そういやぁ今年は花見、しなかったなァ」
どうやら沖田も同じような事を考えていたらしく、
団子を食べながらポツリと呟いた。
「あれ?沖田さん達もしなかったんですか?」
なんかそう言う行事はきっちりやってそうなのに・・・そう思い
新八が問い掛けると、沖田は深々と溜息を吐き、緩く首を振った。
「こう見えても忙しい身の上でねィ。
あれ?新八達こそやらなかったんでィ?
暇なのに?」
「そんな身の上のお方がなんでここに居るか
物凄く不思議なんですけどね。
ってか断定しないでくれます?
泣きたくなりますから。」
「S王子に無理な注文しないで下せェ。
泣かしてなんぼの人生なんで」
「やな人生だなぁ、おい」
そんなのに僕を巻き込まないで下さい。そう告げて、新八も
団子へと手を伸ばす。
「僕等は・・・なんとなくタイミングが合わなかったんですよ。
買い物の帰りとかにちょっと見るぐらいで。」
ま、僕の場合ここにあるから、見る事は出来ましたけど。
そう告げる新八に、沖田も軽く頷きながら
目の先にある桜へと視線を移した。
「確かに。本格的な花見は出来なかったが、
ここの桜のお陰で、ちったぁ見た気にはなるねィ」
毎日の様に来てたから。沖田の言葉に、新八は苦笑を浮かべる。
確かに、近藤の回収の為に来ていた沖田達は、近藤が目が覚めるまで
よくここで休憩をしていた。
新八もそれに付き合っていたので、言葉通りの花見はしていた気分だ。
「まぁ一本しかないからちょっとショボイですけどね」
新八の言葉に、沖田がイヤイヤと首を振る。
「一本しかねえって言っても立派なもんでさァ。
特に今年は色が綺麗だ」
「そうですね~。やっぱり養分がいいからですかね?」
「だろうねィ。昔からよく言うからねィ」
二人してのんびりとお茶を啜っていると、遠くから
ずるずると何かを引きずってくる音が聞こえた。
そして続いて耳に入ってくる、聞きなれた声。
「新八~、これ追加ネ~」
「あぁ、じゃあその下に置いといて~」
「あいよっ!」
神楽の声とともに、ドサリと言う音が響いてくる。
「お疲れ様、神楽ちゃん。お団子あるよ?」
「マジでか!?」
「あ、その前に手を洗ってきてね?」
新八がそう言うと、神楽は元気良く返事をして
家の中へと走っていった。
それをぼんやりと見送りながら、沖田がポツリと問いかける。
「・・・で、旦那は?」
「いつものコースですよ。パチンコに行って、負けて自棄酒呑みに行って」
だから僕と神楽ちゃんはこっちに。新八のその答えに、
沖田は成るほど・・・と呆れた顔で頷いた。
「だからこれ・・・ですかィ」
「えぇ。銀さん、意外と寂しがり屋さんなんで」
「・・・養分に困りやせんねィ」
「なんかその内立派な実でもつけそうな勢いですよね」
「確かに」
そう言って、二人は半分散りながらも未だ美しい桜の木を
見上げた。
「で、何時あそこの近藤さんを回収してくれるんですか?
いい加減見上げすぎて首が疲れるんですけど」
「なら遠慮せず下も見なせェ」
「いやですよ。美観が損なわれます。
序に余分なのも目に入って、自分の将来設計に
疑問が沸きます」
「新八~、手ぇ洗ってきたネ。
って、まだ銀ちゃん寝てるアルカ?」
「チャイナァ、お前あれを寝てるって言い張る気かよ、おい」
「だって姉御が言ってたネ。目を閉じてるのは
寝ている証拠だって。
だからまだ大丈夫だって言ってたヨ。
別にどっちでもいいんだけどナァ~」
「・・・閉じてるってより白目剥いてるんだけどね、あれ」
*********
坂田酔って帰宅→誰も居ないので志村家へ→
序に新ちゃんの布団に突入→・・・する所をお妙が捕獲→
ゴリ共々養分確定☆なコンボ炸裂。
・・・来年も桜はきっと綺麗です。