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その日は何時も変な銀さんが、もっと変でした。
「全く、何なんですか、銀さん!」
切れ気味の声を上げ、僕はハタキを持ったまま銀さんの目の前に
仁王立ちした。
が、銀さんは 何が? なんてとぼけていて。
でも、朝からずっと銀さんの奇行を目にしていた身としては、
それで済ませられる訳がなく。
「何がじゃないですよ!」
そう言って、持っていたハタキを銀さんへと突きつけた。
「朝からず~~~っとチラチラチラチラとっ!
何なんですか!?なんか僕、今日変ですか!?」
もっとも、銀さんよりは変じゃない自信はありますけど!?
きっぱりと言えば、銀さんは自覚があったのか
少し動きを止めた後、視線を泳がせ始めた。
そう、今日の銀さんはずっと変だった。
何をするのでもなく、僕の方をチラチラ見ていたのだ。
ご飯を食べていてもチラチラ。
食器を洗っていても、台所の入り口からチラチラ。
洗濯を干していてもチラチラ。
掃除をしていてもチラチラ。
そして、今現在視線を泳がしながらも
やっぱりチラチラ。
はっきり言って、ウザくて仕方がない。
言いたい事があるなら、さっさと言えってんだ、コノヤロー。
そう思って目に力を入れ、銀さんを睨み付ける。
「本当ネ。銀ちゃん、何時もウザイくらい新八見まくってるけど、
今日はウザイ通り越して目ん玉潰したいくらいな感じヨ」
ってかいい加減本気で潰していいアルカ?
それまで黙って僕達を見ていた神楽ちゃんが、
真顔で銀さんに問い掛けた。
どうやら当事者でないにしても、銀さんの奇行には
神楽ちゃんも嫌気がさしていたらしい。
神楽ちゃんの本気に気付いたのか、銀さんは一瞬小さく身震いすると、
顔を背けて一つ、大きな声を上げると盛大に髪を掻き乱した。
「あ~もう何でもねぇよ!
何でもねぇけど・・・まぁアレだ、アレ。
いや、別に銀さんそんなに気になんないけどね?
別に全然気になんかならねぇけど、でもアレじゃん?
なんかアレだから、つい視線が行くっつうか・・・」
「アレアレ五月蝿ぇよ。
目の前にその使えない舌を握りつぶしてやろうか?あぁん!?」
それでもはっきりしない銀さんに、とうとう神楽ちゃんがキレた。
銀さんの襟首を鷲掴みにすると、そのまま勢い良く
振り回し始める。
「ちょ、神楽ちゃん待って!
とりあえず落ち着いて、銀さん離してあげて!」
慌てて二人の間に入り、神楽ちゃんを落ち着かせる。
すると、なんだか頬を薄っすら赤く染めた銀さんが、
新八、そんなに銀さんの事心配してくれて・・・
なんてほざいていた。
全く、何言ってんですか、銀さん。
心配するに決まってるでしょ?
だって今銀さんが潰されたら、今日の奇行の原因が
永遠に判らず仕舞いになるんだから。
僕、そう言うのって意外と気にする方なんですよね~。
って事で、サクサク吐いてくださいよ。
とりあえず思った事は胸の中にしまい、にっこり笑って銀さんを促せば、
漸く銀さんは僕の方を見て口を開き・・・
「いや、なんかよ。今日の新八・・・・
・・・・・露出、激しくね?」
頭をかち割って中身を調べたくなるような事を言い出しました。
「・・・・は?」
出された言葉に、僕の顔が笑顔のまま固まる。
だが銀さんは言葉に出した事で吹っ切れたのか、
続けて言葉を並べ立てた。
「や、別に銀さん的には、んなの気になんねぇよ?
大人だからね?少年の心を持ち続けてはいるけど、
本当は渋い大人だから。
だから、例え何時も以上に露出が激しくても
全然大丈夫だから。
ドキドキなんてしねぇし、気にもなんねぇし、
寧ろ違いとかも全く判らないからね?」
いや、判ってるからこその奇行だろうよ。
・・・と、言うか。
チラリと自分の服に目を落とす。
確かに今日は少し暖かくはある。
でも、僕の格好は何時もと同じだ。
春物には替えたけど、着物に袴だ。
足袋だってきっちり履いている。
この格好の何処に露出過多の要素が?
未だブツブツと語り続けている銀さんを無視し、
僕は神楽ちゃんへと視線を向けた。
「・・・ね、僕の格好、何時もと違う?」
「面白いぐらいに代わり映えしないネ」
だよね~。そう言って首を振る神楽ちゃんに、僕も同意する。
「何か昨日と違うトコ、あるカ?」
反対に神楽ちゃんに聞かれるが、首を振って答えを返す。
別に違うトコなんて・・・そう思った所で、ふとある事を
思い出した。
そう、別に着てるものに変化はないが・・・
「昨日、姉上に少しだけ髪を切って貰った・・・かな?」
久しぶりに家に居た姉上に、丁度いいから。と、襟足などを
揃えて貰ったのだ。
でも、まさか・・・と、二人で銀さんへと視線を向けると、
「特に首筋!ヤバイね、これ。」
なんて力説している。
「・・・神楽ちゃん」
「・・・何ネ?」
「さっきは止めちゃってごめんね?
遠慮なくどうぞ?」
「任せとけヨ」
とりあえず目でも舌でもなく、
全ての原因である魂を握りつぶして貰おうと思います。
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違いの判る男・坂田(でも詳しくは判らない(笑)