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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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今日の僕の運勢は、多分最悪だったんだと思う。

 

 

とりあえず朝起きたら、庭に屍が転がっていた。
こう言うと結構ショッキングな事に聞こえるが、
毎日の事だと既に日常だ。

しかも、厳密に言うとまだ屍じゃないし。
それに近いってだけで。

なのでこれは最悪のカウントに入らない。
何時もの様に庭で転がっている近藤さんの手当てをし、
真選組へと連絡を入れる。

ちなみにこの状況を作った姉上は、既に夢の中だ。
どうやら完全に意識を絶った後じゃないと、安心して眠れないらしい。

僕としては、姉上がうっかりして意識ではなくを絶って
しまわないよう願うばかりだ。

じゃないと僕が安心して眠れない。
ってか、寧ろ朝怖くて起きられない。

しかし、ここからが運の悪さのスタートだったのだ。

連絡を入れた筈の真選組から、中々迎えが来なかった。
お陰で近藤さんが目を覚まし、延々と姉上との
未来妄想図を聞かされてしまった。

ちなみに姉上との新婚生活だと言うのに、ちゃっかり
僕も一緒に暮らしている事になってて、ちょっと嬉しかったのは内緒だ。

で、それを聞くだけでも苦行なのに、妙な気配を感じてか
姉上が起きて来て、再び心臓の悪い人には見せられないシーン
繰り広げられてしまった。

さすがにそれ以上はうっかりしなくても危ない・・・と慌てて止めに入り、
漸く来た真選組に近藤さんを引き渡した所で、既に何時も家を出る
時間が大幅に過ぎてしまっていた。

毎日銀さん達に時間厳守を言い渡しているだけに、これはちょっと
頂けない。

急いで万事屋へと向えば、途中黒猫の集団に見事なまでに
横切られた。
ってかなんで集団んん!?
なんかものっそく壮観な眺めだったんですけどぉぉ!!

てか・・・横切られても三歩下がれば相殺・・・って子供の頃
言ってたけど、この場合は何m単位になるんだろう・・・

ま、迷信だ迷信。と自分に言い聞かせ、歩き出した所で
鼻緒が切れた。
しかも両方。

・・・うん、もう結構履き潰してる感じだからね、これ。
寿命だよ、寿命。今までどうも有難うございました~。

とりあえず直している時間はないので草履を脱ぎ、万事屋へと向った。

・・・途中、暴れ馬だの暴れ巨大生物だの
暴れ沖田さんだのと遭遇したが・・・まぁ許容範囲だろう。

大体沖田さんは対象が限定されてたから、
そんなに被害に合わなかったし。


で、何とかついた万事屋。
時間を見れば遅刻もいいトコだ。
でもどうせ二人ともまだ眠っているだろうし、そーっと入って
誤魔化せば・・・と、玄関を開け静かに居間へと進んだ所で、

「あれ~?何々、新八く~ん。もしかしてどっかの朝市にでも
行って来たの~?あ~、そりゃ朝からすまなかったなぁ。
あれ?でも荷物持ってないよね?何か『今来ました』って
感じだよね、それぇ?」

と、何故か起きていやがった銀さんに、ニヤニヤとした
あまりよろしくない笑顔で言われてしまった。
しかも

「そんな事ある訳ないネ、銀ちゃん。新八は何時も言ってるアルヨ。
『決められた時間は守れ、規則正しい生活をしろっ!』て。
そんなきっちりかっちり眼鏡が遅刻なんてする訳ないネ」

・・・神楽ちゃんまで起きてやがるし。

「だよなぁ。健全・真面目な生活を送る新八が
そんな事する訳ねぇよなぁ。あれ、ならなんで今入ってきたんだろ?
銀さん、全然判らないや」

「私も全然判らないヨ。
きっと眼鏡にしか判らない行動理由ネ。」

「そっか~、奥が深いな眼鏡は。
って寧ろダメガネがか?」

普段中々起きてこない癖に、こう言う時だけ起きてやがって。
その上僕が遅刻したのを判った上で、ネチネチネチネチとっ!

「眼鏡眼鏡うっせぇよっ!!
遅刻ですよ遅刻っ!すみませんねコノヤロー!!!」

持っていた荷物をバシッと床に叩き付けながらそう言うと、
うわっ!開き直ったぜ、コイツ。最悪アルナ~。とコソコソと言い合う
二人が見えた。

逆ギレすっぞ、おい。
思春期舐めんなよ。
卓袱台ひっくり返して暴れるぞ!?




・・・ま、卓袱台ないけどね。





ってかそんな事したって、部屋が散らかるだけだからやらないけど。

だってどうせ片付けるのは自分なんだし。

なので未だ嫌味を言いつける二人に背を向けて、僕は少し遅くなった
朝食を作る事にする。

・・・でも何時もより砂糖少なめにしよう、今日の卵焼き。

 

しかし、その後やっぱり・・・と言うか、きっちり砂糖の量の違いに
気付いた銀さんから、再びネチネチ言われ続けた。
それに乗っかった神楽ちゃんからも。

いい加減飽きろよ、本当。

一応・・・と思い、ここに来るまでの過程・・・まぁ遅刻の言い訳も
したのだけど、なんの効果もなかったし。
寧ろ笑われたし。

や、判るけどね、その気持ち。
でも全てを眼鏡のせいにするのは止めて下さい。
眼鏡の呪いとかないですから。
僕が不器用なのと眼鏡は関係ないですから。

草履なんて履ければいいんですよ、履ければっ!!

 

・・・と言うことで、いい加減僕の方が言われ飽きたので、
からかわれながらもなんとか鼻緒を直した草履と共に、
買い物へと出掛ける事にした。

大体何時も僕が来るまでグータラと寝こけている癖に、
今日に限ってちゃんと起きてるなんて・・・
しかもそんな日に遅刻しちゃうなんて・・・

「本当、ついてないな~」

と、歩きながら溜息を一つついた所で、再び鼻緒がプツンと切れた。

・・・うん、履ければいいなんて適当すぎたね。
鼻緒が丈夫でナンボですよ、草履はっ!!

仕方なく草履を脱ごうと、溜息を吐きつつ屈んだ所で、
突然後ろから衝撃を受けた。

思わず膝を付いた僕の頭上からは、いってーっ!との声。


・・・本当、ついてないにも程があると思う。


「んだよ、こんなトコで止まってんじゃねぇよっ!」

ぶつかっちまっただろうがっ!と唾を飛ばしながら叫ぶ彼は、
前方不注意と言う言葉を知っているのだろうか。

どうやら先程の衝撃は、今目の前に居る

『心の乱れは服装からっ!』

見事に体言している彼によるものらしい。
一緒に居る友人らしき人物と、ひたすら文句を言いつけてくる。

僕はとりあえず立ち上がり、膝についた土を払いながら
はぁ。とか すみません。とか言ってみる。
だが、相手の勢いは増すばかりだ。

いや、心が篭ってないって言われても、
篭めてないんだから仕方ないでしょ。

だが、今朝からの度重なる出来事のお陰で、
ツッコム気力すらない僕は、再び適当な相槌を打ち・・・

「その折角掛けてる眼鏡は飾りですか~?
ダメガネちゃんなんですか~、てめーはよっ!」

「ってなんでここでもダメガネ!!?
何ソレ、知らないうちに流行語にでもなってんのぉぉ!!?」


・・・ちょっと我慢出来なかった。

お陰で目の前の二人はちょっとびっくりしたものの、
闘争心は盛大に燃えあがったらしい。
怒りの表情そのままに、僕に向ってきた所で・・・

不意にその体を上へと移動させた。


・・・て、なんで?


呆然と見上げていると、吊るし上げられた体の後ろから、
見慣れた頭が僕の視界に入ってきた。

「っ!銀さ・・・」

「おいおい、ちょっと言い掛かりは止めてくんない?
新八の眼鏡が飾りな訳ねぇだろ。それがないと
前も未来も、時計すら見えない子なんだからね?」

そう言いながら、銀さんはダルそうに吊るし上げていた体を
ポイッと・・・いやブンッ!と?些か乱暴に放り投げた。

「これでタイムサービスにも遅刻なんてなったら、
明日からの坂田家の食卓をどうしてくれるんだよ」


・・・あぁ本当、銀さんは結構ねちっこいや。
もう、溶け出した綿飴みたいにねちっこい。

ってか溶けちまえ、
その頭に擬態している綿飴。

「・・・なんか酷い事考えてない?」

心を込めて念じていると、不穏な気配に気付いたのか
銀さんがじっとりとした視線で僕を見てきた。

「心で思うぐらい許可して下さい」

「あれっ!?ちょ、否定は!!?」

うるせぇよ、チクショー。
どうせなら、さっき少しだけしてしまった胸キュンを否定させてくださいっ!

「おい、お前らっ!何勝手にダメガネなんて言ってるネ!
ちゃんと使用許可取って金貢げヨ、コノヤロー!!」

その言葉に視線を移せば、何時の間に来たのか、
もう一人の男に馬乗りになって
全力で体を揺すっている神楽ちゃんが見えた。

・・・きっと魂揺らす・・・ってあぁ言う事なんだなぁ。

って、違うよっ!早く止めないと息の根が止まっちゃうって、アレ!

僕は慌てて二人の手を掴むと、僅かに出来てきていた人垣を掻き分け、
その場から逃げ出す事にした。

って、さり気なくその人達の上を
踏んでくるな、2人ともっ!!

 





 

「全く!何やってんですか、アンタ等はっ!!」

ある程度離れた所まで来て、僕は掴んでいた手を離し
二人へと向かい合った。

「何って・・・なぁ?」

銀さんが気まずそうに目を逸らすと、隣で口を尖らせていた
神楽ちゃんがボソリと言葉を零した。

「・・・だってあいつ等、ダメガネって言ってたネ」

最悪ネ。勝手に使われたヨ。そうむっつりと言う神楽ちゃんに、
ちょっと呆れる。だって・・・

「勝手も何も、あの人達も適当に言っただけだと思うよ?」

うん、もしかしたら語呂が良くて、本当に密かに流行ってたり
するのかもしれない。

あんま嬉しくないけど。

そう言うとパカンと軽い衝撃が頭にやって来た。
見れば少し難しそうな顔をした銀さんが犯人だった。

「馬っ鹿。だったら尚更だろうがよ。」

ダメガネは坂田家限定なんですぅ。と言いつつ、
そのまま銀さんは僕の頭を力強く撫で始めた。

それを止めさせようと腕を上げた所で、今度は腰に
衝撃が走る。

見れば神楽ちゃんが僕の腰にしがみ付き、ムスッと口を
尖らしていた。

「そうネ!だからホイホイ気安く呼ばれるんじゃないアル、
このダメガネ。」

「や、この場合不可抗力だからね?限りなく
ってか今現在気安くホイホイ言われてるんですけど・・・」

「坂田家だからいいんですぅ」

「それに気安く呼んでないネ。
ものっそく心を篭めてるヨ!」

・・・いや、坂田家関係ないから。
ってか心を篭められてる方がイヤだから、それ。

でもまぁ・・・と、肩を抱いている銀さんと腰にしがみ付いている
神楽ちゃんに挟まれて、ちょっとだけ笑みが零れる。

案外ねちっこい二人だから、きっとこれからも
ずっと坂田家限定の呼び方になるんだろうな。

それはなんだかちょっと嬉しくて、だけど恥ずかしくもあって。

今日はそんなに最悪な日でもないかも・・・なんて思ってしまった。

 

 

 

 

 

 


「で、アレだ。今夜、オマエお泊りな。」

「は?」

「目だけでなく耳まで悪くなったカ?
お泊りネ、お泊り。三人で川の字アル」

その後、遠慮する僕を無理矢理負ぶった銀さんと神楽ちゃんに、
不意にそんな事を言われた。
また遅刻されたら敵わないんだってさ。
全くどこまでネチネチ来るつもりだ、コノヤロー。

でも、まぁ・・・その後続いた

「ったく、おちおち朝寝も出来やしねぇ・・・」

「本当ネ」

って言う小さい声も聞こえたから、明日は何時もの卵焼きを
出してあげる事にしようと思う。


****************
四万打企画第四弾。5月14日0:23にリクエスト
して頂いた「普段は新八をダメガネ扱いしてイジり倒しているけど、
他人が新八を傷付けるのは絶対許さない銀さん&グラさん」
でしたが・・・如何だったでしょうか?
弄る・・・と言うよりも構って欲しい感がバリバリな
二人になってしまいましたι

こんな感じになりましたが、少しでも
楽しんで頂ければ嬉しい限りですvv

企画参加、有難うございましたv

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戸惑いながらも恥ずかしそうに笑顔をくれる新八を
思う存分撮りまくった後、新八のお腹がクゥ~ッと可愛い
音を立てた。

・・・ちっ、ビデオもありゃ~今の音もばっちりだったのに。

って違う違う。
時計を見れば、もう夕飯に近い時間だ。
普通なら神楽の帰ってくる時間だが、今日はお妙と一緒に
九兵衛の所に行っているから問題なし。

アイツが居たら、絶対ぇ玩具にされるからな、こいつ。

俺は一先ず安心し、頬を赤らめてお腹を摩っている新八の頭を撫で、
夕飯を作る事にした。

・・・そう言えばなんで新八は普通にここに居るのだろう。

今までの事から、体に合わせて記憶の方も退化しているのが
判る。
ならば新八としては、ここは全く知らない場所で、
俺は知らないお兄さんだ。
普通なら家に帰りたいと泣くんじゃないか?

そう思い、さり気なく聞いてみると、既にヅラがフォローを
入れていたらしい。

なんでも家の者が用事で出掛けているので、帰ってくるまで
自分は『なんでも屋』に預けられているのだ・・・と。

「しんちゃんとぎんしゃん、おるすばんなの。すごいね~」

ニコニコと自慢げに言う新八に、もう一撫で。

うん、確かに凄いよその何でも信じる純粋さ。

でもとりあえずはヅラに感謝だ。
ハゲ散る呪いを少し弱めて、
前髪だけ残してやる事にする。

それよりも今は夕食だな・・・と、俺は久しぶりに
台所に立つ事にした。

子供が喜ぶものって言ったら・・・甘いもんだな、うん。
って事で甘いオムライス決定。

今日ばかりは新八も怒りはしないだろう。
だって今現在、俺の足元で目をキラキラさせてるし。

俺は安心して腕を奮うことにした。

ちなみに台所に移動する時も、作っている時も、常に足元に
新八がくっ付いていたのは言うまでもない。

それが可愛くて仕方ねぇのはもっと言うまでもねぇな、うん。

 

 

 

 

 

 


その後、一人だと危ないから・・・と膝に抱っこしたまま
オムライスを食べさせた新八は、片づけを終え、まったり
テレビを見ている今もしっかり俺の膝の上だ。

や、だって危ないからね、ソファの上だと。
転げ落ちたりしたら本当危ないから。
それ以外の理由なんて、微塵もないからね、コレ。

あぁ、でもご飯の時は降ろしておいた方が良かったか?
だってこの体勢、新八が美味しそうに食べてる顔が
見れなかったし。
あ、でもその分、アーンてしてくれたっけ。
本当、昔っから優しくて良い子で銀さんのツボに
クリティカルヒットな、新八。

なんか人参とかピーマンばっか
入ってた気がすっけど。

そんな事を思い返していると、不意にポトンと胸元に
小さな頭が落ちてきた。

「ありゃりゃ、寝ちまったよ」

覗き込めば大きな眼を閉じた新八がクークーと寝息を立てている。

や、まだドキドキビ○レデビューしてないんですけど。
寝る前にお休みのチューを教え込む
とかしてないんですけどぉぉぉ!!?

そうは思うが、どうにもこの寝顔を見ていると、無理矢理
起こす事は出来ねぇ。

「仕方ねぇなぁ」

苦笑を一つ零し、俺は布団を敷く為に一先ず新八を
ソファの上に寝かせようと腰を上げた。

が、確りとその小さな手は俺の着物を掴んでいたりして。

俺は悶死という言葉の意味を初めて理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「銀さん、朝ですよ。起きて下さい」

その言葉と共に眼を開ければ、ソコには何時もの新八が居た。
あの後、なんとか新八を抱きかかえたまま布団を敷き、
同じように横になった俺はそのまま寝てしまったらしい。

・・・ってかもう効き目が切れたのか。

坂本の言葉を信じていなかった訳ではないが、
実際元に戻った新八を見て、少しホッとした。

あのままでも十分可愛かったが、色々と問題があり過ぎる。

「ちょっと!ちゃんと目、覚まして下さいよ?」

ご飯出来てますからね。そう言って和室を出て行く新八を
ぼんやりと見送り、俺も布団から出る事にした。

「なんか昨日の記憶が曖昧なんですけど・・・僕何時の間に
寝ちゃったんですかね?」

「ん~?曖昧って何処ら辺からよ」

一先ず顔を洗い、居間へと戻ってくると既に朝御飯が
並べられていた。
美味しそうに匂いにお腹を刺激されながらソファに腰を
降ろすと、新八からそんな質問がやって来た。

とりあえず下手な事は言えない・・・や、別に疚しい事とか
全然ないけど、一応ね、一応。
やっぱ自分の知らない間に子供に戻ってました~とか
言われたらちょっと凹むじゃん?
なんかやっちゃったかな?とか思っちゃうじゃん?

や、俺が・・・とかじゃなくて。

って事で探りを入れてみると、どうやらヅラが来た所から
曖昧になっているらしい。

なら子供に戻ってる時の事は、全く覚えていない訳だ。

「じゃあそこら辺からだろ。疲れてんじゃね?」

そう言うと新八は そうですかね~。と納得しきれていない
顔で、よそったご飯を渡してきた。

そしてそれを置こうとして、俺は初めて何時もと違う事に気付いた。

何時もなら向かい合って食べる筈なのに、何故だか今朝は
俺と新八の分が隣り合わせに並べてある。

「おい、新ぱ・・・」

「じゃ、とりあえず食べましょうか」

疑問の声を上げる俺を余所に、新八はそう言うと
俺の傍へと寄って来て、ポスンと膝の上へと腰を降ろしてきた。

 

 

「「・・・え?」」

 

 


「ぅわっ!ちょ、なんで僕こんなトコに!!?
す、すいません。すぐどきますからっ!!」

無意識にしてしまったのだろう。自分から腰を降ろしておいて
慌てだす新八に、俺は一瞬ポカンとしたものの、直ぐに
両腕を新八の腹の前へと出してどこうとするのを阻止した。

「おいおい、自分から来といてこんなトコは酷くね?」

「だからすみませんって!お願いですから離して下さいぃぃ!!」

あぁ、もうなんでぇぇ!!?と顔を真っ赤にしながら
暴れだす新八を、ますます力を込めて拘束しながら
俺はニンマリと口元を緩めた。

どうやら予想以上に、俺の膝は
子供の新八のお気に召していたらしい。

昨日とは違う重みに、それでも感じる幸せは同じなんだな~と
しみじみ思った、そんな朝だった。


*****************
四万打企画第三弾。もんちょ様からのリクで
「天人のお菓子を食べてちっちゃくなった無垢で素直な新ちゃんに、
悪い大人の銀さんが大人げなく刷り込みをする」
・・・との事でしたが、如何だったでしょうかι
悪い大人の部分・・・と言うか、子供新ちゃんが
あんまり出せなかった気が・・・すみませんι

こんな感じになりましたが、少しでも気に入って頂けたなら
嬉しい限りですvv

企画参加、有難うございましたvv

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これは日頃の行いの結果なのだろうか。

だとしたら俺は良い行いをしてたのか?
それとも悪いからこうなったのか?

・・・まぁアレだ。とりあえず・・・

 

「ヅラを取って首を差し出せ」



元凶であろうヅラを締める事にしよう。









「ヅラではない、桂だ・・・ってぅおっ!
行き成り何をするっ!まだ全部言い終わってないのだぞ!?」

本気で打ち込んだものの、伊達に同じ戦場を共にしていないようで、
ヅラはギリギリながらも俺の木刀を避けやがった。

「うっせぇよ。誰もがきちんと待っててくれるなんて思うなよ?
言っとくけどそんなのテレビの悪役しかしないからね?
って言うかきっとヤツラも真剣に聞いてないから。
軽く談笑なんかしつつ流してるからね、アレ」

って事でさっさと召されろ。そう言ってソファに突き刺さった
木刀を引き抜き、再び振り上げようとしたのだが、
横から聞こえてきた小さな悲鳴に、ピタリと腕を止める。

ちらりと見れば、ソコには大きな目にこれまた大量の涙を
滲ませた小さい子供が居て・・・

「銀時っ!小さい子を泣かせるとは何事だっ!」

さぁもう大丈夫だ。と、子供の傍へと行き、宥め始めるヅラに
俺は大きく息を吐いた。

・・・その前に俺が泣きそうなんですけど。

腕を下ろし、序にソファへと腰を降ろした俺の視線の先で、
ヅラに宥められた子供がビクビクとした感じでこちらを見ている。

・・・うん、確かに小さい子を驚かすのはいけねぇとは思う。
なんか無駄に罪悪感が襲ってくるからね、本当。
でも、そんなには小さい子でもなかったんですけど。
ウチの新八は。

そこまで思い、俺はもう一つ盛大に溜息を吐いた。

 



 

今から少し前、パチンコから帰ってくると、玄関に
見慣れたくもないヅラの履物があるのを見つけ、
俺はウンザリと息を吐いた。
そのまままた外に出ても良かったのだが、何分今パチンコから
帰って来たばかりだ。

ぶっちゃけもう金がねぇ。

ならばヅラが持ってきているだろう手土産で心を癒し、
序にからかってストレスを発散させよう。

そう心に決めて居間へと向った先で、見つけたのが・・・コレだ。

改めてヅラの背に隠れている子供をマジマジと見やる。

着ている物は・・・確かに新八が今日着ていたものだ。
流石に袴はでか過ぎて穿いていないが。
それに面影も・・・確かにあるような気がする。
何より一応銀さんの高性能新八レーダーが反応しているのだが、
・・・やっぱりどうにも信じられねぇ。

だってちょっと前まで16歳だったのに、今は・・・5.6歳か?
ない・・・やっぱないな、コレは。

「・・・大体眼鏡してねぇじゃねぇか」

新八って言ったら=眼鏡だろ。
あ、でも小さい頃は、まだ可哀想な卵焼きの犠牲になってなかったから
眼鏡してなかったんだっけ?

そう考えていると、ヅラが何処に持っていたのか、ズイッと
見慣れた眼鏡を差し出してきた。

「眼鏡ならここにある」

「ならそれが新八だ」

「しんぱちなのは、しんちゃんだよ?」

ヅラの差し出す眼鏡にそう断言していると、それまで泣いていた
子供が微かに声を震わせたまま、オズオズと口を出してきた。
それにヅラが、どうだと言わんばかりに胸を張り、
背中に匿っていた子供を自分の前へと引きずり出す。

「聞いたか銀時っ!ちゃんと自己紹介が出来るのだぞ!?」

「いや、そこじゃねぇよ、威張る所もツッコム所も。
なんかもう軒並み間違ってるよ、お前」

とりあえずパカンと良い音を立てながらヅラの頭を殴り、
オロオロと俺達を見回す新八を抱き上げて自分の膝へと下ろした。

小さくても大きくても、新八なら俺の傍に居なきゃダメだろ、うん。

「で?なんでこうなったのよ」

幾分ビクビクとしている新八の頭をそっと撫で、俺はヅラに
どうしてこうなったのか、漸くその理由を聞く事にした。

・・・ま、聞いてもシめるの決定だけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「さて・・・と。どうすっかねぇ・・・」

ヅラと話している間に、新八は眠ってしまったらしい。
俺の胸元にしがみ付き、クークーと呑気に寝息を立てている新八を
見て、俺は一人呟いた。

ちなみにヅラは既に追い出した後だ。
アイツが居ると、俺の心が休まらねぇ。
シめるのはまた今度だ。

で、そのヅラによると、原因はヤツが持って来たお菓子にあるらしい。
なんでもその中にはごく稀に『当たり』と称する物が入っているらしく、
それを今回、見事に新八が当ててしまった・・・と。

本当、何処までも厄介ごとを持ってくるヤローだ。
心を込めてハゲ散ってしまえと
呪っておくことにする。
大体俺に内緒で食わせてしまうのがムカつく。

残しておけよ、少しぐらい。
ってか無断で新八とお茶してんじゃねぇ。

だが、幸いにしてこの『当たり』と言うものには
時間制限があるらしい。
新八が子供になってしまった後、この菓子を送ってきた
もう一人の元凶である坂本に聞いた所、その時間は半日。
それが過ぎれば自然と元に戻るそうだ。

・・・ってかアイツ、坂本に聞いたって言ったけど、
ウチの電話使ってねぇよな?
使ってたらアレだ。電話料金せしめてやる。今月分丸々。
あ・・・でも普通の回線でアイツに連絡がつくのか?

思わずそんな風に思考を横道に逸らしていると、不意に
腕の中の新八がモゾモゾと動き出した。

視線を下ろせば、どうやら目が覚めたらしく、しきりに
目を擦っていた。

「おいおい、そんなに擦ると赤くなんぞ?」

何時もより大分小さい手をやんわりと掴むと、新八は驚いたように
それまでトロンとしていた目を大きく見開いた。

「おじちゃんだ。あ、でもちがう、じーじ?」

コトリと首を傾げる新八に、とりあえず死にそうになった。
色んな意味で。

だってコレは一種の兵器だ。
仕草も言葉も。

「・・・どっちも違ぇよ。銀さんだ、ぎ・ん・さ・ん」

もしくはお兄さんな。と、とりあえず死にそうになった理由の一部
・・・と言うよりこっちは泣きそうになったってのが正しいな、うん。
まぁそれを訂正すると、新八は不思議そうにますます首を傾げた。

・・・いや、それ以上傾げると転ぶからね?オマエ。
寧ろコロンと落ちるから、膝の上から。

それは危ないと、両腕で新八を抱え込むようにしていると、
新八は真剣な顔でボソボソと何かを呟きだした。

「ぎんしゃん?・・・ぎんしゃん・・・おに・・おにいしゃ・・・
・・・・・・・・にぃに?」

どうやら俺の呼び名を決めていたようだ。
そして呼びやすい言葉を見つけたらしく、顔をパッと上げる。

「にぃにっ!」



その言葉と共に、全開の笑顔を浮かべられた日には、
真剣に犯罪者になってもいい様な気がしてくる
から不思議だ。



「って、ダメだろ、俺ぇぇぇぇぇ!!!!」

突然叫びだした俺に、にっこり笑顔の新八が、びっくりお顔になって
固まってしまった。

あ、ヤバイヤバイ。

俺は泣き出される前に、慌てて笑顔を作って新八の頭を撫で始めた。

どうにも新八の涙には弱い。
それが例え子供の姿であっても・・・だ。

「・・・にぃに、ダメ?」

撫で続けていると、オズオズとした口調で新八がそう問い掛けてきた。
その目には今にも零れ落ちそうな涙が浮かんでいて・・・

あぁ、本当ダメなんだって。オマエの涙は。
だって銀さん、今にも理性が崩壊しそうだから。
そう言う意味でも弱いんだからね。
ってかそっちの方が断然弱いからっ!

「・・・とりあえず銀さんの方で」

破壊力の少なそうな方をお願いしてみると、
新八は少し不思議そうな顔をした後、

「ぎんしゃん?」

とまん丸お目々で窺うように俺を見上げてきた。

・・・うん、ごめん。
破壊力がどうのとか言ってる場合じゃなかった。
どっちも物凄ぇわ、これ!

大体子供ってのは好きでも嫌いでもねぇ筈なのに、
新八ってだけで既にヤバイ。
普通にヤバイ。
もう犯罪者でいいよ、銀さん。

でも実際問題、そんな事になれば後が辛い訳で。

だって捕まれば一緒に居られねぇし。
この新八とも、勿論元に戻った新八とも。
それだけは耐えられないから、銀さん。

ってか今この時、この奇跡を堪能せずいられるかぁぁ!!

頑張れ、俺の理性っ!
普段見せないその力をあるなら示せっ!!
なくても作り上げろぉぉぉ!!!!

と、まず心を落ち着かせる為に大きく深呼吸・・・をしてたら、
何故だか新八も同じように深呼吸していた。

どうやら何かの遊びと思ったらしく、新八はケタケタと
楽しげに笑っている。

・・・や、遊びじゃないからね?
大切な事だから、俺にとってもオマエにとっても。
ってかそんな事したら余計落ち着かんわぁぁぁ!!!

でもとりあえず・・・

 





「・・・写真撮ろっか?」







出てきた言葉に罪はないと思う。

うん、これぐらいならまだギリギリセーフな筈だ。

****************
四万打お礼企画第三弾。
もんちょ様からのリクですが・・・すみません
もう少し長くなりそうなので、一旦きります。

拍手[2回]


 

「・・・もうこうなったら実力行使しかないネ!」

「いや、待て待て。とりあえずその手の物は置いとけ、神楽。」

「何でヨ。話もいっぱいしたし、色んなトコにも連れてったヨ。
おまけにちゃんとお手伝いもしてるネ。なのに戻らないんだから
後は実力行使しか残ってないヨ」

「や、だからってソファはないから、ソファは。
そんな事したら命すら残りそうにないからね、本当っ!」

新八が記憶を失ってから既に三週間。
懸命に頑張っていた神楽だったが、流石に焦れてきたらしい。
居間にあるソファを持ち上げ、今にも台所にいる新八の
元へと突進しそうな状態に、慌てて銀時が待ったを掛けていた。

「大丈夫ヨ。テレビだって叩けば直るネ」

「そりゃ何時の時代のテレビだよ!
いいから、もう置けってっ!!これ以上新八の記憶なくなったら
どうすんだっ!!」

銀時が強く言うと、神楽は一瞬言葉に詰まり、渋々ソファを
放り投げた。

「だって・・・どうすればいいネ。私、もう新八が
辛い顔するの、見たくないヨ」

下を向き、ギュッと唇を噛み締める神楽に、銀時は何も言う事が
出来ず、頭を掻いた。

最初は銀時達を胡散臭げな顔で見ていた新八だったが、
記憶が無い事を実感した後は、とても申し訳なさそうな
表情へと変わり、懸命に思い出そうと努力していた。

それに加え、元々無くなったのは数年分の記憶で、新八の元となる部分は
変わっていないのだから、銀時達への態度も元のように戻っていった。

だが、だからこそ出てきてしまう僅かなズレはあるもので。

気を付けているものの、やはり顔に出てしまうらしい。
そんな時の銀時達の顔を見た新八は、とても辛そうだった。

けれど・・・と銀時は思う。

だってそれは、記憶がなくても、それだけ俺達の事を大事に
思ってくれていると言う証拠なのではないか・・・と。

銀時は俯いてしまっている神楽の頭を数回撫でると、
言い聞かせるように言葉を紡いだ。

「・・・アイツだって同じ気持ちさ。
だからもう少し、頑張ろうぜ?」

そう言うと小さく鼻を啜る音がしたが、確りと手の下の頭が
頷くのが判った。

「銀さ~ん、そろそろ仕事の時間・・・って、どうしたんですか?」

朝食の後片付けをしていた新八が姿を現したが、
二人の雰囲気に一瞬その足を止めた。

「ん?別にどうもしねぇから気にすんな」

直ぐに銀時が軽く笑って答え、目元を擦る神楽の
姿を新八から隠した。
だが、確りと見えていたようで、そんな二人に
新八は微かに辛そうに眉を寄せるが、それでも
何も聞かず二人の下へと足を進めて来た。

そして少しだけ屈むと、懐からハンカチを取り出し、俯く神楽へと
差し出す。

「はい。あんまり擦ると赤くなっちゃうからね?」

それぐらいは気にしてもいいでしょ?と笑う新八に、神楽は
ますます涙が出てきそうになったので、慌ててそのハンカチを
奪い取った。

「別にそれも気にするようなもんでもねぇと思うけどな」

場を和ますつもりなのか、それとも何時もの癖なのか。
銀時がからかう様にそう言うと、新八のハンカチで顔を
覆っていた神楽がブンッと片手を銀時の腹部目掛けて突き出した。

「っがっ!!・・て、テメー何しやがるっ!」

「・・・気にすんなヨ」

「いや気にするよ!?
なんかめっちゃ力籠められてたからね?
ものっそいいい角度だったから、今ぁぁぁ!!」

お返しとばかりに銀時が神楽の頭を叩く。するとすぐさま
神楽が顔を挙げ、銀時へと突っかかっていった。

「大体銀ちゃんが悪いアル。年頃の女の子に対して
言う事じゃないネ!」

「オマエこそ年頃の女の子がするような事じゃねぇだろうがっ!」

「ちょ、二人とも止めてくださいよっ!」

ギャーギャーと騒ぎ出した二人に慌てて新八が止めに入るが、
どうやら耳に入っていないらしく、銀時と神楽は居間を
引っ掻き回しながらお互いをど付き合っている。

「あ~あ・・・どうしよっか、定春」

とりあえず身に危険が及ばない位置まで避難した新八は、
居間の床で寝転んでいる定春へと声を掛けた。
だが答えなど返ってくる筈がなく、大きく欠伸をする
定春に新八は一つ苦笑すると、転ばされたゴミ箱から
出てきた紙くずを拾う為、腰を屈めた。

「全くそんなに騒いで・・・お登勢さんに怒られたって
知りませんからね、僕」

あ~あ、折角綺麗に片付いてたのに、これじゃ前と一緒・・・ってか
もっと酷くなってね?
掃除する身にもなれってんだよ、全く。

 

 






・・・て、あれ?

 

 

 

 


新八は拾った紙くずをポトリと落とし、そのままゆっくりと体を起こした。
そして呆然としたまま、視線を空中へと飛ばした。

「・・・新八?」

「どうかしたネ?」

新八の様子に気付いたのか、銀時と神楽がお互いの頬を
引っ張り合いながらそう問い掛けた。

それに新八はゆっくりと顔を向けると、戸惑い気味に口を開いた。

「・・・なんか戻ったみたいなんですけど・・・」

僕の記憶。あっさりと言う新八に、銀時達は目を見開き、次に互いへと
視線を向け直すと思いっきり引っ張っていた頬を抓り上げた。

「「っってぇぇぇ!!!!!」」

「ちょ、何やってですか、アンタ達っ!!」

相当痛かったのだろう。それぞれが自分の頬を押さえて
しゃがみ込んでしまった。
慌てて新八が駆け寄るが、辿り着くよりも前に
大きな手と小さな手が伸ばされ、抱え込まれてしまった。

「それはこっちの台詞だろうがぁぁ!!オマッ、俺等が
どれだけっ・・!!」

そこまで言うと、銀時は言葉を詰まらせ、抱き締める腕に力を
込めた。
それは神楽も同じで、黙ってギュウギュウとしがみ付いてくる。

苦しいほどの抱擁に、新八は体がギシリと軋む気がしたが、
今はそれよりもこちらが大事だ・・・と、なんとか両腕を
二人の間から出し、それぞれの背中にそっと這わせた。

「・・・すみませんでした。銀さん、神楽ちゃん」

「・・・違うネ、新八。そうじゃないネ」

呟くと顔を俯かせたままの神楽からくぐもった声が返ってくる。

「えっと・・・だったら待たせちゃってごめんなさい?」

「確かにものっそい待ったけどな。でもそれでもねぇだろ」

ならば・・・と告げた言葉に、今度は銀時から否定の言葉が
返された。

「じゃあ・・・ただいま、銀さん、神楽ちゃん。」

・・・どうやらこれが正解だったらしい。

新八の言葉に、ますます銀時達の力が籠められたが、
新八は苦笑するだけに留め、ポンポンと二人の気が済むまで
その背中を優しく摩る事にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「所で銀さん、もう仕事の時間過ぎてるんですけど・・・」

漸く落ち着いてきたのか、黙っていた口を開け記憶を無くした事を
愚痴り出した銀時達に、新八がおずおずと口を開いた。

どうやら記憶が無くなっていた時の事もちゃんと覚えているようだ。

「じゃあ過ぎ去ったままにしとけ。
今日は絶対無理。やだ。行かない」

「何処の子供だよ。」

未だ新八を抱き締め、肩口に顔を埋めたままそう告げる銀時に、
新八は軽くツッコム。
だが流石に無理矢理行かせようとは思っていないようだ。
仕方ないな・・・とばかりに苦笑し、カクリと上を向いた。

でも、流石に何時までもこの状態ではいられないし・・・
や、嬉しいんだけどね。だけど・・・と新八が考えていると、
不意に神楽が新八の胸元から顔を上げた。

「私、姉御達に教えてくるヨ!」

行くヨ、定春!と呼び掛け、それまでしがみ付いていた新八から
呆気なく身を離した。

「え?ちょ、神楽ちゃん?」

「いいからっ!新八はそこのマダオの世話をするヨロシ」

その代わり、今夜は川の字で寝るアル!それだけ言うと、神楽は定春を
引き連れて外へと飛び出していった。

残されたのは未だ新八を抱き締めている銀時と、神楽に
まわしていた手を所在無さ気に上げている新八の二人だ。

「・・・気、使わせちゃいましたかね?」

「・・・かもな。」

呆然とその後姿を見送っていた二人だったが、そう呟くと
クスリと笑い、軽く互いの額を合わせた。

「ま、アレだ。・・・お帰り、新八」

合わせたままの額をグリグリと動かしながら、銀時が呟く。
それにくしゃりと顔を綻ばし、新八は空いてしまった手を
銀時の頬へと沿えた。

「うん・・・ただいま、銀さん」

 


多分もう少ししたら、神楽から話を聞いたやつ等がここに押し掛けてきて、
物凄い騒ぎになるのだろう。
もしかしたら今夜は川の字ではなく、雑魚寝になるかもしれない。

それは新八が、そして銀時達が心の底から望んでいた光景で。

 

 

 

 

あぁ、本当にお帰り。

 

 

 

ならばせめてその時まで・・・と、銀時は久しぶりに見る
ズレのない笑顔の新八に、そっと唇を落とした。

*******************
四万打お礼企画・第二段
リミル様からのリクで「新八が事故で記憶喪失になり、
銀さんと神楽が必死で記憶を取り戻そうとする話」
と言う事でしたが・・・如何だったでしょうか。
なんか無駄に長くなってしまった気が・・・(滝汗)
てか頑張ってたのにソレが全く報われていない
記憶の戻り方ですし(笑)
本当、修行不足ですみません~っ!!

こんな感じになりましたが、少しでも
気に入って頂けたら嬉しいですv

企画参加、有難うございましたvv

拍手[1回]


 

今日、神楽ちゃんに泣かれてしまった。

帰りが遅いから心配して迎えに行ったら、突然に・・・だ。

何時だって元気で、一生懸命僕の記憶を戻そうと頑張って。
おまけにお手伝いまでしてくれる神楽ちゃん。

そんな神楽ちゃんが、まるで体全体で悲しんでいるかのように
大泣きして・・・

 

・・・あぁ本当、なんで僕、忘れちゃったんだろう。

 

 

 





神楽ちゃんの涙は、どんなに僕が声を掛けても、
真選組の二人が声を掛けても、止まる素振りを見せず、
仕方なく僕は神楽ちゃんの手を引いて万事屋へと帰る事にした。


「こりゃ~・・・また盛大だなぁ、おい」

万事屋には既に銀さんが仕事から帰ってきていて、苦笑しながらも
未だ僕から離れず泣いている神楽ちゃんの頭を、優しく撫でた。

後、僕の頭も。

それは同じように優しいモノだったのに、僕にとっては
とても重いもので、漸く泣き止んだ神楽ちゃんを
銀さんに任せると、少しずつ慣れてきた台所へと逃げるように
足を動かした。

 

 

最初、病院で目覚めた時、なんでそんな状況になっているのか判らなかった。
だけどもっと判らなかったのは、説明してくれた姉上の言葉だ。

「万事屋に戻る時に事故に合ったのよ?」

どうやら僕は事故に合って病院に運ばれたようだ。
それは判った。でも万事屋って?

そう聞いた時の姉上の驚いた顔と、勢い良く病室へとなだれ込んできた
二人の切羽詰った顔をよく覚えている。

そして、僕が誰なのかと尋ねた時の、あの何かが抜け落ちてしまったような
表情も。


でも落としてしまったのは僕の方だったのだ。


お医者さんが言うには、今の僕には数年分の記憶がないらしい。
そんな自覚は全くなかったのだが、あの時お医者さんに詰め寄った
銀さんの顔は、痛いほど真剣だった。


お医者さんの言葉が本当の事なんだと、実感させる程に。


そんな銀さんの剣幕に、内心びっくりしたものの、
それ以上に不思議と胸が痛んだのを覚えている。

知らない人なのに。
全然記憶にない人達なのに。

泣きそうな神楽ちゃんの顔と、怒っているかのような銀さんの顔に。

何故だか酷く、泣いて謝りたくなるぐらい胸が痛んだのを。

 

とりあえず記憶以外は異常が見られないという事で、僕は早々に
退院出来たのだけど、姉上の提案により家には戻らず、
僕が働いていたと言う万事屋へと行く事になった。

入院している間、毎日お見舞いに来てくれていたと言っても、
僕にとっては初対面に等しい人達。
そんな人達と突然一緒に暮らせと言われ、正直戸惑った。

けれど銀さん達は、そんな僕に構う事無く気軽に接してくれ、
少しでも記憶を取り戻す切欠になれば・・・と、今までの出来事や
日常の事、行った事のある場所等をたくさん話してくれた。

聞いてる分にはツッコミ所満載な、とても本当の事とは
思えない事ばかりだったけど、話をしている銀さん達の顔は
最初見た時とは全く違い、とても柔らかかった。

あぁ、きっとここにはそんな表情が溢れていたんだろう・・と
難なく想像する事が出き。

そして、その中にはちゃんと僕も居たのだと思うと、とても
嬉しくなった。

 





だからこそ、時折させてしまう哀しい表情が辛いのだけれど。






それは、僕が何かの場所を聞いた時だったり。

買い置きがあるのを知らずに物を買ってきてしまったり。

・・・戸惑いながら、名前を呼んでしまった時だったり。


そんな時、銀さん達は一瞬だけど、酷く傷付いた顔をする。

すぐに元の顔に戻って、鹹かったりしてくるけどね?
でも・・・あの一瞬は確かにあって。

あぁ、またやってしまったのか・・・と自分にうんざりする。


最初に胸が痛んだ時、何故だろうと不思議に思っていた。
でも、今なら判る。

ようは辛いのだ。彼等のそんな表情が。

そして、そんな表情をさせてしまう事が。


そんな顔、見たい訳じゃないのにね。
聞かせてくれる話通り、楽しげな表情を浮かべてて欲しいのにね。

僕としては、まだ会ったばかりの人達だけど、
心の底からそう思うんだ。

 

だってそれは、きっと僕にとって、とても大切なものの筈なんだから。

 


「早く・・・戻りたいな」


お茶の用意をしながら、じんわりと滲んできた視界をグイッと拭いた。

別に今の僕が変と言う意識はないけど。
でも・・・そう思う。

早く、一刻も早く。


聞いてるだけで心が暖かくなる様な時間を、
あの人達に返してあげたい。


何より、自分がその中に早く帰りたい。

 

「・・・僕も頑張らなくちゃ」

とりあえずこれからは積極的に他の人達にも話を聞いてみよう。

そう決意すると、用意したお茶を手に、二人が居る居間へと足を向けた。

どうやらお茶の淹れ方だけは変わっていないらしく、
二人ともこれを呑むと途端に嬉しそうな顔をするのだ。

 

ならばせめて・・・ほんの少しでも良いから
泣き顔でも苦笑でもなく、本当の笑顔を。

 

そう願いを込めて、僕は今日も丁寧にお茶を淹れる。

 

 

 

 

 

 

その後、前の生活を下のお登勢さんに聞いた所、
仕事はしないマダオな銀さんと、それにそっくりさんな神楽ちゃんと言う
今からは考えられない話を聞いた。

や、だって銀さん、仕事してるしね?
神楽ちゃんだって、率先してお手伝いしてくれるからね?

その温度差は何なんだろう・・・と思いつつも、
何故だか妙に納得している自分が居た。

・・・変なの。

*********************
次ぐらいで終わらせます。

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