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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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「・・・もうこうなったら実力行使しかないネ!」

「いや、待て待て。とりあえずその手の物は置いとけ、神楽。」

「何でヨ。話もいっぱいしたし、色んなトコにも連れてったヨ。
おまけにちゃんとお手伝いもしてるネ。なのに戻らないんだから
後は実力行使しか残ってないヨ」

「や、だからってソファはないから、ソファは。
そんな事したら命すら残りそうにないからね、本当っ!」

新八が記憶を失ってから既に三週間。
懸命に頑張っていた神楽だったが、流石に焦れてきたらしい。
居間にあるソファを持ち上げ、今にも台所にいる新八の
元へと突進しそうな状態に、慌てて銀時が待ったを掛けていた。

「大丈夫ヨ。テレビだって叩けば直るネ」

「そりゃ何時の時代のテレビだよ!
いいから、もう置けってっ!!これ以上新八の記憶なくなったら
どうすんだっ!!」

銀時が強く言うと、神楽は一瞬言葉に詰まり、渋々ソファを
放り投げた。

「だって・・・どうすればいいネ。私、もう新八が
辛い顔するの、見たくないヨ」

下を向き、ギュッと唇を噛み締める神楽に、銀時は何も言う事が
出来ず、頭を掻いた。

最初は銀時達を胡散臭げな顔で見ていた新八だったが、
記憶が無い事を実感した後は、とても申し訳なさそうな
表情へと変わり、懸命に思い出そうと努力していた。

それに加え、元々無くなったのは数年分の記憶で、新八の元となる部分は
変わっていないのだから、銀時達への態度も元のように戻っていった。

だが、だからこそ出てきてしまう僅かなズレはあるもので。

気を付けているものの、やはり顔に出てしまうらしい。
そんな時の銀時達の顔を見た新八は、とても辛そうだった。

けれど・・・と銀時は思う。

だってそれは、記憶がなくても、それだけ俺達の事を大事に
思ってくれていると言う証拠なのではないか・・・と。

銀時は俯いてしまっている神楽の頭を数回撫でると、
言い聞かせるように言葉を紡いだ。

「・・・アイツだって同じ気持ちさ。
だからもう少し、頑張ろうぜ?」

そう言うと小さく鼻を啜る音がしたが、確りと手の下の頭が
頷くのが判った。

「銀さ~ん、そろそろ仕事の時間・・・って、どうしたんですか?」

朝食の後片付けをしていた新八が姿を現したが、
二人の雰囲気に一瞬その足を止めた。

「ん?別にどうもしねぇから気にすんな」

直ぐに銀時が軽く笑って答え、目元を擦る神楽の
姿を新八から隠した。
だが、確りと見えていたようで、そんな二人に
新八は微かに辛そうに眉を寄せるが、それでも
何も聞かず二人の下へと足を進めて来た。

そして少しだけ屈むと、懐からハンカチを取り出し、俯く神楽へと
差し出す。

「はい。あんまり擦ると赤くなっちゃうからね?」

それぐらいは気にしてもいいでしょ?と笑う新八に、神楽は
ますます涙が出てきそうになったので、慌ててそのハンカチを
奪い取った。

「別にそれも気にするようなもんでもねぇと思うけどな」

場を和ますつもりなのか、それとも何時もの癖なのか。
銀時がからかう様にそう言うと、新八のハンカチで顔を
覆っていた神楽がブンッと片手を銀時の腹部目掛けて突き出した。

「っがっ!!・・て、テメー何しやがるっ!」

「・・・気にすんなヨ」

「いや気にするよ!?
なんかめっちゃ力籠められてたからね?
ものっそいいい角度だったから、今ぁぁぁ!!」

お返しとばかりに銀時が神楽の頭を叩く。するとすぐさま
神楽が顔を挙げ、銀時へと突っかかっていった。

「大体銀ちゃんが悪いアル。年頃の女の子に対して
言う事じゃないネ!」

「オマエこそ年頃の女の子がするような事じゃねぇだろうがっ!」

「ちょ、二人とも止めてくださいよっ!」

ギャーギャーと騒ぎ出した二人に慌てて新八が止めに入るが、
どうやら耳に入っていないらしく、銀時と神楽は居間を
引っ掻き回しながらお互いをど付き合っている。

「あ~あ・・・どうしよっか、定春」

とりあえず身に危険が及ばない位置まで避難した新八は、
居間の床で寝転んでいる定春へと声を掛けた。
だが答えなど返ってくる筈がなく、大きく欠伸をする
定春に新八は一つ苦笑すると、転ばされたゴミ箱から
出てきた紙くずを拾う為、腰を屈めた。

「全くそんなに騒いで・・・お登勢さんに怒られたって
知りませんからね、僕」

あ~あ、折角綺麗に片付いてたのに、これじゃ前と一緒・・・ってか
もっと酷くなってね?
掃除する身にもなれってんだよ、全く。

 

 






・・・て、あれ?

 

 

 

 


新八は拾った紙くずをポトリと落とし、そのままゆっくりと体を起こした。
そして呆然としたまま、視線を空中へと飛ばした。

「・・・新八?」

「どうかしたネ?」

新八の様子に気付いたのか、銀時と神楽がお互いの頬を
引っ張り合いながらそう問い掛けた。

それに新八はゆっくりと顔を向けると、戸惑い気味に口を開いた。

「・・・なんか戻ったみたいなんですけど・・・」

僕の記憶。あっさりと言う新八に、銀時達は目を見開き、次に互いへと
視線を向け直すと思いっきり引っ張っていた頬を抓り上げた。

「「っってぇぇぇ!!!!!」」

「ちょ、何やってですか、アンタ達っ!!」

相当痛かったのだろう。それぞれが自分の頬を押さえて
しゃがみ込んでしまった。
慌てて新八が駆け寄るが、辿り着くよりも前に
大きな手と小さな手が伸ばされ、抱え込まれてしまった。

「それはこっちの台詞だろうがぁぁ!!オマッ、俺等が
どれだけっ・・!!」

そこまで言うと、銀時は言葉を詰まらせ、抱き締める腕に力を
込めた。
それは神楽も同じで、黙ってギュウギュウとしがみ付いてくる。

苦しいほどの抱擁に、新八は体がギシリと軋む気がしたが、
今はそれよりもこちらが大事だ・・・と、なんとか両腕を
二人の間から出し、それぞれの背中にそっと這わせた。

「・・・すみませんでした。銀さん、神楽ちゃん」

「・・・違うネ、新八。そうじゃないネ」

呟くと顔を俯かせたままの神楽からくぐもった声が返ってくる。

「えっと・・・だったら待たせちゃってごめんなさい?」

「確かにものっそい待ったけどな。でもそれでもねぇだろ」

ならば・・・と告げた言葉に、今度は銀時から否定の言葉が
返された。

「じゃあ・・・ただいま、銀さん、神楽ちゃん。」

・・・どうやらこれが正解だったらしい。

新八の言葉に、ますます銀時達の力が籠められたが、
新八は苦笑するだけに留め、ポンポンと二人の気が済むまで
その背中を優しく摩る事にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「所で銀さん、もう仕事の時間過ぎてるんですけど・・・」

漸く落ち着いてきたのか、黙っていた口を開け記憶を無くした事を
愚痴り出した銀時達に、新八がおずおずと口を開いた。

どうやら記憶が無くなっていた時の事もちゃんと覚えているようだ。

「じゃあ過ぎ去ったままにしとけ。
今日は絶対無理。やだ。行かない」

「何処の子供だよ。」

未だ新八を抱き締め、肩口に顔を埋めたままそう告げる銀時に、
新八は軽くツッコム。
だが流石に無理矢理行かせようとは思っていないようだ。
仕方ないな・・・とばかりに苦笑し、カクリと上を向いた。

でも、流石に何時までもこの状態ではいられないし・・・
や、嬉しいんだけどね。だけど・・・と新八が考えていると、
不意に神楽が新八の胸元から顔を上げた。

「私、姉御達に教えてくるヨ!」

行くヨ、定春!と呼び掛け、それまでしがみ付いていた新八から
呆気なく身を離した。

「え?ちょ、神楽ちゃん?」

「いいからっ!新八はそこのマダオの世話をするヨロシ」

その代わり、今夜は川の字で寝るアル!それだけ言うと、神楽は定春を
引き連れて外へと飛び出していった。

残されたのは未だ新八を抱き締めている銀時と、神楽に
まわしていた手を所在無さ気に上げている新八の二人だ。

「・・・気、使わせちゃいましたかね?」

「・・・かもな。」

呆然とその後姿を見送っていた二人だったが、そう呟くと
クスリと笑い、軽く互いの額を合わせた。

「ま、アレだ。・・・お帰り、新八」

合わせたままの額をグリグリと動かしながら、銀時が呟く。
それにくしゃりと顔を綻ばし、新八は空いてしまった手を
銀時の頬へと沿えた。

「うん・・・ただいま、銀さん」

 


多分もう少ししたら、神楽から話を聞いたやつ等がここに押し掛けてきて、
物凄い騒ぎになるのだろう。
もしかしたら今夜は川の字ではなく、雑魚寝になるかもしれない。

それは新八が、そして銀時達が心の底から望んでいた光景で。

 

 

 

 

あぁ、本当にお帰り。

 

 

 

ならばせめてその時まで・・・と、銀時は久しぶりに見る
ズレのない笑顔の新八に、そっと唇を落とした。

*******************
四万打お礼企画・第二段
リミル様からのリクで「新八が事故で記憶喪失になり、
銀さんと神楽が必死で記憶を取り戻そうとする話」
と言う事でしたが・・・如何だったでしょうか。
なんか無駄に長くなってしまった気が・・・(滝汗)
てか頑張ってたのにソレが全く報われていない
記憶の戻り方ですし(笑)
本当、修行不足ですみません~っ!!

こんな感じになりましたが、少しでも
気に入って頂けたら嬉しいですv

企画参加、有難うございましたvv

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