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今日の僕の運勢は、多分最悪だったんだと思う。
とりあえず朝起きたら、庭に屍が転がっていた。
こう言うと結構ショッキングな事に聞こえるが、
毎日の事だと既に日常だ。
しかも、厳密に言うとまだ屍じゃないし。
それに近いってだけで。
なのでこれは最悪のカウントに入らない。
何時もの様に庭で転がっている近藤さんの手当てをし、
真選組へと連絡を入れる。
ちなみにこの状況を作った姉上は、既に夢の中だ。
どうやら完全に意識を絶った後じゃないと、安心して眠れないらしい。
僕としては、姉上がうっかりして意識ではなく命を絶って
しまわないよう願うばかりだ。
じゃないと僕が安心して眠れない。
ってか、寧ろ朝怖くて起きられない。
しかし、ここからが運の悪さのスタートだったのだ。
連絡を入れた筈の真選組から、中々迎えが来なかった。
お陰で近藤さんが目を覚まし、延々と姉上との
未来妄想図を聞かされてしまった。
ちなみに姉上との新婚生活だと言うのに、ちゃっかり
僕も一緒に暮らしている事になってて、ちょっと嬉しかったのは内緒だ。
で、それを聞くだけでも苦行なのに、妙な気配を感じてか
姉上が起きて来て、再び心臓の悪い人には見せられないシーンが
繰り広げられてしまった。
さすがにそれ以上はうっかりしなくても危ない・・・と慌てて止めに入り、
漸く来た真選組に近藤さんを引き渡した所で、既に何時も家を出る
時間が大幅に過ぎてしまっていた。
毎日銀さん達に時間厳守を言い渡しているだけに、これはちょっと
頂けない。
急いで万事屋へと向えば、途中黒猫の集団に見事なまでに
横切られた。
ってかなんで集団んん!?
なんかものっそく壮観な眺めだったんですけどぉぉ!!
てか・・・横切られても三歩下がれば相殺・・・って子供の頃
言ってたけど、この場合は何m単位になるんだろう・・・
ま、迷信だ迷信。と自分に言い聞かせ、歩き出した所で
鼻緒が切れた。
しかも両方。
・・・うん、もう結構履き潰してる感じだからね、これ。
寿命だよ、寿命。今までどうも有難うございました~。
とりあえず直している時間はないので草履を脱ぎ、万事屋へと向った。
・・・途中、暴れ馬だの暴れ巨大生物だの
暴れ沖田さんだのと遭遇したが・・・まぁ許容範囲だろう。
大体沖田さんは対象が限定されてたから、
そんなに被害に合わなかったし。
で、何とかついた万事屋。
時間を見れば遅刻もいいトコだ。
でもどうせ二人ともまだ眠っているだろうし、そーっと入って
誤魔化せば・・・と、玄関を開け静かに居間へと進んだ所で、
「あれ~?何々、新八く~ん。もしかしてどっかの朝市にでも
行って来たの~?あ~、そりゃ朝からすまなかったなぁ。
あれ?でも荷物持ってないよね?何か『今来ました』って
感じだよね、それぇ?」
と、何故か起きていやがった銀さんに、ニヤニヤとした
あまりよろしくない笑顔で言われてしまった。
しかも
「そんな事ある訳ないネ、銀ちゃん。新八は何時も言ってるアルヨ。
『決められた時間は守れ、規則正しい生活をしろっ!』て。
そんなきっちりかっちり眼鏡が遅刻なんてする訳ないネ」
・・・神楽ちゃんまで起きてやがるし。
「だよなぁ。健全・真面目な生活を送る新八が
そんな事する訳ねぇよなぁ。あれ、ならなんで今入ってきたんだろ?
銀さん、全然判らないや」
「私も全然判らないヨ。
きっと眼鏡にしか判らない行動理由ネ。」
「そっか~、奥が深いな眼鏡は。
って寧ろダメガネがか?」
普段中々起きてこない癖に、こう言う時だけ起きてやがって。
その上僕が遅刻したのを判った上で、ネチネチネチネチとっ!
「眼鏡眼鏡うっせぇよっ!!
遅刻ですよ遅刻っ!すみませんねコノヤロー!!!」
持っていた荷物をバシッと床に叩き付けながらそう言うと、
うわっ!開き直ったぜ、コイツ。最悪アルナ~。とコソコソと言い合う
二人が見えた。
逆ギレすっぞ、おい。
思春期舐めんなよ。
卓袱台ひっくり返して暴れるぞ!?
・・・ま、卓袱台ないけどね。
ってかそんな事したって、部屋が散らかるだけだからやらないけど。
だってどうせ片付けるのは自分なんだし。
なので未だ嫌味を言いつける二人に背を向けて、僕は少し遅くなった
朝食を作る事にする。
・・・でも何時もより砂糖少なめにしよう、今日の卵焼き。
しかし、その後やっぱり・・・と言うか、きっちり砂糖の量の違いに
気付いた銀さんから、再びネチネチ言われ続けた。
それに乗っかった神楽ちゃんからも。
いい加減飽きろよ、本当。
一応・・・と思い、ここに来るまでの過程・・・まぁ遅刻の言い訳も
したのだけど、なんの効果もなかったし。
寧ろ笑われたし。
や、判るけどね、その気持ち。
でも全てを眼鏡のせいにするのは止めて下さい。
眼鏡の呪いとかないですから。
僕が不器用なのと眼鏡は関係ないですから。
草履なんて履ければいいんですよ、履ければっ!!
・・・と言うことで、いい加減僕の方が言われ飽きたので、
からかわれながらもなんとか鼻緒を直した草履と共に、
買い物へと出掛ける事にした。
大体何時も僕が来るまでグータラと寝こけている癖に、
今日に限ってちゃんと起きてるなんて・・・
しかもそんな日に遅刻しちゃうなんて・・・
「本当、ついてないな~」
と、歩きながら溜息を一つついた所で、再び鼻緒がプツンと切れた。
・・・うん、履ければいいなんて適当すぎたね。
鼻緒が丈夫でナンボですよ、草履はっ!!
仕方なく草履を脱ごうと、溜息を吐きつつ屈んだ所で、
突然後ろから衝撃を受けた。
思わず膝を付いた僕の頭上からは、いってーっ!との声。
・・・本当、ついてないにも程があると思う。
「んだよ、こんなトコで止まってんじゃねぇよっ!」
ぶつかっちまっただろうがっ!と唾を飛ばしながら叫ぶ彼は、
前方不注意と言う言葉を知っているのだろうか。
どうやら先程の衝撃は、今目の前に居る
『心の乱れは服装からっ!』
を見事に体言している彼によるものらしい。
一緒に居る友人らしき人物と、ひたすら文句を言いつけてくる。
僕はとりあえず立ち上がり、膝についた土を払いながら
はぁ。とか すみません。とか言ってみる。
だが、相手の勢いは増すばかりだ。
いや、心が篭ってないって言われても、
篭めてないんだから仕方ないでしょ。
だが、今朝からの度重なる出来事のお陰で、
ツッコム気力すらない僕は、再び適当な相槌を打ち・・・
「その折角掛けてる眼鏡は飾りですか~?
ダメガネちゃんなんですか~、てめーはよっ!」
「ってなんでここでもダメガネ!!?
何ソレ、知らないうちに流行語にでもなってんのぉぉ!!?」
・・・ちょっと我慢出来なかった。
お陰で目の前の二人はちょっとびっくりしたものの、
闘争心は盛大に燃えあがったらしい。
怒りの表情そのままに、僕に向ってきた所で・・・
不意にその体を上へと移動させた。
・・・て、なんで?
呆然と見上げていると、吊るし上げられた体の後ろから、
見慣れた頭が僕の視界に入ってきた。
「っ!銀さ・・・」
「おいおい、ちょっと言い掛かりは止めてくんない?
新八の眼鏡が飾りな訳ねぇだろ。それがないと
前も未来も、時計すら見えない子なんだからね?」
そう言いながら、銀さんはダルそうに吊るし上げていた体を
ポイッと・・・いやブンッ!と?些か乱暴に放り投げた。
「これでタイムサービスにも遅刻なんてなったら、
明日からの坂田家の食卓をどうしてくれるんだよ」
・・・あぁ本当、銀さんは結構ねちっこいや。
もう、溶け出した綿飴みたいにねちっこい。
ってか溶けちまえ、
その頭に擬態している綿飴。
「・・・なんか酷い事考えてない?」
心を込めて念じていると、不穏な気配に気付いたのか
銀さんがじっとりとした視線で僕を見てきた。
「心で思うぐらい許可して下さい」
「あれっ!?ちょ、否定は!!?」
うるせぇよ、チクショー。
どうせなら、さっき少しだけしてしまった胸キュンを否定させてくださいっ!
「おい、お前らっ!何勝手にダメガネなんて言ってるネ!
ちゃんと使用許可取って金貢げヨ、コノヤロー!!」
その言葉に視線を移せば、何時の間に来たのか、
もう一人の男に馬乗りになって
全力で体を揺すっている神楽ちゃんが見えた。
・・・きっと魂揺らす・・・ってあぁ言う事なんだなぁ。
って、違うよっ!早く止めないと息の根が止まっちゃうって、アレ!
僕は慌てて二人の手を掴むと、僅かに出来てきていた人垣を掻き分け、
その場から逃げ出す事にした。
って、さり気なくその人達の上を
踏んでくるな、2人ともっ!!
「全く!何やってんですか、アンタ等はっ!!」
ある程度離れた所まで来て、僕は掴んでいた手を離し
二人へと向かい合った。
「何って・・・なぁ?」
銀さんが気まずそうに目を逸らすと、隣で口を尖らせていた
神楽ちゃんがボソリと言葉を零した。
「・・・だってあいつ等、ダメガネって言ってたネ」
最悪ネ。勝手に使われたヨ。そうむっつりと言う神楽ちゃんに、
ちょっと呆れる。だって・・・
「勝手も何も、あの人達も適当に言っただけだと思うよ?」
うん、もしかしたら語呂が良くて、本当に密かに流行ってたり
するのかもしれない。
あんま嬉しくないけど。
そう言うとパカンと軽い衝撃が頭にやって来た。
見れば少し難しそうな顔をした銀さんが犯人だった。
「馬っ鹿。だったら尚更だろうがよ。」
ダメガネは坂田家限定なんですぅ。と言いつつ、
そのまま銀さんは僕の頭を力強く撫で始めた。
それを止めさせようと腕を上げた所で、今度は腰に
衝撃が走る。
見れば神楽ちゃんが僕の腰にしがみ付き、ムスッと口を
尖らしていた。
「そうネ!だからホイホイ気安く呼ばれるんじゃないアル、
このダメガネ。」
「や、この場合不可抗力だからね?限りなく。
ってか今現在気安くホイホイ言われてるんですけど・・・」
「坂田家だからいいんですぅ」
「それに気安く呼んでないネ。
ものっそく心を篭めてるヨ!」
・・・いや、坂田家関係ないから。
ってか心を篭められてる方がイヤだから、それ。
でもまぁ・・・と、肩を抱いている銀さんと腰にしがみ付いている
神楽ちゃんに挟まれて、ちょっとだけ笑みが零れる。
案外ねちっこい二人だから、きっとこれからも
ずっと坂田家限定の呼び方になるんだろうな。
それはなんだかちょっと嬉しくて、だけど恥ずかしくもあって。
今日はそんなに最悪な日でもないかも・・・なんて思ってしまった。
「で、アレだ。今夜、オマエお泊りな。」
「は?」
「目だけでなく耳まで悪くなったカ?
お泊りネ、お泊り。三人で川の字アル」
その後、遠慮する僕を無理矢理負ぶった銀さんと神楽ちゃんに、
不意にそんな事を言われた。
また遅刻されたら敵わないんだってさ。
全くどこまでネチネチ来るつもりだ、コノヤロー。
でも、まぁ・・・その後続いた
「ったく、おちおち朝寝も出来やしねぇ・・・」
「本当ネ」
って言う小さい声も聞こえたから、明日は何時もの卵焼きを
出してあげる事にしようと思う。
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四万打企画第四弾。5月14日0:23にリクエスト
して頂いた「普段は新八をダメガネ扱いしてイジり倒しているけど、
他人が新八を傷付けるのは絶対許さない銀さん&グラさん」
でしたが・・・如何だったでしょうか?
弄る・・・と言うよりも構って欲しい感がバリバリな
二人になってしまいましたι
こんな感じになりましたが、少しでも
楽しんで頂ければ嬉しい限りですvv
企画参加、有難うございましたv