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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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「新八~、お風呂のお湯、OKネ」

「有難う、神楽ちゃん」

僕は神楽ちゃんの言葉に軽く顔を向けてお礼を述べると、
直ぐに目の前にある作業へと向き直った。

「おぉ!今日はちょびっと豪華ネ」

トコトコと台所に入ってきて僕の背中から顔を出す神楽ちゃんに、
少し苦笑がもれる。

や、確かにちょびっとだけどね。

でも確かに万事屋としては豪華な夕飯だ。
それと言うのも、珍しく入った仕事のお陰なのだけど。

本来ならそのお金は大事に使うべく、こんな風にしないのだけど、
入った仕事と言うのが大工仕事と言う力仕事な上、お一人様限定
だったりしたのだ。

そうなると、不器用な僕は外され、力はばっちりあるが
あり過ぎる神楽ちゃんも外される。

結果、銀さん一人が仕事に行く事となったのだ。

ちなみに期間は一週間で、今日がその最終日。

僕はご苦労様と言う気持ちを込めて、夕飯を奮発してみたりした。

・・・ま、ちょびっとなんだけどね、うん。

でも、既にお風呂もばっちりだし、お布団は干してフカフカだ。
割引商品だけど、デザートのプリンも買ってある。

これで少しは疲れが取れてくれるといいんだけどな~。

どうやらお一人様限定なのに、仕事量は限定解除だったらしい。
帰って来ては、夜飲みにも行かずひたすらゴロゴロダラダラしている
銀さんを思い浮かべる。

・・・あれ?ゴロゴロダラダラは何時もの事だっけ?

でもまぁ疲れている事には変わりないだろう。

現に珍しく気を使った神楽ちゃんに肩を揉まれ、
一瞬にして眠りに落ちていたから。

なんか白目剥いてた気がするけど、
多分銀さんは目を開けて寝る人なんだと
思うことにした。

そんな事を思っていると、玄関の開く音と、疲れきった銀さんの
声が聞こえてきた。

「あ、お帰り、銀ちゃん!」

その声に、神楽ちゃんが足早に玄関へと出迎えに行き、
僕も火を止め、銀さんを出迎える為に玄関へと足を向けた。


「あ~疲れた。ってか毟り取られたよ、銀さんの体力ゲージ。
何だアレ、色々と労働基準法無視してね?
とりあえず皆立ち上がるべきじゃね?あの労働環境」


いや、それをウチが言うなよ。
明らかに無視されてますからね、僕の労働基準法。


等と思ったものの、今回は突っ込まずにおいた。
そしてブツブツと言いながらブーツを脱いでいる銀さんに。
苦笑しつつも出迎えの言葉を告げようとしたその時・・・

「銀ちゃん、お風呂にするアルか?それともご飯?
それとも新八?」

僕よりも先に来ていた神楽ちゃんがにっこりと笑いながら
そう問い掛けていた。

「おぉぉぉおいっ!!!!
ちょ、神楽ちゃん!?何処で覚えてきちゃいましたか、
そんな台詞ぅぅ!!」

「何処ってこの間やったママゴトでヨ」

何処でやったママゴトだ。
って言うか対象年齢何歳のママゴトだ。

呆気らかんとした顔で答えてくる神楽ちゃんに、僕はガクリと肩を落とした。

うん・・・とりあえず今後暫く、ママゴトは禁止にしておこう。

「でもまぁ、一部間違っている部分がありますけど、
とりあえずどっちにします?銀さん」

そう、辛うじて前半部分は合ってはいるのだ。
仕事で疲れているだろうし、汗も掻いただろうから、
お風呂に先に入ってもらった方がいいのかもしれない。

どっちがいいか・・・と銀さんに聞くと、

「じゃあ新八」

と答えられ、何時の間に近くに来たのか、ギュッと銀さんに抱き締められた。

って、何処を一部の間違いに
認定しやがった、この天パぁぁ!!!!

慌てて離れようと銀さんの背中を叩いたが、銀さんは知らん振りで
スリスリと僕の首筋に鼻を埋めてきた。

そして首筋にかかる、長い吐息と、満足げな声。

「あ~、疲れがとれるわ、マジで」

その声に、僕は一瞬目を丸くするが、直ぐにやんわりと綻ばし、
離そうとしていた手で、そっと銀さんの背中を叩いた。

「・・・お疲れ様でした、銀さん」

そう言えば、お~。と、ますます力を込めて抱き締められる。

なんだかなぁ、この人。

抱き締められたまま苦笑していると、

「お疲れ様ネ、銀ちゃん」

と言う声と共に、ドンという衝撃が伝わってきた。
不思議に思い首を伸ばして見てみれば、
銀さんの背中に神楽ちゃんが張り付いていて。

「おいおい何だよ、大サービスじゃねぇかコノヤロー」

「序に肩揉みもサービスしてやるヨ」

「いや、それは本気で丁重にお断りさせて下さい」

真剣な声で答える銀さんに、僕も神楽ちゃんもニヒャリと笑った。


さぁ、この後は温かいお風呂に入れて、ちょびっと豪勢な夕飯を
食べてもらって、フカフカのお布団で寝て疲れを取ってもらおうか。

 

 

勿論オプションとして、疲労回復に効果覿面な僕ら付きで。

*******************
寧ろオプションが本命。

拍手[4回]

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ガヤガヤと煩い音を耳にしながら、近藤はゆっくりと
閉じていた目蓋を開けた。

・・・が、相変わらず目の前は真っ暗だ。

「あれ?停電?」

「じゃねぇよ。目蓋・・・ってか
顔全体が腫れ上がってるだけだ」

知っている声に、顔全体を向け頑張って目を全開にすると、
うっすらと白いモジャモジャが目に入った。

「お前・・・万事屋?」

なんでこんな所に。と問い掛ける間もなく、再び近藤の視界は
真っ暗い闇に覆われる。

それと同時に感じる濡れた感触。

慌てて手にしてみればそれはお絞りで、熱を持った顔には
非常に気持ちが良かった。

だが・・・と近藤は考える。

確か自分はお妙さんの所に居た筈だ。
そして何時もの愛の塊とも言える拳を全身に貰い、
最終的に愛の試練の道へと飛ばされた筈・・・

首を傾げ、お絞りを当てたまま周囲の気配を探れば、
どうやら今自分が居るのは、何処かの居酒屋のようで・・・

未だ状況が判っていない近藤に気付いたのか、隣に座っている銀時が
呆れた声で答えをくれた。

「あのさぁ、幾ら野生に目覚めたって言っても、
あんな所で寝てるなんてアレよ?
良くないよ?景観的に」

「なんで景観的!?ってか目覚めてないから。
愛には完全に目覚めてるけど、野生には目覚めてないから」

そう怒鳴るものの、どうやら倒れている自分をここまで
運んできてくれたらしい。

珍しい事もあるもんだと思いつつ、近藤は素直に銀時に礼を述べた。

「いや、拾いたくて拾った訳じゃねぇから。
財布拾ったら序にお前が着いてきただけだから。
邪魔なストラップみてぇに。
あ、親父。もう一本つけて。金ならばっちりあるから」

そう言って銀時は財布らしきモノをヒラヒラと振りながら
店の親父に追加注文をした。
だが銀時の持っている財布は、明らかに彼とは縁の遠い
厚みを持っていて・・・

「お前ソレ拾った財布なんじゃ・・・って、あれ?」

と、少し真面目な声で近藤が告げた所で、ハタとある事に気付き、
慌てて上着やズボンのポケットを叩いた。

だが、ある筈のものがなく。
そしてない筈のモノが銀時の手の中にあった。

「ちょ、それ俺の財布ぅぅぅ!!?」

「あ、そうなの?いや~、知らなかったわ。
マジ気付かなかったわ~。
ほい、良かったな、拾ったのが
善良の塊である俺で」

「・・・いや、財布だけ返さないでね?
中身諸共返却して下さいぃぃぃ!!!」

お札を抜き取り、言葉通り財布返してきた銀時に叫ぶが、
相手は何処吹く風。

「何人聞き悪い事言ってんだよ。
ちゃんと入ってるだろうが、中身」

「や、小銭ばかりなんですけど。
あった筈のお札が丸々ないんですけどぉぉ!!?」

「馬鹿野郎。小銭舐めんなよ?
買い物に行って一円が足りなかっただけでも、
何も買えないんだぜ?あるだけ良いと思え」

「既に札が全くない時点で塵ほども
良いと思えないんだが?」

「安心しろ、今日は俺が奢ってやる」

「だからそれ、俺の金ぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、今夜もお妙さんの所に行こうと思ってたのに・・・」

返してくれそうにもない銀時に諦め、近藤は涙ながらに
酒の入ったコップを煽った。

「懲りねぇなぁ、テメーも」

そんな近藤に、銀時は呆れた顔を返す。

「その顔だって何時もの如くやられたんだろうに・・・」

「お妙さん、照れ屋だからなぁ」

銀時の言葉に、近藤は顔を冷やしていたお絞りを取り、
幸せそうに頬を緩める。

「や、それは照れ隠しと言う名の殺意だからね。」

「お妙さんの気持ちなら、
俺はなんでも受け止めるさっ!」

「逃げろよ、それは。
ってかさ~、本当勘弁してくんない?
そのストーカー行為のせいで、こっちまで被害被ってんですけど?」

「ストーカーではないっ!
あくまで純然たる愛の行為だ。
・・・ってか被害ってなんだ?」

まさか万事屋もお妙さんの事を!?と目を見開いていると、
その考えを読んだのか、銀時が近藤の頭をペシリと叩いた。

「被害は被害だよ。メッチャでっかい被害だよ。
テメーが毎晩のようにあいつの家に出るせいでなぁ、
新八がお妙を心配して毎日帰っちまうんだよ!」

眉を顰め、そう言う銀時に、近藤はカクリと首を傾げた。

「いや、毎日帰るのは当たり前の事じゃないのか?」

新八君の家はあそこだろう。と続く近藤に、銀時は大きな溜息を吐いた。

全然当たり前じゃねぇよ。
寧ろ泊まってくのが当たり前なんだよ、
坂田家ではっ!
なのに毎晩毎晩・・・判るか!?おい。
毎日玄関で見送る寂しさをっ!一人で寝なきゃいけない侘しさをっ!
今日だってなぁ、泊まってけって朝からず~っと言い続けてたのに、
あっさり帰られたんだぞ!?
草履隠したらものっそい笑顔で怒られたんだぞ!?」

これが呑まずにいられるかってんだ!!と、酒を呷り、おかわりを
要求する銀時。

いや、何してんだ、いい大人が。
と言うか、その状況であったなら、何にも増して帰りたくなるのが
心情だろう。

そうは思うのが普通だが、生憎近藤も酔い始めていて・・・

「新八君はお姉さん想いだなぁ」

等とニコニコと笑って言う始末。
その言葉に、銀時はカクリと肩を落とし、新しく注がれた酒を
ちびりと口にした。

「・・・寧ろ銀さん想いになって欲しいんですけどぉ」


銀時のボソリと呟いた言葉に、近藤の笑い声が被った。



その後も全く改善が見られない近藤の行動に、
銀時がしばしば八つ当たりの如くたかりまくったのは言うまでもない。

*******************
よく考えると侘しい大人組みの会話(笑)

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ゆっくりと意識が浮上してくるのが判る。
そのままぼんやりと目を開ければ、赤く染まる天井が目に入った。

・・・あ~、もう夕方か。

本当、一日が過ぎるのは早いね。等と思いながら、ゆっくりと体を
ソファから起こす。
すると掛けられていた毛布がずるりと落ちた。

なんだこりゃ。

確か自分は寒さよりも眠気に負けて、ここで寝てしまった筈だ。
なのでこんなものを掛けて寝てる筈が無い。

と言うか、態々掛けて寝る程マメでもない。

ならばこれを掛けてくれたのは新八だろう。

落ちた毛布を掴み、苦笑が零れる。


ダラダラ寝てるな。仕事しろ。


普段そう言って自分に小言をぶつけて来るくせに、
こうやって甘やかしてもくるのだから、性質が悪い。

掴んだ毛布を片手に抱え、銀時はソファから立ち上がった。
そしてキョロリと部屋の中を見回す。
見ればもう一つのソファにも毛布が置いてあり、
そこで誰かが自分と同じように寝ていた事を教えていた。

んだよ、神楽も寝てたのか?
また夜になって眠れないとかほざくんじゃねぇだろうな。

それだけは勘弁してくれ。と思いつつも、その神楽の姿も見えない。


台所にも・・・いねぇな。音がしねぇ。
なら和室か?

銀時はゆっくりと毛布を抱えたまま和室へと足を向けた。
そして入り口近くまで来て、ぴたりと足を止める。

視線の先には、探していた新八の姿があった。
そしてその膝に頭を乗せ、寝転んでいる神楽の姿も。

どうやら洗濯物を畳んでいる途中に神楽が来たらしい。
新八の傍に、少しだけ畳まれた洗濯物が置かれていた。
そして洗濯物を畳んでいたであろうその手は、
今はゆっくりと神楽の頭を撫でていて。

小さい影が、俺の足元まで伸びていて。

 

瞬間、俺は一気に血が下がるのを感じた。

 


それと同時に湧き上がる、意味の判らない衝動。

泣きたくて、叫びだしたくて、逃げ出したくて。


でも傍に居たくて。

 

俺の脚は、無意識の内に一歩前に出てしまう。
頭では止めろと信号が発せられているのに、何故だか足は止まらない。
だが、その足も不意に向けられた新八の視線に、ピタリと止まる。

いや、寧ろギクリと体を強張らせた・・・と言った方が正しいか。

 

「あ、起きました?」

無言で立ち竦む銀時の姿に、一瞬驚いた新八だったが、
直ぐにふわりと微笑むと視線を膝の上の神楽へと戻した。
その事にホッと息を吐いた銀時は、ゆっくりと体の強張りを解くと
そのまま和室へと足を踏み入れた。

「全く、そんなに寝てよく夜も眠れますね」

そう言うも、新八の手は神楽の頭を撫でる事を止めない。
優しく、優しく。
やんわりと微笑みながら、その頭を撫で続けていた。

見れば神楽も気持ち良さそうに目を閉じている。
・・・微かに涙の痕を残しながら。

それを見て、俺は僅かに眉を寄せると、新八の後ろへと腰を降ろし、
抱えていた毛布で自分ごと新八を包み込んだ。

そしてそのままギュッと抱き締めると、新八の肩口へと顔を埋める。

・・・あぁ、なんて小さい肩なんだろう。

突然の事に驚いた新八が銀時の名を呼んだが、それには答えず
ただ黙って埋めた肩口へと顔を摺り寄せた。
すると、困ったように笑う声と共に、新八の体から
力が抜けたのが銀時へと伝わった。

そして、ポンポンと頭を撫でる感触。

その小さな手の感触に、思わず逃げ出したくなったが、腕は言う事を聞かず、
逆に力を込めてしまう。

多分新八は、自分も何か嫌な夢でも見たと思ったのだろう。
神楽の理由は、多分それだろうし。

でもな、違うんだよ、新八。
嫌な夢を見なくても、縋りつきたくなるんだよ。
何の理由もなく、縋りたくなるんだよ、もう。
逃げ出したいのに、もう体が言う事を聞かねぇんだよ。


きっとこうしている意味を新八は聞かないだろう。
聞かずに、けれどこうして甘やかしてくれるのだろう。

それが酷く嬉しくて。
そしてとんでもなく申し訳なくて。


あぁ、本当、ごめんな。
すがってしまって、こめんな。


泣きたくなったんだよ、本当に。

だってこんなにもオマエは優しくて暖かいのに、
俺達みたいなのに漬け込まれて、可哀想で。


叫びだしたかったんだ、本当は。

こんなにも小さい体に、力いっぱい縋りついてしまう事を
大声で謝りたくて。


逃げ出したかったんだ、本当。

寧ろオマエに縋ろうとする自分から、逃がしてあげたくて。


けれどそんな風に思っていても、
体は全く言う事を聞いてくれなくて。

 


「・・・重くね?」


自然と強くなる腕と、細い肩に擦り寄ってしまう自分の頭を
そのままに、ポツリと問いかけてみれば。

「もう慣れましたよ」

なんてクスリと笑って答えられて。
とんでもないその甘い言葉に、俺はますます体を密着させた。


ふと見れば、神楽の手も必死に新八の袴を掴んでいて。
なんだかじんわりと目元が熱くなる。


幸せになって欲しいのにな。
普通に幸せになれるヤツなのにな。

そう願ってる筈なのにな。


離れる事、出来ねぇんだな、俺達。

 

あぁ、本当にごめん。

何度だって謝るから、

酷いヤツだと罵られてもいいから、

もう少しだけオマエの言葉に甘えさせてくれ。

 

 

 

 


あぁ、でももしオマエが俺達の重さに潰されたとしても、
きっと大事に抱え込んで離さねぇんだろうな。

*****************
なんか妙なのが降りてきた結果(おいι)

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その日、何時にも増して目の前の銀髪はダラダラとしていた。

「・・・少しは働こうとか思わないんですか」

箒を片手にヒクリと頬を引き攣らせれば、目の前の
モジャ頭はダラリと一瞬こちらに視線向け、直ぐに
彼の聖書らしいジャ○プへと顔を戻してしまった。

それに再びヒクリと動く頬。

「ったく!いい大人がダラダラとっ!!
そんなにマダオである事を主張したいんですかっ!」

「いや、別に今更主張するも何もないんだけどね。
何?新ちゃんはこんな銀さん、嫌?」

ジャ○プから目を離さずに、そんな事を言ってくる銀さんに
またもヒクリと頬が引き攣る。

・・・なんかもう引き攣り過ぎて顔が筋肉痛になりそうなんですけど。
ってか開き直ったよ、この大人っ!
主張するまでもないってかっ!

まぁ実際そんな事しなくても
丸判りなんだけどねっ!?

でも今日は折角のいい天気で。
寒くも暑くもない、程よい気温で。

仕事するにも、家事をするのにも持って来いな一日だと言うのにっ!

生真面目だと言われればそれまでだが、やはりこんな日に
ダラダラとしてるなんて勿体無いと思う。

って言うか、実際目の前に居ると
普通にイラつく。

「えぇ!ダラダラダラダラしまくってる銀さんなんか嫌いですっ!」

あんまり言いたくない言葉だけど、
ここはウザイと言わなかっただけ褒めて欲しい所だ。
だってそっちが本心だし。

そんな気分でフンッと顔を逸らすと、ゴソリと銀さんの体が
動く気配がした。
ちらりと見てみれば、何故か肩肘を突いてそこに顎を乗せ、
ニヤニヤとした顔でこちらを見ている銀さんが・・・

「な、なんですか、その顔は」

「ん~?べっつにぃ~?
で?新八は銀さんの事がそんなに嫌いなんだ」

「そ、そうですよっ!一日中ダラ~っと家に居るトコとか、
糖分強請るトコとか、セクハラしてくるとことか
もんの凄く嫌いですっ!!」

ここぞとばかりに言ってみるが、銀さんは益々頬を
緩めるばかりだ。

・・・なんだろう、この人。
もしかしてMにでも目覚めちゃいましたかぁぁ!!?

そんな事を思っていると、銀さんは いや~参ったね。 等と
言いながら、のそりと体を起こした。

「ってぇ事は、新八は一日中家に居る銀さんも、
お強請りしてる銀さんも大好きで、
セクハラ大歓迎な訳だな」

「・・・・・は?」

先程自分が言った事とは正反対の事を、嬉しそうに言われ、
僕はポカリと口を開けた。

あれ?僕、ちゃんと日本語喋ってたよね?
で、銀さんにもちゃんと聞こえてたよね?
ちょ、誰だ!?勝手に妙な翻訳してる人ぉぉぉ!!!

って、目の前の天パかっ!!

そんな僕に、銀さんはニヤリと笑うと、壁に掛けられていた
カレンダーを指差した。
それに釣られ、視線を移すと、ソコには今日の日付である
四月一日が・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・あぁっ!!!!


「いや~、熱烈な愛の告白だったなぁ、おい」

ニヤニヤしまくっている銀さんに、僕は慌てて弁解を試みる。
ってか別に嘘をついてもいい日なだけで、
だけを言う日じゃないですからねっ!
なんでそんな風に取るかな。
取らないよね、普通っ!!

・・・あぁ、でも銀さんなら取るか。
だって自分が99%悪くても、残りの一%に全力を注ぐ人だもの
上げ足取りが得意技な御方だものぉぉぉ!!!!

「違いますっ!あれは限りなく僕の本心でっ!!」

「判ってるって。アレだよな?
素直に言えないお年頃なんだよな?」

「ちっげぇよっ!!ってかそれならアレですっ!
僕はそんな銀さんが大好きですっ!」

勢いつけてそう叫ぶと、銀さんは一瞬目を丸くし、
次にそれまで以上に頬をにやけさせた。そして、

「いや~、本当愛されてるわ、銀さん。もう嬉しくなっちゃう」

そう言ってソファから立ち上がり、両手を広げて僕をギュッと
抱き締めてきた。

「ぎゃぁぁぁぁっ!!
ちょ、さっきまでの会話は何処に行ったんですかっ!
ってか今日はエイプリル・フールでしょっ!」

僕の首筋に頬を摺り寄せてくる銀さんに、なんとか距離を
取ろうと手を突っぱねるが、力の差は歴然で。

「今日は単なる四月一日で、
それ以外の何物でもありません。
それに銀さんの知ってる新ちゃんは、嘘なんてつかない良い子ですぅ」

僕の抵抗を軽く流し、銀さんはそのまま軽く僕を持ち上げると、
そのままの格好でまたソファへと腰を降ろしてしまった。
そうなると、抱き締められたままの僕は、必然的に
銀さんの膝に向かい合った状態で座る事となる訳で・・・

「いや、今日から銀さんの知ってる僕は生まれ変わりましたから。
嘘もガンガンつく悪い子になりましたからぁぁぁ!!!
だから、ちょっ!
尻を触るなぁぁぁ!!!!」

「成る程。って事はもっと尻を触ってもいい・・・
寧ろ撫で回してくれ・・・と」

「なんでそこだけ素直!?
いいからとっとと離せぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

 


・・・その後、万事屋でエイプリル・フールが全面禁止になったのは
言うまでもない。

*******************
何事にも良い方向に取り続ける坂田。
迷惑な程ポジティブです。

拍手[3回]


 

何時も行く甘味屋に行ったら、見慣れない顔の店員が居た。
お陰で注文の時、

「何時もの」

「・・・は?」

と言う非常に恥ずかしい会話をしてしまった。

やべ、何コレ。
久しぶりにパチンコで勝って、調子に乗ってただけに
非常に恥ずかしい。
やっぱアレだ。
幾ら懐に余裕が出来ても、
態度に余裕を出してはいけなかった。
人生、常に緊張感に包まれていなければダメだ。

だってその後、買い物に出てたらしい
新八にも見付かって、ものっそいお説教を受けたもの。


すみません、何時ものなんて嘘です。
そんなんで通じる程、甘味屋なんて通ってません。
本当です、信じてください。
って、何で今頃出してくんのかなぁ?店長ぉぉ!!!
や、すみませんね~、新人なんで判らなくって。とかいらないから。
全然判らないからね、銀さんもっ!
は?何時もの子、辞めたの?
あ~、そうなんだ~。良い子だったのにねぇ。
時々おまけとかしてくれたし・・・っていやいや違うから!
そんなのしてくれた覚え、全然ないからっ!
・・・って、あれ?もしかして新ちゃん、ヤキモチ?
糖分摂取に対してじゃなくて、
ヤキモチ?それ。
馬っ鹿だな~。幾ら糖分好きでも、それ以上に新ちゃんの方が
好きなんだって、銀さん。
だから安心して・・・って本当すんませぇぇんっ!!
ちょっと本気で調子に乗ってましたぁぁぁ!!!
だからそれっ!幾らお団子の串でも、刺さると痛いからっ!
団子好きでも、流石に団子自体には
なりたくないから、銀さんっ!!

 

 





「全く!本当調子に乗ってると締めますよ!?
首とか首とか
首とか」

怒り心頭といった感じで前をズンズン進んでいく新八に、
本当すんません。とカクリと肩を落として着いて行く。

ちなみに辛うじて首ではないが、軽くシメられた後だ。
色々痛いし、先程まで暖かかった懐も、軽く痛い。

ってか首ってなんだ。
そこを締められると調子に乗る所か、舟に乗る勢いなんですけど。
特に三途の川辺りにある。

「でも・・・そっか~。もう春ですもんね」

そう言う新八は、怒りを沈め少し寂しそうだ。

先程の店の子もそうだが、新八の良く行くスーパーでも、
顔馴染みのバイトの子が辞めてしまうらしい。

理由はそれぞれだが、大元は一緒。
違う所で新しい生活を始めるとか・・・

それはそれで喜ばしい事だが、やはり置いていかれる側としては
寂しいもんだよな。
例えそれが顔馴染みの店員だったとしても。

俺は少しだけ寂しそうな笑みを浮かべている新八を見て、
思わずその小さな頭に手を伸ばし・・・

「タイムセール前に半額シール貼ってくれたり、
集めてたスタンプを多めに押してくれたりしてくれたのに・・・」

「ってそこかよっ!
何ソレ、何処まで主婦根性育っちゃってるんですかぁぁ!!?」

撫でる代わりに軽く叩いた。
何すんですかっ!って睨まれたけど、銀さん悪くないから。
主婦根性が逞しく育つのは良い事だけど、
それはあくまで坂田家の主婦としてだから。
そんなちょっと好意入ってんじゃね?的な事は、
断固として跳ね返してください。
もし出来ないなら、銀さんに言って下さい。
容赦なく切り刻むから。

ほんの微かな兆しでも、芽は全て叩き潰すっ!

今度からは絶対買い物に着いて行こう。そう心に決めていると、
新八は叩かれた頭を撫でながら、口を尖らした。

銀さんだっておまけしてもらってたのに・・・とか何とか
言っているが、それは全然違う。
だって銀さん、新ちゃんしか見てないもん。

そう言うと、新八は 馬鹿な事ばっかり・・・と
口を尖らしたまま視線を逸らした。
でもその頬は赤く染まっていて・・・

俺の脳内はピンク色に染まりまくった。

やっべ、何コレ。
とんでもない破壊力なんですけどぉぉぉ!!?
お陰で銀さんの理性は木っ端微塵よ?

ま、元々そんなにないけどな。

でも恐怖心はちゃんとあるので、じっと拳を握り締める。
だってここ、大通りだからね?
こんな所で何かしたら、俺の頭が赤く染まるから。
一応学習能力あるからね、銀さん。
だからさっさと家に帰ってイチャコラしよう。

そう思い、でもせめてこれくらいは・・・と新八の手を取り、
そっと握り締めた。

少しドキドキしながら、ちらりと新八の方を見ると、ちょっと
恥ずかしそうだが、振り払いもせず着いてくるので
ホッと息を吐いた。

そしてふと思う。
もし・・・もしもだけれども、いつかこの手が自分から
離れていくかもしれない。

俺の知らない、新しい生活へと向っていくかもしれない。

それはちょっとした恐怖だ。
いや、とんでもない恐怖か。

「銀さん?どうかしましたか?」

そんな思いが出てしまったのか、つい力が入ってしまった手に、
新八が不思議そうな顔を向けてくる。

「ん?・・・いや、何でもねぇよ。」

そう告げるが、新八は納得していないようで、訝しげな視線を
向けてきた。
だが、こうなった俺が何も言わない事は知っているので、
ま、いいですけどね。と直ぐに小さな息を吐いた。

「でも新しい生活か~。寂しいけど、ちょっと憧れちゃいますね」

「え?何、新八。もしかして新しい生活してみたいの!?」

「や、その前に普通の生活が送りたいです。
ってか憧れてるだけで、そんな気はないですよ」

そう言って笑った新八だったが、俺は全く笑えねぇ。
ってか心臓バクバクだってぇのっ!
銀さん的に不適切な言葉はやめてくなんい!?


一瞬真顔になってしまった俺に気付いたのか、新八が
何かに気付いたように小さく口を開けた。

「もしかして銀さん・・・ちょっと不安になっちゃいました?」

「別に?」

新八の問い掛けにそう答えたのだが、あまりにも即答し過ぎたのが
悪かったのか、クスクスと新八が笑い出した。

あ~もう、うっせぇなぁ!
仕方ねぇじゃん、オマエがそんな事言うんだからよ。
仮定の話だとしても、俺にとっちゃ心底心臓に悪ぃんだよ。

ま、いいけどね。どっちにしろ離さないし。
大人なら笑って見送ってやれと言われるかもしれないが、
生憎俺は大人ではなく、万事屋銀ちゃんだ。
寧ろ笑って捕まえててやる。

ムスッとしていると、今度は新八の手からギュッと力が
込められるのが判った。

「安心して下さい。僕の居る場所はここですから。」

そう言った新八は、何よりも暖かい笑みを浮かべていて。

俺は黙って、その手を強く握り返した。





ならオマエは観念しろ。
俺の居る場所も、ずっとここだから。

*********************
個人的ではありますが、団子様へvv

以下お返事。
態々のご挨拶、有難うございますv
こちらの方こそ、色々とご感想を頂き、
尚且つウチの銀新を気に入って頂けて
本当、幸せでした~vv
上の二人共々、寂しくはありますが
これからもこんな感じで居続けると思いますので、
またお気軽に遊びに来て下さいませvv
本当に有難うございましたv

拍手[3回]


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