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「新八~、お風呂のお湯、OKネ」
「有難う、神楽ちゃん」
僕は神楽ちゃんの言葉に軽く顔を向けてお礼を述べると、
直ぐに目の前にある作業へと向き直った。
「おぉ!今日はちょびっと豪華ネ」
トコトコと台所に入ってきて僕の背中から顔を出す神楽ちゃんに、
少し苦笑がもれる。
や、確かにちょびっとだけどね。
でも確かに万事屋としては豪華な夕飯だ。
それと言うのも、珍しく入った仕事のお陰なのだけど。
本来ならそのお金は大事に使うべく、こんな風にしないのだけど、
入った仕事と言うのが大工仕事と言う力仕事な上、お一人様限定
だったりしたのだ。
そうなると、不器用な僕は外され、力はばっちりあるが
あり過ぎる神楽ちゃんも外される。
結果、銀さん一人が仕事に行く事となったのだ。
ちなみに期間は一週間で、今日がその最終日。
僕はご苦労様と言う気持ちを込めて、夕飯を奮発してみたりした。
・・・ま、ちょびっとなんだけどね、うん。
でも、既にお風呂もばっちりだし、お布団は干してフカフカだ。
割引商品だけど、デザートのプリンも買ってある。
これで少しは疲れが取れてくれるといいんだけどな~。
どうやらお一人様限定なのに、仕事量は限定解除だったらしい。
帰って来ては、夜飲みにも行かずひたすらゴロゴロダラダラしている
銀さんを思い浮かべる。
・・・あれ?ゴロゴロダラダラは何時もの事だっけ?
でもまぁ疲れている事には変わりないだろう。
現に珍しく気を使った神楽ちゃんに肩を揉まれ、
一瞬にして眠りに落ちていたから。
なんか白目剥いてた気がするけど、
多分銀さんは目を開けて寝る人なんだと
思うことにした。
そんな事を思っていると、玄関の開く音と、疲れきった銀さんの
声が聞こえてきた。
「あ、お帰り、銀ちゃん!」
その声に、神楽ちゃんが足早に玄関へと出迎えに行き、
僕も火を止め、銀さんを出迎える為に玄関へと足を向けた。
「あ~疲れた。ってか毟り取られたよ、銀さんの体力ゲージ。
何だアレ、色々と労働基準法無視してね?
とりあえず皆立ち上がるべきじゃね?あの労働環境」
いや、それをウチが言うなよ。
明らかに無視されてますからね、僕の労働基準法。
等と思ったものの、今回は突っ込まずにおいた。
そしてブツブツと言いながらブーツを脱いでいる銀さんに。
苦笑しつつも出迎えの言葉を告げようとしたその時・・・
「銀ちゃん、お風呂にするアルか?それともご飯?
それとも新八?」
僕よりも先に来ていた神楽ちゃんがにっこりと笑いながら
そう問い掛けていた。
「おぉぉぉおいっ!!!!
ちょ、神楽ちゃん!?何処で覚えてきちゃいましたか、
そんな台詞ぅぅ!!」
「何処ってこの間やったママゴトでヨ」
何処でやったママゴトだ。
って言うか対象年齢何歳のママゴトだ。
呆気らかんとした顔で答えてくる神楽ちゃんに、僕はガクリと肩を落とした。
うん・・・とりあえず今後暫く、ママゴトは禁止にしておこう。
「でもまぁ、一部間違っている部分がありますけど、
とりあえずどっちにします?銀さん」
そう、辛うじて前半部分は合ってはいるのだ。
仕事で疲れているだろうし、汗も掻いただろうから、
お風呂に先に入ってもらった方がいいのかもしれない。
どっちがいいか・・・と銀さんに聞くと、
「じゃあ新八」
と答えられ、何時の間に近くに来たのか、ギュッと銀さんに抱き締められた。
って、何処を一部の間違いに
認定しやがった、この天パぁぁ!!!!
慌てて離れようと銀さんの背中を叩いたが、銀さんは知らん振りで
スリスリと僕の首筋に鼻を埋めてきた。
そして首筋にかかる、長い吐息と、満足げな声。
「あ~、疲れがとれるわ、マジで」
その声に、僕は一瞬目を丸くするが、直ぐにやんわりと綻ばし、
離そうとしていた手で、そっと銀さんの背中を叩いた。
「・・・お疲れ様でした、銀さん」
そう言えば、お~。と、ますます力を込めて抱き締められる。
なんだかなぁ、この人。
抱き締められたまま苦笑していると、
「お疲れ様ネ、銀ちゃん」
と言う声と共に、ドンという衝撃が伝わってきた。
不思議に思い首を伸ばして見てみれば、
銀さんの背中に神楽ちゃんが張り付いていて。
「おいおい何だよ、大サービスじゃねぇかコノヤロー」
「序に肩揉みもサービスしてやるヨ」
「いや、それは本気で丁重にお断りさせて下さい」
真剣な声で答える銀さんに、僕も神楽ちゃんもニヒャリと笑った。
さぁ、この後は温かいお風呂に入れて、ちょびっと豪勢な夕飯を
食べてもらって、フカフカのお布団で寝て疲れを取ってもらおうか。
勿論オプションとして、疲労回復に効果覿面な僕ら付きで。
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寧ろオプションが本命。