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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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ガヤガヤと煩い音を耳にしながら、近藤はゆっくりと
閉じていた目蓋を開けた。

・・・が、相変わらず目の前は真っ暗だ。

「あれ?停電?」

「じゃねぇよ。目蓋・・・ってか
顔全体が腫れ上がってるだけだ」

知っている声に、顔全体を向け頑張って目を全開にすると、
うっすらと白いモジャモジャが目に入った。

「お前・・・万事屋?」

なんでこんな所に。と問い掛ける間もなく、再び近藤の視界は
真っ暗い闇に覆われる。

それと同時に感じる濡れた感触。

慌てて手にしてみればそれはお絞りで、熱を持った顔には
非常に気持ちが良かった。

だが・・・と近藤は考える。

確か自分はお妙さんの所に居た筈だ。
そして何時もの愛の塊とも言える拳を全身に貰い、
最終的に愛の試練の道へと飛ばされた筈・・・

首を傾げ、お絞りを当てたまま周囲の気配を探れば、
どうやら今自分が居るのは、何処かの居酒屋のようで・・・

未だ状況が判っていない近藤に気付いたのか、隣に座っている銀時が
呆れた声で答えをくれた。

「あのさぁ、幾ら野生に目覚めたって言っても、
あんな所で寝てるなんてアレよ?
良くないよ?景観的に」

「なんで景観的!?ってか目覚めてないから。
愛には完全に目覚めてるけど、野生には目覚めてないから」

そう怒鳴るものの、どうやら倒れている自分をここまで
運んできてくれたらしい。

珍しい事もあるもんだと思いつつ、近藤は素直に銀時に礼を述べた。

「いや、拾いたくて拾った訳じゃねぇから。
財布拾ったら序にお前が着いてきただけだから。
邪魔なストラップみてぇに。
あ、親父。もう一本つけて。金ならばっちりあるから」

そう言って銀時は財布らしきモノをヒラヒラと振りながら
店の親父に追加注文をした。
だが銀時の持っている財布は、明らかに彼とは縁の遠い
厚みを持っていて・・・

「お前ソレ拾った財布なんじゃ・・・って、あれ?」

と、少し真面目な声で近藤が告げた所で、ハタとある事に気付き、
慌てて上着やズボンのポケットを叩いた。

だが、ある筈のものがなく。
そしてない筈のモノが銀時の手の中にあった。

「ちょ、それ俺の財布ぅぅぅ!!?」

「あ、そうなの?いや~、知らなかったわ。
マジ気付かなかったわ~。
ほい、良かったな、拾ったのが
善良の塊である俺で」

「・・・いや、財布だけ返さないでね?
中身諸共返却して下さいぃぃぃ!!!」

お札を抜き取り、言葉通り財布返してきた銀時に叫ぶが、
相手は何処吹く風。

「何人聞き悪い事言ってんだよ。
ちゃんと入ってるだろうが、中身」

「や、小銭ばかりなんですけど。
あった筈のお札が丸々ないんですけどぉぉ!!?」

「馬鹿野郎。小銭舐めんなよ?
買い物に行って一円が足りなかっただけでも、
何も買えないんだぜ?あるだけ良いと思え」

「既に札が全くない時点で塵ほども
良いと思えないんだが?」

「安心しろ、今日は俺が奢ってやる」

「だからそれ、俺の金ぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、今夜もお妙さんの所に行こうと思ってたのに・・・」

返してくれそうにもない銀時に諦め、近藤は涙ながらに
酒の入ったコップを煽った。

「懲りねぇなぁ、テメーも」

そんな近藤に、銀時は呆れた顔を返す。

「その顔だって何時もの如くやられたんだろうに・・・」

「お妙さん、照れ屋だからなぁ」

銀時の言葉に、近藤は顔を冷やしていたお絞りを取り、
幸せそうに頬を緩める。

「や、それは照れ隠しと言う名の殺意だからね。」

「お妙さんの気持ちなら、
俺はなんでも受け止めるさっ!」

「逃げろよ、それは。
ってかさ~、本当勘弁してくんない?
そのストーカー行為のせいで、こっちまで被害被ってんですけど?」

「ストーカーではないっ!
あくまで純然たる愛の行為だ。
・・・ってか被害ってなんだ?」

まさか万事屋もお妙さんの事を!?と目を見開いていると、
その考えを読んだのか、銀時が近藤の頭をペシリと叩いた。

「被害は被害だよ。メッチャでっかい被害だよ。
テメーが毎晩のようにあいつの家に出るせいでなぁ、
新八がお妙を心配して毎日帰っちまうんだよ!」

眉を顰め、そう言う銀時に、近藤はカクリと首を傾げた。

「いや、毎日帰るのは当たり前の事じゃないのか?」

新八君の家はあそこだろう。と続く近藤に、銀時は大きな溜息を吐いた。

全然当たり前じゃねぇよ。
寧ろ泊まってくのが当たり前なんだよ、
坂田家ではっ!
なのに毎晩毎晩・・・判るか!?おい。
毎日玄関で見送る寂しさをっ!一人で寝なきゃいけない侘しさをっ!
今日だってなぁ、泊まってけって朝からず~っと言い続けてたのに、
あっさり帰られたんだぞ!?
草履隠したらものっそい笑顔で怒られたんだぞ!?」

これが呑まずにいられるかってんだ!!と、酒を呷り、おかわりを
要求する銀時。

いや、何してんだ、いい大人が。
と言うか、その状況であったなら、何にも増して帰りたくなるのが
心情だろう。

そうは思うのが普通だが、生憎近藤も酔い始めていて・・・

「新八君はお姉さん想いだなぁ」

等とニコニコと笑って言う始末。
その言葉に、銀時はカクリと肩を落とし、新しく注がれた酒を
ちびりと口にした。

「・・・寧ろ銀さん想いになって欲しいんですけどぉ」


銀時のボソリと呟いた言葉に、近藤の笑い声が被った。



その後も全く改善が見られない近藤の行動に、
銀時がしばしば八つ当たりの如くたかりまくったのは言うまでもない。

*******************
よく考えると侘しい大人組みの会話(笑)

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