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その日、何時にも増して目の前の銀髪はダラダラとしていた。
「・・・少しは働こうとか思わないんですか」
箒を片手にヒクリと頬を引き攣らせれば、目の前の
モジャ頭はダラリと一瞬こちらに視線向け、直ぐに
彼の聖書らしいジャ○プへと顔を戻してしまった。
それに再びヒクリと動く頬。
「ったく!いい大人がダラダラとっ!!
そんなにマダオである事を主張したいんですかっ!」
「いや、別に今更主張するも何もないんだけどね。
何?新ちゃんはこんな銀さん、嫌?」
ジャ○プから目を離さずに、そんな事を言ってくる銀さんに
またもヒクリと頬が引き攣る。
・・・なんかもう引き攣り過ぎて顔が筋肉痛になりそうなんですけど。
ってか開き直ったよ、この大人っ!
主張するまでもないってかっ!
まぁ実際そんな事しなくても
丸判りなんだけどねっ!?
でも今日は折角のいい天気で。
寒くも暑くもない、程よい気温で。
仕事するにも、家事をするのにも持って来いな一日だと言うのにっ!
生真面目だと言われればそれまでだが、やはりこんな日に
ダラダラとしてるなんて勿体無いと思う。
って言うか、実際目の前に居ると
普通にイラつく。
「えぇ!ダラダラダラダラしまくってる銀さんなんか嫌いですっ!」
あんまり言いたくない言葉だけど、
ここはウザイと言わなかっただけ褒めて欲しい所だ。
だってそっちが本心だし。
そんな気分でフンッと顔を逸らすと、ゴソリと銀さんの体が
動く気配がした。
ちらりと見てみれば、何故か肩肘を突いてそこに顎を乗せ、
ニヤニヤとした顔でこちらを見ている銀さんが・・・
「な、なんですか、その顔は」
「ん~?べっつにぃ~?
で?新八は銀さんの事がそんなに嫌いなんだ」
「そ、そうですよっ!一日中ダラ~っと家に居るトコとか、
糖分強請るトコとか、セクハラしてくるとことか
もんの凄く嫌いですっ!!」
ここぞとばかりに言ってみるが、銀さんは益々頬を
緩めるばかりだ。
・・・なんだろう、この人。
もしかしてMにでも目覚めちゃいましたかぁぁ!!?
そんな事を思っていると、銀さんは いや~参ったね。 等と
言いながら、のそりと体を起こした。
「ってぇ事は、新八は一日中家に居る銀さんも、
お強請りしてる銀さんも大好きで、
セクハラ大歓迎な訳だな」
「・・・・・は?」
先程自分が言った事とは正反対の事を、嬉しそうに言われ、
僕はポカリと口を開けた。
あれ?僕、ちゃんと日本語喋ってたよね?
で、銀さんにもちゃんと聞こえてたよね?
ちょ、誰だ!?勝手に妙な翻訳してる人ぉぉぉ!!!
って、目の前の天パかっ!!
そんな僕に、銀さんはニヤリと笑うと、壁に掛けられていた
カレンダーを指差した。
それに釣られ、視線を移すと、ソコには今日の日付である
四月一日が・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・あぁっ!!!!
「いや~、熱烈な愛の告白だったなぁ、おい」
ニヤニヤしまくっている銀さんに、僕は慌てて弁解を試みる。
ってか別に嘘をついてもいい日なだけで、
嘘だけを言う日じゃないですからねっ!
なんでそんな風に取るかな。
取らないよね、普通っ!!
・・・あぁ、でも銀さんなら取るか。
だって自分が99%悪くても、残りの一%に全力を注ぐ人だもの。
上げ足取りが得意技な御方だものぉぉぉ!!!!
「違いますっ!あれは限りなく僕の本心でっ!!」
「判ってるって。アレだよな?
素直に言えないお年頃なんだよな?」
「ちっげぇよっ!!ってかそれならアレですっ!
僕はそんな銀さんが大好きですっ!」
勢いつけてそう叫ぶと、銀さんは一瞬目を丸くし、
次にそれまで以上に頬をにやけさせた。そして、
「いや~、本当愛されてるわ、銀さん。もう嬉しくなっちゃう」
そう言ってソファから立ち上がり、両手を広げて僕をギュッと
抱き締めてきた。
「ぎゃぁぁぁぁっ!!
ちょ、さっきまでの会話は何処に行ったんですかっ!
ってか今日はエイプリル・フールでしょっ!」
僕の首筋に頬を摺り寄せてくる銀さんに、なんとか距離を
取ろうと手を突っぱねるが、力の差は歴然で。
「今日は単なる四月一日で、
それ以外の何物でもありません。
それに銀さんの知ってる新ちゃんは、嘘なんてつかない良い子ですぅ」
僕の抵抗を軽く流し、銀さんはそのまま軽く僕を持ち上げると、
そのままの格好でまたソファへと腰を降ろしてしまった。
そうなると、抱き締められたままの僕は、必然的に
銀さんの膝に向かい合った状態で座る事となる訳で・・・
「いや、今日から銀さんの知ってる僕は生まれ変わりましたから。
嘘もガンガンつく悪い子になりましたからぁぁぁ!!!
だから、ちょっ!尻を触るなぁぁぁ!!!!」
「成る程。って事はもっと尻を触ってもいい・・・
寧ろ撫で回してくれ・・・と」
「なんでそこだけ素直!?
いいからとっとと離せぇぇぇぇ!!!!!」
・・・その後、万事屋でエイプリル・フールが全面禁止になったのは
言うまでもない。
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何事にも良い方向に取り続ける坂田。
迷惑な程ポジティブです。