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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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朝早いと言う事もあってか、それともこの街だからか。
新八は未だ人気のない道を、万事屋へと向って歩いていた。

昼間はまだ幾分マシだが、流石に朝夕は冷え込む。

新八は過ぎる冷たい風に、モフッと首もとのマフラーに顔を埋めた。
そして見上げた視線の先に、ふと黒い後姿があるのに気付いた。

新八は少し足を速めると、後ろからその人物に声を掛けた。

「お早うございます、土方さん」

声を掛けた人物は、少しだけ足を止め、相変わらず無愛想な顔を
新八へと向けた。
そして新八の姿を確認いると、少しだけ口元を緩ませ、
挨拶を返してくる。


「相変わらず早いな」

「そう言う土方さんも・・・早いって言うべきですか?」

それとも遅い?隊服姿の土方に問い掛けると、後者だな・・・と苦笑を
返された。

どうやら彼の仕事はまだ終わっていなかったようだ。

「それは・・・お疲れ様です」

新八も苦笑を浮かべつつ、軽く頭を下げる。

「こんな早く行っても、あいつ等起きてねぇんだろ」

そう言いながら歩き出す土方に、新八も小さく笑って流し、
同じように歩き出した。





 

「タバコってそんなに美味しいんですか?」

並んで歩いてるうちに、新八は前々から思っていた疑問を土方に
ぶつけてみた。

なんだか何時会っても、土方はタバコを吸ってる感じがするのだ。
噂では、タバコの為に他の星まで行ったと聞く。
そこまでして欲しいほど、美味しいのだろうか?

そう思っていると、土方は咥えていたタバコを離し、煙を吐き出しながら

「うまくはねぇ」

と、非常に簡潔に答えてくれた。

「でもまぁ仕方ねぇな。これがないと生活できねぇし」

「美味しくないのに・・・ですか?」

「まぁな。あ、知らないならその方がいいぞ。
体に悪ぃし、風当たりが強ぇ」

肩身狭いぞ?そう言って笑うが、吸ってる本人が言っても
説得力はないような気がする。

じっと見詰めていると、なんだ、吸いたいのか?と問い掛けられ、
新八は慌てて頭を横に振った。

・・・別に吸いたくはないけれど。

けれど、ちょっとだけカッコいいかな?とは思ってたりする。

なんと言うか、大人の男って感じがするのだ。
糖分糖分と煩いどっかの誰かさんより。

・・・ま、この人もマヨマヨ煩いけどね。

でも・・・とチラリと視線を向けると、慣れた手つきで
タバコを扱う土方が居て。


新八はそっとマフラーから口元を出すと、はぁ。と息を
吐き出してみた。

そこから出てくるのは、タバコの煙とは違い、直ぐに消えてしまう
ものだけれど、ほんの少し似ているもので。

少しだけ満足するものの、何処か納得がいかない。

・・・まず口の形が違うよね。
土方さん、あんなに大口開けて煙出してないもん。

そこで今度は口を少しだけ開けた状態で、息を吐き出してみる。

が、それだと白い息が見えない。

ならば・・・と先程よりは若干口を開いた状態で、息を吐き出す。
今度は少しだけ白い息が見えた。
しかし、想像していたよりも少なくて、新八はムッと眉を顰める。

そんな事を数回繰り返していると、漸く納得のいく白い息を
吐き出す事が出来、新八は満足げに笑みを浮かべた。

と、その瞬間隣から聞こえてきた小さな笑い声。

ハッとして顔を向ければ、口元を手で覆い、顔を背けて肩を
震わせている土方が。

そこで今までの自分の行動が、思いっきり見られていた事に
気が付いた新八は、瞬時に顔を赤く染めた。

「や、ちが・・あ・・・あの」

なんとか誤魔化そうとするが、うまい言葉が出てこずパクパクと
口を開けていると、未だ笑いを零している土方が
ポンポンと新八の頭に手を乗せてきた。

「や・・・結構さまになってたぞ」

そう言うものの、笑いの止まらない土方に新八はますます顔を
赤らめる。

「べ、別にさまになってたとかそんなんじゃなくてっ!
息してただけですから、僕!
ってかそんなにタバコ吸ってると、肺が真っ黒になりますからね!」

そう言って頭を振り、土方の手を落とすとザカザカと力強く
足取りを速めていった。

その頬は、既に風の冷たさを感じてはいなくて。

背後から聞こえる、笑いを忍ばせた土方の足音に、
新八はますます頬を赤らめたのであった。

*********************************
肩身、狭すぎます(泣)
 

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「うぅ、さむっ!」

買い物の帰り、身を突き刺すような風にブルリと肩を竦める。
天気が良く、日差しも十分なのだが、風が冷たい。

新八は手にしているビニール袋ごと手を上げると、
少しでも暖を取る為に忙しなく擦り合わせた。

こんな事なら銀さんに原チャリ出して貰えば良かったかな?
・・・あ~でもダメだ。アノ人がこんな寒い日に外に出てくる
訳がない・・・ってか、炬燵から出てくる筈がない。
それに、幾ら早く移動できるって言っても、その分風が
当たって寒いって事だしな~・・・うん、それはキツイかも。

やっぱ歩いてきて正解だったよ、うん。
そう思おう。


「・・・おい、もっと背筋伸ばして歩けって」


ブツブツとそんな事を考えながら歩いていると、不意に
そんな声が掛けられた。

しかも直ぐ後ろから。

「え!?って銀さん??」

驚いて振り向いてみれば、物凄く至近距離に見慣れた顔が。

「ちょ、振り向くんじゃねぇよ、ちゅ~すっぞ」

「すんなよ。
ってか何してんですか、そんな所で!」

自分の直ぐ後ろに背を丸めて立っている銀時に不審げな視線を向ける。

当たり前だ。気配も何も感じさせず、突然自分の真後ろに
ぴったりと居るのだから。

だが、銀時はそれを無視すると、

「何って見て判りませんか~?この寒空の下、買い物に出掛けた
新ちゃんを思って迎えに来たんだよコノヤロー」

いいから前向け。銀時は新八の頬を両手で掴むと、クルリと前を向かせた。
そして直ぐに両手を組んで着物の中に入れると、肘で新八の背中を
押し始める。
その力に、無理矢理歩かされる新八。
だが、この姿勢の訳が判らず、視線は後ろを向いたままだ。

「いや、迎えも何も、この体勢ってのが判んないんですけど・・・って
あぁ!もしかして銀さん、僕を風除けにしてません!?」

「ばっ!何言ってんのよ新ちゃん~。そんな事ある訳ねぇだろうが。
だってアレよ?体格的に言って無理あるでしょ?それ。
銀さんはただ、新ちゃんには常に前を見据えて歩いていって
欲しいだけでだなぁ・・・」

「・・・なんですか、それ。僕がちっちゃいって言ってんですか?
ってかそれならまず銀さんがお手本を示して下さいよ!」

首を竦めたままそう言い募る銀時に、新八はムッと眉を顰めると
すぐさま銀時の前からどき、その広い背中の後ろへと
身を隠した。

「ぅお!さむっ!!!ちょ、新八、本当寒いから!!」

突然全身に向ってきた風にブルリと体を震わせ、
背後に回った新八を振り返ろうとするが、今度は新八が
それを許さない。

ほぅっと風のこない状況に息を吐くと、新八は銀時の背中に
スリスリと額を擦りつけた。

「・・・僕、銀さんの背中にずっと付いて行こうと決めてるんです」

「え、ちょ、何この幸せな状況ぉぉぉ!!!
でも寒いっ!寒いから新八ぃ~。いや、心は暖かいけどね。
寧ろマグマのようだけどね、特に下半身が・・・」

「いいからさっさと歩けよ、風除け」

立ち止まって騒ぐ銀時の背中に、ゴツンと頭を打ち付ける。

「って、アレ?なんか一瞬にして身も心も寒くなったよ?
寒すぎて涙が出てきそうだよ?銀さん!!」

「わ~、銀さんの背中って広くて暖か~い」

「それ、滅茶苦茶心篭ってそうだけど、方向性は全然
違ってるよね?
期待しているのとは反対方向だよねぇ!?」

ダメだ!もう限界!!と、銀時はクルリと体を翻すと、
再び新八の後ろへと移動した。

「ちょ!風除け!?
何勝手に動いてるんですか!!」

「おまっ!せめて名前を呼べよ!!
ってかもうダメ。銀さん、オマエしか見えないから、コレ。
あ、口説き文句込みでな?」

「んなもん込めるなぁぁぁぁ!!!!」

なんとか後ろに回りこもうとする新八に、それを阻止しようと
する銀時。

それを何度か繰り返した後、それまでで一番冷たい風が
二人の体を過ぎ去っていった。

それにブルリと体を震わすと、ちらりとお互いの顔を
見合わせた。

「・・・ま、ここで言い合ってるより早く帰る方が
得策だな」

「ですね。ならここは平等に・・・」

新八はそう言うと、銀時の手を握り締めた。
滅多にない新八の行動に、一瞬銀時が目を丸くする。
それをクスリと笑うと、新八は握った手を軽く振りながら
歩き出した。

「こうしてないと、銀さんズルしそうですもん」

「・・・馬ぁ鹿。銀さん程全てに於いて嘘偽りなく生きてる人
いないよ?」

「あぁ、そこから既に嘘なんですね」

クスクスと笑う新八に、銀時はコノヤローとばかりに
繋いだ手に力を込める。
新八は、それに痛い痛いと文句を言いながらも、手を解こうとはせず、
代わりに繋いでいる手の方の肩で銀時を押しやった。

それに対抗するように、銀時もまた肩を押し付けて。

 

 

寒さも忘れた帰り道。

帰った先で待ち構えていたもう一つの温かさが加わり、

もっと暖かくなるまで、後少し。

****************************
無意識にラブ繋ぎしてそうで、割って入りたいです(おいι)

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冬はやっぱり炬燵にみかんでしょ。

俺はそれまでの定位置であるソファに別れを告げ、
最近新しい定位置となった炬燵の一角に座り込むと、
テーブルに置かれた籠の中からみかんを一つ手に取った。

「やっぱアレだな。炬燵には魔法が掛けられてるね、絶対」

自分の考えに酷く納得しつつみかんを剥いていると、炬燵の向こう、
つまり居間の方を掃除していた新八が呆れた視線を寄越してきた。

「炬燵って言うより銀さん事態に掛けられてるんじゃないんですか?
堕落と言う名の呪いが」

「いやいや炬燵にも絶対掛けられてるって。
ちなみに銀さんはその呪いを広い心で持って受け入れ、
共に生きて行く覚悟であります」

「そこは強い意志で持って解いていく
覚悟を決めてくださいよ。
ただでさえ天パの呪いが掛かってるんですから、一つぐらい
荷物を軽くして下さい」

「え?なに?これ呪いだったの?だったらセオリー通り
新ちゃんが銀さんにチューして下さい。
さすれば色々なモノが解き放たれます」

「なんだよ、色々なモノって。
とりあえずそのままの銀さんがやっぱり好きなんで、
今後一切チューはしない方向としま~す」

折角真剣にお願いしてみたのに、新八は軽くそう返すと
ゴミを掃き取り、そのまま箒を持って視界から消えてしまった。

・・・チキショー。こうなったら意地でも呪いが解けるまで
チューしまくってやる。
あ、でもそう考えたらナイス呪いじゃね?これ。
かなり強固な呪いだからね、銀さんのは。
多分毛根が死滅するかどうかまで行かないと、解けそうにないから。

よし、それまでずっとチューする勢いで行こう。
それ以降もずっとしていく心積もりで行こう。

人間、やっぱ中途半端は良くねぇ。
最後の最後まで、ずっとして行こう、チューを。

そう固く心に誓っていると、今度は縛ったジャ○プを持った新八が
炬燵の向こうを横切っていった。

あぁ、俺の聖書が・・・

そうは思ったが、何も言わずにおく。
以前文句を言ったら、知らないうちにそれ以外の俺の聖書(エ○本)
もれなく捨てられた事があるのだ。

結構上手いこと隠していたと思っていただけに、
色々びっくりだ。

最初は誰かに貸したか?とも思っていたのだが、どの隠し場所を見ても、
見事に一冊もなくそこで漸く捨てられた事に気付いたのだが・・・

まさか新八に「俺のエ○本どこやった!!」・・・なんて
聞ける筈もなく、泣き寝入りとなってしまった。
が、何処となく俺の態度で気付いたんだろう、ある日新八が
酷く優しげな笑顔で、

「銀さん、聖書は一つでいいですよね?」

と言ってきた。

当ったり前だろうがコノヤロー!!
銀さんの少年的心をなんだと思ってんだ!?
何個も聖域を持つほど広かねぇんだからな?コンチキショー。
って事で昼と夜、それぞれに一つずつ必要です。
本当、ごめんなさい。

で、とりあえずそこら辺は量だけきちんと制限していれば
黙認してくれるらしい。
いやはや、俺の聖母は中々心が広い。

という事でサラバだ、俺の聖書。
夜の聖書の為にも、その身を犠牲にしてくれ。

少し涙ぐみながら、剥いたみかんを食べていると、雑誌を玄関に
置いてきたらしい新八が再び横切っていった。

今度は何をする気なのだろう。

モグモグと口を動かしながら、先程からチョコマカと動きまくっている
新八を目で追う。

すると、少ししてから今度は急須と湯呑みを載せたお盆を持って
新八が姿を現した。

「はい、お茶です」

そう言ってお茶を淹れた湯呑みを俺の前に置いた。

「あんまりみかん、食べ過ぎちゃダメですよ?」

そう言って笑う新八の視線の先には、既に二つ目を剥きだしている
俺の手が。

「これもある意味呪いだな」

ついつい手が出ちまう。しみじみ言うと、新八が小さく噴出した。
見上げればまだ立ったままで、直ぐにでも立ち去りそうだ。

案の定、馬鹿ばっかり言って。 と笑いながら、その場を離れようと
しているので、俺は慌てて新八の袴を引っ張った。

それに新八はクルリと振り返ると、小さく首を傾げる。

「なんですか?」

「よく働く新ちゃんにご褒美」

問い掛けてくる新八に、俺は剥いたみかんを一房手に取り、
新八へと差し出す。
新八は苦笑し、お手軽なご褒美だな~。等と言いつつも
みかんを貰う為、俺に手を差し出してきた・・・が、
俺はその手を避けるように、みかんを引き寄せる。

その行動に不審げな表情を浮かべる新八に、俺はニッと笑うと、

「はい、あ~ん」

そう言い、再び新八へとみかんを差し出した。
新八は一瞬目を見開くも、こうなった俺が言う事を聞かないと言うのを
理解しているのだろう。
顔を赤らめ、少し怒っているぞ、と言う風に眉を寄せると、
それでも素直に体を屈め、口を開けてくれた。

それに俺はポイッとみかんを放り込むと、そのまま新八の腕を引き、
序に俺の唇も新八へと差し出してみる。

驚く新八を無視し、暫しみかんと新八の味を堪能する。

あ~、やべ。
本当に色々なモノが解き放たれそう。

だが、昼真っからそんな事をすれば、後で新八の何かが
解き放たれてしまう。

俺はぐっと我慢し、最後に可愛らしい音を立てて新八の唇に
暫しのさよならを告げると、座り込んでしまった新八の頭を撫でて、
重い腰を上げた。

少し涙目になりながら、こちらを恨めしそうに睨む新八に
一つ苦笑を返すと、固まった体を伸ばす。

「さて・・・と。新ちゃんのお陰で炬燵の魔法は解けたみたいだから、
今日の夕ご飯は銀さんが作ってやらぁ」

新ちゃんはゆっくり炬燵の魔法にかかってなさい。そう告げて
新八の愛ある罵声を浴びながら、台所へと向った。

 

 

 


その後、こちらも何かの呪いにかかってんじゃね?と思いたくなるような
隙間だらけの冷蔵庫を前に、一頻り悩み、買い物にでも行くか・・・と
和室へと戻ってきた所、炬燵に潜り込んで眠っている新八を発見した。

どうやら見事に炬燵の魔法に掛かったらしい。

気持ち良さそうに眠る新八に、

「やっぱ眠り姫にはチューだよなぁ」

と、嬉しそうに俺が呟き、実行したのは、言うまでもない。

**********************************
日々、コタツの魔法にかかってます。
あの威力・・・半端ねぇ!!

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「全く、お子様は元気だね~」

いつの間にか日課となってしまった、放課後のお手伝い。
静かな資料室の中で、ボソリと先生が呟いたのが聞こえた。

視線を上げれば、そこには手を止めたままボンヤリと窓の外を
眺めている先生が居て、つい僕も窓の外へと視線を移した。

そこには夕陽に染まったグランドで部活動をしている生徒達が。

「寒いのにさ~、本当よくやるよ。」

「先生、その発言おっさんぽいですよ」

ってか早く手を動かしてくださいよ。そう言うと、先生はへいへいと
返事を返しながら、手元の書類へと視線を落とした。

動き出した手を確認し、僕もそれまでの作業に戻る。

夏休み前の告白まがいな事から、はっきりとした告白を受けてしまった後、
僕達はどうなったかと言うと・・・実はそんなに進んでいない。

と言うか、実ははっきりと返事をしてなかったりする。

や、学校のある日はこうして放課後残って、一緒に居るんだけどね。
帰りも大体送ってもらってたりするんだけどね。
休みも、時々一緒に出掛けたりしてるんだけどね


セクハラも偶にされてるんだけどね。



でも・・・返事はしてないんだよね、僕。

なので未だ正式にお付き合いしてるって感じでは・・・ない。

なんかね・・・もうこうなるとタイミング?
ってか勢い?そう言うものが大事だと思うんだよね。
なんか今更って感じもあるし・・・

それに・・・あれから先生、何にも言ってこないし。

や、セクハラはするんだけどね。

でも・・・本当の所、先生はどう思ってるんだろう、この状況。
もしかして、もう付き合ってる感じなのかな?
それとも、ちゃんとした返事を返さないから諦めちゃった?

・・・どっちにしろ、聞きにくい事に変わりない・・・か。

ちらりと視線を向ければ、何故かこっちを見ていた先生と
目が合って、僕は慌てて視線を戻した。

ってかなんであの人こっち向いてんのぉぉぉ!!!
仕事しろよコノヤロー!!!

一人焦っていると、のんびりとした先生の声が掛けられた。

「なぁ、新八ぃ」

「な、なんですか!」

焦ってるせいか、少しだけ大きな声を出してしまった気がする。
が、先生は気にしていないようで、そのまま言葉を続けた。

「外、寒いよなぁ?」

「・・・そりゃそうでしょ」

何を言い出すんだか・・・とドキドキしている心臓を押さえつつそう返せば、
机の向こうで大きな溜息が聞こえた。

なんだろう、そんなに寒いのが嫌いなのかな?

コトリと首を傾げていると、先生は小さくペンを持っていない手を振った。

「先生さ~、寒がりなのに手袋、忘れちゃったんだよねぇ」

「はぁ・・・」

ってかそんなの何時も持ってたっけ?

思い返したが、そんなのしてなかったように思う。
それを言おうとする前に、再び先生が口を開いた。

「ちなみに上着のポケットは片方破けててスースーです」

「あ、縫いましょうか?」

そう言ってみたが、それはまた今度頼む。と言われた。

どうやら先生の要求しているものは違ったらしい。
・・・が、依然何を言いたいのか判らない。

「これが終わる頃には真っ暗だろうしさ、そうすっとますます
寒くなんじゃん?俺、耐えられないかも~」

首を傾げている間も、先生の言葉は止まらない。

や、それだと僕も同じ状況になるんですけど?
僕だって手袋、持ってないし。
・・・まぁポケットは破れてないけど。

「と、言うことで・・・だ。新八君」

訳が判らないままの僕の前で、先生はやっと話を止めると
口元を緩く上げた。

「そろそろ正式に、身も心も暖めてくれる恋人にならねぇ?」

ちなみに入れてくれるポケットも募集中です。そう言って掌を
差し出してくる先生に、それまで冷静になっていた頭が
再び沸騰する。

突然の事に、ただパクパクと口を開いていると、

「お~、新八は暖かそうだなぁ」

ほっぺ真っ赤っか。と、先生は嬉しそうに笑みを広げた。
それに僕は、先程までの考えなど遠くの彼方に放り投げた。

さ、最悪だこの人!なんでこのタイミング!!?
や、ってかタイミング良すぎぃぃ!?
そりゃあ今更聞き辛いなぁとか思ってたけど・・・
思っていたけれどぉぉぉぉ!!!

「こ、これは夕陽のせいです!」

僕は慌てて顔を背けると、目の前の資料を睨みつけた。

「ん~?でももう陽も沈んで・・・」

「ません!!まだありますっ!」

ほら、さっさと終わらせますよ!!そう言って顔を背け、
乱雑に手にしていた資料を棚に戻す。
なんだかポカポカしてきて、余計に頬が赤くなっていくのが
判り、ますます感じる熱は高くなる。

あ~、もう絶対先生、僕の返事判ってるじゃん!
判ってて聞いてるよね、それっ!

ククッと笑みを零す先生の声を聞きながら、僕は今日の帰りにでも
新しく住人になるであろう、自分よりも幾分大きな手を思った。

 

・・・どうやら今年はそんなに寒さを感じなくてすみそうだ。

**************************
漸くお付き合いスタート(笑)

拍手[5回]



ピチョン・・・と天井から落ちてくる水滴をぼんやりと眺めながら、
俺は最近あった事を考えていた。

思春期だ、難しいお年頃だ・・・と考えていたウチの
お子ちゃま達は、どうやらそのまんまお子ちゃまだったらしい。


下着ありな洗濯物も関係なく出し、洗う。

着替え中だろうがあまり関係ないし、気にしない。


・・・ってこっちが気になるわぁぁぁ!!!!


ちょ、本当さ、君達自分の年齢と性別を思い出してみようよ。
一応お年頃と言われる年代で、異性同士よ?

何平然とそんな事してんのさ。
見てる銀さんがドキドキすんじゃん!!!??

や、いい事だよ?そういうのもなんか本物の家族って感じで。
家族だったらさ、そんな事気にしないし?
意識もしないし?

傍から見れば、本当アイツラ兄妹か?って感じだし?

・・・いや、寧ろ母と娘か?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・いいなぁ、それ。


って、いやいや違う。
そんな事に幸せを噛み締めてる場合じゃないって。
や、そんな事じゃないけどね?とってもいい事だけどね?


・・・ぶっちゃけ思春期からは程遠いよな、アレ。

 

小さく頷きながら、ザブリとお湯を掬い、顔を洗う。

まぁ考えてみれば、変に意識持たれるのもイヤだしな。
そう考えると、今のままでいいのか?
あ~、でも一応あいつ等の保護者としては、
この先の二人の将来が大変気になったりもする。

だってこの間呑んで帰って来た時、あいつ等一つの布団に
並んで寝てたしな。

あれは・・・さすがにダメだろう。
幾ら仲良し家族でも、年齢的にアウトだろう。


・・・でも可愛かったよなぁ、あれ。
なんっつうの?天使?
寝顔は天使だって言葉、本当
あいつ等の為にある様な言葉だと思ったしね!
や、でもさすがにアレだよ?
そんな親馬鹿的な事、言葉に出してないよ?
ちょっと一時間ぐらい眺めて、序にカメラに収めたぐらいで
我慢したからね?銀さん。

その後、間に入り込もうとして
容赦なく定春に噛まれたけど、
ちょっと幸せだったから、あれ!!

・・・や、俺も入れてくれればもっと幸せだっんだけどね。
川の字のなれば、まんま幸せ家族だったから!


・・・よし、アレはギリギリセーフと言う事にしておこう。
で、次の時は絶対入り込もう。


うん、アレはありだ。



って事は・・・やっぱ他のもそれなりにありか?

首を捻って考えてみるが、明確な答えは出てこない。
う~ん・・・やっぱ俺が気にしすぎなだけか?

とりあえず髪でも洗うか・・・と、湯船から上がり、
洗い場に腰を降ろしてシャンプーに手を掛けるが、
中身が出てこない。

そう言やぁ昨日で使い終えてたっけな。

新八に言おうと思ってて忘れていたのに気付き、
俺は風呂の扉を開け、詰め替えを持ってきてくれるように頼む。

そして一応、軽くではあるが隠すものは隠しておく。

流石に神楽は来ないと思うものの、あのお子ちゃま度では判らない。
ってか、新八が来てもちょっと恥ずかしい気がする。


あれ?なんか一番思春期なのって俺じゃね?


思い至った考えに、なんだか気恥ずかしい気分で待っていると、
ドタドタと言う足音がやって来て、豪快に扉が開けられた。

っておまっ!幾らなんでもそんな堂々と!!


慌てて振り返ってみれば、そこには・・・

 


「ワフッ!」

 


予想していたお子ちゃま達ではなく、定春が詰め替え用を咥えて
立っていた。

そして呆然とする俺を尻目に、定春は咥えていたものを
扉近くに置くと、これまた器用に前足を使って
扉を閉めていった。

・・・なんだかちょっと嫌そうだったのは気のせいだ、うん。

ってかさ、えっと・・・なんだろう?
あぁ!アレだ!!
面倒だったからだ、うん!
あ~、もう仕方ねぇなぁ、あいつ等。
不精もいいトコじゃね?これはもう出たら説教ね、説教。


・・・・しないけどさ。



あ、違うよ?否定されたら・・・とか全然思ってねぇから!
ってか、単に恥ずかしかったからじゃね?
うん、きっとそうだ。ってかそれだね!
ほら、ウチの子達、お年頃じゃん?
思春期真っ最中じゃん?
だから・・・ってさっき程遠いって自分で
断言してたじゃんんんん!!
やっぱなしね、思春期なし!
テレビにしよ、テレビ。それ決定。
だってなんか、すっごく楽しそうな声がしてるもんね、居間の方から!

あ~、なら仕方ねぇよな。やっぱテレビとかって大事じゃん?
見てないとその後がついてけなくなったりすんじゃん?
ほら、銀さん大人だし?そこら辺は心広い訳よ。
こんなん誰が持ってきても同じだしね?
詰め替えれればいい訳だし、うん、結果オーライ。
や~、良かった良かった。やっぱシャンプーはこれでねぇとな。
泡立ちが違うね、うん。
って、良すぎて目に入るからね、これ。

あ~あ、ホラ、やっぱ入っちゃったよ。
ヤバイね、沁みて涙が出ちゃったよ。
や、これシャンプーのせいだからね?
別に哀しいとかじゃないから。痛いだけだから、目が。
決して心とかじゃないからぁぁあ!!!!

 

 

勢い良く洗いすぎた為か、その日の銀時の髪は気分とは
裏腹に、とてもフワフワとしたものに仕上がったという。

*******************************
とりあえず思春期話終了(笑)
ちなみにお子様達は普通にテレビに夢中です。

拍手[2回]


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