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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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「うぅ、さむっ!」

買い物の帰り、身を突き刺すような風にブルリと肩を竦める。
天気が良く、日差しも十分なのだが、風が冷たい。

新八は手にしているビニール袋ごと手を上げると、
少しでも暖を取る為に忙しなく擦り合わせた。

こんな事なら銀さんに原チャリ出して貰えば良かったかな?
・・・あ~でもダメだ。アノ人がこんな寒い日に外に出てくる
訳がない・・・ってか、炬燵から出てくる筈がない。
それに、幾ら早く移動できるって言っても、その分風が
当たって寒いって事だしな~・・・うん、それはキツイかも。

やっぱ歩いてきて正解だったよ、うん。
そう思おう。


「・・・おい、もっと背筋伸ばして歩けって」


ブツブツとそんな事を考えながら歩いていると、不意に
そんな声が掛けられた。

しかも直ぐ後ろから。

「え!?って銀さん??」

驚いて振り向いてみれば、物凄く至近距離に見慣れた顔が。

「ちょ、振り向くんじゃねぇよ、ちゅ~すっぞ」

「すんなよ。
ってか何してんですか、そんな所で!」

自分の直ぐ後ろに背を丸めて立っている銀時に不審げな視線を向ける。

当たり前だ。気配も何も感じさせず、突然自分の真後ろに
ぴったりと居るのだから。

だが、銀時はそれを無視すると、

「何って見て判りませんか~?この寒空の下、買い物に出掛けた
新ちゃんを思って迎えに来たんだよコノヤロー」

いいから前向け。銀時は新八の頬を両手で掴むと、クルリと前を向かせた。
そして直ぐに両手を組んで着物の中に入れると、肘で新八の背中を
押し始める。
その力に、無理矢理歩かされる新八。
だが、この姿勢の訳が判らず、視線は後ろを向いたままだ。

「いや、迎えも何も、この体勢ってのが判んないんですけど・・・って
あぁ!もしかして銀さん、僕を風除けにしてません!?」

「ばっ!何言ってんのよ新ちゃん~。そんな事ある訳ねぇだろうが。
だってアレよ?体格的に言って無理あるでしょ?それ。
銀さんはただ、新ちゃんには常に前を見据えて歩いていって
欲しいだけでだなぁ・・・」

「・・・なんですか、それ。僕がちっちゃいって言ってんですか?
ってかそれならまず銀さんがお手本を示して下さいよ!」

首を竦めたままそう言い募る銀時に、新八はムッと眉を顰めると
すぐさま銀時の前からどき、その広い背中の後ろへと
身を隠した。

「ぅお!さむっ!!!ちょ、新八、本当寒いから!!」

突然全身に向ってきた風にブルリと体を震わせ、
背後に回った新八を振り返ろうとするが、今度は新八が
それを許さない。

ほぅっと風のこない状況に息を吐くと、新八は銀時の背中に
スリスリと額を擦りつけた。

「・・・僕、銀さんの背中にずっと付いて行こうと決めてるんです」

「え、ちょ、何この幸せな状況ぉぉぉ!!!
でも寒いっ!寒いから新八ぃ~。いや、心は暖かいけどね。
寧ろマグマのようだけどね、特に下半身が・・・」

「いいからさっさと歩けよ、風除け」

立ち止まって騒ぐ銀時の背中に、ゴツンと頭を打ち付ける。

「って、アレ?なんか一瞬にして身も心も寒くなったよ?
寒すぎて涙が出てきそうだよ?銀さん!!」

「わ~、銀さんの背中って広くて暖か~い」

「それ、滅茶苦茶心篭ってそうだけど、方向性は全然
違ってるよね?
期待しているのとは反対方向だよねぇ!?」

ダメだ!もう限界!!と、銀時はクルリと体を翻すと、
再び新八の後ろへと移動した。

「ちょ!風除け!?
何勝手に動いてるんですか!!」

「おまっ!せめて名前を呼べよ!!
ってかもうダメ。銀さん、オマエしか見えないから、コレ。
あ、口説き文句込みでな?」

「んなもん込めるなぁぁぁぁ!!!!」

なんとか後ろに回りこもうとする新八に、それを阻止しようと
する銀時。

それを何度か繰り返した後、それまでで一番冷たい風が
二人の体を過ぎ去っていった。

それにブルリと体を震わすと、ちらりとお互いの顔を
見合わせた。

「・・・ま、ここで言い合ってるより早く帰る方が
得策だな」

「ですね。ならここは平等に・・・」

新八はそう言うと、銀時の手を握り締めた。
滅多にない新八の行動に、一瞬銀時が目を丸くする。
それをクスリと笑うと、新八は握った手を軽く振りながら
歩き出した。

「こうしてないと、銀さんズルしそうですもん」

「・・・馬ぁ鹿。銀さん程全てに於いて嘘偽りなく生きてる人
いないよ?」

「あぁ、そこから既に嘘なんですね」

クスクスと笑う新八に、銀時はコノヤローとばかりに
繋いだ手に力を込める。
新八は、それに痛い痛いと文句を言いながらも、手を解こうとはせず、
代わりに繋いでいる手の方の肩で銀時を押しやった。

それに対抗するように、銀時もまた肩を押し付けて。

 

 

寒さも忘れた帰り道。

帰った先で待ち構えていたもう一つの温かさが加わり、

もっと暖かくなるまで、後少し。

****************************
無意識にラブ繋ぎしてそうで、割って入りたいです(おいι)

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