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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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道を歩いていると、嫌なやつに会った。と言うか勝手に前から歩いてきた。
本当、そんなに狭くもねぇ街だと思うんですけどね?ここは。
てかプラプラ歩いてるだけの俺と遭遇って、
どんだけテメーもプラついてんだって話だ。

仕事ねぇのかよ、お前は。
言っとくが俺はねぇ。

とりあえずそのツラ見るだけで腹が立つが、こいつの為に自分の進む方向を
曲げたくねぇ。
なので こっち来んな。 と念を飛ばす。

・・・が、あっさりと俺の前まで来やがった。

本当、空気読め、お前。

そして何時もの如く、向き合う。

「おうおう、多串くんよ~。相変わらず何もしてない人も土下座する勢いの
面構え
してんじゃねぇの。何、その眉間の皺。
5百円玉何枚挟めるか挑戦でもすんの?判った、とりあえず俺も
協力してやるから5百円寄越せや」

「はっ!土下座するヤツはそれなりの事してんだよ。
ってか誰がするか、そんな挑戦!
大体協力するなんて言っておきながら、絶対ぇ猫糞すんだろ?
よ~し、恐喝未遂で逮捕だ。大人しく首出せ」

「おいおい、善意の行為に対してその言い草はねぇんじゃねぇの?
やだね~、これだから幸薄い人生送ってきたやつは。
ってか逮捕でなんで首?何か単語忘れてませんかぁ?」

「いいんだよ、首で。
ちょっと叩っ斬るだけだからよ。
っつうか明らかにテメーの方が幸薄い人生だろ、その頭が証拠だ」

「斬ったらちょっとも何もねぇよ。
お前逮捕の意味間違えてない?
一回辞書引いて恥ずかしさのあまり
首吊って来いよ、な?」

「何説得入ってんだ、おいぃぃぃぃ!!!!」

やっぱ叩っ斬る。と刀に手を掛ける土方に、銀時は緩く首を振って肩を
竦める。

「やっぱり不幸モンは短気だねぇ。俺を見てみ?
あまりの幸せライフに、全てが余裕だから。」

「テメーの場合は頭と財布が余裕過ぎてスカスカなんだよ」

ははん。と笑う銀時に、土方は忌々しげに呟き息を吐くと、刀に置いていた手を
離した。
そしてタバコを取り出すと、一本取り出して火をつける。

「ったく、なんでこんなヤツの所にあんな勤勉なヤツが居んだか・・・」

土方の零した言葉に、銀時の眉が微かに上がる。

「何?俺の幸せの源・新ちゃんがどうしたって?
言っとくがな、眼鏡=勤勉なんて連想、今時古いぞ?
今は眼鏡=新八だ」

「いや、意味判んねぇし。
ってか妙なキャッチフレーズつけてんじゃねぇよ
何か可哀想だろうが」

呆れ顔でそう言うと、土方は深々と煙を吐き出し、ちらりと視線を
銀時へと向ける。

「・・・それよりよ、なんであいつに
稽古なりなんなりしてやらねぇんだ?」

「・・・何それ」

土方の言葉に、それまで緩い表情だった銀時の顔が少しだけ変わる。
それを見、土方は何か思案するように頭を掻いた。
どうやら目の前の男はこれを言う為に、態々自分の前まで来たらしい。
土方は面倒臭そうに、だが止める事無く言葉を続けた。

「今日もそうだったがよ、近藤さんを探しに行くと時々新八が一人で
稽古してんのを見掛けんだよ」

道場自体が珍しくなってしまったこのご時勢、それも仕方ないだろう。
それでも剣を捨てず、一人頑張っているその姿に、土方は好感を抱く。
けれど幾ら頑張ったとしても、一人では限界があるのだ。

そこでつい土方は一言二言、助言してしまうのだが

「テメーは何も言わないらしいな」

その上稽古らしきものもつけてもらった事がないらしい。

自分の些細な助言に真剣に耳を傾け、頑張っていた少年は
困ったように笑い、そう答えていたのを思い出す。

銀時はそんな土方を見ると、小さく肩を竦めた。

「当ったり前ぇだろ。もしアイツが教えを乞うてこようが、
俺は何も言うつもりはねぇよ。
・・・ってかお前にも構って欲しくねぇんだけどな」

「あぁ!?!テメー、どう言う意味っ・・・」

銀時の答えに、土方の目尻がキッと上がる。
そして手を伸ばし、襟首を掴んだ所でピタリと動きが止まった。

銀時の手が、その手を止めていた。

「いいか、アイツのは『何も』知らない、けれど何かを『守る』剣だ。
そこに『斬る』為の剣しか知らねぇヤツが何を言えってんだ?」

ギラリと鈍く光る銀時の目に、土方は一瞬、勢いをなくす。

そう、土方の言うとおり、自分は新八に何も言った事がない。
だがそれは、言わない・・・のではなく、言えない・・・のだ。

自分の言葉一つで新八の『剣』に、『実戦向き』の・・・『人を要領良く殺す』
剣が加わってしまうのが怖くて。

折角そんなものを知らないのに。

知らないままで、いい状況なのに。

俺は知らない。

そんなものしか知らないのだ。


「俺には、何も言えねぇのよ」


銀時は小さく苦笑を浮かべた。

「寧ろ俺がアイツに教えて貰ってんだよ、『守る』って意味を。
・・・まぁ本人は無自覚だけどな」

銀時は少しバツが悪そうに眉を顰めると、掴んでいた手を
突き放すように離した。

その勢いに土方は二三歩後ずさると、微かに口元を緩め、
銀時は面白くなさそうに口を曲げた。

少し、話し過ぎちまったな。

銀時は盛大に頭を掻くと、止めていた足を再び動かした。

「ま、それにアレだ。俺が新八相手に稽古なんてつけれる訳ねぇだろ。
アイツ相手に木刀振るうとか、マジ考えらんねぇっての。
そんな事になったら、全力で手を抜くね、俺ぁ」

本命相手にそんなSプレイはしねぇ。そう言って土方の横を通り過ぎていく
銀時に、土方は笑いを含ませた声で へいへい。 と返事を返した。

「ってかテメーも勝手に口出してんじゃねぇよ!
何だ、おい。自分色に染める計画発動中ですか、コノヤロー!!」

「基本だけだ、基本だけ。
しかし、それで言ったらアイツがテメーの色に染まるのは
五十年後か?」

「髪の色の事じゃねぇよ!!
つうか俺のは銀だって言ってんだろうがぁぁぁ!!」

振り返って叫ぶが、既に土方も歩き出している。
銀時はその背中に小さく舌打ちをした。

・・・やっぱ話過ぎちまったな。
最悪だ、アイツ。・・・今から頭殴ったら記憶飛ぶか?

そんな考えが浮かぶが、態々アイツの為に引き返すのもムカつく。
そんな事するぐらいなら、少しでも早く帰りたい。

自分に守るべき意味を教えてくれる、あの少年と、あの空間に。

銀時は動かしている足を、少しだけ早めた。

********************
坂田、真実の愛に目覚める(違うι)
とりあえずウチの坂田は稽古はつけません、
怖がりでヘタレなんで。
それを新ちゃんは知ってるので、あえて教えて貰おうとは
しません。
でも、馬鹿だな~。とは思ってます(笑)

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夕ご飯の片づけを終え、居間へと戻ると銀さんがソファにダラリと座り
テレビを見ている所だった。

神楽ちゃんはさっきお風呂に入ったから、今ここに居るのは銀さんと
多分ここからは見えない所で横になっている定春だけ。

銀さんは僕が台所から出てきたのに気付いたのか、視線をテレビから外し、
チラリとこちらを見ると、

「おぅ、お疲れ~」

と言って再び視線を戻してしまった。
その態度は何時もと変わりない。

けど僕は知ってる。
こうしている今も、銀さんに色々と我慢を強いていることを。
色々と、見逃してもらっている事を。

それはこの間、妙に真剣な顔の銀さんから 僕からも言葉が欲しい・・・と言われ、
確信へとなったのだけれど。

 

銀さんは何時でも言葉をくれる。
そりゃ~もう、こちらが恥ずかしくなるぐらいの言葉を。

けれど、それを聞くと、僕は嬉しいやら恥ずかしいやらで
いっぱいいっぱいになってしまうのだ。

本当は僕だって言いたい。
告げたいのだ。
この溢れんばかりの気持ちを、銀さんに。

 

けれど、色んな感情がいっぱい溢れ出し過ぎてて、
結局何一つ言葉として出てきた試しはない。

 

本当子供だ、僕って。

その証拠に、銀さんの本気を送られると、つい体が竦んでしまう。

想いが怖い訳じゃない。
言葉が重い訳でもない。

でも・・・見慣れてないのだ、そんな瞳は。

子供な僕の気持ちを理解しているのか、時折銀さんは
軽い言葉を僕に送ってくる。
頑張って、本気を小出しにしてくれている。

それは銀さんの優しさだ。
ちょっと有難い。

だけど僕はそんな優しさは嫌いだ。
だってムカつく。

矛盾してるけど仕方ない。
だって僕はまだまだその手の事に関してはお子様で、
けれども凄く好きなのだから、銀さんが。


大体普段は子供っぽいくせに、こんな時だけ
大人の余裕ぶりやがって!!

あの時だってそうだ。
結局、僕が頑張って頑張って、勇気を出そうとしている時に、
あっさりと妙な優しさを出してきやがった。

・・・まぁ報復はしたけどね。

けれど次の日にはまた普通に戻ってた。
時折僕が噛み付いた痕に手を添えてニヤけてはいたが。
けれど、以前のように言葉と態度を僕に送り続け、僕には
何も求めようとしなかった。

・・・なんか思い出したらムカムカしてきた。

僕はのんびりとこちらに背を向けている銀さんへと足を踏み出した。

大体ねぇ僕だって銀さんの事、負けないぐらい好きなんですからね!!
やれば出来る子なんですよ、僕!

背後に立った僕を不思議に思ったのか、銀さんが顔だけこちらに向けてきた。

「何?どうかしたのか?」

不思議そうに見返す銀さんに、少しだけ僕のムカつきが収まる。
・・・と、同時に恥ずかしさが顔を出してくる。

が、ここで引いちゃダメだ!頑張れ、僕!
子供なりの覚悟を見せてやれ!!

僕は覚悟を決めると、その頬に向け唇を落とし、小さく言葉を吐き出した。

その瞬間、銀さんの目が面白いように見開かれる。

「し、新八!?今、お前・・・!!」

そして凄い勢いでこちらに体を向けてくるので、僕はさっとその場から
体を離すと、

「今日はもう帰ります!お休みなさ~い!!」

と一方的に告げ、一気に玄関を目指した。
後ろから銀さんの慌てた声と、何かが倒れる音がしたけど、無視する。

だってなんか、今捕まったらまた見慣れない銀さんが居そうなんだもん!!

ごめんなさい、色々偉そうな事思ったけど、やっぱまだ無理。
もう少し待って下さいぃぃぃ!!!
今の僕にはアレが精一杯ですぅぅぅぅ!

玄関を勢い良く閉め、そのまま家に向って走り出した。

恥ずかしかったけど、かなり勇気がいったけど・・・
でも何でだろう、今すっごく幸せだ。

僕は走りながらニンマリと笑みを浮かべると、万事屋に居る銀さんを
思った。

こんな気持ちになれるなら、もう少し頑張れるかもしれない。
少しずつでも、気持ちを出していけるかもしれない。

それは色々と我慢してくれてる銀さんの頑張りとは
比べられないかもしれないけど。
銀さんのくれるモノと比べれば些細なモノかもしれないけれど。

だけど頑張るから、きっと頑張るから。

「今に見てろよ、コノヤロー」

空を見上げて一人、エールを送った。

****************************
密かに頑張ってる新ちゃん。
だからもう少し頑張って我慢しとけ、坂田(笑)

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大分過ごしやすくなった午後、神楽は既に弾丸のように飛び出して行って
ここにはいない。

居るのは俺と新八の二人だ。

おまけに新八は今の時間までにやるべき事はやってしまったらしく、
のんびりとお茶を飲みながらテレビを見ている。

・・・これってチャンスじゃね?

俺は日頃から思っている事を何気なく口に出した。

 

 

 

「・・・・・は?」

「いや、『は?』じゃなくて。そんな白けた目で見るのでもなくて。」

折角ちょっとだけ勇気を出して聞いてみたのに、新八から返って来たのは
間抜けな返事と白けた視線。

俺は軽く息を吐き、寝転がっていたソファから体を起こした。

「銀さんさ、ぶっちゃけお前の事好きじゃん?
言葉にも出してるし、態度にも出しまくりじゃん?」

なのにお前から言って貰った事、ねぇなぁと思って?そう言って新八を
見ると、居心地悪そうに視線を手に持っている湯呑みへと落とした。

そう、俺は新八が好きだ。
それを告げた時、新八も嬉しそうな恥ずかしそうな、そして泣きそうな顔で
同じ気持ちだと答えてくれたのだ。

あれは・・・ヤバかった、本当。
だって嬉しすぎて泣いたからね、俺。
恥ずかしがって顔を上げなかった新八、最高。超空気読んでる。
だってあの顔は流石に見せられない、年上として。

で、それからと言うもの惜しみなく、満遍なく、俺は新八への気持ちを
言葉にし続けてきた。

・・・ま、自然と出ちゃうんだけどな。
止められないんだけどな、自分では。

けれど、新八はと言うと・・・大抵頬を染めて頷くか、嬉しそうに笑うか
だけで、言葉にして返してくれない。

しかもなんか最近では時折怒るようになってきた。
なんでだ??

とりあえずその理由を聞くと、新八はムスッと小さく口を尖らした。
チクショー、そんな口すんな、ちゅうすっぞ。

ぼんやり見詰めていると、言い難そうに新八が口を開いた。

「・・それは・・だって銀さんが、軽く言ってるような気がして・・・」

新八の答えに、俺は あ~・・・と微かに視線を上げた。
確かにそんな感じに聞こえるよう、ワザと言ってる時もある。
だけど・・・

「そりゃあお前・・・アレだ・・・」

俺が気持ち全部乗っけて言うと、怖がるじゃん、お前。

多分本人は無意識なんだろうけどな、ちょっとだけ怯えた感じになるんだよね。
まぁ新八はまだ子供だしな。
俺も自分の本気加減を自覚しているだけに、それも仕方ねぇって
思うしな。

だからもう少し、時間を掛けて少しずつ慣れて貰おうって
思ってたりしたのよ。


でも、それで本気に取られてないってのは、困る。


俺はじっと新八を見詰めて、言葉を続けた。

「それでも、俺の言葉は全部本気だぜ?」

それは判ってくれ。そう言うと新八は俯いたままコクリと頷いた。

あ~・・・ヤバイヤバイ。今気持ち全部乗っかってたっぽくね?
ここで怖がらせてどうすんだよ、俺。
大体なぁ、新八が戸惑うのも判るんだよ。
だって俺だよ?銀さんの本気だよ?

自分でも引くってぇの。
そんな重くて鋭くてドス黒いの。
本当、性質が悪ぃったらねぇだろ、おい。


だからもう少し・・・もう少しだけ様子を見なければ。


俺は軽く息を吸い込むと、パンと膝を叩いた。
その音にびっくりしたように新八が顔を上げる。
俺はそれにニヘラと笑いかけるとソファから立ち上がり、
新八の隣へと移動して腰を降ろした。

「ま、そう言う訳だから。偶には新ちゃんからも言ってくれや」

出来れば今すぐ。と、固くなっている新八の背凭れに腕を回し、
ニヤニヤと笑って告げた。
すると一気に新八の顔が赤く染まる。

「な、何がそう言う訳なんですか!!そう軽々しくいえません!」

「いやいや、軽々しくないよ?大事だよ?銀さんだって
不安になる時もあるんだよ?あんまり言ってくれないと」

そう言うと、新八はうっと言葉に詰まり、僅かに視線を逸らした。

「そう言うのは・・・その・・僕の態度から察して下さいよ」

銀さん、大人なんだし。恥ずかしそうに言う新八。
その態度からばっちり察する事が出来たが、まだダメだ。

これからも頑張らなければいけない俺に、もう少しご褒美をくれ。

「銀さん、心は何時でも少年だから判りません。
ってか言うのがアレなら態度でもいいぞ~。もう少しはっきりとした」

そう言って俺はチョイチョイと自分の頬を指差した。
ここで唇を指差さなかった俺は、えらいと思う。

・・・が、新八は何の事か判らなかったらしく、コトリと不思議そうに
首を傾げた。

いやオマッ、それ・・・・

もう少し自分大事にしろぉぉぉぉぉ!!?

俺の理性を舐めんな!案外ヤワだから!!
って違う違う、我慢しろ~、お前はやれば出来る子だぞぉぉ銀時ぃぃ。
これを乗り切ればご褒美が待ってるぞ~。

心の葛藤をなんとか表に出さず、俺はもう一度頬を指差した。

「ちゅうだよ、ちゅう。言うのが恥ずかしいならちゅうして下さぁい」

そう言うと新八の顔が、火が出るんじゃないかってぐらい赤くなった。

「も、もっと恥ずかしいじゃないですかぁ!!!」

「俺は嬉しいけどな」

さぁ、どうする?そう言って背凭れに回していた手を新八の肩に置き、
ついでに膝の上で握り締めていた手も掴んでしまう。

これで新八には逃げ場は無い。

どっちが来たとしても俺としては嬉しい限りで、思わず頬が緩む。
見れば新八は漸く自分が置かれた立場に気付いたらしく、
悔しそうにこちらを睨んでいた。

・・・てな、お前顔真っ赤にして、涙目でそんな事しても
逆効果だから。
張り切る一方だから、銀さん。

「新八く~ん?」

ニマニマと呼び掛けると、漸く覚悟が決まったのか、新八はグッと唇を噛み締め、
徐々に顔を近付けて来た。

お・・・これはちゅうの方か!?
よし来い!そして頑張れ、俺の理性!!

・・・と、胸をときめかしたその時。

 

 

      カプリ

 

 




「へ?」

予想していた感触とは全く違ったものに、俺は一瞬呆けてしまう。
その瞬間、掴んでいた力が弱まったのだろう、新八は素早く
俺の手を振り払い、ソファから立ち上がると、さっと距離を取った。
そして真っ赤な顔を俺に向けると、

「このセクハラ上司!!」

という言葉と可愛らしい舌を出し、居間から立ち去ってしまった。

それを呆然と見送る俺。

いやだって今・・・えぇ!??

そっと一瞬噛まれた頬に手を当てる。
そしてそのままボスンとソファに倒れ込み、うつ伏せになって丸くなる。
追い掛けようにも、今の俺の顔では無理。行けない。
序に体の方も無理、これ。

「くそ!・・・やられた!!」

言葉でもなく、ちゅうでもなく、噛み付きって・・・

「これって少しは進展してんの?」

それとも後退??そう呟き、俺は大きく息を吐き出した。


何にせよ、子供の行動も結構性質が悪い。

*******************************
ヘタレ坂田万歳☆

 

 

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「お、今日はチャイナも居やがるのかィ」

何時ものように花畑へと飛ばされた近藤を迎えに行くと、
新八と共に神楽の姿も見つけ、沖田はケッと鼻を鳴らした。

「おぅ、居てさしあげてるネ。それよりサド、ちょっと来るヨロシ」

何時もならすぐ乱闘へと入る二人であったが、神楽には
それよりも興味があるものがあるらしく、ゆっくり歩いてくる
沖田を手招きした。

沖田は訝しげに眉を顰めるものの、近藤が寝ている場所が神楽達の
傍な為、案外素直に近付いていく。

そして なんでィ。 と縁側に座っている神楽達に問い掛けた。
すると、些か興奮気味な神楽に

「足、見せるヨロシ」

と手を差し出された。

その言葉に沖田は一瞬眉を上げるものの、直ぐに片足を上げ、縁側へと
勢い良く乗せる。

「おらよ、特別に許可してやるから
存分に舐めやがれ」

「いや、違うでしょ。見せてって言っただけだよね!?
なんでソコに直結?」

「そうネ!革靴は非常食ヨ!!
さっき朝ごはん食べたからまだいいネ!!!」

「いやそう言う問題でもないからね!?
ってか神楽ちゃん、何時代の人ぉぉぉ!!!?」

つかアンタも土足で上がらない!!そう新八に言われ、沖田は渋々足を
降ろし、腕を組んだ。

「てかなんなんでィ、一体」

先程自分が着けた足跡を手で払っている新八に問い掛けると、
代わりに神楽が答えを返した。

「足ネ、足!!これ見るヨロシ」

「いでっ!!!!」

そう言い、膝立ちになっている新八の足を掴み、勢い良く上げた。
お陰で新八はバランスを崩し、尻餅を着いたのだがお構いなしだ。

沖田は言われた通り神楽の手に掴み上げられ、袴の裾から出てしまっている
新八の足へと視線を下ろした。
・・・が、別に普通の足だ。

訳が判らず首を傾げると、神楽が苛々した様子で今度は寝ている近藤を
指差した。

「ほら、全然別物ヨ」

お前のもこうか?興味津々に問い掛けられ、漸く沖田は神楽言いたい事を
理解した。

横たわっている近藤は、今日は足にも攻撃を受けたのか膝辺りまで
ズボンの裾をたくし上げられていて、脛が丸見えだ。

そして今足を掴み上げられている新八も、同じように脛が丸見えである。


・・・まぁ決定的な違いはあるのだが。


「ってか本当に薄いねィ、新八は」

「ってそれ以上上げるなぁぁぁぁあ!!!!
何が見たいんですか!?
って言うか
何を見たいんですか!?」

神楽ちゃんも離して!!そう言うと、新八は同じように掴み上げようとした
沖田の手を払いのけ、序に神楽の手からも逃げ出す。
そして袴を正すと、確りとその場に正座してしまった。

それに舌打ちする神楽と沖田。

新八は二人をギロリと睨むと、そのままの体勢でズリズリと近藤の横へと
移動した。

「でも本当、凄いんですよね~」

そう言って近藤の脛を珍しげに見詰める。
神楽も うんうん と頷き、新八の隣へと移動する。

「銀ちゃんよりも凄いネ」

「まぁ旦那は銀髪ですしねィ、目立たないってのもあるでしょうが・・・
ってあぁ、そう言えば旦那はあっちの方も・・・」

「それ以上は色々引く人が居るから慎んでください。
ってか本当好きだな、この手の話題」

「全会話伏字な勢いで好きでさァ」

「いや、威張るもんでも断言する事でも
ないですからね、それ」

同じように近寄ってきた沖田に一瞥をくれ、新八は一つ息を吐いた。

「・・・にしても・・・凄いな~」

そう言って新八は徐に近藤の脛に手を当て、クルクルと回しだす。

「あ、蟻んこできた」

パッと手を離し、出来た物体にポツリと呟くと、それを見ていた他の二人も
徐に近藤の脛へと手を伸ばした。

「・・・えらく簡単に出来るもんだねィ」



     クルクルクル



「おぉ!本当に蟻みたいネ」



     クルクルクル



「どんどん出来るね~」



     クルクルクルクル・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん・・・」

どれくらい気を失っていたのか、漸く近藤が花畑から帰還した。
そしてゆっくりと体を起こす・・・と。

「・・・何やってんの?」 

「「「蟻んこ作り」」」

目に入ったのは、自分の足を熱心に摩っている子供三人。
無言でやっているあたり、ちょっと不気味だ。

「えっと・・・面白い・・・のかな?」

返って来た言葉に首を傾げ、訳が判らないままそう問い掛けると
視線も寄越さないままコクリと頷かれた。

 
      クルクルクルクル・・・

 

「そう・・ですか・・・」

それ以上言葉が続かず、近藤はとりあえず急ぐ仕事は無かった筈・・・と
後ろ手を着き、熱心な子供三人を眺め、困ったように口元を緩めた。

 

 

 

「うわっ!見るネ、これ!!蟻んこ大量発生ヨ!!」

「何言ってんでィ、こちとらきっちり二列縦隊でさァ!!」

「いっぱい出来たね~」







「「「・・・・・・・気持ち悪っ」」」






「え・・・えぇぇぇええええ!!!!!??」

 

 

その日、近藤は肉体的痛みとは違う痛みで涙した。

*****************************
この後グラとパチは坂田でも試します。
でも色的に楽しくないので、すぐ飽きます。

・・・坂田、ちょっとショック(笑)

拍手[2回]


 

「毎度ぉ~、回収に来ましたぜィ」

ある日の早朝、何時ものように志村家から局長回収要請が
入り、沖田は通い慣れてしまった門を潜った。

そしてそのまま、直接近藤が居るであろう庭へとまわると、
何時もとほんの少しだけ違う光景が
沖田の目に入ってきた。

「あ、沖田さん、お早うございます」

沖田に気付いた新八が視線を上げ、挨拶をしてくる。
それに沖田は軽く手を上げて答えると、縁側で横たわっている
近藤と、その横に座り込んでいる新八の元へと足を進めた。

「で、なにやってんでィ」

アンタは。そう言って近藤の頭が置かれている近くへと腰を降ろすと、
先程少しだけ気になった事を新八に問い掛けた。

そう、何時もなら新八は近藤を縁側に寝かせ、ある程度の手当てを
するとそのままにし、家の用事を済ませているのだ。

朝と言うのは色々と忙しいらしい。

なのに今日はそれもせず、どうしてだか近藤の顔をじっと
覗き込んでいたのだ。

もしかしていつもよりこっ酷くヤられたのだろうか。
いやいや、でもそれだと多分回収要請は来ないだろう。
色々と遅すぎるから。

なら、既に家事は終わったのだろうか?

不思議に思っていると、今度は沖田の顔をじっと見詰めてくるではないか。
ますます首を傾げていると、新八が漸くポツリと声を出した。

「沖田さん・・・失礼ですが髭って生えます?」

「・・・・へ?」

突然何を言い出すのだろう・・・と、珍しくも沖田が目を丸くしていると、
再度新八から 髭です、髭。 と問い掛けられた。
沖田は思わず顎に手を当て、視線を上げた。

「・・・まぁボチボチって所でィ」

剃り残しでもありましたかィ。と、
本当はそんなでもないのだが、少しだけ見栄を張ってそう答える。

すると新八は そっか~。 と大きく息を吐いて肩を落とした。

「・・・僕、まだ生えてこないんですよね~」

「まぁそんな感じだねィ」

「沖田さんも同じようなものだと思ってたのに・・・」

「お、失礼な事いいやがるねィ。なんなら見るかィ?」

「いやソコじゃねぇよ。
なんでベルト外そうとしてんだよ」

近藤の手当てに使ったのであろう、少し赤いものが滲んでるタオルを
投げつけられるが、沖田は軽く体を反らしてそれを上手に掴んだ。
それに少しだけ口を尖らしながらも、新八は再び視線を落とす。

視線の先は近藤の顔・・・と言うか髭。

「・・・やっぱり体毛が濃いと髭も生えやすいのかな?」

そう言って近藤の顎鬚を軽く引っ張った。
それにつられ、沖田も近藤の顎鬚へと視線を落とす。

「まぁ確かに近藤さんは濃さを超えた次元ですけどねィ」

そう言い、ツン と同じように顎鬚を引っ張る。

「どんな次元の濃さなんですか、それ」



    ツン



「ある意味必見でさァ」



    ツン ツン



「いや、見たくないですからね」



    ツン ツン ツン



「ちなみに一日でも剃らないとゴリラそのものになりまさァ」



    ツン ツン ツ・・ブチッ

 







「「あ・・・」」

 

 




会話しつつ引っ張っていたら、何本か抜けてしまった。

思わず二人で顔を見合わせ、近藤へと視線を向けるが僅かに眉間を
寄せているものの、まだ覚醒には遠いらしい。

「・・・これぐらい屁でもないって感じですね」

「・・・まぁゴリラですからねィ」

二人はもう一度視線を合わせると、再び近藤の髭へと指を伸ばした。 


先程よりもほんの少しだけ力を込めて。

 





 


「なぁ、総悟。今日は妙にが痛い気がするんだが・・・」

その後、目を覚ました近藤は沖田と共に志村家を後にした。
・・・が、何時もと違う痛みを顎に感じ、そっと手を当てながら
隣で運転している沖田な問い掛けた。

「顎にいいのを貰ったんじゃないですかィ?」

それにしらっと答える沖田。近藤は そうだったかな~ と今朝の
事を思い出しながら首を傾げるが、その後も普段よりも髭が薄くなっている事に
気付く事はなかったと言う。








「・・・もう少し引っこ抜いてやりゃ良かったぜィ」

「ん?なんか言ったか?総悟」

「別に?ただの独り言(人間語)でさァ」

「あれ?なんか余分なのついてない??」

「そんな事ないですぜィ(人間語)

「え?あれ、ちょ・・・あれぇぇぇぇぇぇええ!!?」

**************************
某様の同意も得られたので、10代組の髭話(笑)

拍手[0回]


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