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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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ソファに寝転んでテレビを見ていると、机に足を乗せてジャ○プを
読んでいた銀ちゃんが

「新八ぃ~」

と、台所で夕飯の支度をしている新八の名を呼んだ。
ちょうどCMだった事もあって、どうしたのかとそちらに視線を向けるが、
その後は何も言わず、ただひたすらジャ○プを読んでいる。

・・・何がしたいネ、銀ちゃん。

名前を呼んだからには用があるのだろう。
そうは思うが、呼んだ本人は何も言わない。

まさかもうボケたのであろうか。

そんな事を考えていると、台所から新八が姿を現した。

「もう!夕飯の準備してるんだから少しは自分で動いてくださいよ!」

そうは言うが、その手には湯呑みと急須が乗ったお盆を持っていて。

あぁ、またか。

と、白けた視線を二人へと向けた。

この二人は時々こう言うことをするネ。
言葉に出ていないのに、互いの気持ちが判る・・・と言うか。


アレ取って。ソレ貸して。この間のどこやったっけ?


こんな会話は序の口アル。

この間なんて、風呂場の電球が切れたとかで、椅子の上に立って懸命に
新八が変えようとしている所に、何故か下で呑んでいた筈の銀ちゃんが
フラリと現れ、変えて行ったネ。

確かにあの時、新八は

「銀さんだったら簡単に変えれるんだけどな~」

と言っていた。

「来てくんないかな~」

とも確かに言っていた。だけどそれは私との会話でネ。
まさか本当に来るとは思わなかったアルヨ。
しかも変えたらまた下に戻っていったし。
新八は不思議に思わなかったのか、普通に感謝して、普通に
呑み過ぎないよう注意してたけど、

傍から見たらツッコミ所満載ヨ。

でも早くお風呂に入りたかったからスルーした。
便利な事に、越した事はないアル。

 




ちなみに反対の時もアルネ。


ちょっと前、新八が銀ちゃんの名を呼んだら、用件も聞かない内に

「ダメ」

って銀ちゃんが言ったネ。何アルカ、それ。

自分の名前の呼び方のダメ出しカ?
ダーリンとでも呼んで欲しかったカ?

電撃の変わりに嫌悪の鉄槌
落としてやろうカ、おい。

そう思ってる私の前で、それでも諦めず新八は銀ちゃんを呼んでたネ。
でも、返ってくるのは ダメ。 の一言。

それがどれくらい続いたのか、最後には新八が怒って最終兵器と言う名の

「なら正当な給料寄越せや、オラ」

を出して、渋々銀ちゃんが折れてたネ。
何が何だか判らなくて気になったけど、丁度ドラマが始まったから
そっちに心が奪われてしまったネ。

そしたら数日後、新八が来なかったネ。
サボリかこのヤロー。と怒ってたら、銀ちゃんがテーブルに朝ごはんを
置きながら

休みだよ休み。お通のライブなんだってよ。
この間言ってたろ?」

ったく、ダメだって言ったのによぉ。と、酷くムスッとした顔で言ってたネ。
そこで私は記憶を辿ったけど、覚えが全然ない。
って、もしかしてこの間・・・って、銀ちゃんがダメダメ言ってたやつアルカ?


・・・一言も出てねぇよ、そんな言葉。



そう思って文句言ってやりたかったけど、あんまりショボクレてるので
言わないでいてやったネ。

大人なグラさんに感謝するヨロシ。
だから銀ちゃんも私を起こす時、
寝惚けて殴ったのなんて忘れるネ。


ちなみに次の日出てきた新八に、一日中銀ちゃんが引っ付いてたってのは
何時もの事ネ。

・・・ウザくてまた殴ったけど。

 




そんな事を思い出していると、目の前にすっと湯呑みが差し出された。

見れば新八が私の分も持ってきてくれてて。

「神楽ちゃんも飲むでしょ?」

と、にっこりと笑って湯飲みを渡してくれた。

・・・実は私も少し喉が渇いてたネ。
ナイスタイミングヨ、新八。

「ありがと、新八」

そう言葉を告げると、新八はますます笑みを深めて返してくれた。

うん、やっぱり言葉に出すのも必要ネ。

新八の笑顔につられ、私までニコニコしていると、机から漸く足を下ろした
銀ちゃんが新八の名前を呼んだ。

新八と一緒に私も銀ちゃんへと視線を向けると・・・


・・・どうしたネ、銀ちゃん。
目が死んでないヨ?
寧ろ生き生きしてるネ。


無意識のうちに体を引かせると、新八が なんですか? と問い掛けていた。

あれ?何時もなら名前呼ばれただけで大抵会話が続いてるのに
今のは判らなかったアルカ?

不思議に思って今度は新八に視線を向けると・・・


やっぱり姉弟アル。
・・・姉御ネ。
般若と言う名の姉御が居るネ。


「いや、あのだからさ?新ちゃん」

「なんですか?」

「え~と・・・ですから今日お泊りなんか・・・」

「あ、神楽ちゃん、お腹減ったでしょ?もうご飯だから少し待っててね?」

「あれ!?いやいや、あの・・・新ちゃん!!?」

「明日のご飯、なんにしよっか?僕、来る途中朝市に寄って来るから
楽しみにしててね?」

ごっさこっちを見てる銀ちゃんを無視してそう言うと、新八は
いそいそと台所へと戻って行ったネ。


どうやら二人の間にも通じない場合があるらしい。


やっぱり偶には言葉に出さないと駄目ネ。

新八を追いかけて台所に行った銀ちゃんの潰れた声と鈍い音を聞きながら、
私は淹れて貰ったお茶を一口口にし、そう実感した。




・・・あ、でも一部言葉に出てたネ。
なんで通じなかったアルカ?

不思議に思ったが、テレビでは新たにドラマが始まり、そちらに意識を
持っていかれた神楽であった。

******************
一万打お礼企画、第五弾。
Mag.様からのリクで
「ごくごく普通にナチュラルに、テレパシーで会話している銀さんと新八」
と言うことでしたが・・・如何でしょうか?
確かに彼らは常に以心銀新状態ですよね(笑)
もう公式認定ですから、それは!(えぇ!?)

なんか最後は会話出来てませんでしたが(笑)少しでも
楽しんで頂けたら嬉しい限りですvv
企画参加、本当に有難うございましたv

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「げ・・・」

その日、珍しく仕事をした俺は飯を食いに行き付けの定食屋へと
足を伸ばしていた。
そして店へと入ろうとした瞬間、出てきた人物と鉢合わせ、
思わず嫌な声が出てしまった。

それは向こうも同じだったらしく、目の前で思いっきり眉を顰めている。

「・・・何してやがんだ、テメー」

「おいおい、性格とツラだけじゃなく目も悪くなったか、コノヤロー
ここに入ろうとしてんだから飯食いに来たに決まってるでしょ~?」

「はっ。飯じゃなくてテメーのは得体の知れないエサだろうが」

「得体は知ってますぅ。小豆と米ですぅ。
ってかオメェにだけは言われたくないんだけどぉぉ!?」

「んだとぉコラァ!!マヨ舐めんなよ、クソ天パ!!!」

ピキリと青筋を立てて腰にある刀に手を添えようとする土方に、
んなもん舐めるか、ボケ。と鼻で笑う銀時。

ったく、こいつと会うといつもこうだ。
折角いい気分だったってぇのによぉ。
あ、でもこいつが居るって事は・・・

忌々しげに目の前の黒い服を睨んでいると、その背後からヒョコリと
思い描いていた一人の青年・・・と言うにはまだ幼い顔が飛び出てきた。

「あ、やっぱり。も~入り口で何してんですか、二人とも」

そう言って微かに頬を膨らませ睨んでくるので、俺は不満を顕に
口を尖らせて反論する。

「ちげーって。コイツが勝手に突っかかってくんのよ。眼鏡君」

「眼鏡じゃねーよ!あぁもういいですから!
はい、出入り口から離れる!!」

小さい手に押され、俺と土方はその場から離れさせられた。

「あんまり人が居るトコで騒がないで下さいよ。これ以上
真選組の評判が下がったら困るでしょ?で、坂田さんも
騒がせないで下さい!あと、そろそろ名前覚えろ、コラ!」

ムッとした表情で告げられ、俺は苦笑する。

知ってるよ。志村新八君でしょ?
でも言わないよ?だって俺、お前のツッコミ気に入ってるもん。
周りにボケのヤツしかいないから、新鮮なんだよね~。
やっぱり真面目だからか?一々突っ込んでくれるのは。
まだちっこい癖に、真っ直ぐな目ぇしてしなぁ。
なんで真選組なんかに居るんだか・・・
味覚、変になるよ??

と考えるも今度は顔には出さず、一応憎たらしい事に彼の上司であるらしい、
隣でタバコを吸おうとしている土方を顎で指した。

「そんな事よりコイツ、本当どうかしてくんない?
昼真っからチンピラに遭遇したかと思ったんだけど~

誰がチンピラだ!!チンチラみてぇな頭してるヤツに
言われたかねぇんだよ!!」

「ぅわっ!聞いた?新ちゃん!!今の言い方、マジチンピラじゃね?
893丸出しじゃね!!?お前もさ~、早く真選組見限った方が
よくね?根性曲がっちゃうよ~」

怯える様に新八の後ろに回り込んだが、当の本人からは何のリアクション
もなし。
あれ?と思いつつ、後ろから覗き込むように顔を見ようとする前に、
くるりと顔を向けられた。

「なんだ、僕の名前知ってるんじゃないですか」

そう告げてくる顔は嬉しそうに笑っていて、俺はホケッと見返すしか
出来なかった。
そんな俺をどう思ったのか、折角緩んでいた口元を微かに尖らせ、
新八は言葉を続ける。

「もうこれからはちゃんと呼んで下さいよ・・・って、あぁ!
どうしたんですか、これ!!」

今度は体ごとこちらに向きなおされ、そのままガシッと頬を両手で
掴まれた。
新八のその声に、それまで怒りを震わせていた土方も近寄ってくる。

・・・いや、テメーはくんな。
てか、どうかしたの、俺?

疑問に思う俺を余所に、新八は益々顔を近付かせる。

「なんだ、どうした?」

「見て下さいよ、ここ。うわ~、なんか痛そ~」

どうしたんですか、コレ。と、至近距離+上目遣いで問われ、
一瞬色んな意味で言葉が詰まる。


や、今銀さん、頭回ってないからね?


だが、確かに新八にそっと触れられた所がピリッとし、俺は先程までの
仕事の内容を漸く思い出した。

・・・・あ~、アレか~。

心配げに見上げてくる新八の頭を撫でつつ、言われているだろう怪我の
原因を告げる為、口を開いた。

「いや~、なんか男の勲章?的なやつだよ、うん。もうさ、
銀さんモテモテだから、可愛い子猫ちゃんに悪戯されちゃって・・・」

「どうせ本物の猫相手の仕事でもしたんだろ」

見栄はんな、虚しい。と、途中で土方に遮られ、鼻で笑われてしまった。

・・・テメー、其処は気付いても流してやるのが侍マナーだろうが!!

何か言い返してやろうとする前に、土方は背を向けて新八に一言

「行くぞ」

と告げた。その声に一瞬新八の目が迷うが、

「すぐ行きますんで、先行ってて下さい」

と言うなり、ゴソゴソと自分のポケットを漁りだした。
少し離れた先で短く舌打ちをする土方に ざまぁみろ。 と思いつつも、
目の前の子が何をしたいのか判らず見詰めていると、小さな声と共に
柔らかい笑顔が上げられた。

「はい、絆創膏。ちょっと可愛いのですけど、我慢して下さいね」

そう言われ見てみれば、確かに可愛らしい絵柄の付いた絆創膏が
その手にあり、遠慮する間もなくペタリと頬に貼られてしまった。

「・・・かぁいらし~の、持ってんのね」

なんとも言えず、絆創膏の貼られた頬を手で撫でると、恥ずかしそうに
目の前の顔が赤く染まった。

「姉上に貰ったんです、ソレ」

ちなみに僕も今貼ってるんですよ。そう言って黒い隊服の袖を
捲り、絆創膏の貼ってある部分を差し出した。

・・・うん、確かにかぁいらし~のが貼ってあんね。
でもさ、そこ、服で隠れるよね?
俺の、隠す事すら出来ないフルオープンな場所なんですけどぉぉ!!?

そんな思いが顔に現れていたのか、新八は小さく笑うと、

「大丈夫、似合ってますよ。」

そう言ってますます笑った。

「や、嬉しくないからね、ソレ。
こんな羞恥プレイ初体験だよ、銀さん。責任取ってね?」

「それ言ったら同じの貼ってる僕もそうでしょうが。
って言うか責任とってセクハラでぶち込みますよ、本当

うんざりとした表情で言う新八に、俺は口元が緩むのを感じた。

コロコロと変わる表情。
心地良いテンポの会話。

うん、やっぱいいな~、この子。

そうは思うが、彼は真選組で。
しかも今はまだ仕事中のようで。

離れた所から痺れを切らした土方が、新八の名を呼ぶのが聞こえた。
それに新八は慌てて振り向き素直な返事を返す。

この時間が終わるのは残念だが仕方がない。
仕方ないけど・・・

最後に それじゃ失礼します、坂田さん。 と頭を下げる新八の
腕を咄嗟に掴み、俺は言葉を吐き出した。

「銀さん」

「え?」

キョトンとする新八を尻目に、俺は頭をワシワシと掻くと

「俺の事だよ、俺の。どうもお前の呼び方はケツが痒くなっていけねぇ」

だから今後は銀さんと呼ぶ事!と、告げると新八は困ったように眉を下げた。
きっとコイツの性格上、年上の、しかもあまり自分の上司と仲の良くない
人物をそう呼ぶのに抵抗があるんだな~とも思うが、ここは引けねぇ。

「いいか、銀さんって呼ばねぇと返事しないからな」

鼻息荒くそう断言すると、キョトンとしていた新八の顔に笑いが弾けた。

子供みたいってお前・・・いいじゃねぇか。
こんなかぁいらし~絆創膏が似合う俺だもの、
この発言だってアリだろうがコノヤロー。

散々笑った後、新八は軽く目を拭いながらも

「判りました。じゃあまた。」

そう言って再び頭を下げ、今度こそ土方の元へと走り去っていった。

見ると傍に来た新八に何か言ってるが、どうせ俺の悪口だろう。
・・・今度絶対投書してやる。

しかし、どう見ても同じ色の服を着ている二人は年の差だとか
階級だとか違うものの、俺と並んでいるよりもしっくりしていて、
ほんの少しだけ胸が痛んだ。

・・・こういう時はアレだ。天下の糖分だ。
糖分が全てを癒してくれる筈だ、きっと。

そう思い、ここまで来た本来の目的を遂げようと、先程入り損ねた
店へと足を向けた瞬間、後ろから声が掛けられた。
振り向けば其処には、

「銀さ~ん、あんまり糖分摂っちゃダメですからね!!」

そう言って大きく手を振る新八の姿が。

おいおい、俺の心の中にまで突っ込みますか、お前は。

そう思いながらも、確実に俺の頬は緩んでいて。


・・・うん、そうだな。やっぱり今日はあの店やめとこう。
なんか胸の中が甘ったるさで一杯だ。


見えないだろうけど一応背を向け、軽く手を振って答えると
足取り軽く、俺はその場を後にした。

*************************
一万打お礼企画、第四弾。
玖美様からのリクで「新八が真撰組だったらのパラレルで銀→新」
と言うことでしたが・・・如何だったでしょう?
なんかあまり真撰組な雰囲気が出せなかった気が・・・(滝汗)

萌えツボに少しでも掠る事が出来たなら嬉しい限りですv
企画参加、本当に有難うございました!
これからも暖かく見守ってくださいませv
 


 

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「お前さ~、将来どうすんの?」

何時もやる気のない担任が、これまた然程興味なさ気に問い掛けてきた。

僕は目を数度瞬く。
だって今までの会話と全く関連なく、突然言われたのだ。

「・・・それ、二者面談的質問ですか?」

とりあえずそれまでの会話・・・と言っても先生が一人でカキ氷に対する
シロップの割合を熱く語っていただけだが
・・・から脳内をシフトチェンジ
して聞いてみた。

すると、机に向かってペンを走らせていた先生は、目も上げずに

「いや、単なる好奇心」

と告げてきた。

・・・ならもっと興味有り気に聞いて来いよ。
ってか、担任が受け持ちの生徒の進路に対して『好奇心』って・・・

僕は片付けていた本を抱えたまま、一つ息を吐いた。

ま、この先生に『先生らしさ』を求めても無駄か・・・

今日も終業式だって言うのに、こうして放課後に資料室の片付けを
手伝わせているぐらいなのだから。

「・・・とりあえず、一般的な常識を持ち合わせた大人になりたいです

「なんか益々地味さが増しそうだな、おい」

「カビの生えたパンを本棚の裏に隠したまま忘れてるような
大人にはなりたくないって事ですよ、坂田先生?」

ニヤニヤと笑って視線を向けてきた先生に、たった今発掘したものを
指で摘んで放り投げてやる。
すると、うぉっ! と一瞬体を逃がしたものの、机の上に落ちたパンを見詰め、
哀しそうな顔をした。

忘れるぐらいなら隠すなよ、こんな所に。
ドコの小学生だよ、本当。
ってか、こんな担任を持った僕の方こそ、悲しみ溢れる表情が
似合うと思うんですけど!?

あ、違う。呆れ顔か、この場合。


とりあえず、今度徹底的にこの中を家捜ししよう。と心に決め、
空いたスペースに抱えていた本を入れていく。

「先生はどうだったんですか?」

やっぱり小さい頃から先生になりたかったんですか?先生に背を向けて
そう聞くと、それまでしていたペンの音がピタリと止まった。

変わりに聞こえてきたのは、ん~ と言う声と、髪をかき回す音。

「・・・ま、昔はそんな事考えてなかったのは確かだな、うん。
っつうか気付いたら教壇に立ってたし?」

やべっ!俺、天性の教師資質!!?と言う先生の言葉を、とりあえず
はいはいそ~ですね~。 と言って軽く流す。

てか、そんな人は見るのが面倒だからって夏休みの宿題を
なしにしません。

僕の返事に不服そうに文句を言っている先生を無視して、
下に積んであった本をどんどん棚へと戻していく。

あ~、もう窓を全開にしてても暑いな~。
早く終わらして家に帰ろう、うん。
・・・ま、家の中も暑いんだけどね。

でもシャワーあるし。汗、流せるし。そう考えると、途端に
流れる汗が気になりだした。
早く終わらせようと思ってはいるものの我慢できず、本を戻す作業を休め、
頬を伝い落ちていく汗を腕で拭い取っていると、不意にその手を取られた。

振り向けば、何時の間に来たのか、先生が後ろに居て。

「・・・でもやっぱなるんじゃなかったかな。だってよぉ先生としちゃぁ
やっぱ生徒には手ぇ、出せないじゃん?」

そう言って、取られた手をペロリと舐められた。

「ちょっ!何してんですか!!!」

「あ、しょっぱい」

「当たり前です!!!ってか、手、離して下さいよ!」

言動が一致してないし!!自分でも判るぐらい顔を真っ赤にして、先生の頭を
空いている手で押しのけようとしたけど、その手も簡単に掴まってしまう。

行き成りの事に頭がついて行かない。

次の言葉が出ず、まるで鯉のようにパクパクと口を開けるだけの僕に、
顔を下げて視線を合わせてきた先生は、困ったように苦笑すると、

「だけど先生してなかったら、志村と会えなかった」

それはすっげー困んのよ、俺。そう告げてくる先生に、僕は視線を
合わしている事が出来ず、下を向いてしまう。


何ソレ。あんた国語の教師じゃなかったのかよ。
何を言いたいのか、全然判んないんだけど。
全然、判んないんだけど・・・顔が熱くなってくのは判る。


何も言えず、ただ頬を染めて俯く僕の頭に、
軽い・・・けれど熱い感触が落とされる。

「な?俺、どうしてたら良かったと思う?」

「・・・知るか、ボケ」

漸く返す事の出来た言葉に、クスリと笑う感触がした。
それに対し、先程までとは違う意味で顔が熱くなる。

変な所でやる気出しやがって!!
パン隠してカビさせちゃうくせに!!!
大体死んだような目がアンタの売りじゃなかったのかよ!!!
授業中に今のその目を見せて見やがれ!!!

湧き出てきた感情を勢いにして顔を上げ、キッと睨みつける。

「ど、どっちにしたって、今現在先生である事に変わりはないんですから、
手ぇ出さないで下さいよ!!」


すると一瞬先生はポカンとし、次に あ~、わりぃわりぃ と言いながら
僕の両手を解放してくれた。

・・・てか、笑いながら言われても、全然説得力ないですから、ソレ!!

ジーッと睨んでいると、首筋を掻きながら先生はニヤンと笑った。

「うん、だな。現在、先生だしな、うん」

とりあえずもう少し待ちますか~。そう言うと先生は書類が
乗っている机へと戻っていった。

いや、もう少しってどういう意味ですか。

そう聞きたかったけど、聞けなかった。
だって、聞いたらまた心臓に悪い展開になりそうなんだもん。

ホッと息を吐き、熱くなっているだろう頬を摩っていると、
途中で先生が顔だけをこちらに向けた。

「あ、ちなみに学校出たら違うから、俺。
仕事とプライベートはきっちり別ける性質なんだよね~」

「へ?」

「さ~、さっさと仕事終わらしてデート行こう、デート。
明日からは夏休みだし、色々行こうな~。
良かったな~、おい。宿題なくて。」

やる気でた~。と、何時も通りのやる気のない声で言いつつ、
肩を回している先生に、カクリと肩を落とす。

・・・もう少しって・・・本当に少しだな、おい!!!

そう思いつつも、頬の熱が収まらない僕には突っ込む事も出来ず、
とりあえずせめて今日と、そして夏休み前半ぐらいは逃げ切って
やろうと、少し乱暴に本を棚へと戻し始めたのであった。

***********************
一万打お礼企画、第三弾。
エース様からのリクで「3Zで銀新」
い、如何なもんでしょう?前々から書いてみたいとは思っていた
3Z話ですが、いざ書くとなると・・・難しかったですι(反省)
私はあんな素敵可愛いもの戴いたって言うのに!!!(涙)

それでも、少しでも気に入って頂けたら嬉しい限りです、はいv
企画参加、本当に有難うございましたvv

 

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その日、銀時は何時もの如くジャ○プ片手にゴロゴロしていた。

いつも忙しく万事屋内を動き回っている新八は買い物。
神楽と定春もそれに付いて行った為、家の中はひっそりとしている。

どれだけ時間が過ぎたのか、熟読していたジャ○プも読み終わり、
ふと顔を上げると既に室内が赤く染まっている。

「あいつら、遅くね?」

ボソリと呟き、銀時はワシワシと頭を掻くと、仕方ねぇなぁ。とばかりに
渋々その腰をを上げた。

 

 

歩いていくか、それとも原付を出そうか・・・いやいや、最近ガソリンが
シャレになんないからね。
やっぱ歩きだな、うん。新八にも厳しく言われてっから。
だから今日銀さん、お留守番だったからね?
別に除け者とかじゃ全然ないから。
ガソリンが高くなったから連れてって
貰えなかっただけだから!!

虚しく叫びつつ、とりあえず今日新八達が行っているであろうスーパーを目指して
歩き出そうとした所で、不意にお登勢の店から賑やかな声が聞こえてきた。

それはとても聞き馴染んだ、今まさに迎えに行こうとしていた声で。

銀時は足を向ける先を変え、お登勢の店の扉を開いた。
するとそこには案の定新八達が揃っていて・・・

「・・・何やってんの、お前等」

なんだか楽しげなその様子に、銀時の口元が少しだけ尖る。
そんな銀時に気付いたのか、カウンターの中に居た新八がこちらへと視線を
向けた。

「あ、銀さん!丁度良かった~」

そう言ってゴソゴソと近くにあった袋を手にすると、ニコニコと笑って
銀時の元へとやって来た。
そして・・・

「はい、これ上に持ってっといて下さい

そう言って手にしていた袋を銀時へと差し出した。
どうやら本日の戦利品らしい。それを お願いしますね。 と言って
持たせると、カウンターの椅子に座り、お登勢の手元を覗き込んでいた
神楽へと視線を向けた。

「神楽ちゃ~ん、銀さんも来たし、そろそろ上に戻っときなよ」

「え~、やーヨ。もっとババァの年の功による料理マジックを見てるネ」

「一言多いんだよ!って、作ってる傍からつまみ食いすんなぁぁあ!!」

「あぁもう神楽ちゃんてば!つまみ食いしちゃダメだって言ったでしょ!」

ワーワーと再び賑やかになる店内を見詰め、ポツンと佇む銀時。


・・・あれ?俺、何か忘れられてない?
存在、見られてないゾ☆的になってない!!?


「・・・てか持ってけって・・・オマエは?」

あっれぇぇぇ????と首を傾げながらも、とりあえず疑問に思った事を
聞いてみると、目をパチクリさせた新八が振り返った。


・・・ね、その目、まだ居たの!!?って目だよね?
神楽に関しちゃ未だ感知してないよね、銀さんの存在ぃぃぃ!!!


あ、すみません。あのですね、なんか今日お登勢さんのお店が
忙しそうなんで、ちょっと僕、手伝いをする事になりまして」

新八の言葉に、銀時は面白くなさそうに軽く相槌を打った。
そして暫し無言になると、手渡された袋を少しだけ掲げ、その中身を尋ねる。

「・・・ふ~ん、なら急いで冷蔵庫に仕舞う必要はねぇわな」

新八の口から出される品物名を確認し、そう判断すると
そのまま店の中へと足を進め、カウンターの隅の方に腰を降ろした。

「ババァ、とりあえずビールな」

「とりあえず出てきな、このゴク潰し」

「あれ?銀ちゃん、何時来たネ?」

うっせーよ!!何オマエ、本気で見えてなかったのぉぉぉお!?」

酷くね!!?コイツ酷くね!!?と、新八に訴えかける銀時であったが、

「おや、上手く味がついてるじゃないかい」

「本当ですか?お登勢さんに言われた通りやってみたんですけど」

でも少し煮崩れしちゃって・・・と、眉根を寄せる新八に、
あぁ、そう言うときは・・・と説明をし出すお登勢と言う、
まるで嫁と姑の会話に弾き飛ばされ、届く事無く掻き消えたのであった。

「って、いやいや、違うよね?確かに新ちゃんお嫁さん的な存在だけれども
ババァはないよ、うん。よくって近所に一人は必ず居る世話焼きババァ?
って言うか、闇夜に一人は潜んでそうな妖怪ババァ???」

怖っ!一人呟き、身震いする銀時の頭に、鈍く光る物体が
勢い良く投げつけられた。

「ってぇぇ!!!何コレ、灰皿ぁ!?おいおい、UFO気取りですか?
銀さんの頭にミステリーサークルでも作る気ですか、コノヤロー!!」

俺が頼んだのはビールなんですけどぉぉ!!頭を摩りつつ、投げつけた本人
であるお登勢を睨みつけると、今度は凄い力で顔面を掴まれる。

「いっその事丸坊主にしたら少しは納まるんじゃないかねぇ、
そのクソ天パ
・・・とりあえず・・・」

「おい、ババァ。ちょ、これ、ババァの出す力じゃない・・・って
やっぱ妖怪!!?あ、うそ。ウソです。だからあの・・・
地味に本気に痛いんですけどぉぉぉお!!!」

「うるせー!!テメーはさっさと巣に戻っとけ!!!!」

そう叫ぶと同時にお登勢は銀時の顔を鷲掴んだまま、見事なフォームで
持ってその体を扉へと向けて放り投げる。
ちなみに扉は予想していたのか、たまが開けて待機しており、銀時が
飛び出ると同時にきっちりと閉められたのであった。

 


強制的に店から出されて暫し。
道端に倒れこんでいた銀時が漸く体を起こし、その場に座り込んだ。

「っててて、んだよ、ここは暴力バーか?ったく、そんな所なら
尚更新八を置いておけねぇってんだよ」

そう言って立ち上がると、凝りもせず目の前の扉へと手を掛ける。

・・・が、その瞬間に聞こえてきた


『ターゲット。ロックオンしました』


と言う、小さいながらも的中率100%を思わせるたまの声。

銀時は寸前の所で手を止めると、再び先程の自分の不時着地点まで戻り、
頭を抱えてしゃがみ込んだ。

「おいおい、どーすんだよ、俺。なんか感覚的にRPGになってるんですけど。
お姫様捕らわれて城までやって来たけど、装備が棍棒??みたいな。
しかもラスボスが一人かと思ってたら、
実は大ボスも居るんです~みたいな?」

やべーよ、俺、ライフマーク一つしかねぇよ。・・・とブツブツ
呟きながら地面を見詰める銀時の横を、気味悪げに見ながら
一人の男性が通り過ぎていく。

どうやらお登勢の店の客らしく、足早に店へと入ろうとしているその手を、
ガシリと素早い動きで銀時が捕らえた。
その瞬間上がる男性のか細い悲鳴を無視し、銀時が尋ねる。

「あ、もしかしておじさんこの店入るの?入っちゃうの??
あ~、入っちゃうんだぁ~。
あのね、この店飲み屋だけど、入るには厳しい条件があんのよ。
それ守んないと凄い事になるから。え?凄い事って??あのね?
中に妖怪ババァか~いらし~子と、その他が居るんだけど、
そのか~いい子に触ると、その部分、無くなっちゃうのよ。
スパーンと。
いい?コップとか受け取る時にちょっと指が触れてもダメだから。
サクッと無くなるからね、指。
ちなみに見詰めても無くなるから、目ん玉。
え?なんでそんな目に合うのかって?
俺のだからに決まってんだろぉがよぉ。
あ、ちなみにババァとその他は無条件だから。だからどうしても
ってんなら、そっちね。ってか推奨。
だからね・・・て、あれ?入んないの?あ、入んないんだ。
そうだね~、やっぱ寄り道は良くないよ、うんう・・・」

「って営業妨害ぃぃぃぃいいいい!!!」


―――その日、銀時が宙を舞った二度目の瞬間であったが、
去り行く男性の背を視界に入れ、何処か満足げであったと言う。

 

 

 

 


「・・・あ?」

目を開けると、其処には見慣れた天井が映っており、銀時は暫し目を瞬いた。
そこにヒョコリと神楽の顔が映り込む。

「あ、気がついたアルカ、銀ちゃん」

銀時は唸るように返事をしながら体を起こし、数度頭を振った。

「あ~・・・ってか新八は?」

「新八ならまだババァの所ネ。」

その言葉に、それまでボーっとしていた銀時の目が開かれる。
そして横になっていたソファから飛び起きると、そのまま玄関へと
向かおうとして・・・

 


       キュ

 


と、神楽に首を掴まれた。

「何やってるネ、銀ちゃん」

それはこっちの台詞だ!!・・・と言いたいが、生憎素晴らしい力で
首を絞められている為、言葉に出来ない。
ワタワタと手を動かし、どうにか神楽の手を離そうとするが、力は益々
込められるばかりで・・・


―――銀時はその日、二度目のフェイドアウトを体験した。

 

 

 

 

目が覚めて、銀時は考えた。
どうも新八に言い含められたらしく、神楽は自分の監視人になっているらしい。
自分が少しでも下に行こうとすると、キュッとくる。キュッと。

ならば・・・

銀時は考え抜いた末、電話の前に立った。

こっちから行けないのであれば、向こうから来てもらえば良いのである。

自分でもいい考えだと思ったが、とりあえず一回目は途中で切られた。
出たのは新八だったのだが、多分他のヤツが切ったのだろう。
新八はそんな事しない筈だ
二度目に宙を舞った時も、背中に新八の足の裏的感触を感じたが、
きっと勘違いだ。
だって俺は、新八の愛すべき旦那様だもの。

なので懲りずに再びかけた。
今度は中々出ず、延々鳴らしていたら、妖怪が出た。


・・・妖気に当てられそうだったので、
自主的に切った。



でも負けなかった。何度も何度もかけ続け、漸く下から出前を取る事に
成功したのだ!!

銀時は受話器の前でガッツポーズを取った。
その時、玄関からチャイムの音が聞こえ、銀時は軽い足取りで向かった。
そして意気揚々と扉を開け・・・

「出前持ッテキテヤッタヨ。サービス料金ガッポリ上乗セシロヨナ」

「チェンジで」

勢い良く閉めた。
その後、再び電話をかけたが、何故か繋がらなくなっていた

電話料金ぐらいちゃんと払っとけよ、ババァァア!!

そう怒鳴りつつ、受話器を叩き付けた所で、何時の間に後ろに来ていたのか、

「銀ちゃん・・・・ウゼェ

との言葉と共に神楽にキュッとやられた。
今度は花畑が見えた。

 

 

 


「あ、気がつきましたか?」

目が覚めると、天使が居た。

「も~、ダメでしょ!邪魔ばっかりするからこんな目に合うんですよ?」

優しく頭を撫でられ、銀時は気持ち良さそうに目を閉じた。


あぁ、やっと帰って来た。


そう思うと嬉しくて、頭の横にある新八の膝へと擦り寄る。

「もう今日みたいのはご免ですからね?判りました?」

言い聞かせるように告げる新八に、銀時は小さく頷く。

「ん、判った。もうやんねぇよ」

銀時の言葉に安心したのか、新八がクスリと笑ったのが判った。
その感触に、銀時の頬も緩む。

「お腹、すいたでしょ?お登勢さんの所から余りもの貰ってきましたから
一緒に食べましょ?」

そう言って撫でていた手が離れていくのを感じ、銀時はパシリと掴む。
そして自分の頬へと新八の手を持ってこさせると、

「ん~・・・その前に新ちゃん補給。今日、全然足りてねぇから」

と言ってその手に頬ずりした。

なんですか、それ。と笑う声が聞こえたが、本当なんだから仕方がない。
もう今日みたいなのはご免だ。もうやらねぇ。

絶対手伝いなんかにゃやらねぇかんな。


そう固く誓った銀時は、その後も何度となく宙を舞い、
花畑に行く日々を送るのであった。

**************************
一万打お礼企画、第二段。
蒼月銀河様のリクで、「二世帯住宅」話(笑)
・・・こんな感じに仕上がりましたが、如何でしょうか?(ドキドキ)
他にも色々と入れたいネタがあったんですが、
えらく長くなりそうなので、とりあえずこんな感じにι
書ききれなかった部分は、また別の話で入れさせて頂きます!!

少しでも楽しんで頂けたら嬉しい限りですvv
企画参加、本当に有難うございましたv

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その日、新八は何時もの様にスーパーへと足を運んでいた。
今日は特売日なので、些かその足取りは力強い。

本当なら、荷物持ちとして銀時を誘いたい所だったのだが、知らない間に
家から姿を消していた。

・・・どうせパチンコにでも行ったのだろう。と、新八は中りをつけ、
益々その足取りを力強いものにしていった。

「あれ?新八くん??」

不意に声を掛けられ、新八は動かしていた足を止めた。
振り返れば其処には、山崎と沖田の姿が。

「そんなに勇んで、どこ行くの?」

ニコニコと笑みを浮かべながら近付いてくる山崎の言葉に、新八は微かに
頬を染めた。

「あ・・・いや、その・・・スーパーに行こうかと・・・」

そんなに勇み足でした?と、恥ずかしそうに行き先を告げると、
クスリと笑われた。

あ~、もう恥ずかしいな~!!そんなに気合・・・と言うか怒りが出てたかな?
と自分の行動を悔やんでいると、山崎が そう言えば・・・と言葉を続けた。

「明日の約束なんだけど、やっぱり家まで迎えに・・・」

と、其処まで告げ、突然目の前の山崎がぶっ倒れた。

「ぇぇえ!!?ちょ、どうしたんですか、山崎さん!!」

「あららぁ~。どうしたんでィ、新八。ザキの締りのねぇツラにムカついて
眼鏡ビームでも炸裂させたんですかィ?」

「出ねぇよ、そんなもん。
ってか、行き成り倒れてきたんですけど・・・」

どうしたんでしょう・・・と、ノラリクラリと近寄ってきた沖田と共に、
倒れている山崎の元へとしゃがみ込んで見れば・・・

「・・・なんか古典的なたんこぶがあるんですけど・・・」

山崎の後頭部に、まるで漫画に出て来るような大きなたんこぶと、
何故か近くに落ちている、不自然極まりないジュースの缶が一つ

「いやぁ、熱中症ですかねィ」

「っておぉぉぉいっ!僕の指摘、無視ですか!!
ってか突くの止めたげてくださいよ、なんかピクピクしてますから!」

「まぁ最近暑いからねィ」

「僕の声、聞こえてますぅぅぅ!?
それより、どっからこんなのが・・・って、重っ!!!」

未だたんこぶを突いている沖田を横目に、多分山崎の頭に当たったのだろう
缶に手をやれば、それは何故かずっしり重くて・・・

「って、これ、中に砂がぎっしり詰まってるんですけど!!」

「どれどれ・・・って、あぁ

砂の詰められた缶に思わず声を上げ、沖田へと差し出すと、受け取った
沖田は、そのまま山崎の頭の上に缶を落とした。

「ちょ、何やってんですか!!」

「汗で滑ったんでさァ。あ、ほらまた

再び手にし、見事にたんこぶのある場所へと落とす沖田に、新八は慌てて
缶を取り戻した。
そこに、聞きなれた声が掛けられる。

「何やってんの、オマエ等」

振り返ればそこにはダルそうに後頭部を掻いている銀時の姿が。

「あ、銀さん!実は今、山崎さんの頭にコレが・・・」


倒れている山崎を上から見下ろしている銀時に、新八が状況を説明
しようと缶を差し出せば・・・

「ん?何コレ・・・・・・って、

これまた見事に同じ場所へと缶を落とした。

しかも今度は落とした本人が立っているだけに、先程よりも威力があったらしい。
それまで微かだがピクピクと動いていた山崎の体が、完全に沈黙してしまった

アンタも落とすんかぃ!!!山崎さん!?大丈夫ですか!!?」

「いや~、暑いから汗かいててよぉ。何?どうしたの、彼。
熱中症??」

幾分青褪めながら、動かなくなった山崎を呼び掛けている新八をよそに、
銀時が沖田へと問い掛ける。

多分そうでさァ。全く、だから日頃から体調管理には気を付けろって
言っておいたんですがねィ」

「まぁ最近暑いからねぇ。あ~、そう思ったら喉渇いてきた。
ちょっとそこのジュース取ってくんない?沖田くん

「あぁ、これですねィ」

「それじゃねぇぇぇぇぇぇええ!!!」

はい、どーぞ。そう言って沖田が、先程から落としまくっている缶を銀時に
渡そうとし、新八は慌ててそれを奪い取った。

「何回繰り返したら気が済むんですか、アンタ等!!
それより早く山崎さんの手当てを・・・」

「大丈夫でさァ。ヤツはこれぐらいでどうにかなる様なタマじゃねェ。
きっとこのまま放置しても、太陽に照らされ続けて脱水症状を起こして
身動きできず、車に轢かれるぐらいでさァ

「や、それ十分どうにかなってますよね?」

サラリと告げられる沖田の言葉に、新八は頬を引きつかせる。
そんな新八の頭に、ポンと銀時の手が乗せられた。

「ま、いいじゃねぇか。こいつ等がそう言うんだからよ。
熱中症なんて自己責任だしな。ほっとけほっとけ」

それよりオマエ、買い物に行くんじゃなかったのかよ?そう言われ、
新八はハッと自分の目的を思い出した。

確かに自分は買い物の為にスーパーへと向かっていたのだ。
しかも、狙っている商品の中にはタイムサービスの物も含まれていて・・・

けれど、と新八は山崎を見、そして沖田へと視線を移した。

このままこの人に任せたら、きっとさっきの言葉は
確実な未来へと確定する事だろう。
それは・・・後味悪いよね、うん。
あぁ、でもタイムサービスを逃すのも心苦しい・・・てか、
リアルに生活が苦しいし。


そんな思いが視線に現れたのであろう。沖田は一つ息を吐くと、

「安心しなせェ、完全に意識を失くしてるヤツを放置したって
面白かねぇや
。きちんと連れてきまさァ」

これで今日の巡察はパーですけどねィ。ヤレヤレと首を振り、
その場から腰を上げた。

その言葉にホッと安心し、絶対ですよ。と約束させると新八も漸く
降ろしていた腰を上げる。

それを見て、銀時が じゃあ行くか。 と新八を促した。

「え、銀さん、買い物に付き合ってくれるんですか?」

てっきり逃げられると思っていた新八が驚いて銀時を見ると、
やる気なさそうに返事を返された。
それに新八の口元が緩く上げられる。

「良かった。今日買いたい物、結構あるんですよ」

だろうな。洗剤とかシャンプーとか、もう買い溜めしといたの
なかっただろ。ちゃんと買っとかないと、姉ちゃんに怒られっぞ

銀時の言葉に、新八が数度頷く。

「そうなんですよね~。つい忘れちゃって・・・万事屋のは
毎日使ってるからちゃんとチェックしてんですけど・・・」

と、そこまで言い、新八はアレ?と首を傾げた。
そんな新八に気付く事無く、銀時は言葉を続けた。

「ったく、ジミーの心配する暇あるなら他の事やれっての。
一昨日の朝だって、ゴリラを迎えに来た多串くんと話し込んでただろ。
なんだ、マヨとご飯の黄金比率って。
お陰で銀さん、結野アナ見逃したじゃねーか」

「はぁ・・・」

スーパーへと向かいながら、ブツブツと文句を言う銀時に、
新八の首はどんどん傾げられていく。

・・・て、確かに何時もより少し遅れたけど、そこまで詳しく
話した覚えは、新八にはない。

それ以外にも、ここぞとばかりに色々と告げられ、
新八の足取りは段々と緩くなっていく。。

そこに・・・

「ま、でもあれだな。あの分じゃ~明日の約束もなしだな」

熱中症は後引くから。と、何処か満足げに告げられ、新八の足が
とうとうピタリと止まった。

「・・・僕、明日の事銀さんに言いましたっけ?」

確かその約束した時、傍に銀時は居なかった筈・・・と、胡散臭げに
前方の銀髪を見詰めると、銀時は自分の手首へと視線を落とし、

「・・・あ、新八くん!!もうタイムサービスが始まる時間だよ!!?」

「って、時計してねぇだろうがぁぁぁぁあああ!!!」


怖っ!!!!何か怖っ!!!と、新八は未だ手に持っていた
砂のみっしり詰まった缶を、本能からの命令のまま、
その銀髪目掛けて力いっぱい放り投げたのであった。

 

 

その後、山崎同様倒れてしまった銀時を置いて、買い物へと向かった新八
であったが、行った時間が悪かったのか何品か手にする事が
出来なかった。

・・・が、夕方、漸く帰宅してきた銀時に、手に入れられなかった
商品の数々を土産と称して手渡され、本日二度目の恐怖を味わう事となる。

**************************
一万打お礼企画、第一弾。
もんちょ様からのリクエスト、
「ストーカーと化した変態銀さんと、翻弄される純粋新八クン」
と言うものでしたが・・・如何でしょうか?(ドキドキ)
なんかサドプリが出張ってて、変態坂田を書ききれなかったようなι

こんな感じになりましたが、少しでも気に入って頂けたら嬉しいです!
あ、でも返品、再リク何でもありなんで、その時は遠慮なく行って下さいませ。

企画参加、本当に有難うございましたvv

拍手[1回]


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