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その日、新八は何時もの様にスーパーへと足を運んでいた。
今日は特売日なので、些かその足取りは力強い。
本当なら、荷物持ちとして銀時を誘いたい所だったのだが、知らない間に
家から姿を消していた。
・・・どうせパチンコにでも行ったのだろう。と、新八は中りをつけ、
益々その足取りを力強いものにしていった。
「あれ?新八くん??」
不意に声を掛けられ、新八は動かしていた足を止めた。
振り返れば其処には、山崎と沖田の姿が。
「そんなに勇んで、どこ行くの?」
ニコニコと笑みを浮かべながら近付いてくる山崎の言葉に、新八は微かに
頬を染めた。
「あ・・・いや、その・・・スーパーに行こうかと・・・」
そんなに勇み足でした?と、恥ずかしそうに行き先を告げると、
クスリと笑われた。
あ~、もう恥ずかしいな~!!そんなに気合・・・と言うか怒りが出てたかな?
と自分の行動を悔やんでいると、山崎が そう言えば・・・と言葉を続けた。
「明日の約束なんだけど、やっぱり家まで迎えに・・・」
と、其処まで告げ、突然目の前の山崎がぶっ倒れた。
「ぇぇえ!!?ちょ、どうしたんですか、山崎さん!!」
「あららぁ~。どうしたんでィ、新八。ザキの締りのねぇツラにムカついて
眼鏡ビームでも炸裂させたんですかィ?」
「出ねぇよ、そんなもん。
ってか、行き成り倒れてきたんですけど・・・」
どうしたんでしょう・・・と、ノラリクラリと近寄ってきた沖田と共に、
倒れている山崎の元へとしゃがみ込んで見れば・・・
「・・・なんか古典的なたんこぶがあるんですけど・・・」
山崎の後頭部に、まるで漫画に出て来るような大きなたんこぶと、
何故か近くに落ちている、不自然極まりないジュースの缶が一つ。
「いやぁ、熱中症ですかねィ」
「っておぉぉぉいっ!僕の指摘、無視ですか!!
ってか突くの止めたげてくださいよ、なんかピクピクしてますから!」
「まぁ最近暑いからねィ」
「僕の声、聞こえてますぅぅぅ!?
それより、どっからこんなのが・・・って、重っ!!!」
未だたんこぶを突いている沖田を横目に、多分山崎の頭に当たったのだろう
缶に手をやれば、それは何故かずっしり重くて・・・
「って、これ、中に砂がぎっしり詰まってるんですけど!!」
「どれどれ・・・って、あぁ」
砂の詰められた缶に思わず声を上げ、沖田へと差し出すと、受け取った
沖田は、そのまま山崎の頭の上に缶を落とした。
「ちょ、何やってんですか!!」
「汗で滑ったんでさァ。あ、ほらまた」
再び手にし、見事にたんこぶのある場所へと落とす沖田に、新八は慌てて
缶を取り戻した。
そこに、聞きなれた声が掛けられる。
「何やってんの、オマエ等」
振り返ればそこにはダルそうに後頭部を掻いている銀時の姿が。
「あ、銀さん!実は今、山崎さんの頭にコレが・・・」
倒れている山崎を上から見下ろしている銀時に、新八が状況を説明
しようと缶を差し出せば・・・
「ん?何コレ・・・・・・って、あ」
これまた見事に同じ場所へと缶を落とした。
しかも今度は落とした本人が立っているだけに、先程よりも威力があったらしい。
それまで微かだがピクピクと動いていた山崎の体が、完全に沈黙してしまった。
「アンタも落とすんかぃ!!!山崎さん!?大丈夫ですか!!?」
「いや~、暑いから汗かいててよぉ。何?どうしたの、彼。
熱中症??」
幾分青褪めながら、動かなくなった山崎を呼び掛けている新八をよそに、
銀時が沖田へと問い掛ける。
「多分そうでさァ。全く、だから日頃から体調管理には気を付けろって
言っておいたんですがねィ」
「まぁ最近暑いからねぇ。あ~、そう思ったら喉渇いてきた。
ちょっとそこのジュース取ってくんない?沖田くん」
「あぁ、これですねィ」
「それじゃねぇぇぇぇぇぇええ!!!」
はい、どーぞ。そう言って沖田が、先程から落としまくっている缶を銀時に
渡そうとし、新八は慌ててそれを奪い取った。
「何回繰り返したら気が済むんですか、アンタ等!!
それより早く山崎さんの手当てを・・・」
「大丈夫でさァ。ヤツはこれぐらいでどうにかなる様なタマじゃねェ。
きっとこのまま放置しても、太陽に照らされ続けて脱水症状を起こして
身動きできず、車に轢かれるぐらいでさァ」
「や、それ十分どうにかなってますよね?」
サラリと告げられる沖田の言葉に、新八は頬を引きつかせる。
そんな新八の頭に、ポンと銀時の手が乗せられた。
「ま、いいじゃねぇか。こいつ等がそう言うんだからよ。
熱中症なんて自己責任だしな。ほっとけほっとけ」
それよりオマエ、買い物に行くんじゃなかったのかよ?そう言われ、
新八はハッと自分の目的を思い出した。
確かに自分は買い物の為にスーパーへと向かっていたのだ。
しかも、狙っている商品の中にはタイムサービスの物も含まれていて・・・
けれど、と新八は山崎を見、そして沖田へと視線を移した。
このままこの人に任せたら、きっとさっきの言葉は
確実な未来へと確定する事だろう。
それは・・・後味悪いよね、うん。
あぁ、でもタイムサービスを逃すのも心苦しい・・・てか、
リアルに生活が苦しいし。
そんな思いが視線に現れたのであろう。沖田は一つ息を吐くと、
「安心しなせェ、完全に意識を失くしてるヤツを放置したって
面白かねぇや。きちんと連れてきまさァ」
これで今日の巡察はパーですけどねィ。ヤレヤレと首を振り、
その場から腰を上げた。
その言葉にホッと安心し、絶対ですよ。と約束させると新八も漸く
降ろしていた腰を上げる。
それを見て、銀時が じゃあ行くか。 と新八を促した。
「え、銀さん、買い物に付き合ってくれるんですか?」
てっきり逃げられると思っていた新八が驚いて銀時を見ると、
やる気なさそうに返事を返された。
それに新八の口元が緩く上げられる。
「良かった。今日買いたい物、結構あるんですよ」
「だろうな。洗剤とかシャンプーとか、もう買い溜めしといたの
なかっただろ。ちゃんと買っとかないと、姉ちゃんに怒られっぞ」
銀時の言葉に、新八が数度頷く。
「そうなんですよね~。つい忘れちゃって・・・万事屋のは
毎日使ってるからちゃんとチェックしてんですけど・・・」
と、そこまで言い、新八はアレ?と首を傾げた。
そんな新八に気付く事無く、銀時は言葉を続けた。
「ったく、ジミーの心配する暇あるなら他の事やれっての。
一昨日の朝だって、ゴリラを迎えに来た多串くんと話し込んでただろ。
なんだ、マヨとご飯の黄金比率って。
お陰で銀さん、結野アナ見逃したじゃねーか」
「はぁ・・・」
スーパーへと向かいながら、ブツブツと文句を言う銀時に、
新八の首はどんどん傾げられていく。
・・・て、確かに何時もより少し遅れたけど、そこまで詳しく
話した覚えは、新八にはない。
それ以外にも、ここぞとばかりに色々と告げられ、
新八の足取りは段々と緩くなっていく。。
そこに・・・
「ま、でもあれだな。あの分じゃ~明日の約束もなしだな」
熱中症は後引くから。と、何処か満足げに告げられ、新八の足が
とうとうピタリと止まった。
「・・・僕、明日の事銀さんに言いましたっけ?」
確かその約束した時、傍に銀時は居なかった筈・・・と、胡散臭げに
前方の銀髪を見詰めると、銀時は自分の手首へと視線を落とし、
「・・・あ、新八くん!!もうタイムサービスが始まる時間だよ!!?」
「って、時計してねぇだろうがぁぁぁぁあああ!!!」
怖っ!!!!何か怖っ!!!と、新八は未だ手に持っていた
砂のみっしり詰まった缶を、本能からの命令のまま、
その銀髪目掛けて力いっぱい放り投げたのであった。
その後、山崎同様倒れてしまった銀時を置いて、買い物へと向かった新八
であったが、行った時間が悪かったのか何品か手にする事が
出来なかった。
・・・が、夕方、漸く帰宅してきた銀時に、手に入れられなかった
商品の数々を土産と称して手渡され、本日二度目の恐怖を味わう事となる。
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一万打お礼企画、第一弾。
もんちょ様からのリクエスト、
「ストーカーと化した変態銀さんと、翻弄される純粋新八クン」
と言うものでしたが・・・如何でしょうか?(ドキドキ)
なんかサドプリが出張ってて、変態坂田を書ききれなかったようなι
こんな感じになりましたが、少しでも気に入って頂けたら嬉しいです!
あ、でも返品、再リク何でもありなんで、その時は遠慮なく行って下さいませ。
企画参加、本当に有難うございましたvv