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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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「たでぇまぁ~」

銀時はそう口にしながら、ダルそうにブーツを脱ぎ捨てた。

簡単な仕事だから・・・と一人で行ったのはいいが、思っていたよりも
時間が掛かってしまった。銀時は疲労を感じながら帰途に着いたのだが、
答えの返って来ない室内に、訝しげに眉を寄せる。

「あ?おいおい、誰もいねぇのかよ」

何時もなら、新八が直ぐに顔を出し出迎えてくれるというのに・・・
銀さんのお帰りですよ~。と、再度声を出すが、やはり何も返って来ない。

「神楽は・・・どうせ遊びに行ってんだよな、うん。じゃあ新八は・・・」

買い物か?とも思うが、先程自分は鍵を使わずに扉を開けた。
年の割りにしっかりしているあの少年の事だ、鍵を締めずに
外出する事はないだろう。

見れば、玄関には見慣れた草履がきちんと置いてある。

ならば、この中に居る事は確実だ。

「んだよ、シカトかコノヤロー」

銀さん泣いちゃうぞ~。そう言いながら頭を掻き、家の中へと足を進めた。

 


「・・・あれ?」

てっきり大好きなお通のCDでも聞いてて、自分の帰って来た事に
気付かないでいるのだと思っていた銀時は、誰もいない居間を見て
首を傾げた。
ならば・・・と、台所に顔を出してもその姿は見えず、微かに首を傾げる。

「お~い、新八ぃ~」

次に風呂場を見るが、ここにも求めている姿はなく、家の中を
捜し歩く銀時の足は、止まろうとしない。

しかし厠も、神楽の寝起きしている部屋も見たが誰も居ない。

「んだよぉ、物騒だなぁ、おい」

泥棒に入られるだろうが・・ってまぁ盗られるもんなんてねぇけど。
そう軽口を叩きながらも、銀時の表情が強張っていく。

別に誰も居ない家に帰って来たことなんて、今日が初めてではない。
そうだ、やっぱり買い物にでも行ったのだ。
それか近所か、下のお登勢の所にでも。
もしかしたら、神楽も一緒に。
いや、神楽はやっぱり定春と遊びにでも行ったか?

けれど、大抵そう言う時は書置きがしてあって。
近所に行くのにも、きちんと鍵も閉まってて。
玄関に、普通なら履いていくだろう草履なんかも置いてなくて。

と言うか、草履も履かないでドコに行くというんだ?

押さえ込もうとしても浮かんできてしまう嫌な予感に、
銀時は歩き回る足を速めていく。


だって、確かに金目のもんは置いてない家だけど、
大切なヤツラが居る家なのだ。

 

「新八!」

最後の頼みとばかりに居間を横切り、和室へとやって来たが、あるのは
布団と畳まれた洗濯物のみで、銀時は軽く目を見開いた後、ツッと
顔を俯かせた。

「おいおい・・・マジかよ」

窓まで開いてんじゃん。銀時はヨロリと壁に体を凭れ掛からせ、
ギリッと唇を噛んだ。

耳を澄ませても何も聞こえない。
聞きなれた音の気配を感じられない。
その事に、銀時はスゥッと体が冷えていくのを感じた。

「っざけんなよ、おい!」

力任せに壁を叩けば、傍の押入れ中から ぅわっ!! と言う待ち望んだ声がした。
一瞬、思いもしなかった所からの声に驚き、固まった銀時だったが、
直ぐにその強張りを解き、勢い良く押入れの襖を開けた。

「新八!!?」

「ふぇ??」

そこに居たのは、如何にも起き抜けの顔をした新八で。
上半身を起こした状態で、目をゴシゴシと擦っていた。

「あれ?僕、寝てた・・・?」

「寝てたってオマ・・・」

銀時は安心するやらムカつくやらで、力が抜けそうになる体を
押入れの縁に掛かっている手でなんとか支え、大きく息を吐いた。
そんな銀時の心情も知らず、新八は押入れの入り口を塞いでいる銀時に
気付くと、

「あ、銀さん。帰ってたんですね、お帰りなさい」

ニコリと微笑んだ。
新八のその言葉に、銀時は暫し間を置くと再び大きな溜息を吐き、
押入れの上段にいる為、何時もと違って自分より高い位置にある新八の
頭を強く引き寄せて、自分の肩口へと押し付けた。

「わっ!なんなんですか、一体!!」

「何なんですかはコッチの台詞だ、コノヤロー。
こんな所で何やってんのよ、オマエ」

「こんな所・・・?」

銀時の言葉に新八は軽く目を瞬かせると、抱き寄せられている為動けない
頭の変わりに視線をやり、今居る場所を確認する。
そして自分が居る場所を思い出すと、小さく声を上げて居心地悪そうに
銀時の腕の中でもがいた。
しかしそれを許すはずもなく、銀時は無言で抱き締める腕に力を込める。

新八は無言の攻撃に根を上げ、額を銀時の肩口に押し付けながら
言い難そうに漸く口を開けた。

「いや・・・あの別に意味はないんですけどね?お布団干したから
入れようと思ったんですけど、空いた空間見てたら、子供の頃を
思い出しちゃって・・・つい入っちゃいました」

で、眠っちゃったみたいです。と、自分でも子供じみた事をしたと
恥じているのだろう、未だモゾモゾと動きながら告げる新八に、
銀時はこの日何度目になるか判らない溜息を吐いた。

「何してんのよ、オマエ」

「う・・・・すみません」

驚かしちゃいました?そう言って顔をこちらに向けてこようとするのを、
銀時は抱え込むようにして防いだ。

「当たり前だろ、馬鹿」

驚いたなんてもんじゃない。

本当、何してくれちゃってるのよ、オマエ。

帰ってきても一人なんて。
呼びかける名前すらなくて。
この万事屋に一人なのが当たり前で。

それが少し前まで普通だった筈なのに。

帰っても誰も居ない事に驚き。
呼んでも返事がない事に慌て。
嫌な想像ばかり浮かんでくる事に焦って。

「ざけんな、ボケ」

あぁ、もう一人なんて本当、無理。
こんなにした責任、取りやがれ。

「ボケって・・・ちょっとした懐古心じゃないですか」

て言うかこの体勢キツイんですけど。と、体の間で挟まっていた手を銀時の
後ろへと伸ばし、無造作に跳ねている髪を軽く引っ張った。

丁度その時、玄関が開く音と呑気な神楽の声が銀時達の耳に入ってきた。

「え、うそ!もうそんな時間!!?」

慌てる新八に銀時は漸く体を離し、新八の脇に手を差し入れると
押入れから引っ張り出した。
・・・が、降ろす事はせず、そのまま片手で担ぎ上げると、
ゆっくりとした足取りで玄関へと向かい出す。

「ちょ、銀さん!!?下ろしてくださいよ!!」

「ダメです~。銀さんを驚かした罰ですぅ」

もう銀さん完璧寿命縮んだから。そう言って新八の言葉を無視すると、
居間に入った所で帰って来た神楽と顔を合わせた。

「何やってるアルカ?」

「あ、神楽ちゃん!」

「おぅ、神楽。お帰り~」

不思議そうに、暴れる新八とそれを抱える銀時を見た神楽だったが、
その銀時がコイコイと手招きしたので、素直に二人の元へと近付いていった。

「何ヨ?」

カクリと首を傾げると、銀時は少しだけ身を屈ませると、新八を抱き上げている
方の手と反対の手を神楽の腰へと廻すと、そのまま肩に担ぎ上げた。

「おせぇんだよ、この放蕩娘がぁぁ!!」

ぅおっ!!何アルカ、銀ちゃん!何かの遊びアルカ?」

どこか嬉しげな声の神楽に、銀時は ば~か。と小さく息を吐くと、

「お仕置きだよお仕置き。お前らね、銀さん今日何してきたと
思ってんのよ。仕事よ仕事。」

も~、疲れまくって泣きそうよ?そう言う銀時に、新八が呆れたように
声を出した。

「なら尚更下ろして下さいよ」

僕、夕飯の支度しなきゃ。新八の言葉に、逆さになっていた神楽が頭を
上げた。

「え、私はや~よ。銀ちゃん、序にグルグル回るヨロシ」

「んだよ、お仕置きの最中に命令ですか、コノヤロー」

そう言いながらも、勢い良く回り始める銀時。

「わっ!!あぶ、危ないって!銀さん!!!」

「キャッホゥゥゥ!!」

慌てて銀時の頭にしがみ付く新八に、楽しげな声を上げる神楽。
傍らに佇んでいる定春も、合わせる様に尻尾を振っていて。

「うっせー!もっと泣き叫びつつ笑って吠えろやコノヤロー」

「え?何その無茶な要求!!」

 

戻ってきた賑やかな音に、銀時はこの音が何時も自分の傍に
ありますように・・・と回る速度を上げ続けた。

****************
ヘタレ坂田万歳☆(笑)
て事で、多分春雨後ぐらいの時期で。
奥さんと娘の存在を有難がれ、坂田(え?)

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ある日、何時ものように買い物に行くと、これまた何時ものように
マヨを買いに走らされている山崎さんと会った。

それぞれ上司の愚痴やらを零しながら帰る途中で、不意に
山崎さんの口から銀さんの名前が飛び出してきた。
どうやら銀さんには、僕が気が付かなかった散歩の規則性があるらしい。

「だからさ、今度の特売日にはさ、誘ってみたら?」

きっと大丈夫だから。なんて自信満々に言う山崎さんには悪いけど、
僕としては話半分に聞いておいた。
だって、近くにある物ですら、僕を呼んで取らせようとするぐらいだからね。
そう簡単にはいかないだろう・・・て思ってたんだけど・・・


「銀さん、今からどっか出掛けます?」

次の特売日に、声を掛けるだけなら・・・と、思い切って銀さんに
聞いてみた。
すると、何時ものようにダラリとソファに寝転びながらジャ○プを
読んでいた銀さんは、チラリとこちらに視線を向け、

「なんで?」

と聞き返してきた。

質問に質問で返すなよな、いい大人が。

そう思ったけど、声には出さず銀さんの問い掛けに答える。
だって時間ないし。

「僕、今から買い物に行くんですけど、もし良かったら散歩がてら
行きません?」

着ていた割烹着を脱ぎ、財布を手にしながらそう言うと、銀さんは
読んでたジャ○プを置き、頭を掻きながら起き上がった。

「んだよぉ、さては銀さんを荷物持ちに使うつもりだな、コノヤロー」

全く人使いが荒い子だねぇ。なんて文句を言いながらも立ち上がり、
玄関へと向かう。

その姿に、僕は自分で誘ったにも関わらず驚きに目を見開いてしまった。

なんだろう、このすっごい違和感!!

呆然としている僕に、銀さんは訝しげな視線を向けてきた。

「・・・あ?んだよ、行かねぇのか?」

「え?あ、行きます、行きます!」

気が変わられては困る!と、僕は急いでその後を追った。
それからと言うもの、買い物には大抵二人で行くのが当たり前になった。

 


が、今日は少しだけ違う。
昨日まで振っていた雨のせいで、神楽ちゃんと定春が泥だらけで
帰って来たのだ。
お陰で万事屋内は泥だらけ。

別に泥だらけで遊んで来るのが悪いって言ってるんじゃないよ?
この頃雨ばかりで、思いっきり外で遊べなかったしね。
だけどね?

そのまま入ってくるのはどうかと思うんだ。

かと言ってそのままにしておける筈もなく、とりあえず神楽ちゃんをお風呂に入れて
服を着替えさせ、その後定春を連れて公園に行ってもらった。
アソコなら広いし、水道があるからね。
そこで泥を落として、序に日向ぼっこして乾かしてきてくれるよう頼んだ。
これで元凶の二人はいいとして・・・残るは無残なこの部屋だ

・・・とりあえず、洗濯物が被害に合わなかっただけでもよしとしよう。

出て来そうになる溜息を飲み込み、自分にそう言い聞かせると
和室からのっそりと出てきた銀時を見た。

「あ~あ、こりゃまた派手にやったなぁ、おい」

「ま、所詮泥ですから、掃除すればいいんですけどね」

銀時の言葉に力なく笑い、新八は今後の予定を組み立てなおす。
とりあえず、今から行こうと思ってた買い物は・・・

「ね、銀さん。今からどこか出掛けます?」

僕の何時もの言葉に、銀さんの口元が少しだけ上がる。

「ん?買い物か?」

「えぇ、そうなんですけど・・・今日は銀さん一人で行って来てくれません?」

「はぁ?」

僕のお願いに、銀さんは物凄く不満げな表情になった。
それに対し、僕も少しだけ口を尖らす。

「だって仕方ないじゃないですか、この部屋どうにかしないといけないし」

かと言って、それを待ってたらタイムサービスが終わってしまう。
それでは意味がないのだ。

「ね、お願いします、銀さん」

両手を合わせお願いすると、銀さんは頭を掻きつつ少し考えた後、
仕方ねぇなぁ と請け負ってくれた。

「で、何買ってくればいいんだ?」

「有難うございます!えっと確か今日は油とみりんが安くって・・・」

朝チェックしたちらしの中身を思い出しながら、買ってきて欲しい物を
上げていくと、銀時が ちょい待ち! と片手を上げてそれを止めた。

「そんなに言われても覚えきれねぇよ。なんか書くもん貸せ」

「あ、そうですね」

そう言われ、電話の横にあるペンとメモ帳を銀時に渡す。
すると銀時はペンを取り、次に新八の手を取ってその手の甲に
先程上げた商品名をメモリだした。

「って銀さん!!アンタドコに書いてんですか!!」

「あ?あぁ・・・間違えた

ま、いいじゃん。そう言ってヘラリと笑う銀時に、よくねぇよ!と叫びつつ、
新八は自分の手を奪い返した。

「あ~、もう何やってんだか・・・」

しっかりと書かれたメモに肩を落としつつ、新八は銀時に向かって
手を差し出した。

「僕が書きますからペン貸して下さい」

「え~、いいじゃん、もうそれで」

そう言うと銀時は差し出された新八の手を取ると、そのまま玄関へと
足を向けた。

「ちょっ、待ってくださいよ、銀さん!」

まだ掃除してない!・・・って言うかなんで僕まで!!?
一人で行ってくれるんじゃないんですか!?

確りと僕の手を握ったままブーツを履き始める銀さんにそう文句を言うと、

「だってメモねぇと何買ってきていいか判んねぇもん」

何当たり前の事聞いてんだ?みたいな表情でそう返された。
いや、こっちがするべき表情ですからね、それ

「だから今僕が書くって言ってるじゃないですか。
大体僕が一緒に行ったら、メモの意味ないでしょ?」

それに掃除しなきゃ・・・そう言う僕に、銀さんは握った手に少しだけ
力を込めてきた。

「掃除はさ、後で銀さんも手伝ってやるから」

だから一緒に行こ。銀さんの言葉に、僕は小さく溜息を吐いた。

知ってます?アンタ、今自分がどんな顔してるか。
今ね、玄関の段差のせいで、何時もと違い少しだけ視線が近いんですよ?
お陰で僕には丸見えなんですけどね。

三十路前のオッサンが、そんな構って欲しい
子犬みたいな顔すんなや!
あ、違う、子犬じゃないや
この駄犬、三十路だし。
ってそうじゃなくて! 
断れないでしょうが!、そんな顔されたら!!

「・・・絶対手伝って下さいよ?」

そう念を押し、僕も草履へと足を伸ばすと、横から凄く嬉しそうな
気配がしてきた。

あぁ、もう!絶対今顔赤いよ、僕!!

そして僕達は、また何時ものように二人で買い物へと向かったのであった。

 

 

その後、店に着くまで銀さんは僕の手を離そうとしなかった。
銀さん曰く、買い物メモはきちんと持ってなきゃダメなんだそうだ。

後日、それが二人で買い物に行く時の『当たり前』の事になったのは
言うまでもない。

***************************
『情け』の続き。
開き直った坂田は強かで・・・ウザい(笑)

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「あぁ!?」

「げっ」

「ひぃっ!!」

巡察の途中、嫌なやつと会った。
その時、隣から小さな悲鳴のようなものが聞こえた気がしたが、
気のせいだろう。
って言うか、顔こわっ!!とか言ってんじゃねぇよ、山崎。
叩っ斬るぞ、コルァ。

「あ~あ、怖い世の中だねぇ。警察がスラッと殺人予告かよ。
って言うか平凡なる一般市民にメンチ切んのやめてくんない?」

投書するよ、投書。肩を竦ませ、ヤレヤレとばかりに大袈裟に
首を振る銀時に、土方の眉尻は上がる一方だ。

「誰が一般市民だ。
真なる市民に土下座して謝り倒せ、コノヤロー

「オマエさぁ、何時も思うんだけど血圧高くね?
アレだよ?ただでさえマヨなんてコレストロールの塊ばっか
食ってんだから、何れプチッといくよ?プチッと

ならばいっそ今ブチッと逝ってしまえ!とほざく銀時に、

「よ~し、なら首出せ。お望みどおりブチッと逝かせてやる」

と、刀に手を掛ける土方。
そんな二人を止める事も出来ず・・・と言うか間に入りたくないので
山崎はソロソロとその場から後退して行った。
これで屯所に戻る時間がまた遅くなるなぁ・・・と深い溜息を
吐きながら。

「あれ?何してるんですか?」

確実にジワジワと一触即発な二人から距離を取っていた山崎の背後から、
まだ男性としては少し高い声が掛かる。
その声に縋る様に振り向けば、其処には今の状況に於いては救いの女神とも
言える少年の姿が。

「し、新八くん!!」

「え?なんで涙目!!?」

何故自分にこんな目を向けられるのか判らない新八は、無意識にその場を
後ずさるが、ガシリと山崎に肩を掴まれ、身動きが出来なくなってしまった。

「滅茶苦茶会いたかったよ、新八くん!!」

山崎としては、これでまた巡察に戻れる。とか、この人外魔境から
脱出できる!とか、さぁ、得意のツッコミでこの馬鹿二人を止めてくれ!!
とか、そんな色々な想いから出た言葉だったのだが、そんな言葉にしていない
気持ちが周囲に判る筈もなく・・・

「え?え?いや、そう言って頂けると嬉しい・・かな?ですけど・・・え?」

訳の判らない新八は、大きな目をキョロリとさせ、小さく首を傾げた。

あ、可愛い。

思わず今の状況が頭から抜け落ち、目の前の幸せに浸りそうになる山崎に、
物凄い勢いで殺気が飛んでくる。

なんか・・・半端ないんですけどぉぉぉ!!?

先程とは違った意味で涙ぐむ山崎を尻目に、新八がその肩口から
顔を出せば、そこには見慣れた黒服と自分の上司が。

「あれ?二人とも何してるんですか?」

「それはこっちの台詞でしょ?何不審人物に手を握られてんのよ。」

おい、あぁいうのを捕まえるのが仕事でしょ、さっさと裁けよ。
そう言って隣に居る土方を促せば、

「オメェに言われるまでもねぇよ。問答無用で逮捕の上切腹だな」

と答え、収めていた刀に手を掛ける。

「て、何言ってんですか!!こんな事ぐらいで」

全くもう冗談ばっかり言って、一々ツッコむのも疲れるよ。そう呟き、
山崎に苦笑を向ける新八だったが、山崎は知っていた。

・・・九割がた本気であろう事を。

しかし、(多分あるであろう)一割の冗談に祈りを寄せ、引き攣る頬を
なんとか苦笑へと変える山崎であった。

「で、土方さんと山崎さんは巡察ですよ・・・ね?」

じゃぁ銀さんは?と問い掛ける新八に、銀時はガシガシと頭を掻くと、

「・・・散歩?」

と、首を傾げた。

なんで疑問系?って言うかそんなフラフラしてんなら
買出しぐらい付き合ってくださいよ!」

今日たくさん買ったから重いんです!そう言って新八は持っていたビニール袋
の一つを銀時に押し付ける。

「んだよ、これ。買いすぎじゃね?」

「特売日の有り難味を心の底から味わってください」

って言うかこういう時に買い溜めしとかないとヤバイんですけど、ウチ。
そう言ってジットリと銀時を睨み付ける新八に、銀時はそ~っと視線を
逸らすと、押し付けられた荷物ともう一つ、余分に受け取り、
じゃ~なぁ。とだけ告げ、さっさと土方達に背を向け歩き出した。

「ちょっ、えっと、じゃあ失礼します」

お仕事頑張ってくださいね。新八慌てては土方達に軽く頭を下げると、
先に行く銀時の背中を小走りに追いかけて行く。

 

「買出しって言ったって、どうせ殆どヤツラのもんばっかだろうに」

アイツも苦労してんなぁ。遠くなっていく後姿にしみじみと呟き、
自分も職務に戻ろうと、その場を後にしようとした。
その時、隣で山崎が何かを思い出したように、短く声を上げたのが耳に入った。

「あ?なんだよ」

問い掛ければ、山崎は、確か前にも・・・あれ?だけど・・・
等と一人で首を傾げている。
それに無言で拳を振り下ろし答えを促せば、叩かれた頭を摩りながら、
たいした事じゃないんですけど・・・と、思い出したことを話し出した。

「この間、やっぱり両手に買い物袋携えた新八君に会ったんで、
半分持ってあげてたんですけど、途中で旦那に会いまして。」

で、丁度今みたいなやり取りがあったような・・・と言う山崎に、土方の
眉尻が上がる。

「別に帰るトコが同じなんだから、会えば荷物ぐらい持たせるだろう」

「いやいや、そうじゃなくてですね?」

山崎は慌てて両手を振ると、その指を折りながら話を続けた。

「なんかその前にも見たような・・・ん?確か一週間前もあんなのが・・・
アレ?待てよ、その三日前も・・・」

「・・・なんでオマエがそんな事知ってんだよ」

マヨ買いに走らせてんのは誰ですか。
俺はほぼ毎日ですけどね、新八君は主に特売日に来てるみたいで
そう言う時はよく沢山買い込んでて・・・て、そうだ!
特売日ですよ、特売日!
その日には大抵新八君と散歩中の旦那に会うんですよ」

なんか引っかかってたんですよね。と言って、
これですっきりしたとばかりに笑う山崎。
それに対し土方は、ほんの少し目を見開くと、ちらりと視線を後ろへと
向けた。

そこにはもうかなり小さくなった目立つ銀髪と黒髪が、仲良く並んでいて。

「それにしても旦那なりの規則性があるんすかね、散歩の。
それ以外の日ってあんま見た事ないですよ、俺。」

なら一緒に買出しぐらい行ってあげればいいのに。
そう言って苦笑する山崎に、土方はタバコを取り出して火を着けると、

「そこまで素直にはなれないんだろう、馬鹿だから」

「何がですか?」

土方の言葉に首を傾げる山崎を横目に、多分次の特売日にも
『散歩』をするのであろう銀髪の男の姿を想像した。

何だかんだ言って、気付かないあの少年も相当鈍いが、
一々理由を付けないと動けないあの男も相当なものだ。

まぁ、これで一つ、確実にあの男を言い負かせる弱みを握ったのだが・・・

土方は吸い込んだ煙をゆっくり吐いて、口元を緩ませた。

「ま、武士の情けだ」

今はまだ黙っててやろう。と、隣を歩いているのにも関わらず、
僅かに距離が離れている二人を見送った。

*****************
ちなみに新八は言うだけ無駄だと思ってるので、
さっさと一人で買出しに行きます。
そして自分からは一緒に行ってやると言い出せない坂田。
って言うかストーカー一歩手前な坂田(笑)

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「メ~ガ~ネく~ん、あ~そび~ましょ~」

チュンチュンと小鳥の鳴き声に交じり、黒い隊服に身を包んだ沖田が
既に近藤回収の為、通い慣れた志村家の門前で声を張り上げていた。
が、返答はなく、沖田は口元に手を当て、より大きな声で呼びかけてみる。

「お~い、メ~ガ~ネく~ん。あっそび~ま・・・」

「って、誰がメガネだコラァァァァ!!!」

「なんでぃ、居るなら早く出なせィ。客は待たせるもんじゃねぇよ

勢い良く玄関に姿を現した新八に文句を言いながら、沖田は門を潜る。
それに新八はカクリと肩を落とすと、同時に落ちた眼鏡を押し上げた。

「客ってアンタ・・・今何時だと思ってんですか」

「七時」

サラリと言ってのける沖田に、新八の肩は益々下がる。

「・・・今日は近藤さん、来てませんよ?」

「知ってますぜ?明け方近くに路上で瀕死な所を回収しやしたから

「じゃあ何の用なんですか?」

首を傾げる新八に、沖田は大袈裟に息を吐き、肩を竦めて首を振った。

「あれだけ言ったじゃねぇですか、聞いてなかったんですかィ?」

仕方ねぇな~ と沖田は再び口元に手をやり、

「メ~ガ~ネく~ん、あっそび~ま・・・」

声が大きいっ!ってか名前呼べよ、せめて!!」

新八は慌てて沖田の口に手をやり、声を塞いだ。

「なんでィ、アンタが聞いたから言っただけですぜ?」

「いや、大声で言わなくてもいいですよね?
僕との距離、見えてますよね?」

「ばっちり見えてまさァ。中々心躍る距離でィ

踊るのは心だけにしといて下さいね。て言うかまだ姉上寝てるんですから
静かにして下さいよ」

ただでさえ帰ってきた時機嫌悪かったんだから。心なしか顔色を青くし、
そう言う新八に、そりゃ~危ない。と、声を潜めた。
沖田の仕草に新八は苦笑し、再度沖田に用件を聞いた。
すると沖田はキョトンと新八を見返し、

「だから遊びに来やした」

と簡潔に答えたのだった。

 

 

「昨日ちょっとしたお遊びを土方の野郎に仕掛けたら、あのヤロー逆ギレ
しやがって、偶には健全な遊びをしやがれっ!なんて言うもんだから
実行しようと思ってよ」

とりあえずあのままでは妙が起きて来てしまう可能性が高いので、
新八は沖田を家の中へと招いた。
そしてお茶を出しながら、遊びに来た理由を聞いた所、そんな答えが帰って
来たのだった。
沖田の言葉に、新八は深く息を吐いた。
この場合、迂闊な事を言った土方を恨めばいいのか、それとも
半ば確信犯的な行動を起こし、自分を巻き込もうとしている沖田か・・・

・・・勿論後者だよね。

と言うか、きっとちょっとしたものでは済まなかったであろう目に合った
土方に同情してしまう。
ただでさえ忙しそうなのに、こうやって沖田さんに絡まれてるんだもんな、
味覚も変になるよね。
・・・って言うか・・・

「沖田さん、今日の仕事は・・・」

「子供は遊ぶのが仕事でィ」

・・・やっぱり。

予想していた答えだったが、そんなにあっさりと、しかも見目の良い笑顔
返されると力も抜けるというもの。
新八は出て行きそうになる溜息を無理に吸い込み、腰を上げた。

「とりあえず僕、洗濯物干してきますんで」

そう言う新八に、沖田はおや?と言う顔をする。

「今日は万事屋に行かないんで?」

「えぇ、仕事もないんでお休み貰ってたんです。と言うか、僕が
仕事だったらどうするつもりだったんですか?」

新八の問い掛けに、沖田はニヤリと笑うと、

「勿論初志貫徹でさァ。言っただろ?子供は遊ぶのが仕事なんでィ」

って事でさっさと用事済ませてきなせェ。そう言い、ゴロリと畳みの上に
寝転んだ。

「僕の意思は無視かよ!」

全くもう!そう文句を言いながらも、ヒラヒラと手を振る沖田に一つ苦笑を
零すと、予定していた家事をこなす為、部屋を後にした。

 

 


「お~い、起きてますか~?」

一通り家事を済ませ、帰ってきた部屋で相変わらず寝転んでいる沖田に声を
掛ける。
すると、寝てますぜェ。と、目を瞑ったまま答えが返ってきて、新八は
屈みこんで沖田の目の前で振っていた手をパチンとその額に下ろした。

「ってぇなァ。平和主義の俺に暴力振るうとは、見かけによらず
Sだねェ」

「あんたのその発言の方が暴力的ですよ、主に精神面に
それより起きて下さい」

遊ぶんでしょ。新八の言葉に沖田は目を開けると、屈みこんでいる新八を
見上げ、ニッと笑う。

「中々積極的だねィ、じゃあ子供らしくお医者さんごっこでも・・・

「それ、健全でもないし
子供らしくもないですからね」

「何言ってんでぃ。そんな不健全じゃなくて、ただ純粋に人体の不思議を
内臓奥深くまで知りたいと言う、果てしなく健全且つ、
子供の純粋な知的好奇心を擽る遊びでさぁ

「いや、それ全然健全じゃないですよね!?って言うか明らかに
死亡フラグ出てんじゃねぇかっ!!
不健全通り越して怖いわっ!!」

「なら違うお医者さんごっこ(深夜枠)で」

「おぉぉぉいっ!()の中を取れぇぇぇ!!」

叫び終わり、新八は肩を落とすと沖田の上からどき、そのまま同じように
ゴロリと畳みの上に寝転がる。

・・・朝からなんでこんなに疲れてるんだろう、僕。

「はぁ・・・で、結局どうすんですか」

そんな新八に、今度は上半身だけ起こした沖田がにじり寄り、上から
覗き込む。

「じゃあチャンパラごっこ

「・・・アンタ、本気だすでしょ?」

出された提案に胡散臭げに見返せば、言い出した本人はニッコリといい笑顔
を浮かべた。

「遊びは本気でやるもんですぜィ?」

「やっぱりかぁぁぁ!
アンタそんなに僕を甚振りたいんですか!!」

「いやいや、そんな事ないですぜィ?怪我した後は勿論
お医者さんごっこに変更・・・

「そっから離れてぇぇぇ!!!」

「なんでィ、新八は文句ばっか言いやがって」

「いや、当たり前ですからね?文句でもないですからね?

ムッと口を尖らす沖田に、新八はツッコミを入れながらもなんだか可笑しくて
クスリと笑う。

だって平日なのに、サボリ確定の沖田と二人で部屋でゴロゴロして・・・
おまけに何で遊ぶか言い争って。

周囲に同年代があまり居なかっただけに、この状況は少しばかり
照れ臭い・・・が楽しい。

「まぁ、まだ時間もありますし、ゆっくり考えましょうか」

こうして考えるのも楽しいですし。ニコニコと笑う新八に、
口を尖らしていた沖田も漸く頬を緩め、

「同感でさぁ」

そう言って、年相応の笑みを浮かべた。

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10代トリオが大好きです(今回神楽が居ないけどι)
 

拍手[2回]



「もういいです!」

そう言ってこちらに背を向けてしまった新八に、銀時は漸く、それまで
止まらなかった自分の口を閉ざした。

あ~・・・やっちまったなぁ、おい。

向けられた小さな背中に、銀時は少し罪悪感を感じながら、居心地悪そうに
頭を掻いた。

始まりは何時も交わされている会話からだった筈だ。
新八からのお小言は既に日常会話の内だ。
その中には銀時の体を心配しているが故に・・・と言うのも含まれており、
なんだかこそばゆいものがある。
で、照れ隠しに反抗なんぞしてみるのだが・・・それが今日は
調子に乗りすぎてしまったようである。
反抗に反抗、文句に文句が重なり、何時の間にやら罵詈雑言の嵐。

結果、幾らツッコミ役を担っていると言っても、まだまだ人生経験の浅い
新八が銀時に口で適う訳もなく・・・
今現在の状況へと繋がってしまったのであった。

さて・・・どうしたもんか・・・

自分が悪いのは判っている。
判ってはいるが、素直に謝れる程素直な性格でも年齢でもない訳で。

銀時はただじっと目の前の背中を見詰めるしかなかった。

・・・あ、赤くなってる。

背中を向けられている為、自然と目に入る新八の首は、怒りの為か
ほんのりと赤みが差しており、怒りの度合いが判ると言うもので。

・・・んなに成る程怒んなくてもいいじゃねぇか。
俺の口が悪い事なんざ、とうに知ってるだろうが。

そう文句を心の中で呟きつつも、視線は首筋に縫い付けられたまま離れず、
銀時の中でとある欲求が湧き上がり始める。

本当にさ・・・なんでこうすれ違うかね。
俺の言葉が足りないのが悪いんだろうけどよ、仕方ねぇじゃん。
こんな状況、知らねぇんだもんよ。
こんなに近しいヤツ、持った事ねぇんだもんよ。
あぁ、本当。オマエと一つだったらいいのに。
その赤みの差してる首筋に齧りついて、肉を食らって、血を啜って。
全てを取り込んだら、こんなすれ違いはなくなるんだろうか。

新八の全てを 俺のものにすれば。


それは以前からあった想い。

けれど本当にそんな事が出来る筈もなく、我慢をしてきたのだけれど・・・

こう無防備に向けられると・・・ねぇ。

つい伸ばしそうになってしまう手を感じながら、ただ見詰めていると
その背中が小さく動き、

「・・・僕、今日はもう帰ります」

と、告げられた。
どうやら無言のままの銀時に、謝罪の言葉を諦めた様である。
それと同時に目の前から離れようとする背中に、銀時は慌てて手を伸ばし、

 

 

    ガブリ

 

 

・・・序に口も出してしまった。

「いっっっっ!!!!」

突然の痛みに振り返る新八、その視線の先には あっ と自分のした事に
驚いている銀時の顔があり、

「~っにすんだコノヤロー!!!」

新八は怒りに導かれるまま、握った拳を銀髪へと振り下ろした。

 


「何考えてんですか、アンタ!!」

殴られた頭を撫でながら肩を落としている銀時に、新八は腰に手を当て、
怒りを顕にしていた。

「いや、何考えてって・・・」

言ったらオマエ引くもん。最後の部分を濁してそう答えると、新八は
大きく溜息をついた。

「口喧嘩に本当に口出してどうすんですか、もう」

そう言いながら銀時に噛まれた首筋に手をやると、ぬらりとした感触が感じられ、
新八の眉間には深い皺が刻まれた。
それでも一応確認の為・・・と、当てた手を見てみれば、そこには
少量ではあるが、確かに血が着いており、

「うわ~、血が出てますよ。アンタ、手加減って言葉知ってます?」

じっとりとした目で銀時を睨み付けた。
銀時はと言うと、口の中に微かに広がる鉄の味に、既に新八の首から
血が出てるのを知っていたが、改めてその自分よりも小さな手に着いた
新八の血を見、先程とは比較にならないほどの罪悪感に襲われていた。

「・・・わりぃ」

そう呟き肩を落とす銀時に、新八は一瞬目を見開くが、直ぐに苦笑へと
表情を変える。

「いいですよ、僕も言い過ぎましたし。ごめんなさい、銀さん」

新八からそう言われはしたものの、銀時の中の罪悪感は中々晴れず、
痛いか? と問い掛けた。

それに対し新八は、たいした事ないですよ。 と答えつつ、再びその傷口
に手を当てようとした。

「馬鹿、あんま触んな」

そう言って新八の手を止め、傷の具合を見る為にその首筋を覗き込んだ。

見れば確りと歯型はついているものの、出血は止まっており、銀時はホッと
胸を撫で下ろした。

「どんな感じですか?」

前から抱き締めるように新八の項部分を覗き込んでいる為、
銀時の直ぐ横で新八の声が聞こえてくる。
その感触に少しだけ肩を竦ませながらも、銀時は傷の具合を伝えた。

「なら大丈夫ですね」

「ん~、でも血が着いてる」

「思いっきり齧られましたからね」

誰かさんに。茶化すように言う新八に、銀時はもう一度謝罪の言葉を
口にする。

そして目にするは、白く細い首筋に着いた赤い血。

確かに自分はそれを望んでいた、欲していた。
けれどそれはこの身に取り込みたいという欲求で。
一つになりたいと言う願望で。

でも実際目にしてみれば、そんな欲求など吹き飛んでしまって。


この首に血は似合わない と。

血を纏う新八は見たくない と、そう思ってしまって。

銀時は少しでも早くその血を拭い去ろうと、新八の首筋に舌を這わせた。

「ちょっ!銀さん!!?」

何やってんですか!!と叫ぶ新八に、銀時は 消毒で~す。 と簡潔に答えると
熱心にその血を舐め取り始めた。

「消毒って・・・馬鹿ですか、アンタは!!」

「いや、だって銀さんのせいだし、銀さんが出させた訳だし」

首筋に感じる銀時の舌の感触に、新八はなんとか逃げ出そうと身を捩るが
直ぐに銀時の力強い腕によって抱き締められ、それを阻止された。

その腕の力に、どうやっても逃げれないのを感じて新八は諦めとともに
身体の力を抜いた。

新八が逃げない事を感じ取った銀時は、更に丹念にその血を舐め取る事に
集中し始める。
すると、その感触が擽ったいのか、時折新八が肩を竦めた。
そして耳元に落ちてくる小さな笑い声。

「銀さん、犬みたい」

そう言ってクスクスと笑う新八に、銀時は少しだけ泣きそうになった。

 

 

 

 

 

 


「って事で、あいつを食うのは止めにする」

あ、でも別の意味では食うけど、絶対。そう宣言して団子を口にする銀時に、
話を聞き終わった(と言うか無理矢理聞かされた)桂は盛大な溜息を吐いた。

「オマエは何をやってるんだ・・・」

「団子食ってんだよ」

それは見れば判る!と言うか食うな、俺の団子だろうが!!」

一休み・・・と寄った団子屋の前で銀時に見つかり、気が付けばそんな話を
聞かされ、おまけに団子まで奪われて・・・

人の話は聞かないくせに、なんでこういう時だけ現れるのだろう、この男は。

怒りも顕に睨み付ける桂などお構いなしに、銀時の話は続く。

「やっぱアイツは居なきゃダメだ。
俺の傍に居なきゃダメだ。」

アイツの血を見た時、マジでゾッとしたもんなぁ。と、自分のした事を
棚上げして呟く銀時に、桂はフッと笑いを零した。

確かに、あの少年に血は似合わないだろう。

そして、今の銀時の傍にあの少年が居ないというのも・・・

桂はそこまで思い、ふと頭を過ぎった疑問を口にした。
それに銀時は僅かに目を開くと、


「ん~、甘かったとか美味しかった・・・と言うより・・・
愛しかったな、アイツの血は」


でもあの時のだけで、もう十分だ。

そう答えて、満足そうに笑みを深めた。

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銀新十題の「知らないこと」の続編。
ちょい病みから少しだけまともになりました(笑)

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