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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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その日、新八は何時ものように買い物に行き、買ってきたもので
夕食の準備をしていた。
そしてある程度下準備が済んだ様で、今度はお風呂の準備をしようと
台所から姿を現す。

・・・全く、良く働く嫁さんだねぇ。

俺は幸せもんだよ、うん。・・・等と思いながらその姿を見守る
一家の大黒柱である銀時は、のんびりとソファに寝転がっていた。
その姿をチラリと視界に入れた新八は、何か無性に言いたくなったが
のらりくらりと交されるのがオチ・・・と思いなおし、そのまま
通り過ぎようとした。
が、あるモノが目に入り、思わず足が止まる。

「銀さん何食べて・・・ってあぁ!!それ僕が貰ったの!!」

「あ、そうなの?」

見れば今日買い物帰りに会った沖田から貰ったお菓子が、
見る見る間に銀時の口の中へと消えていくではないか。

「そうなの?じゃないですよ!何寝転びながら食べてるんですか!
じゃなくて人のモンを食べるなぁぁ!!

「んだよ~、そんな怒るなって。減るもんじゃなし・・・」

「いや、減りますよね?確実に減っていきますよね?」

ノロノロと起き上がる銀時からお菓子を取り上げれば、なんだか軽い
感触が・・・・

「って、減る所かもう無いし!!」

「いやいや、ほら、あれだよ。今の世の中物騒じゃん?
なのにさ、人から貰ったってオマエ、危険物極まりなくね?
だからさぁ、銀さんが毒味をしてやった訳よ、うん」

銀さんてば自己犠牲の固まりだね。空の袋を握り締め小刻みに震える
新八を前に、尤もらしい事を並べ立てる銀時。
しかし、口元に付いているお菓子のカスが全てを台無しにしている。

新八は小さく苦笑を零すと、銀時の口元に手を当ててそのカスを拭い、

「全く、仕方ない人ですね・・・とりあえずその自己犠牲で持って
仕事し倒して給料寄越せや、コノヤロー!!!

力の限り摘んでそのまま横に引き倒したのであった。

 

 

 

 

しかし、次の日新八は真の自己犠牲の塊を見た。

普段通り出勤した新八は、朝食をほぼ作り終えた段階で
神楽達を起こしに掛かった。
最初に神楽、そして銀時・・・と、和室の襖を開けた時点で、
妙な違和感が新八を襲う。

・・・なんか布団の盛り上がり具合が・・・小さい?

何時もなら足や腕を出して豪快に寝ている銀時なのだが、今日は全てが
布団の中へと収まっている。
不思議に思いながらも、とりあえず起こさなければ・・・と、新八は
掛け布団へと手を掛けて剥ぎ取り、

「銀さん、朝ですよ~・・・」

・・・そして掛けなおした。

「・・・・・・・あれ?」

暫しそのまま布団に手を掛けた状態で固まり、首を傾げる。
そしてまた少しだけ布団を持ち上げ、すぐにそっと直す。

「何やってるネ」

その行動を何度繰り返したのか、いつの間にか和室の入り口に来ていた
神楽が声を掛けてきた。

「また子供は見たらいけない世界でも繰り広げられてるアルカ?」

そう言う時は黙ってチラ見してやるのがマナーネ。そう言ってズカズカと
和室へと入り込み、新八とは反対の場所へと行って布団に手を掛けた。

「わ~!!ちょっ、待って、神楽ちゃん。これ、なんかあの・・・
え~っ!!!!」

それを慌てて止める新八だったが、ツッコミさえ間々ならない程焦っている
その態度に、ますます神楽の好奇心は刺激される。

「大丈夫ネ、私は寛大な女ヨ。何があっても心底軽蔑してツラ見る度に
唾吐き捨てるぐらいで済ませてやるネ

布団を奪おうとする神楽に。

いや、全然寛大じゃないよね、それ。って言うか女の子が
そんな事しちゃダメでしょ!!」

必死に抑える新八。

そんな状態で寝ていられる訳もなく・・・

「朝っぱらからウルセェなぁ。小鳥の囀り通り越して鶏気取りですか
コノヤロー」

と言う言葉と共に、布団の中から小さな手がニョキリと生え出てきた。
それと同時に、ピタリと止む声と動き。

「え、何?」

不思議に思った銀時が、目の前で固まる二人に視線を送ると、
今度は盛大な叫び声が万事屋内に響き渡ったのであった。

 

 

 

 

「・・・て言うか本当に銀さん?」

新八は訝しげにソファの下に直に座り込んでいる子供を見た。
そんな新八に、神楽はへっと鼻で笑う。

「こんな死んだ目してる生き物は、銀ちゃん以外いないネ」

「そこで確認されても、銀さん全然嬉しくないからね?」

判ってんのか、酢昆布娘!そう言って怒鳴るが、見掛けが子供なので
全くと言っていい程怖くない。
新八はそっと微笑みそうになる口元を手で隠した。


今から少し前、叫ぶ二人に 煩い! とばかりに拳を振り上げようとして
漸く自分の体の変化に気付いた銀時が大声を出した所で、下からお登勢の
怒鳴り声が発せられ、慌ててそれぞれの口を押さえた。

そして改めて実感する、その体の小ささ。

混乱する銀時と新八を横目に、神楽の腹が盛大に鳴ったので、
とりあえず朝食にしようと言うことになったのだが・・・


「銀さん、何か変なもの拾い食いでもしましたか?それか
落ちてるもの食べたとか、
道端に置いてあるのを食べたとか・・・」

「新ちゃん、それ全部同じだからね?ちなみに酷いからね?

ご飯をよそって渡してくれる新八にそう返しながら、銀時は一応
昨日の自分の行動を振り返ってみた。

「別に何時も通りだったけどなぁ・・・」

けれど小さくなってしまったのは事実で、銀時は小さく息を吐いた。

「ちなみにソレ、何歳ぐらいネ」

ご飯を大量に流し込みながら聞いてくる神楽に、銀時は見慣れない手に
視線を落とした。
小さいので、普段使っている箸が持ちにくい。
それに気付いたのか、新八が台所へと姿を消して、持ってきたスプーンを
代わりに持たせてくれる。

「ん~・・・5・6歳って感じかな?」

そして床に座っている銀時を抱き上げ、自分の膝の上へと座らせた。
そのあまりの子供扱いに、銀時は僅かに口元を曲げる。

「何コレ、銀さん的には反対の方が嬉しいんだけど」

「今反対になったら、確実に押しつぶせますね」

試してみますか?ニッコリと笑ってそう告げてくるが、手元は銀時が
食べやすいようにと、箸を器用に使ってオカズを小さくしていく。

「銀さん、これ食べますか?」

そして小さくなったそれを口元に運ばれ、一瞬銀時の行動が固まる。

何時もと違い、甲斐甲斐しく世話をされる状況に、銀時は恥ずかしいやら
むず痒いやらで居たたまれなくなる・・・が、ある意味夢見ていた
シチュエーションでもある訳で・・・

て、いやいや違うからね?それはあくまで恋人としての甘い雰囲気の
中で・・・って事だからね?
こんなほのぼの親子でやりたかった訳じゃないからね?

そうは思うが、自分の今の状況さえ忘れれば、目の前に繰り広げられてる
事柄はまさに夢のようで・・・銀時はフラフラとその小さな口を開いた。


「お、旦那ァ、羨ましい事してるじゃないですかィ」


が、突然の第三者の声が絶望と共に銀時の耳へと入り、幸せな時間は
差し出されたオカズと共に銀時の元から遠ざかっていったのであった。

****************************
5555を踏まれた蒼月 銀牙様のリクエスト
『何らかの理由で身体が子供化した銀さんで銀新』
スミマセン、長くなりそうなので分けますι
こんな始まり方ですが、少しでも気に入って頂ける様
頑張ります!

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「仕事が入った」

銀時の言葉に喜んだ新八だったが、心なしか告げた本人の顔色が悪い。
もしや危ない仕事なのでは・・・と心配してみると、銀時は緩く首を振り、

「いや、危なくはない・・・けど危ない。
銀さんのガラスの如きハート

「大丈夫ですよ、それ防弾ガラスで二重窓になってますから。
で、なんの仕事なんですか?」

僕や神楽ちゃんも行くのかな?そう思い聞いてみると、
オマエ等はいい・・・と返って来た。

「・・・だってかまっ娘倶楽部だし・・・」

俯き、力なく答える銀さんに、乾いた笑いと いってらっしゃいませ。
の言葉しか贈れなかった僕は、まだまだ人生経験が浅いと思う。

なので人生経験豊富な大人に頑張って貰わなきゃ、うん。

 

 


「ゲッ、なんだこりゃ」

我が家の財布の中身を悲しいほど理解している銀さんは、
文句を言いながらも仕事へ行く為、和室へと入っていった。

それを合掌して見送り、一人分浮いた夕飯をどうしようか・・・
と思いつつ、僕は残っている家事をこなす。

・・・て言うか、なんか鼻歌が聞こえてきてんだけど、
何してんの?あの人。

訝しげに閉じられた襖を見ると、先程の銀さんの声。

どうかしましたか。と襖を開けると、ソコには
女物の着物に身を包み、髪を両サイドで結い上げている銀さんが・・・

「・・・何してんですか、アンタ」

ってかさっきの鼻歌はその支度しながらかよっ!
こわっ!このオッサンこわっ!

「見て判んない?仕事行く支度よ、し・た・く」

白けた目を向ける僕に、科を作りながらそう答える三十路前。

判りたくもねぇし知りたくもなかったよ。
つぅかお店ですればいいでしょ、支度なんて!!」

これ以上僕の視力を下げないで下さい。そう言う僕に銀さんは一つ
息を吐くと、

「判ってねぇなぁ。店なんかでやってみ?お節介な化け物共が
寄り集まってあ~だこ~だと・・・銀さんまで化け物にされらぁ。
やっぱやるからにゃ~ビシッとだな・・・」

だから判りたくねぇよ、そんな心意気。
・・・で?どうしたんですか?」

語りだした銀さんの言葉を遮り、先程の言葉の意味を問い掛ける。

・・・て言うかさっきの鼻歌といい、この心意気といい、確かに
この仕事は危ないかも、銀さんの癖になりそうで。

そう考えていると、銀さんは先程の事を思い出したのか、あっと叫び、
手にしていた小さな筒を僕の目の前に突き出してきた。

「これだよ、これ!」

「これって口紅?・・・あ」

受け取って蓋を取ってみれば、そこには想像していた様な状態ではなく、
ポッキリと折れてしまっている色鮮やかな棒が。

「ったく、これじゃ使えねぇじゃねぇか!折角のパーフェクトパー子が
台無しよ!」

貸すならマシなの寄越せってんだ!と怒る銀さんを はいはい と宥めつつ、
横に置いてあった化粧ポーチを手に取る。

パーフェクトパーな子は大丈夫そうですけどね。」

あ、あった。目的のモノを見付け、僕はそれを取り出した。

「・・・なんだ、そりゃ」

不思議そうにそれを見る銀さんに 紅筆ですよ。と答え、
折れてしまった口紅にそっと筆を下ろす。

「姉上もコレ使ってるんです。この方が綺麗に塗れるらしいですよ。
それに最後の最後まで使えるし」

ある程度の紅を筆につけると、覗き込んでいた銀さんの頬に手を当て、
顔を上げさせる。

「はい、塗ってあげますからちょっと口開いて下さい」

「お、おう」

告げると銀さんは緩く口を開け、少しだけ目を伏せた。

・・・なんか可愛い。

赤くなりそうな頬を無視して銀さんの顎に手を添え、丁寧に紅を塗っていく。


身長差のせいか、こんなに間近で銀さんの顔を見るのは始めてかも。


なんか嬉しくて、ちょっと楽しくなって。
恥ずかしいのもあったけど、今は誰にも見られてないからいっか・・・と、
僕は少しだけゆっくりと紅を引いた。


って言うか銀さん睫ながっ!
こうして見ると、整ってるんだよねぇ銀さんって。
色も白いし・・・うん、この口紅の色、銀さんにあってるかも。

さっきまでの自分を棚上げしてそんな事を考え、少し笑った。


「はい、もういいですよ」

自分の塗った口紅の出来栄えに満足しながらそう告げると、
銀さんは漸く視線を上に上げた。

「・・・パー子、綺麗?」

「綺麗綺麗。すっごく美人ですよ~」

口紅を塗ってもらったのが恥ずかしかったのか、ふざけ気味にそんな事を言う
銀さんにクスクス笑って答えれば、銀さんもニヘラと笑い、

「あんがと、新ちゃん」

チュッと塗ったばかりの口紅を、僕の唇へと移してきた。

「なっ!!」

「ん~、新ちゃんにはもう少し可愛い色が似合うなぁ」

ゴシゴシと袖で口を拭う僕の手を取り、まっいっかぁ。と笑い、再び唇を
寄せてこようとする銀さん。

 

「さっさと仕事行ってこいや、ボケェェェ!!!」

とりあえず外に放り出したのは、言うまでもない。


・・・て言うか人生経験豊富な大人は時々卑怯だ。


僕は少しだけ色の残った唇を、そっと撫でた。

**********************
一度は書いてみたいパー子話。

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「あんた、偶には甘やかしてあげな」

昨日、パチンコからの帰りに下のお登勢に捕まり、軽くボコられた。
んだよ、偶に払ってんだからいいじゃんかよ、家賃ぐらい。
そうボヤいたら、益々ボコられた。

・・・年寄りは大切に・・・なんて言ったヤツ、ちょっとコッチ来い。

で、散々ボコって気が済んだのか、タバコを吹かしながら言ったのが
その台詞だ。
なんだよ、判ってねぇなぁ。俺は何時だって甘やかしてるぜ。

俺自身を。

そう言ったら、拳の代わりにタバコが投げつけられた
ぅわっ!んだよ、マジ危ねぇよ!!枯れたババァじゃねぇんだから、
そんなん投げられても燃えやしねぇんだよ!!
熱いだけなんだよ、地味にっ!!

喚いたら大きく溜息を吐かれた。

「新八の事だよ、新八!神楽はアレで結構甘え上手だからね、
心配はいらないんだけど、新八はねぇ・・・」

不器用だよねぇ、そう言うとこ。お登勢は仕方ないとばかりに苦笑した。
そう言えば・・・と思い返せば、確かに神楽は甘え上手かもしれない。
よくお妙にも懐いて甘えているし、新八にだって我が侭を言っている。
で、新八が窘めながらもその我が侭を聞いているのをよく見かける。
まぁ神楽はまだ子供だしな。甘えたいさかりだろう。
その対象が俺ではなく、新八と言う辺り、やはり良く判っているのかもしれない。

ボーッと道端に座り込み、考え込んでいたら、お登勢が再び言葉を繋いだ。

「傍から見ても、あの子は頑張ってるよ。アンタ等みたいのの世話を
まぁ・・・感心するね、アタシは」

何度か頷き、新しいタバコに火を着けるお登勢。
とりあえず投げられてもいいように、銀時は腰を上げた。

「どうせ給料だって満足にあげてないんだろう?ならせめて
時々でいいから甘やかしてやんな」

「甘やかす・・・ねぇ。」

そう言うタイプじゃねぇんだけど、俺もアイツも。頭を掻きながら銀時が
反論すると、お登勢は肩を落とした。

「タイプも何もないんだよ。甘やかし過ぎも良くないけどね。
アンタは大人であの子は子供だ。」

何時までも子供に甘やかされてるんじゃないよ。そう言ってお登勢は
店の中へと入っていった。

 

 


そして今、銀時はソファに寝転びながら、新八の動きを目で追っていた。
先程から新八の動きは止まることがない。

朝食が終わればその後片付け。そして洗濯機をまわして、その間に
布団を干し、部屋の掃除。
洗濯機が止まればそれを干し、その後はまだ掃除していなかった
部屋へと移動。
で、終わったと思えば次は昼食の準備だ。

その間に俺がやった事と言えば、つけていたテレビを消したぐらい。

午後になったらなったで、また昼食の片付けから始まり、漸く座ったかと
思えば帳簿付けにちらしのチェック。
大きな溜息を何回も零し、立ち上がったと思えば布団を寄せ、
洗濯物を取り込んだ。
そして洗濯物を畳みながら、破れた物を別けていく。
後で繕ってくれるそうだ、有難う。

で、その間の俺のやった事は、新八が持ってきてくれた湯呑みを空に
するぐらい。

・・・やばくね?俺。

とりあえずお登勢の言っていた事を実行してみる事にする。
いや、だってこの働き振りを見ちゃぁねぇ・・・
感謝するしかねぇだろう・・・て言うか本当、有難う。

口下手な俺としちゃあ、甘やかすぐらいでそれが伝わるなら安いものだ。
・・・って、甘やかすってどうすりゃいいんだ?

一瞬首を傾げるが、まぁなんとかなるだろう・・・と体を起こした。

「新八~」

名を呼ぶと、洗濯物を箪笥に仕舞い終えた新八が振り返った。

「なんですか?」

「あのさぁ~偶には銀さんに甘えてみない?」

甘やかし方が判らなかったので、新八に任せてみた。
すると新八はただでさえ大きな目を、更に真ん丸くした。

って言うか落ちんじゃね?ソレ。
あぁ、だから眼鏡してんのか。目ん玉落下予防の為に。

そんな事を考えてたら、真ん丸い目が、次第に半目になっていった。

・・・何、その痛い子を見るような目つきは。

「・・・なんですか、行き成り」

「いや、アレよ。何時も新ちゃんにはお世話になってるからさぁ。
偶には大人な銀さんが甘やかしてあげようと・・・」

「そう思うなら、大人らしい生活をして下さい。
つぅか胡散臭いですよ、なんか

ちょっと恥ずかしくなって、言い訳がましい事を説明すれば、
スッパリと斬って捨てられた。

「んだよ、俺だってなぁ、キャラじゃないの判ってんだよ!
でもそれを乗り越えて言ってんだから、甘えてこいや、コラァァ!

半ばキレ気味にそう叫べば、新八は そんなの乗り越えるなよ。 と文句を
言いつつも銀時の元へとやって来た。

そして銀時の前までくると、軽く握りこんだ右手を顎に添え、暫し考え込む。
どうやら、どうすればいいのか判らないようだ。

ま、当たり前だわな、急にそんな事を言われても。

そう思うが、銀時自身もどうすればいいのか判らないので、じっと
新八が動くのを待っていた。

すると、不意に新八の顔が上がり、銀時の顔を見上げた。
そしてちょっと恥ずかしそうに頬を染めると、そのまま銀時へと抱きついてきた。

恥ずかしいのか、先程上げられた顔は銀時の胸元に埋められており、
見えるのは赤くなった耳だけ。


・・・なんだ、この可愛い生き物は!!


新八の行動に固まっていた銀時だったが、自棄になったのか、
ギュウギュウとしがみ付いて来る
感触にゆっくりと手を上げ、その肩を抱き締め返した。

 

「えっと・・・まだですか?」

「うん、まぁだ」

身じろぐ新八の頭に鼻を埋め、銀時はニマニマと笑って答えた。

なんだ、これ。
なんかすっげー幸せ感じてるんですけど?
って言うか甘やかすのって、こんなにいいもんだったのか!?
うわっ、すっげー損してたよ、銀さん。
とりあえずババァには感謝しておこう。
誰だ、年寄りを馬鹿にしたヤツは。
もう、これからは思う存分甘やかしていこう。

だって俺は大人で、コイツは子供なのだ。

大人は子供を甘やかすもんだ。

誰にも文句は言わせない。

勿論新八にも。

銀時はそう心に誓い、新八のタイムサービスがぁぁぁ!!!
という悲鳴が聞こえるまで、その甘えを堪能したのだった。


ちなみに、そんな銀時に 子供に甘えてんじゃねぇ!!!と、お登勢が雷を
落とすのは、また別のお話・・・

******************
まだ色々と自覚のない坂田氏。
新ちゃんは大人共に構われまくればいいと思います(馬鹿ι)

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ダラリとデスクに足を乗せ、ジャ○プを読んでいると、玄関の開く音と、
新八の ただいま帰りました。 という相変わらず礼儀正しい声が聞こえてきた。

「おっかえりぃ~」

銀時はそう返しながら、乗せていた足を下ろした。
それと同時に居間に入ってくる新八の気配を感じ、銀時はチラリとジャ○プから
視線を上げた。

「・・・なんだ、そりゃ」

見ればソコには、いつものスーパーの袋とは別に、大小様々な袋を
携えた新八の姿が。

・・・臨時収入なんてあったっけ?

とりあえず今の万事屋には、こんなに大量の何か(多分食料)を買える
余裕はない筈だが・・・と、銀時は不審げに新八を見やった。
新八は銀時の問い掛けに、力なく肩を落とすと、持っていた袋を
テーブルの上に置き、

「・・・なんなんでしょうか」

序に溜息も落とした。

 


とりあえず買ってきたものを仕舞って来ます。そう言って新八は、
何時も通りの大きさの袋を持ち、台所へと向かった。
残ったのは、持ってきた新八でさえ意味が判らないらしい袋の数々。
なんとなく銀時の糖分レーダーが反応しているのだが、まずは新八の
説明待ち・・・と、銀時は読んでいたジャ○プをデスクの上へと置いた。

暫くすると、新八がお盆に湯飲みを乗せて戻ってきたので、
銀時は腰を上げ、ソファへと移った。
新八は銀時の前に湯呑みを置くと、もう一つを手に取り、向かいのソファへと
腰を下ろす。

「・・・で、どったの?」

お茶を一口飲み、再度銀時が問い掛ける。
すると新八も一口お茶を飲んでから、目の前に置いた袋を見て答えた。

「貰いました」

「誰に?」

「えっと・・・まずはスーパーであった山崎さん。その後巡察していた
土方さんと沖田さん。少し行った所で路地裏から呼ばれて、行ってみたら
桂さんとエリザベスが居て・・・あ、その後真選組に見つかったんですけど
うまく逃げれたみたいです。で、戻ってきた真選組の方数名から。
後は、公園で出店のバイトしてた長谷川さんと、車で移動中の近藤さん。
それと下でお登勢さんに」

指折り数えて名前を読み上げる新八に、銀時は眉を顰めながら
目の前にある袋を覗き込む。

「・・・なんか全部食べ物みたいだけど・・・」

「えぇ、長谷川さんやお登勢さんは違いましたが、それ以外の方達は
ちょっと待っててくれと言って、態々近くの店で買ってきてました」

「もしかして皆で銀さんに感謝感激☆心を込めてお礼の品を~・・」

「ちなみに銀さんには一欠けらも分け与えるな!
・・・との事です」

ニヘラと笑い、希望的観測を述べる銀時に、新八がサラリと告げ、
アンタ、なんかしました?と疑惑の目を向けた。
それに対し なんにもしてねぇよ! と不貞腐れながらも否定する銀時。
なんとも言えない空気が二人の間を通り過ぎていった。

「・・・なんなんだろうなぁ」

「なんなんでしょう・・・」

二人して首を傾げる。
と、そこに新八が小さく声を上げた。

「どったのよ?」

意味が判らず不気味で、お達しも貰ったのだが未練はタラタラ。銀時がソロリと
袋に手を伸ばせばパシリと叩かれた。
その手を摩りながら、新八に言葉の続きを促すと、

「何故だかさっきの注意と共に、『沢山食べて大きくなりなさい』とも・・・」

僕ってそんなにちっちゃいですかね?不満げに眉を寄せる新八を前に、
銀時の脳裏に何かが過ぎり、次に今度は銀時が小さく声を上げた。

 

それは数日前の事。
偶然道で会った土方に、銀時が文句を言ったのだ。

新八にお古の着物を与えたことを。

それを知った時、銀時は問答無用で新八から着物を引っぺがした。
当たり前だ。ドコの世界に可愛いウチの奥さんに、余所の、しかも最早天敵に
ちかい男のお古を着せなきゃいけないのだ。

するとその余所の男は小さく溜息を吐き、ちっちぇえ野郎だな。と吐き捨て、
それにまたムカついていると、それよりも・・・と、真剣な表情を向けられ、

「テメェ、あいつにちゃんと飯、食わせてやってんのか?」

と、問い掛けられた。

なんじゃそれゃ。話摩り替えてんじゃねぇぞ、この瞳孔オープン。

「別に摩り替えてんじゃねぇよ、このクソ天パ!
ただ・・・やったあの着物は俺が13ぐらいに着てたやつだからよ」

腕もそれなりに筋肉ついてるみたいだが、細いしよ。大丈夫か、あいつ。
心配げにそう言う土方に、

「マジでか?いや・・・新八はまだ成長期だし、こう言うのは個人差も
あるし・・・って、何気に腕とかチェックしてんじゃねぇよ!

腰も細いんだぞ、このセクハラマヨ!!と叫べば、
テメェの方がチェックしまくりじゃねぇか!!
その目を速攻抉り出せ!!

怒鳴られ、乱闘寸前になったのは記憶に新しい・・・

 


そう言えば、言い合った場所は人通りも激しい大通りだったっけ・・・

思い出しながら、銀時はちょっとした小山状態になっている袋を見、
そして次に新八の方へと視線を向けた。


キョロリと見開いた目。
小さな顔を支える、白く細い首。
湯呑みを持つ両手は、日頃している家事でカサついているものの、
自分の無骨な手と比べれば、小さく、手首など軽く一掴み出来そうで・・・


「どうかしました?」

そのの視線に新八が首を傾げると、銀時は唸りながらガシガシと後頭部を掻き、

「いや、まぁなんだ・・・大きくおなりなさいよ

と言って、懐から取り出した飴を一つ、袋の中へと落とし、そのまま
新八の傍へと袋を押し出した。

「はぁ!?アンタまでなんなんですか!!?
って言うかそんなトコにまだ隠し持ってたのか、コノヤロー

「いやいや、銀さん的にはそのままでも丁度いいんだけどさ。」

「ちっちゃいってか!?ちっちゃいって言いたいのか!!?」

「いやいやいや、だから銀さん的にはジャストサイズなんだけどね?」

「世間的には違うってか~!!!」

穏やかな午後、万事屋から最早日常となってしまった少年の叫びが
鳴り響いた。

 


その後、新八への不思議な貢物は暫く続き、
新八の機嫌は見事に下がっていき、万事屋の食事は少しだけ豪華になった
と言う。

******************
原稿も頑張ってます。でもそういう時に限って
色々思いつくから摩訶不思議。

拍手[2回]


 

朝、何時ものように新八の声で起こされた。
いいねぇ、こういうのってよぉ。
いい匂いのする中で、愛しい子の声で起こされる。
・・・やべっ、なんかラブラブじゃね?
このまま深夜枠的な事しちゃってもよくね?
寧ろしなきゃダメじゃね?

銀時は既に深夜枠所ではない考えに浸り、寝たふりをしながらタイミングを
図っていた。
そこに新八の小さな溜息が落ちる。

「も~、寝汚いんだから。・・・粗大ゴミの日って何時だっけ・・・」

・・・すんません、新八くん。なんでこのタイミングで
粗大ゴミの日の確認!?
まさかとは思うけど、銀さんの事じゃないよね?
・・・て、アレ?

「はいはい、いいから起きて下さいね?
じゃないと朝ごはん、全部食べられちゃいますよ」

新八は最終通告とばかりにペチンと銀時の額を叩くと、そのまま立ち上がって
和室から出て行った。

「バレバレじゃん・・・つぅか俺の思考もバレバレ?」

薄目で新八の後姿を見送った銀時が、ゆっくりと起き上がり、後頭部を掻く。
その手がはたと止まり、視線が空をさ迷った。

「・・・ん?」

先程起こされた時に感じた違和感に、軽く首を傾げる。

別に新八の態度は何時もと変わらず、当てられた(正確には叩かれた)手も、
何時もと同じで暖かかった。
声だって何時もの調子で・・・一瞬低くなったけれど、それは
寝惚けていただけだと信じたい。

部屋の中だって変わりはないし、居間から聞こえる神楽の声や破壊音
だって同じだ。
・・・って今度はナニ壊しやがった、あの小娘。

とりあえずここで一人考えていても仕方ない・・・と銀時は腰を上げ、
新八達がいる居間へと向かった。

「・・・おぁよぉ~」

だらしくなく腹を掻きつつ居間へと入ると、別に変わりのない光景が
目に入った。
それに対し、銀時は再び首を傾げた。

・・・なんだったんだ、あれ。

「お早うございます、銀さん。って言うか気を抜きすぎでしょ、その頭

「違うネ、新八。気合入れすぎてるからあの頭ネ、銀ちゃんは」

「おぉぉぉい!!ナニ、これ。起き抜けに罵詈雑言?
どこの地方ルールよ、それぇぇぇ!」

十代ルールです。もぅいいからさっさと顔洗ってきて下さい」

掛けられる言葉と冷めた視線に銀時が叫ぶ。
それを軽く流して、新八が銀時の背中を洗面所へと押した。

「あ・・・」

「はい?」

近くにやって来た新八に、漸く銀時は感じていた違和感に気付いた。
何時も白や青を基調とした袴姿の新八が、本日は黒を基調としていたのだ。

 


「つぅかどうゆう気分転換よ、それ」

気付いた瞬間、マジマジと見てしまう程何時もと感じが違う新八。
その姿に、銀時は朝ごはんを食べながらもまだ見詰めてしまう。
銀時の視線に、新八も自分の着ているモノに目を落とす。

確かに自分はあまり着ない色合いだ。
けれど、そんなにマジマジと見詰められるほど変だっただろうか?

そんな気持ちが湧き上がり、新八は銀時に 変ですか? と問い掛けた。

「いや、別に変じゃねぇけどよ。見慣れないっつぅか・・・」

食べ終わった茶碗と箸を置き、銀時は湯呑みへと手を伸ばす。
その間も視線は新八から外さない。

そう、別に変ではない。
ただ何時もは少年らしいと言うか、可愛らしいかんじなのが、
今日は楚々としていると言うか、大人びているというか・・・
白い肌が余計に強調されててかなり・・・くる。


段々と銀時の死んだような目に色が付いてきているのに気がつかないまま、
新八が言葉を続ける。

「神楽ちゃんもちょっと微妙な顔してたんですよねぇ・・折角貰ったのに」

あぁ、神楽もなんか違和感感じてたんだな~・・・と、既に遊びに
飛び出していった少女を思い返し、

あ、そう言えば今二人っきりじゃん!!よしっ!!!
くれたヤツに感謝だな!ま、すぐ脱がすんだけど。

と、喜んだ銀時は、新八の言葉の続きを一瞬聞き逃した。

「て、え?貰ったって・・・誰に?」

「土方さんですよ。もう着ないのがあるからって」

「はぁぁぁぁ!!!?」

思いもかけない名前が出てきて、銀時はテーブル越しに新八の腕を取った。
見れば確かに少し古くはあるが、それなりに良い生地のもので。
おまけにヤツが好みそうな色合いでもあって。

「この間近藤さんを介抱してた時に、少し血が付いちゃったんですよ。
アレってなかなか落ちないんですよね。特に白い生地だと目立っちゃって。
で、迎えに来た土方さんがそれに気付いて、お詫びにって・・・」

聞いてます?自分の腕を掴んだまま動きを止めた銀時に、新八は
そう問い掛けて顔を覗き込んだ。
次の瞬間、もう一つの腕が新八の襟元へと凄い勢いで伸びてきて、
そのまま引き寄せられた。

「ぅわっ!ちょ、なにぃぃ??」

思わず目を瞑ると、体が一瞬浮くのを感じ、そして落とされるのを感じた。
背中に感じる感触に、ソファに倒されたのだと判ると、新八は
目を開き、ナニをするのかと怒鳴ろうとして・・・止めた。

・・・なんだろう、この怖い人。

だってなんか・・・目がヤバイ
笑顔だけど、口元緩んでるけど、目がヤバイって!!

「あ、あの銀さ・・・」

「やっぱダメだわ。なんて言うかキャラに合わないってぇの?
なんかどっかの救護専門の隊とかにいそうだもん、コレ。
行き成り○解とかしちゃいそうだもん、これ

「いや、意味判んないんですけど・・・」

とりあえず手を離して・・・と、新八が未だ襟元を捻り上げている
銀時の手をどかそうとするが、力を篭めまくっているのか、ビクともしない。
その間にも、銀時の笑顔はどんどん深まっていき・・・

「銀さんの言ってる意味、判んない?判んないかなぁ?
ま、いっか。とりあえず脱げやゴルァァァァッ!!!!

「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

 


「うぅ・・・新ちゃんがマヨラーに汚されちゃったよぅ」

アンタが言うなぁぁぁぁ!
どんだけ自分を棚にあげてんですかっ!
いいからさっさと洗ってください!」

・・・その後、異様に新八の着物の汚れを気にする銀時の姿があったと言う・・

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